河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

在日・マイノリティー・差別

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 あら捜しか因縁付けの類の話で、対北朝鮮外交に意欲を見せていた前原外相が不本意な辞任に追い込まれた。
 直接的には、弱体化した菅政権の足元を見透かした揺さぶりだが、問題を大げさにした背景には、拉致問題以来の在日朝鮮人への排斥感情がある。
 
 昨日の朝日新聞の天声人語は「焼肉店の女主人も、よもや善意が足を引っ張るとは思わなかっただろう。・・・外相辞任という結果には、なぜか収まりの悪さが残る」と歯切れが悪い。
 社説「外国人と政治献金」は「どうにももやもやが残る。まるで国家間の諜報を論じるようだ」と一歩踏み込んでいるが、社会風潮や世論に遠慮してか、やはり腰が引けている。
 立小便も信号無視も違法であり、いくらでも個人攻撃の材料になりうる。
 今回の前原氏の“政治献金”も形式上は違法だが、実害はない。
 
 むしろ、内容的には美談に属する。
 中学二年で父親を失い苦学していた前原氏を、近所の在日韓国人女性がみかねて少年時代から息子のように助けてきたという。
 人情が希薄化している昨今、日本人が見てみぬふりをしていた隣人の助け合いを奇特な韓国人がしたわけであるが、それが人間として非難されるべきことであろうか。
 
 母親が女手一つで苦労して育てた前原氏は一見クールだが、内面は人間関係に飢えた人情家だということだろう。
 それを弱点と見るか人間的な魅力と見るか、見る人の人生観とも関連する。

 西田参院議員は鬼の首でも取ったかのように、参院予算委員会で「外国人から5年間25万円の違法献金を受け取り、国益を損なった」と噛み付いた。
 人情の何たるかを理解せず、何でも政争の具にする心無い行状というべきであろう。
 
 産経新聞など一部メディアが待っていましたとばかりに前原叩きに同調しているのは、日本社会に外国人排斥の風潮、特に在日朝鮮人に対する敵愾心が台頭していることと関連している。
 拉致問題以降、北朝鮮への腹いせに在日朝鮮人を迫害する傾向が露骨化しているが、脇の甘い前原氏はそれに巻き込まれてしまったようだ。
 
 石原慎太郎氏の人種差別は、ジェラシーと権力欲の裏返しの性癖のようである。
 社民党党首の福島消費者・少子化担当相に対する「戸籍を証かせ」なる新たな差別発言は、1982年の「シール事件」で新井将敬の戸籍を不正に暴いた手口と全く変わらない。一種の病気ではないか。
 
 何かと石原東京都知事を庇う産経新聞によると、23日の定例会見で福島・社民党党首が「帰化人発言は事実無根の差別発言」と撤回を求めたことに対し、「私は何も彼女を特定したわけじゃありません」と、発言の撤回を否定しながら次のように述べたという。
 「日本と朝鮮の国々が合体したあの時の朝鮮半島の事情というのは、・・・朝鮮の国が議会で議決してね、日本を選んだというのはこれ歴史的事実でありますけど、朝鮮の人たちにしたら好ましくない、非常に鬱屈したものを与えたでしょう。そういう時代に生きた近い先祖を持った方々が日本にたくさんおられる。そういうものを反映した形で突然、今の与党が日本に永住している外国人に選挙権を与えるということは、私非常に危険だと思います。
 福島さんが非常に不快な感じに言われるんだったら自分がそうでないということをね、自分の手で戸籍を証した方がいいんじゃないかと私は思いますけどね」
 そう述べた上で福島氏が発言の撤回を求めていることに対して「私は何も彼女を特定したわけじゃありませんから。総論としてきたわけですから」と否定した。
 
 いつものように弁明がましく話をあちこちに振り、自分勝手な理屈をこねながらの没論理的な発言だが、要するに言いたいことは、上に要約したことである。
 韓国でもメディアが「右翼の人種主義者の石原がまた暴言」と伝え、外国人参政権問題が日本人の差別意識との関連で改めて注目されている。
 前回指摘したように外国人参政権に反対する決議をした自治体は、韓国人観光客の誘致で少なからぬ影響を受けるだろう。
 
 石原氏は「差別意識はない」と否定したが、一連の発言を差別と認識できないところに彼の差別意識の深い病巣がある。
 差別の質の悪いのは、差別と知らず差別することである。一例として、石原氏は障害者に対して「彼らにも人格があるのかね」と、まるでモノを見るかのように蔑む発言をしたが、本人はいまだに差別発言とは思っていない。
 
 特に、福島氏に対する「自分の手で戸籍を証した方ががいいんじゃないか」との発言は、石原氏の宿業みたいなものをうかがわせる。
 石原氏は在日の新井の広報ポスターに「41年北朝鮮から帰化」とのシールを貼った「シール事件」で新井の除籍原本を不正に入手したとみられているが、福島氏への暴言はそれと全く同じ発想である。
 
 以下は『代議士の自決ー新井将敬の真実』の「第一章石原慎太郎派の選挙妨害事件」のP23の抜粋である。
 「除籍原本は、通常の戸籍謄本申請では出て来ない。
 実際、問題の除籍原本をとったのは弁護士・小野孝徳氏であり、私の問いに小野氏は依頼があったことは認めている」
 
 依頼主がシールを貼って現行犯逮捕された石原氏の公設第一秘書であり、石原氏が連帯責任を負うべきことは言うまでもない。
 今や世界でも日本、韓国にしかない絶滅種の戸籍にこだわるのが二世代旧い石原氏らしいが、政治的な野心から手段を選ばず、他人の戸籍を暴こうとする習癖は終生直らないようである。
 
 不思議なのは、日本のメディアがこうした重大な人種差別発言に見てみぬふりをし、中には「石原節」などと面白おかしく取り上げて助長していることである。欧米先進国ではありえないことである。
 石原発言は、日本のメディアと社会の人権意識後退と歪んだ差別意識を映す鏡でもある。
 

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 石原慎太郎・東京都知事が外国人参政権反対集会で「与党には親などが帰化した党首、幹部は多い」と発言したことに対して、社民党首の福島消費者相が「人種差別」と批判し、発言の撤回を求めた。
 石原発言にまたかと顔をしかめた人は少なくあるまい。石原氏の人種差別意識は、新井将敬の広報ポスターに「41年北朝鮮から帰化」とシールを貼り付けた事件以来、つとに知られた事である。
 
 石原氏は17日、都内で開かれた「全国地方議員決起集会」で、「与党には親などが帰化した党首、幹部は多い。先祖への義理立てか知らないが、日本の運命を左右する法律(外国人参政権)を作ろうとしている」と発言した。
 これに対して福島消費者相は19日、国会内で記者会見し、「私のことを言っているのだと考えた。私も私の両親も帰化した者ではない。しかし、帰化した人は日本人であり、帰化した者ではない日本人と同等の権利・義務がある。石原氏のように、そのことを問題とすること自体、人種差別ではないか」と辛辣に批判した。
 
 石原発言は悪意に満ちた事実誤認であり、故意的な人種差別発言である。
 欧米なら主義主張を超えて猛烈な批判を浴びるところだが、日本のメディアは何故か寛容である。一部メディアは「石原ぶし」などと容認するかのような伝え方をするが、差別問題に対する日本社会の意識の後退がみてとれる。
 4月からの高校無償化から朝鮮高校を除外し、国連人種差別撤廃委員会から「差別」と批判されたこととあわせ、内向きの島国意識が日本社会の劣化の一因となっていることをうかがわせる。
 
 国士をきどった石原氏の人種差別意識は年季が入っており、確信犯に近い。
 冒頭に述べたシール事件は、1982年に同選挙区であった旧東京2区に大蔵省出身の新井将敬が立候補することになり、広報ポスターを張り出したところ、5千枚とも言われた同ポスターの新井の顔上部にべったりと貼られた。  
 『代議士の自決』に詳しく書いておいたが、現行犯逮捕された犯人は石原代議士の公設第一秘書であった。石原氏は例のごとく「秘書が勝手にやった」と逃げたが、後にほとぼりがさめた頃、週刊誌で「帰化人は代議士になるべきでない」と、関与を事実上認めている。
 
 新井は「田中角栄元首相の隠し玉」とか渡辺喜美・みんなの党代表の父親の「ミッチーの秘蔵っ子」と言われた有力候補であり、自民党内少数派閥の石原氏はジェラシーと脅威を感じ、嫌がらせをしたと言われる。
 実際、旧東京2区で次第に新井に押され、小選挙区移行直前に「政界引退」を自ら公表した。ところが、新井自殺後、前言をいとも簡単に翻して東京都知事選に後出しジャンケンで出馬し、当選した。
 
 こうした経緯から明らかなように、保身と権力欲から言辞をころころと変え、とりわけ人種差別発言で右派の支持を拡大するのが、石原氏の基本的な政治姿勢である。
 今回の差別発言も外国人参政権反対運動にかこつけて自己の存在感を誇示し、立ち枯れ前にもう一花咲かせようとの欲心から出たものとみられる。
 
 なお、老婆心から付け加えれば、外国人参政権に反対する地方自治体に対して韓国、中国など旅行者は「排外的で、危険」とのイメージを抱き、避けるとの見方も出ている。
 

 産経新聞をはじめとする保守系言論は夫婦別姓に頑なに反対しているが、滑稽なのは、それが日本の伝統文化であることに気付いていないことである。
 「日本の伝統に反する」などと矛盾したことを平気で言っているのをみても、没論理的な感情的反発の域を出ない。

 日本で女性が夫の姓を使用するようになったのは、欧米民法に倣った明治維新からに過ぎない。
 少なくとも江戸時代までは日本でも夫婦別姓であり、嫁いだ女性が夫の姓を名乗ることはなかった。
 たとえば、源頼朝に嫁いだ政子が源政子と称したことは一度もなく、最後まで北条政子であった。近いところでは、徳川幕府第14代将軍家茂の正室となった和宮は徳川親子(ちかこ)と呼ばれたことはない。

 儒教文化圏ではそれが普通の家族形態であった。儒教は倫理的道徳的に血筋を明確にするために男女問わず姓は終生変わらない。
 男尊女卑的な考えから、女性の姓は文献上軽視されたが、夫の姓を名乗ることは中国、朝鮮、日本ではありえなかった。
 
 夫婦別姓に反対する人は、明治維新以前の永い伝統や歴史を否定し、明治維新以降のわずか百余年の「伝統」や「習慣」を日本古来のものと誤解しているに過ぎない。
 江戸時代までの自国文化を未開、野蛮と卑下する「文明開化」や多分に欧米コンプレックスが混じった「脱亜入欧」といった自虐的な史観の呪縛から抜け切れないからであろう。

 哀れと言うしかないが、歴史や伝統を重視すると言いながら、保守派の歴史認識が没論理的かつ気分的で、常に揺れているのは、真の伝統や歴史に根付いたアイデンテイテイーを喪失しているからである。
 彼らが中国、韓国など周辺国に敵対的な感情を抱き、第二次大戦で大敗し原爆まで落とされた米国に追随する卑屈な姿勢が、それをはっきりと示している。

 夫婦別姓は基本的には男女平等社会の要請である。伝統文化に回帰することとは次元の異なる問題であるが、「日本の伝統や歴史に反する」とするのは完全なる誤解である。
 私は『韓国を強国に変えた男 朴正煕』の文庫本(04年光人社NF文庫)のあとがきで「日本はアジアの周辺国に戻りつつあり、脱亜入欧で歪んだ政治経済文化の再構成が必要となる」といった趣旨のことを書いたが、夫婦別姓はその第一歩でもある。 

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石原慎太郎の反モラル

 年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」で当初利用者562人のうち200人以上が所在不明となっていると都が調査し、石原知事は「入所者のモラルの問題がある。『ごねれば言うことを聞く』とうそぶく。大きな反省の対象だ」と語り、規則違反者は強制退所にし、18日で派遣村の閉所を決めた。
 これを決断とかカッコいいと誉めるヒトはモラルに欠陥がある。権力者や資本家以外のヒトがそう思うとしたら、実に情けない。

 石原さんは都が就活費として現金2万円を支給したことに腹を据えかねているようだ。
 なんと心の狭いことか。困ったヒトを助ける人間としての当然のモラルが欠如し、民を助ける立場の為政者としても失格ではないか。
 路頭に迷ううちに規範意識が劣化するケースはありうることで、それに応じた対策を講じるのが賢明な政治であり、あら捜しは本末転倒である。

 自分の懐からびた一銭出さず、全て税金である。十分間のビデオに5億円を気前よく出すなど失敗したオリンピック招致に200億円。その他、石原銀行で1400億円、汚染された築地移転買収費で数千億円と浪費を重ねておきながら、反省もない。腹の底ではリベートを計算しているのだろう。
 その一方で、二万円をどうこうしたと弱いものを居丈高に非難する。
 まさに、このようなヒトになってはいけないと子供たちに諭す反面教師のサンプルだ。

 都は就活費を酒やたばこの購入などに使用した人に対し返金や生活保護費を差し引くなどして対処するとするが、全く同一の厳しさで、巨額の都税無駄遣い問題にメスを入れるべきであろう。
 都議会では、石原都政の膨大な無駄遣いに対して、ゼネコンとの癒着など裏まで含めて、一銭たりと見逃さず徹底的に追求してもらいたい。
 石原さんも弱いものイジメばかりせず、自分にも少しは厳しくなる必要がある。
 
 長妻厚生労働相が「残念だ。そういうことが起こらない支援態勢が必要」と会見で語ったことに対して石原知事は「政府は反省し、ゆがんだ形で終わらないように取り組むべきだ」とかみついた。
 都が派遣村開設に動いたときは石原さんも少しは弱いものの気持ちが分かるのかと感心したが、どうやらいやいやだったようだ。それを聞いて実は、石原さんらしいと安心した。

 無能不敗の自民党は国政では消え去ったが、地方単位ではしぶとく残っている。
 その典型が石原都政である。本人はときたま反自民党的な目くらましを使うが、正真正銘の自民党的な体質を受け継いだ典型的な旧世代の人物であり、息子二人も自民党所属である。

 石原さんもメッキがはがれ、レームダック化が急速に進んでいるが、モラルなき古狸である。
 しかるべき反省もなく、再度オリンピック招致の声を挙げたが、「レイシスト」(朝鮮日報)とアジアで定評の石原氏が関わる限り、アジアの支持は期待できず、オリンピック招致など見果てぬ夢である。

 狙いは別にあり、レームダック化を押し止めようとの最後のあがきとの見方もある。ゼネコンとの関係上、オリンピック事業をストップできないとの事情も隠れているようだ。
 いずれにしてもこのヒトにはモラルも人望もない。自らまいた種である。

 何で障子を破った「太陽の季節」の反モラル性は若者としては面白いし理解できるが、歳を重ねて権力者になり、文字通りの俗物的な反モラルでしかなくなってしまった。
 作家が政治に関わると堕落する悲しい実例である。
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