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核保有にこだわる限り、経済破綻は加速度的に進む。他方で、核廃棄すれば、韓国等から巨額の経済支援を受け、経済が一挙に浮上することが可能になる。
その深刻なジレンマに金正恩政権は悩んでいると読める。 北朝鮮が整合性が取れないほど両極端な対話攻勢と軍事的挑発の間で揺れているのは、そのためであろう。 極め付きが仁川アジア大会への参加問題である。 唐突に大選手団と応援団派遣のための協議を提案しておきながら、協議途中で一方的に退場し、韓国側を口を極めて詰る。 ところが、その翌日の労働新聞一面に金正恩第1書記がサッカー競技を笑いながら観覧している写真を掲載し、仁川アジア大会により大規模の選手団と応援団を派遣することを決めたと報じた。 主催国である韓国の許可なくして不可能なことであり、まずは国際ルールに則るエントリーが不可欠であるが、肝心なことは拒絶したままというチグハグさである。 労働党傘下の祖国平和統一委員会が早速、金第1書記の提案を受け入れるように求める声明を発表したが、独善的で支離滅裂な内容となっている。 このようなドタバタは、少なくとも金正日政権時代には見られなかった現象である。 金第1書記の思い付き指示に振り回されているとみられる。 北朝鮮側は統一、南北和解と名分をかざすが、全く逆効果になっている。 見え見えの本音を隠して大風呂敷を広げるからそうなる。 大選手団、応援団を派遣すればそれだけ莫大な費用が必要となるが、自国には財政的な余裕がない。負担して欲しいと言えば済むことを、面子ばかり気にして大上段に構えるからややこしくなる。 将来の日本寄港を想定した万景峰号を送り込めば一石二鳥と金第1書記は算盤を弾いたのであろうが、相手側の了解が得られて初めて可能になることが理解できない。経験不足もあるが、張成沢のような諌める者がいなくなり、放縦になっているようだ。 国内と国外の区別も出来なくなり、意見の異なる韓国側との対話が出来ない。 北朝鮮メデイア全体がその影響で論調が劣化しているのは、かつての格調ある時代を知っているものとして残念と言うしかない。 鳴り物入りで経済特区を設置し、ピョンヤンも含めた19地区に拡大するが、絵に描いた餅である。 応じる外資は全く目処が立っていない。 インフラからなにからなにまで全て外資任せで、法律なども未整備なため、中国企業ですら尻込みする。 何より問題なのは、安心して投資できる環境でないことである。 北朝鮮メデイアは連日のように「いつ戦争が起きても不思議でない」と喧伝して緊張を煽っているが、投資対象としてはリスクが高すぎて不適格と自分で認めているようなものである。 こうしたチグハグさも、現実的な裏付けもなく、ああしよう、こうしようと現地指導する金第1書記の気紛れが原因である。 核問題がネックになって、制裁が強化され、外資が入ってこないことは、北朝鮮指導部も十分に分かっている。 昨年3月に金第1書記が勢いに任せて打ち出した核・経済並進路線は早まったと内心は思っているが、引っ込みがつかなくなっているのが実情である。 金第1書記への不信感が鬱積し、内部統制が取れなくなりつつとの情報が外部に漏れ、中国のメデイアにも露骨に紹介されている有り様である。 北朝鮮指導部に微妙な亀裂が生じ、金第1書記を担ぐグループが焦りから極端な行動を取り始めているとみられる。 一連のミサイル、ロケット発射で軍事力を誇示しながら、国防委員会が声明、談話を立て続けに発表し、核を不問にし、既成事実化する対話を呑ませようと画策しているのはその現れである。 それが受け入れられないとみると、「核戦争勃発の危機が極度に高まっている。白頭山革命強軍の革命戦争方式と報復対応が実行されるだろう」と核恫喝まで口にする。 金第1書記は核さえ保有していれば韓国を服従させられると思い込んでいたが、それが大変な誤算であることにようやく気付き始めている。 来月から始まる韓米合同演習「乙支フリーダム・ガーデイアン」に核搭載空母のジョージ・ワシントンが加わることに北朝鮮メデイアは異常に神経質になっている。 強気な言葉の裏に恐怖感すらにじますが、無理もない。 韓国国防部は24日、同演習を「状況に応じた抑止戦略の初の公式適用」と位置付けている。 2月からのキーリゾルブなどは「概念の紹介」としており、今回は実戦を想定しているというわけである。 昨年10月に韓米国防長官が交わした新抑止戦略で、北朝鮮の核を脅威・使用間近・使用の3段階に分け、どこかの時点で北朝鮮に核先制攻撃を加えて制圧すると決めている。 韓民求国防長官は「北朝鮮の挑発には指揮系統にも報復する。北の体制は無事では済まない」と明言している。 北朝鮮はこれに激しく反発し、「核抑制力強化で対抗」と強がるが、彼我の圧倒的な核戦力の差を考えれば虚しい。 金正日政権時代には米韓を牽制した中国は、ほとんど沈黙している。 逆に、北朝鮮側が中国に苛立って批判している有り様である。 こうした事態は全て無謀な並進路線が招いたものであり、いわば自業自得である。 並進路線の破綻は明白であり、北朝鮮内部でも修正を求める声なき声が広まっている。 北朝鮮メデイアの強気な論調は、実は北朝鮮内部に向けたもの、と理解すれば腑に落ちよう。 金第1書記は強気に見えて、実は気が弱い。 核保有を悔やみ、出口を模索している可能性も視野に入れた方が良かろう。 |
金正恩政権の深層分析
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21日のNLL南側韓国艦近くへの北朝鮮軍による砲撃は韓中離間を狙ったものと前回指摘したが、間違いあるまい。
西南前線司令部など北朝鮮側は頑強に否定するが、韓国側が「平和的な中国漁船を狙って砲撃してきた」と決まり文句のように強調している。故意に紛争を起こし、中国を巻き込んで味方にしようとのピョンヤンの意図が読める。 3日後のリ・スヨン新外相の突然の訪中、朝日協議の開催地を北京を避けて遠いストックホルムに移した事、朴槿恵大統領への度を越した個人攻撃等は、金正恩政権が中国の韓国接近に神経質になっている事を物語る。 二言するまでもなく、習近平主席の訪韓を警戒しているのである。 先遣隊としてソウル入りした王毅外相が韓国側との協議で、来月末の習国賓訪韓で基本的に合意したとみられる。 血盟関係、唇歯の関係と互に認めあってきた伝統的な朝中関係を考えれば、ありえないことである。金日成、金正日が聞いたら激怒するであろう。 唯一最大の同盟国をむざむざ失った金正恩外交の完全なる敗北である。 金正恩政権発足後、北朝鮮外交は機能麻痺に陥っていると言っても過言ではない。 トップの金第1国防委員長が遊興半分の元バスケットボール選手とは繰り返し合っても、訪朝したモンゴル大統領やロシア副首相とは会おうともしない。 経験や知見に欠け、外国首脳と話し合う外交能力がないと言われても返す言葉があるまい。 北朝鮮の外交的孤立は回復不能なレベルに近付いている。 朝日交渉に活路を見いだそうとしているが、感情的にもつれた拉致問題の関門を抜けるのは簡単ではあるまい。 金正恩第1国防委員長同様に外交的な孤立を深めている安倍首相が、小泉元首相を真似て電撃訪朝する可能性も一部で囁かれている。安倍首相には人気取りのパフォーマンスになるかもしれないが、北朝鮮にはさしたる実利がない。あっても人的往来解除などにとどまり、経済協力は難しい。 日本には核・ミサイル問題で進展がない限り動けない縛りが、米韓から掛けられているからである。 核問題が金政権の重石として付きまとうが、習訪韓でもそれが主題となる。 王外相はソウルで「不可逆的な北朝鮮の非核化」を強調し、韓国側も6ヵ国協議再開に前向きな姿勢を示した。 韓中が北朝鮮非核化に向けて一段と協力関係を強め、金正恩政権に圧力を加えるということである。 金正恩政権には、進んで核放棄する最後のチャンスとなるかもしれない。 核開発は国際社会の制裁強化しかもたらさず、北朝鮮経済発展を阻害する要因となっている。 私が前から述べているように、核放棄で中国との同盟関係を再構築し、当面、中国の核の傘に復帰すれば米韓とバランスが取れる。 金政権に時間はそれほど残されていない。 チャイニーズ・マカオが、金正恩の異母兄弟の金正男が亡命政権を立ち上げる意向があることを伝えた。検閲の厳しい中国でこの種の記事が放置されているのは、政治的な意図が込められている。 張成沢粛清の最大の政治的意味は不可侵であった金ファミリーの権威を傷付け、真っ二つに割った事にあると指摘したが、兄弟骨肉の争いに発展する様相を帯びてきた。 ピョンヤンで13日に起きた23階マンション崩落は400人以上の被害を出し、韓国の旅客船沈没事故に劣らぬ衝撃を北朝鮮社会に及ぼしている。金正恩第1国防委員長が工期短縮を督励する「馬息嶺速度」「朝鮮速度」が手抜き工事を招いたと不満が拡散している。 中国が金正男を持ち上げ、依然として金ファミリーの核心であるキム・ギョンヒ書記まで加勢するようだと、金正恩政権を支える古参幹部たちにも動揺が広がろう。 |
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北朝鮮オリンピック委員会が今日、韓国オリンピック委員会に9月に仁川で開催されるアジア大会に選手団を送ると通知した。
金正恩政権が韓国とのスポーツ交流に力を入れようとすることは歓迎すべきことであるが、韓国側から邪心を疑われず、心から歓迎されるように、政策の整合性、一貫性に神経を使うべきであろう。 韓国側を揺さぶるようなパルチザン式外交が通じる時代ではない。 北朝鮮国防委員会や祖国平和統一委員会、並びに労働新聞などメデイアの朴槿恵政権批判は、「傀儡」「逆徒」「徒党」と、初歩的な外交儀礼も弁えず、常軌を逸したものがある。 とりわけ国際社会の眉をひそめさせるのが、北朝鮮西南前線司令部が21日の公開報道で「NLL水域の南艦艇は我軍打撃手段の直接的な照準打撃対象」と挑発したことである。 その翌日、韓国軍合同参謀本部が、同日午後6時頃、NLL南側水域の韓国警備艇2隻から150メートル離れた水域に水柱が上がり、北朝鮮海岸砲による砲撃と判断し、北朝鮮水域に向かって5発の対応射撃をしたと発表した。戦闘機を上空に待機させていたというから、偶発戦争に発展する危険性もあった。 集団的自衛権問題で過敏になっている日本のメデイアも大きく報じたが、問題の北朝鮮西南前線司令部は「事実無根」と否定し、逆に、「正常警備の自軍警備艇と平和的に操業している中国漁船に向かって南側が砲撃してきた」と非難した。「南に宣戦布告した。先制的な軍事行動で制圧する」とも付け加えた。 事実関係はレーダーや無線記録で明らかになることであるが、北朝鮮側の一連の挑発的な言動を見れば、国際社会は北朝鮮に非があると判断するであろう。 「北朝鮮が沈没船事故など朴槿恵政権の失政を揺さぶってきた」と武貞氏が某テレビでコメントしていたが、北朝鮮は韓国の反北朝鮮感情を甘く見すぎている。 揺さぶるところか、逆にいわゆる北風となって韓国民を団結させ、6・4統一地方選挙で与党への追い風となるだろう。 奇異をてらう金正恩第1秘書は他の狙いを秘めているようだ。西南戦線司令部の公開報道に「中国漁船」云々とあるが、中国船を巻き込んで韓中関係を離間させようとの思惑が読める。 中国の王毅外相が訪韓し、習近平主席の6月訪韓の下均しをしているが、それが実現すれば緊迫する東アジア情勢に大きなインパクトを与え、北朝鮮の国際的な孤立は決定的となる。 北朝鮮がそれを阻止しようと考えても何ら不思議ではないが、今回の砲撃事件がその為としたら余りに姑息である。 伝統的な同盟国であった北朝鮮と中国のあいだに深刻な亀裂が走ったのは、昨年2月の第3回核実験と翌月の労働党政治局拡大会議で採択された並進路線で核保有を決め、韓米との対立を決定的にしたことにある。 逆に言えば、並進路線を廃棄しない限り朝中修復は不可能であり、金正恩政権の国際的な孤立が深まる。 それは、GNPで50倍以上の差をつけられた韓国に外交でも後塵を拝することを意味する。 金正恩第1書記は核兵器の威力で劣勢を一気に挽回と考えているようだが、自分の首を絞めるだけである。 |
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北朝鮮中央通信が27日、極めて異例な三つの最高幹部人事を同時に報じた。
私が既に予測したことであるが、張成沢・国防委副委員長粛清の余震が収まらない中、いよいよ第2の激震が引き起こされつつあるように読める。 その一つが、労働党中央軍事委員会と国防委員会の連名でファン・ビョンソ(黄炳瑞)党組織指導部副部長が人民軍次帥(大将と元帥の中間位)に任命されたことである。 次帥は粛清された張成沢にとって代わる新実力者に伸し上がった崔龍海・総政治局長と並ぶ地位であり、ファンの急台頭の意味が注目される。 他の二つは、党中央軍事委員会拡大会議で人事問題が討議されたと報じ、金正恩第1書記が軍部隊を視察したことを報じる別の記事で、同行した黄炳瑞、李永吉総参謀長、張正男人民武力部長を党中央軍事委員と明らかにした。 李総参謀長、張人民武力部長の階級は大将であり、次帥に任命された黄炳瑞が二人の上位にあることを間接的に示したと言える。 万事が秘密主義の北朝鮮ではよくあることだが、時期が時期だけに、特別な政治的な意味を込めたと観るべきである。 黄炳瑞と対照的に、崔総政治局長の影が薄くなっている。 今年初め頃から公式の場に出る機会が激減し、失脚かとの情報が流れた。再び姿を現すが、片足を引きずる様子が映し出され、表情にも精彩が欠けていた。張成沢粛清の前面に立った当事の勢いが失われたことは否定できない。 最近再び動静が途絶え、重要行事とされる24日の人民軍創建82周年中央報告会にも欠席している。軍総政治局長としての職務を十分に遂行していないことはもはや隠せない。 病気との情報も流れているが、そうした情報が飛び交うこと自体が崔龍海の立場の弱体化を物語る。 まだ完全には一人立ちできない金第1書記を後見する実力者の地位を、黄炳瑞にとって代わられつつある可能性が高い。 それと関連して見逃せないのは、張成沢の妻であったキム・ギョンヒ(金敬姫)書記の動向が依然として不明なことである。 最高人民会議代議員リストから外れ、党書記の地位も失ったとの見方が出ている。重病との説もあるが、確認されていない。 明らかなことは、ムン・ギョンドク(文景徳)書記をはじめ張成沢、金敬姫系列の粛清が続き、党政軍の動揺が全く収まっていないことである。 張成沢粛清の最大の後遺症は、神聖不可侵とされた「白頭の血統」=金日成ファミリーが真っ二つに割れ、その権威に依存している金第1書記の正統性にも傷がついたことにある。 実は、金正日時代の2004年3月にも張成沢は粛清されかかった。党組織指導部第1副部長職を解かれ、党学校に送られて批判されたのである。 私は「懐刀を切って賭けに出た金正日の成算」(雑誌正論2004年7月号)でそれを取り上げ、「張成沢は復活する」と予測し、その通りになった。 その最大の根拠は、権威の問題、すなわち、金正日国防委員長は最も信頼する実妹金敬姫の夫を粛清し、金ファミリーを割ることはないとしたのである。 その不文律を乱暴に破ったのが張成沢の拷問、処刑である。 04年に張成沢と共に失脚したのが崔龍海であったが、復権を助けてくれた義理のある張に牙を向けたことが他の幹部たちを驚かせ、不信感を抱かせた。 今、「白頭の血統」は大きく傷付き、金正恩政権は根底から揺らいでいる。 金第1書記は頻繁に軍各部隊を視察し、自己への忠誠を求めているが、逆に言えば、そこまでしなければ軍を繋ぎ止めることが出来ないことを物語っている。 韓国や米国の国家元首を口汚く罵り、宣戦布告、核全面戦争といった過激なレトリックで挑発するのも、外部の敵に目を向けさせ、内部を統制する狙いがある。 私は張成沢粛清直後から、本コラムや講演会などで、金第1書記と崔龍海の矛盾が遠からず表面化する。次は崔の番であり、鍵を握るのは金敬姫と予測した。 それが可視化しつつある。 張成沢粛清が引き起こした深刻な内部対立を少しでも解消するには、崔に詰め腹を切らせなければならないが、それが始まっているのであろう。 黄炳瑞の背後には、崔龍海総政治局長が過度の権力を掌握することを嫌う長老たちがいるとみられる。 北京を激怒させた崔龍海では中国との関係修復が難しいと判断していることも、排除のベクトルとして作用している。 |
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北朝鮮の第13期1次最高人民会議が9日に開催され、国家主要機関の人事を発表、世代交代との大方の予想に反して大多数の幹部が再任された。
日韓メデイアは多くが「安定」重視と伝えるが、「不安定の中の安定」、つまり、相対的安定がより正鵠を射ていよう。 金正恩第1書記が国防委員会第1委員長に「推戴」され、「金第1委員長の提議により、副委員長、委員が選挙」され、崔龍海軍総政治局長が副委員長に選出された。 前年12月に粛清された張成沢の後釜に崔龍海が収まったのは、権力闘争の結果として予想された事である。 同様の意味で、張正男人民武力部長が委員に選出されたのも何ら不思議ではない。 私が何よりも注目したのは、金正恩の実の叔母である金ギョンヒ書記の処遇である。 前日に労働党政治局会議が開催されたが、最も苦心したのはその点であろう。 結果的に、金ギョンヒ書記が党軽工業部長として長年目をかけてきた内閣軽工業省が廃止された。代議員名簿からも直系の朴ケリョン党軽工業部長が抜けており、張成沢系列粛清の余波は妻の金ギョンヒにも及んでいるとみられる。 それは北朝鮮の政治文化では一大事件である。 金日成、金正日二代にわたって神聖不可侵の「白頭の血統」とされた金ファミリーが真っ二つに割れ、金正恩の後継者としての正統性に疑問を持たれかねないからである。 北朝鮮の古参の党政軍幹部たちは、金正恩につくか、金ギョンヒにつくか揺れていることであろう。カリスマ性や実績からすれば金日成生前時から慣れ親しんできた金ギョンヒであるが、当面、実権は金正恩が握っており、慎重に瀬踏みするしかない。 こうした中、金第1書記、崔龍海局長らは団結を優先させ、部分的な人事にとどめるしかなかったと読める。 それは相対的な安定であり、失政が重なれば一挙に不安定化する危うさを秘めている。 それだけに金第1書記としては安閑としていられないが、とりわけ、破綻の度を加える経済再建は待ったなしである。 財政相の財政報告で今回も予算総額が伏された。ライバルの韓国とGDP比で40〜50分の1に引き離された実情を隠すのが狙いである。 しかし、半世紀も停滞してきた経済は「隆盛強国の一大繁栄期を開く」といくら喧伝しても、外貨枯渇で必要な石油、食糧なども確保できない窮状に直面している。 核放棄・改革開放の対話路線か、核・経済建設の並進路線固守か、二者択一の時が否応なく迫っているが、「新型の核実験」を匂わせたりと後者に急傾斜している。 自身が提唱した並進路線の看板を降ろすことは権威を傷付け、権力基盤を不安定化する危険性があり、当面は強硬路線で突っぱねるしかないと判断しているのであろう。 内部が不安定な政権は外に対して攻撃的になりがちである。 経験不足の金第1書記には自己の権勢を誇示するために軍事を弄ぶ冒険主義的な傾向があり、クリミア情勢などを我田引水に解釈し、一か八かの挑発に出る可能性もある。 新国防委員に軍需経済担当の第2経済委員会委員長とみられるチョ・チュンリョンを任命したのも、対米対韓との有事を想定した人事とも解釈できる。 しばらくは、内外ともに虚々実々の駆け引きが続きそうである。 |


