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私は究極の弱いものいじめである子供の虐待死には傷害致死罪のみでなく、未必の故意による殺人罪を適用すべきだと思う。
未必の故意と言うのは、死ぬことがわかっていながら暴行を加えることを言うが、幼児に大人が手を加えれば死に至ることは一般人なら容易に想像できることである。
その狙いはあくまでも、周囲に虐待は重大犯罪であることを周知徹底させ、虐待死を予防することにある。
大阪府寝屋川市で1歳10カ月の女児が実の両親から虐待されて死亡したが、あごの骨折、ほおや唇、鼻、頭部、太ももや背中などに多数のあざやすり傷が見つかり、古いもので1〜2カ月前の傷があった。
捜査関係者によると自宅マンションの複数の近隣住民が「昨年夏から怒鳴り声と子どもが泣く声が激しくなった」と証言。今年に入ると、壁をドンドンたたく音や物が壊れるような音もするようになった。マンション所有者の女性は「児童相談所などへの通報はしなかった。今思えば、虐待を食い止めるチャンスだったかもしれない」と悔やんだという。
また、昨年7月に市の保健師が母親と被害者と面接した際、体重測定すると、平均(約10キロ)より少ない約7.5キロだった。今年1月の病院搬送時には6.2キロへと減っていた」。7、8回被害者を見たが、何の対応もしなかったという。
ここに見られるのは、周囲のあまりの無関心である。
虐待は重大犯罪であるとの意識を徹底させない限り、他人の不幸は見てみぬふりのまあまあ主義はなくならないだろう。
しかし、虐待する両親への抑止効果はあまり期待できない。
前回指摘したように、子供の反抗は成長の証と喜ぶ親の自覚が全く無く、逆に、自分が否定されたと曲解、逆上して暴行する衝動的な行為には、心理的な抑止はほとんど効果がない。ばれないようにと、陰湿化するだけである。
種を次代に伝える哺乳動物として、知性ある人間として、本来なら慈しむべき我が子を虐待する親は、大人なり親としての自覚が倒錯している。自身の自我の成長が未発達で、砂のように脆い。
14歳の酒鬼薔薇聖斗は「透明な存在」である自己確認の手段として自分を慕った年下の友達を手にかけたが、我が子を手にかける悲劇的な親たちは、さらに透明化した存在なのであろう。
全てがカネに換算される人間疎外が進む現代社会では、この種の犯罪は増えこそしても、なくなることはあるまい。
とは言え、今危機に瀕した子供たちを放置できない。
とりあえずは、子殺しの社会的背景にある親の不安定な社会的な地位―無職、ストレス、周囲に相談する人がいないことなどへの対策が必要である。利権政治の自民党政権時代はそうしたことが全く疎かにされてきたが、現政権の子供手当てはそれに比べれば前進と評価できる。
同時に、虐待は重大犯罪であるとして周囲が監視の目を強めるしかあるまい。
本来、家庭に周囲が干渉するのは避けるべきであるが、無防備の被害者の立場を考えれば、そんな悠長なことを言っている場合ではない。
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酒鬼薔薇聖斗・教育
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大阪府門真市で3月に少年A(19)が同居女性(19)の長男(2)を虐待死させた事件で、Aは「殴ると子供が愛想笑いをするようになった」と府警の調べに動機や心境を詳述したという。
2歳の子供の必死の愛想笑いを、馬鹿にされたと曲解し、自分を否定されたと思い込んだのであろうが、なんという脆い、砂のような自我なのか。
かの14歳の酒鬼薔薇聖斗は「透明な自分」と自己の存在を否定する周囲や社会に反抗して友達の小学生らを殺したが、同じことが繰り返し、繰り返し、繰り返し行われている。
府警はAが同居女性に育児を押しつけられた不満のはけ口に長男に暴行し、長男の反応にさらに怒りを増幅させたと判断し、心理学者はAの心の未熟さを指摘している。
しかし、それはあくまでも結果であり、根本的な原因究明と対策が必要であろう。
Aは昨年7月ごろから女性と同居し、女性が飲食店で働く間に長男の面倒を見ていたが、10月ごろから暴力を振るうようになった。
「(女性から)子供の面倒を見たり家事をしたりするのが当たり前という態度を取られて腹が立った」と供述し、身を守ろうと愛想笑いをする長男の態度に逆上したという。
弱いものを脅すことで自分が強くなったと満足する倒錯意識、逆に、相手が従属しないと自分が馬鹿にされたと曲解する劣等意識などが複合的に作用したのであろう。
人間的に未熟なのは言うまでもないが、それだけでは何も見えてこない。類似の事件が頻発していることからも、背景には現代社会の病理が潜んでいるように思える。
子供が親に反抗するのは自我の目覚めであり、成長の証としてして喜ぶのが親の務めだが、それを自分に反抗したと個人的な次元で曲解し、「躾」と称して虐待する例が多い。
親の自覚が欠けているのは言うまでもないが、問題は、その種の親になりきれない子供が子供を産み、育てていることにある。
子供は衝動的な性欲の産物ではなく、次代を育てる種の保存という社会的な責務がある。
親の自覚に欠け、自力で子供を育てられないものは親になるべきでないというのは自然の摂理でもあるが、それが壊れつつある。
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日本のアニメは世界に発信できる貴重な文化だが、一部の暴力・ポルノ偏重のアニメは同種の劇画、ゲームとあいまって顰蹙を買っている。 |
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死刑制度は復讐という人間の原始以来の感情に基づくもので、見せしめによる抑止という社会機能を担わされてきた。支配者が恐れる行為ほど公開の場で残虐な刑罰を科してきた。 |
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これほど現代の青年の存在の危うさを象徴する事件もなかろう。 |





