河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

在日・マイノリティー・差別

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 各雑誌に日本没落とか危機といった、大きな見出しが目立つようになった。
 戦犯探しが盛んだが、文藝春秋にしても中央公論にしても保守系誌のためか、昔は良かったのにと司馬史観的な懐古趣味に流れがちだ。いずれも根底に、国家主義もしくはヤマト民族主義的な情緒を漂わせているのはそのためだが、こうした復古的な狭いナショナリズムでは、日本は先細り、閉塞感は強まるばかりだろう。

 日本沈没を予感せしめる現況は、戦後一貫した保守政治の帰結であることは誰の目にも明らかである。
 それにもかかわらず、依然として賞味期限の過ぎた保守にしがみつき、出口を見付けようとあがくところに、日本の悲劇がある。

 隣の韓国ではすでに二回も与野政権交代が起こり、今も李明博政権は失政を責められ、連日数万のデモ隊に退陣を突きつけられている。
 ところが日本では、これほど数々の失政や不祥事が噴出しているというのに、憲法上の権利として認められたデモはまばらであり、不満の捌け口が無差別テロなどに向かっている。

 政治家を使い捨てと考える韓国民の潔さに比べ、日本は未練がましく、用なしの骨董品にこだわりすぎではないか。
 小泉、安倍、福田と世襲議員が政権をたらい回ししているのは日本だけの特異な現象だが、これに麻生が続けば、まさに笑えないマンガである。
 ちなみに、韓国では世襲政治家は朴正煕元大統領の娘の朴槿恵前ハンナラ党代表くらいで、金大中、金泳三元大統領の息子らはすべて落選した。

 そうした日本的な中途半端が災いし、改革がもたつき、あらぬ方向にねじまがってしまったのである。
 「失われた10年」を取り戻すと期待された小泉改革も既得権益の再分配を巡る保守勢力の争いに終わり、中産階級の没落をもたらしただけであった。年間成長率が高々1%程度で新しい富が創出されたわけでもないのに、金融、派遣など非生産分野を中心に富裕層が急増したのは、偏った規制緩和で勤労中産層の所得が体よく収奪され、移動したことが最大の原因である。
 このまま行けば特権と貧困の世襲化で日本社会は二極分解し、活力は失われ、果てしのない混乱へと陥ろう。

 保守とは古いものを守ることで過激化のブレーキ役となり、中庸中道政治実現に寄与することもあるが、現下の日本では、暖簾に胡坐をかいて停滞と腐敗を覆い隠す古看板でしかない。
 吉兆の女将ではないが、もったいないなどと使い回しせず、また、臆病にならず、潔く捨てる勇気を持つことである。
 退廃と老化をもたらすだけの保守政治と一度決別し、これまで積もり積もった垢を綺麗に洗い落とし、新たに出発しない限り、日本の再生は難しいだろう。

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 日本人として生まれた悲運を嘆く子供が増えている。
 数字は雄弁だ。日本の子供の貧困率は14・3%でOECD加盟国でワースト10位、一人世帯は57・3%、2位という現実がすべてを物語っている。

 無論、子供に責任はない。直接の原因は、親の貧困である。
 サービス残業や派遣などで所得が減り、そこに離婚が重なって、十分に衣食住が保障されず、教育環境も劣悪な子供が年々増加している。
 かつては貧しくとも親の献身的な愛情に包まれ子供はすくすく育っていたものだが、人心がすさんだ近年は親の虐待やネグレクトでパニックや精神障害に陥る子供が少なくない。

 ところが、日本は、そうした子供に手を差し伸べるための社会保障給付費や教育への公的支出は世界最低水準ときている。
 特に酷いのが東京都で、石原慎太郎知事になって児童養護施設の民営化が進められ、施設の維持に四苦八苦しているところが多い。そのため、虐待を受けた子供が何か月も待たされるケースが相次ぎ、その間に事件に巻き込まれた例が後を絶たない。

 昨年末で849兆円という膨大な赤字を抱え、国家財政に余裕がないことは事実だが、道路建設費や軍事費などを削り、役人の無駄遣いを無くせば、子供のために回すカネがないわけではない。
 子供を思いやる心、彼らに託す社会の未来への想像力があれば、予算の配分は十分に可能なのである。

 政治の怠慢は明らかだが、その原因は、永田町では世間一般で起きている貧困の連鎖とは正反対の、特権の連鎖が常態化し、政治家が別世界の住人になってしまったことにある。
 すべての政治家がそうだと言う訳ではないが、戦後の日本政治を牛耳ってきた保守系政治家、特に自民党の政治家は半数近くが2世、3世の世襲政治家であり、小泉、安部、福田とタライ回しで政権を我が物にしている。

 特権化した彼らに庶民の目線や気配りを期待するのは、先天的に不可能なことである。
 高齢者医療負担と同じ発想で、子供など物言わない弱者を切り捨てることしか頭が回らない。

 東京が2012年のオリンピック候補地の一つに決まったそうだが、多くの子供の生存が脅かされ、国家社会の足元が崩れつつあるのに馬鹿騒ぎしている時ではあるまい。
 オリンピックは、破綻した新東京銀行と同じく、石原慎太郎氏が知事になるためにぶち上げたキャッチフレーズでしかない。その馬鹿騒ぎに乗せられた揚句に、膨大な借金を背負わせられ、そのしわ寄せはまた子供たちに行くのであろうか。 

 野党各党が日雇い派遣を原則禁止する法案を準備中だが、さらに踏み込んで、人材派遣そのものを原則禁止すべきだろう。
 専門職市場の流動化に対応する本来の趣旨から逸脱し、賃金カットなど労働条件を悪化させ、ワーキングプァや過労死急増など勤労者の生活破壊の元凶となっており、事は急を要する。

 そもそも人材派遣業なるものが膨大な収益をあげ、急成長すること自体が本末転倒である。
 その分、労働者の賃金がピンハネされているからである。

 明らかに憲法違反、労働基準法違反であるが、規制緩和を隠れ蓑に世にはばかる仕儀となった。
 その背後には、例のグッドウイルの創業者が安倍前首相と親しかったように、保守政治家との癒着があるとみられる。
 さらに、賃金コストのカットを狙う企業の思惑や利益と一致したことがある。事実、大企業が競ってサービス残業を導入したり、自ら人材派遣子会社を設立して派遣社員をグループに振り分けるなどしている。
 働かざる者食うべからず、は資本主義の倫理であったはずだが、働く者の生血をすする人材派遣は、モラルを失い、墓穴を掘りつつある現代資本主義の象徴とも言えよう。

 だが、国家は特定の利己的集団の私有物ではない。
 人材派遣という奴隷労働根絶に向けて、新たな行動を起こす時期に来ている。
 ハローワークや非営利型人材派遣の活用などで違法な搾取を排し、なおかつ個々の適正に合った職場を求められるような、真の労働市場の創造が必要だろう。

 「内なる帝国主義」の解体は、口で言うほど簡単ではない。
 代を重ね、人々の日常に浸透し、思考方式を縛り、無意識の世界まで支配しているからである。

 例えば、チベット問題で中国の少数民族抑圧を批判した日本人の何人が、アイヌや琉球など日本の内なる民族問題に考えを巡らせただろうか?
 櫻井よし子氏らは対中国強硬派として喝采を浴びているが、アイヌ問題など存在しないかのように無視している。日本は単一民族であると思い込んでいるからだが、それがアイヌ、琉球を否定し、中国と同じことをしていることには気付かない。
 右派だけでなく、左派・リベラルの中にも似たような傾向は少なからず認められる。

 従軍慰安婦問題でも、櫻井氏ら右派は、当時は売春が合法であったと正当化するが、それを聞いていつも思うのは、右派の心に巣くう「内なる日本帝国主義」である。
 人権や女性の権利意識への自覚の欠如は悲しむべきものがあり、そうした戦前的な価値観の残滓をまず解体しないことには、彼らも人間として解放されないだろう。

 南京大虐殺や強制連行しかり、アジア諸国との歴史認識問題は、全て日本自身の内なる問題と連続しているのである。日本人だからこう考える、非日本人だからとああ考えると、二分法で分けられるほど単純ではない。
 その自覚と覚悟がない限り、議論は永遠に噛み合わない。

 アイヌや琉球の少数民族としての存在を否定する人ほど、従軍慰安婦、南京大虐殺、朝鮮人強制連行などを自虐的と否定したがる現象は、偶然ではない。
 「内なる日本帝国主義」的な価値観が、意識的か無意識的かの差はあっても、そうせしめるのである。

 その意味で、その種の人々ほど拉致問題に“熱心”なのも論理的必然性がある。
 彼らにとって北朝鮮は過去の自虐的な歴史を清算する格好の標的であり、この際、すべて帳消しにしてしまおうというわけである。その中心にいる「救う会」関係者が、北朝鮮に対する過去の植民地支配への反省や賠償を公然と否定していることが、如実にそれを物語る。
 無論、横田夫妻ら拉致被害者はそうは考えていないのだが、政治的思惑を秘めた投機師たちとのギャップが事態を必要以上にこじれさせ、解決を長引かせてきた。

 この「内なる日本帝国主義」は日本と周辺諸国との摩擦の主因となっているばかりか、保守の知的退廃をもたらし、現在の政治的停滞の遠因ともなっている。
 それは戦後の冷戦の下でGHQによって部分的に温存され、世界でも稀な自民党長期政権へとつながり、二世、三世議員によって受け継がれてきた。小泉ー安倍ー福田の三代首相がまさにそれで、保守派は次もポスト福田の“最有力候補”として“毛並みの良い”麻生を持ち上げている。
 さすがに有権者も政治の劣化に嫌気がさし、差し替える気分が濃厚になっているが、「内なる日本帝国主義」解体の第一歩が本当に始まるのか、もう少し見守る必要があろう。 

 90年代のバブル景気崩壊に続く経済的後退の中でグローバル化の波に洗わる中、日本中が危機意識を募らせ、外圧に一致結束して当たった明治維新以降の歴史的記憶が精神的な拠り所として復活していく。
 反射的に、それと相容れない歴史は自虐的と拒絶され、従軍慰安婦、南京大虐殺、朝鮮人強制連行、沖縄集団自決強制などが教科書検定を通して順次抹殺されていく。
 その裏返しであるが、国家への忠誠心や滅私奉公が称揚され、国際競争力向上とか規制緩和の名目で、大企業が競って派遣、偽装請負、サービス残業などの賃金カットや労働強化を半公然と行う。

 そのすべては戦前、日常的に見られた光景であるが、極め付きは、狂乱的な“拉致フィーバー”である。
 小泉首相の二度の訪朝で、日朝ピョンヤン宣言と5人の被害者の帰国で決着すると約束されたことが、横田めぐみの官製「偽遺骨」説を機に、かつての盧溝橋事件を彷彿させる北朝鮮バッシングという政治的キャンペーンに変質し、強硬派を気取る自民党政権の延命と大政翼賛会的な社会風潮を醸し出した。

 さらに、ブッシュ政権の反テロ戦争に便乗する形で、北朝鮮がこれもかつての鬼畜米英を真似たような仮想敵国となり、MDやイージス艦導入などの軍拡路線に利用された。
 欲しがりません勝つまでは、ではないが、防衛費という名の軍事費は道路予算以上の聖域となり、そのしわ寄せは年金、医療費などの社会福祉や教育予算のカットとなって国民生活を圧迫している。

 再び外圧によって潰されるまでそうした状況が続くとしたら、あまりに能がないではないか。
 現に、拉致問題も米朝協議のシナリオに沿って、核申告→テロ支援国家指定解除→日朝協議という段取りで“強制解決”へと向かっている。

 「内なる日本帝国主義」という残滓を清算しない限り、自縄自縛されて堂々巡りを繰り返し、生産的建設的な未来は開けないのではないだろうか。 


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