|
第二回目の党首会談で福田首相が、小沢民主党代表に大連立を申し込んだ。小沢代表は即答を避け、緊急に召集した党役員会に諮った。
先ほど10時頃、記者団に囲まれると、「多数意見で拒否することにした」とだけ短く語り、足早に立ち去ったが、胡散くさい話だ。
報道ステーションで、与党幹部と会ってきたばかりというゲストの田崎・時事通信解説委員長が「大連立が持論のマスコミ界のドンが間に立った。第一回目の会談前にも秘密会談があったようだ」と内幕を明かしていた。さらに、「選挙をやっても勝てるわけではない。小沢さんは、連立の方が権力を手にするには手っ取り早いと考えているかもしれない」と推し量った。
それが事実なら、福田首相の大連立提案は事前のシナリオに沿ったもので、小沢氏もまんざらではなかったということになる。
民主党役員会で否決した以上、大連立は一応霧散したが、党首会談では、廃案になったテロ特措法に代わる恒久法制定の方向で協力することで合意が成されたというから、今後の展開次第では、どう転ぶか分からない。
小沢氏が参院選で公約した「生活第一」を守るか、著書「普通の国」以来の持論とする「国際貢献」重視にまた舵を切るのか、予断を許さない状況になってきた。細川連立政権時代のように、権力を裏で操る魔力に憑かれ、独断的なトップダウンに走る“壊し屋”の癖がうずくようだと、日本の政治は収拾がつかない混乱に陥るだろう。
参院選挙後、国会の議論に緊張感が生まれ、情報開示が進んで小泉=安倍政権時代の隠れた膿が吐き出され、ようやく政治が正常化しつつある。国民不在の密室政治はそれを逆行させるだけである。
ねじれ国会解消には、総選挙で国民の真を問うのが正道だ。
大連立なる権力ゲームでたとえ一時的に政局が安定したとしても、参院選で示した民意を無視された国民の中で政治不信が一挙に高まることは必定だ。
間違いなく民主党は国民の信頼を失って瓦解し、自民党だけが民主党の一部を吸い込んで延命する。そして、大政翼賛会的な体制の下で年金隠し、公金横領、偽装・・・といった腐敗した既得権政治が続くことになろう。
気になるのは、「マスコミ界のドン」なるものの存在だ。渡辺恒雄読売会長を指しているのであろうが、集団的自衛権容認の憲法改正論者であることは周知のことだ。
その方向で恒久法制定が成され、大連立へと進むのであれば、極東のイスラエルと化すこの国に恐らく未来はない。アジアで決定的に孤立し、民主党大統領誕生がほぼ確実な次期米政権からも地域のトラブルメーカーと疎まれるに違いない。
大連立待望論の背景には、テロ特措法の期限切れ廃案により「日米同盟に亀裂が入る」という不安が保守層を中心に高まっていることがある。
確かに、史上最悪の関係にある北朝鮮問題に加え、中国と尖閣諸島や海底資源問題で対立し、韓国とも歴史認識問題でギクシャクするなど、東アジアで孤立無援状態にある日本としては、日米同盟に頼りたくなる心理は分からないではない。
しかし、反テロ戦争なるイデオロギーで世界を振り回したブッシュ政権の後ろ盾でアジアに対抗する構図を、今後も続けようとする方が明らかに無理がある。
いつまでもアメリカの顔色ばかりうかがっているのではなく、アジアとの関係改善に努め、バランスを取り戻すことこそ必要であろう。
その第一歩が北朝鮮との関係改善であり、福田首相と小沢代表が話し合うべきはまさにその方策である。
大局を見失ってはならない。
|