河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

酒鬼薔薇聖斗・教育

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 私は究極の弱いものいじめである子供の虐待死には傷害致死罪のみでなく、未必の故意による殺人罪を適用すべきだと思う。
 未必の故意と言うのは、死ぬことがわかっていながら暴行を加えることを言うが、幼児に大人が手を加えれば死に至ることは一般人なら容易に想像できることである。
 
 その狙いはあくまでも、周囲に虐待は重大犯罪であることを周知徹底させ、虐待死を予防することにある。
 
 大阪府寝屋川市で1歳10カ月の女児が実の両親から虐待されて死亡したが、あごの骨折、ほおや唇、鼻、頭部、太ももや背中などに多数のあざやすり傷が見つかり、古いもので1〜2カ月前の傷があった。
 捜査関係者によると自宅マンションの複数の近隣住民が「昨年夏から怒鳴り声と子どもが泣く声が激しくなった」と証言。今年に入ると、壁をドンドンたたく音や物が壊れるような音もするようになった。マンション所有者の女性は「児童相談所などへの通報はしなかった。今思えば、虐待を食い止めるチャンスだったかもしれない」と悔やんだという。
 また、昨年7月に市の保健師が母親と被害者と面接した際、体重測定すると、平均(約10キロ)より少ない約7.5キロだった。今年1月の病院搬送時には6.2キロへと減っていた」。7、8回被害者を見たが、何の対応もしなかったという。
 
 ここに見られるのは、周囲のあまりの無関心である。
 虐待は重大犯罪であるとの意識を徹底させない限り、他人の不幸は見てみぬふりのまあまあ主義はなくならないだろう。
 
 しかし、虐待する両親への抑止効果はあまり期待できない。
 前回指摘したように、子供の反抗は成長の証と喜ぶ親の自覚が全く無く、逆に、自分が否定されたと曲解、逆上して暴行する衝動的な行為には、心理的な抑止はほとんど効果がない。ばれないようにと、陰湿化するだけである。
 
 種を次代に伝える哺乳動物として、知性ある人間として、本来なら慈しむべき我が子を虐待する親は、大人なり親としての自覚が倒錯している。自身の自我の成長が未発達で、砂のように脆い。
 14歳の酒鬼薔薇聖斗は「透明な存在」である自己確認の手段として自分を慕った年下の友達を手にかけたが、我が子を手にかける悲劇的な親たちは、さらに透明化した存在なのであろう。
 全てがカネに換算される人間疎外が進む現代社会では、この種の犯罪は増えこそしても、なくなることはあるまい。
 
 とは言え、今危機に瀕した子供たちを放置できない。
 とりあえずは、子殺しの社会的背景にある親の不安定な社会的な地位―無職、ストレス、周囲に相談する人がいないことなどへの対策が必要である。利権政治の自民党政権時代はそうしたことが全く疎かにされてきたが、現政権の子供手当てはそれに比べれば前進と評価できる。
 
 同時に、虐待は重大犯罪であるとして周囲が監視の目を強めるしかあるまい。
 本来、家庭に周囲が干渉するのは避けるべきであるが、無防備の被害者の立場を考えれば、そんな悠長なことを言っている場合ではない。
 大阪府門真市で3月に少年A(19)が同居女性(19)の長男(2)を虐待死させた事件で、Aは「殴ると子供が愛想笑いをするようになった」と府警の調べに動機や心境を詳述したという。
 2歳の子供の必死の愛想笑いを、馬鹿にされたと曲解し、自分を否定されたと思い込んだのであろうが、なんという脆い、砂のような自我なのか。
 かの14歳の酒鬼薔薇聖斗は「透明な自分」と自己の存在を否定する周囲や社会に反抗して友達の小学生らを殺したが、同じことが繰り返し、繰り返し、繰り返し行われている。
 
 府警はAが同居女性に育児を押しつけられた不満のはけ口に長男に暴行し、長男の反応にさらに怒りを増幅させたと判断し、心理学者はAの心の未熟さを指摘している。
 しかし、それはあくまでも結果であり、根本的な原因究明と対策が必要であろう。
 
 Aは昨年7月ごろから女性と同居し、女性が飲食店で働く間に長男の面倒を見ていたが、10月ごろから暴力を振るうようになった。
 「(女性から)子供の面倒を見たり家事をしたりするのが当たり前という態度を取られて腹が立った」と供述し、身を守ろうと愛想笑いをする長男の態度に逆上したという。
 
 弱いものを脅すことで自分が強くなったと満足する倒錯意識、逆に、相手が従属しないと自分が馬鹿にされたと曲解する劣等意識などが複合的に作用したのであろう。
 人間的に未熟なのは言うまでもないが、それだけでは何も見えてこない。類似の事件が頻発していることからも、背景には現代社会の病理が潜んでいるように思える。
 
 子供が親に反抗するのは自我の目覚めであり、成長の証としてして喜ぶのが親の務めだが、それを自分に反抗したと個人的な次元で曲解し、「躾」と称して虐待する例が多い。
 親の自覚が欠けているのは言うまでもないが、問題は、その種の親になりきれない子供が子供を産み、育てていることにある。
 
 子供は衝動的な性欲の産物ではなく、次代を育てる種の保存という社会的な責務がある。
 親の自覚に欠け、自力で子供を育てられないものは親になるべきでないというのは自然の摂理でもあるが、それが壊れつつある。
 

 日本のアニメは世界に発信できる貴重な文化だが、一部の暴力・ポルノ偏重のアニメは同種の劇画、ゲームとあいまって顰蹙を買っている。
 「大和魂」と大書したHPを立ち上げていた宮城三人殺傷事件容疑者の短絡的な犯行にも、その影響が認められる。個人的な欲望と区別できない身勝手な理屈が通らないと、キレて逆上し、無差別的な暴力に走るのはその種の低俗メディアに共通した傾向である。

 事件は、脳内は子供だが、体だけ大人の性欲が発達した18歳の“少年”が起こした。
 宮城県石巻市の住宅で10日朝、長女(20)、次女の友達の市立高校3年生(18)が殺され、建設作業員の男性(20)が胸に重傷を負い、次女(18)が連れ去られた。
 県警は同日午後、解体工の少年(18)と無職少年(17)を市内で発見し、未成年者略取と監禁の疑いで現行犯逮捕し、次女を保護した。

 強盗殺人なら今の世相、珍しくもないが、主犯の解体工の少年は次女の交際相手で、生後間もない子供までいたというから尋常ではない。
 記者会見した宮城県警刑事部長によると、次女からドメスティックバイオレンスに関する相談が石巻署に昨年2月に寄せられ、事件前日までに12回の相談があったという。同署は昨年2月と今年1月に少年に警告、暴行や傷害事件として被害届を出すように次女側に強く勧め、9日夕にも110番通報を受け、翌日、被害届を出すことになっていたという。

 解体工の少年は事件直前、自分のHPに「約束を守れよ」「二人(次女、子供)を絶対に守る」と書き込んでおり、主観的には「警察などに妨害される前に、二人を守る(=奪い返す)」という思いであったのであろう。監禁容疑について「関係ない」と否認したのがそれをうかがわせる。
 共犯の無職少年も「(解体工の少年と)沙耶さんを無理やり連れ出した」と認めており、心情を共有したと見られる。
 自分本位の倒錯した理屈だが、「愛するものを守るためには、手段と方法を選ばない」という反理知的な激情は、実は、一部の暴力・ポルノ偏重のアニメ・劇画・ゲームに底通するテーマとなっている。 

 周辺の知人、友人によると、容疑者と次女は一昨年夏に友人を通じて知り合い、昨年10月には娘が生まれた。
 だが、次女は「別れを切り出すたびにダンベルで殴られたり首を絞められたり、たばこの火を押しつけられた」と話し、次女が戻った実家に容疑者が押し入って連れ去ろうとすることもあったという。 

 容疑者は、自分への奴隷的な服従が“愛”と錯覚していたようだ。そして、一部の暴力・ポルノ偏重のアニメ・劇画・ゲームの主人公がそうしているように、“愛”を貫くために妨害者を全て敵と認識し、無慈悲に抹殺を図ったわけである。
 「大和魂」も暴走族のステッカーに良く見られるように、そうした低俗文化が「大義」に掲げる一つの没論理的なキーワードである。

 社会的な背景を探らなければ、この種の事件はなくならない。
 一部の暴力・ポルノ偏重のアニメ・劇画・ゲームに対する規制は不可避である。教育の問題であり、表現の自由とは別次元の問題である。
 また、健全な思考力を養う読書文化の衰退と、思考力を劣化させる俗悪漫画の蔓延も放置できない。一例として、小林よしのり漫画のように、「傲慢かましてよかですか」と感情を爆発させるブチキレ漫画が青少年の知性を腐食したことも無視できまい。

 さらに、自民党政権下で、理性よりも情緒に傾き、生命を軽視する教育の右傾化が進んだことも検証する必要があろう。部分復活された戦前の教育勅語は、自国中心の偏狭な「愛国心」で敵を無慈悲に殲滅する軍国少年を育てた前科がある。
 南京大虐殺や強制連行、従軍慰安婦などを否定する思考方式は、「関係ない」と犯行を否認した解体工の少年の脳内世界を思わせる。

 死刑制度は復讐という人間の原始以来の感情に基づくもので、見せしめによる抑止という社会機能を担わされてきた。支配者が恐れる行為ほど公開の場で残虐な刑罰を科してきた。
 人権思想が発達した近代以降は、犯罪者の更正社会復帰という側面が加わってきたが、刑罰の主要目的が報復であり、抑止であることに変わりはない。

 ところが、昨今、それを根底から揺るがす事件が頻繁に起きている。
 茨城県土浦市で昨年3月に起きた通り魔的な9人殺傷事件もその一つで、金川真大被告(26)は「死にたいけれども、自殺は痛いから死刑になりたい」と動機を語った。
 18日に判決公判が水戸地裁で開かれ、裁判長は「誰でもいいから多くの人を殺して死刑になろうとした。その動機は身勝手極まりなく、強い非難に値する」と死刑を言い渡したが、金川被告は薄笑いを浮かべ退廷したという。

 金川被告の望み通り「死刑」が与えられたことになるが、こうした判決にどんな意味があるのだろうか。
 伝統的な意味での抑止効果はあるだろうが、限定的である。「死刑になりたい」という願望を抱く犯罪予備軍に対しては犯罪を誘発する可能性があり、逆効果である。

 この種の犯罪を防ぐには、金川被告の心の闇に迫るしかない。異常性格者と片付けるのは簡単だが、それでは何も解決しない。
 判決は「被告は約6年間、ゲームざんまいの生活を過ごし、怠惰な生活を選択した」と断じたが、こうした青年は幾らもいる。金川被告と面会したジャーナリストの篠田博之氏も「話してみるとごく普通の青年。事件を知らなければ『好青年』との印象さえ持っただろう」(毎日新聞12・19)と語っている。

 ヒントは恐らく、金川被告が人を殺す理由を「ライオンがシマウマを殺すのと同じ」「善悪は存在しない」などと述べ、反省の弁も、遺族、被害者への謝罪も一切行わなかったことにある。
 かの酒鬼薔薇聖斗も「人を殺して何が悪い」と語っていたが、それと共通した心情である。篠原氏によると、「高校生のときに、生きていても無駄だと思うようになった」と言うことだが、「透明化する自分」と犯行声明に書いた酒鬼薔薇の虚無感と通じる。

 「○○賞金王」とメディアが朝から晩まではやしたてるなど、子供たちの中に拝金主義が浸透し、人間性が疎外されている。
 こうした社会の在り方を根本的に改めないと、酒鬼薔薇予備軍の暴走は止まらないのではないか。

 これほど現代の青年の存在の危うさを象徴する事件もなかろう。
 自分のエゴ的な生存本能を満たすために他を殺傷するのはそれなりに一貫しているが、土浦無差別殺傷事件の被告は、死刑になりたいから他人を殺傷したというのだ。担当検事も困惑したに違いない。

 国家による合法的な殺人である死刑制度の最大の存続意義は、抑止力にある。
 被告はそれに真っ向から挑戦したわけである。死刑制度が犯罪を誘発したも同じであり、逆説的に言えば、死刑制度がなければ事件は起きなかった可能性がある。
  
 茨城県土浦市の無差別殺傷事件の論告求刑公判が13日、水戸地裁で開かれ、検察側は「被告は誰でもいいから多くの人を殺して死刑になりたかったと考えていた」ことが動機であるとし、「まれに見る凶悪事件を犯し、軽減すべき事情はない」と死刑を求刑した。起訴状によると、金川真大被告(26)は08年3月19日朝、同市の三浦芳一さん(72)を文化包丁で首を刺して殺害。秋葉原などへ逃走した後、指名手配中の同23日午前11時ごろ、JR荒川沖駅の通行人にサバイバルナイフや文化包丁で切りかかり、7人に重軽傷を負わせ、一人を殺害した。
 それに対して被告は事実関係を認め、被告人質問で「さっさとおれを殺せばいい。もし死刑判決でなければ、殺し続ける」と発言し、この日の最終意見陳述も拒否した。

 憎悪の塊のような行動だ。検察側論告は、被告はテレビゲームの主人公にあこがれを抱く一方、自分の才能のなさを感じていたとするが、それだけでは被告の心の闇は全く見えない。
 検察は同事件の2カ月後に起きた秋葉原の無差別殺傷事件を取り上げ、「それらを誘発した側面も否定できず、社会的な影響は計り知れない」としたが、被告の心の闇を解明し、しかるべき対策を講じない限り、類似の事件の再発を防ぐのは難しいだろう。
 現に、千葉、島根、鳥取とこれまでの犯罪常識を破る事件が頻発している。

 金川被告は、「透明な存在」と自身を定義したかの酒鬼薔薇聖斗と同じ世代である。
 現代社会の悲しい現実だが、酒鬼薔薇予備軍の心の闇はさらに深くなり、人を寄せ付けなくなっているように見える。
 極刑に処すると居丈高になるだけでは、逆効果である。


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