河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

日本人拉致問題

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 金正日国防委員長は2日の日本紙の首相動静蘭に目を凝らしたことであろう。
 そこには「午後3時57分衆院の衛藤副議長」とある。野田首相が衛藤副議長に会ったのはわずか数分のことだが、会った事が確認されたことに意味がある。

 衛藤征士郎衆院副議長は2日夜、都内で記者団に、自らが会長を務める超党派の「日朝国交正常化推進議員連盟」が北朝鮮訪問を計画していることを明らかにした。訪朝には民主、自民、社民党の議員約10人が参加する。
 今月15日にピョンヤンで開かれるサッカーワールドカップ予選日本‐北朝鮮前観戦が名目だが、北朝鮮政府の正式の招待があれば8日に出発する予定という。

 衛藤副議長は「日朝ピョンヤン宣言にのっとった形で日朝国交正常化を一歩でも二歩でも動かしたい。二重外交はしない」と訪朝の目的を述べ、「野田首相にも伝えた」と明らかにした。
 「野田首相に伝えた」が注目である。

 衆院副議長とは言え、野党である。北朝鮮は「交渉する以上は日本政府の責任ある人物」の立場であり、野田首相の意向を確認できなければ会ってもセレモニー以上の意味がないと考えている。
 首相動静で衛藤氏と首相との接点が確認されたことになり、いずれ肯定的な返事が届くと読める。

 08年の福田政権下で日朝間で約束された拉致被害者再調査を進める上では衛藤氏は適任者と言える。
 福田政権時代に福田首相の側近として北朝鮮との間で拉致被害者再調査合意で一役買っており、それを進めるために一定の役割を果たすことが期待出来よう。

 民主党は議員外交の活発化を党議しており、国内環境は良くなった。
 国際的にも南北対話、朝米対話が進展しており、日本だけが取り残されるのはいわゆる国益にも反する。

 私は08年1月、日朝交渉再開前に間接的に衛藤氏に「横田めぐみさんら8人の生存にこだわらず、生死を白紙にして厳正な調査をすれば交渉は進展する」と伝えた。
 それさえ守られれば、拉致被害者の生死の真相解明と日朝交渉の進展は大いに期待できる。

 それともう一つ、拉致問題を口実に日朝友好を阻もうとしてきた西岡力一派の「救う会」の妨害行動に注意することである。
 予期したとおり、西岡一派の「救う会」は2日、衛藤訪朝に反対する緊急声明を全国協議会のホームページに掲載した。何も知らない家族会をだしに使っている構図は相変わらずである。一部マスコミは「救う会」を家族会の「支援組織」と枕詞のように紹介しているが、安明進捏造情報垂れ流以来の馴れ合い、一種の情報操作である。

 北朝鮮は「5人生存8人死亡」と罪を認め解決に踏み出したが、8人は生きているとバカな因縁を付け、事態を日朝対立へとこじらせたのが西岡力一派。韓国ではサギクン=詐欺師と呼ばれている。
 「死んだと誤魔化された横田夫妻」との安っぽい同情ストーリーを作り上げたのも西岡一派。北朝鮮はめぐさんら8人の死亡診断書や遺骨も渡した。日本の感覚からは不備が目に付くが、そのずさんさが北朝鮮なのである。

 北朝鮮に行ったことも見たこともない西岡一派が又聞きと邪推で作り上げた妄想に縛られるのは、愚かなことである。
 衛藤訪朝は、直接北朝鮮を観察し、具体的に交渉を進める外交の正道に戻る良い機会だ。

 野田首相が「横田めぐみさん」生存情報をガセと切り捨てたと週刊新潮が報じた。オフレコ発言だから本音だろう。
 西岡力一派は「新証言」と売り込むが、安明進の二番煎じ。信じる方がおかしい。一国の総理のおつむがその程度だとしたらこの国はいよいよお終いだが、幸い、野田さんは普通であった。としたら、胸のバッジには他の決意が・・・

 オフレコ発言は13日の夕、官邸での各社政治部キャップとの食事会で、記者の質問に答えた。「ガセと思う」と、問題外といった口調。
 記者は違う答えを期待したようで、あっけにとられていたという。オフレコ発言を週刊誌に持ち込んだルール破りに個人的な反発がそのまま出ている。どこの新聞かは容易に想像できよう。

 週刊誌は例のごとく横田滋しを引き合いに出して、「冷たい」「冷酷」と野田発言をチクリと刺しているが、事は「冷たい」「温かい」といった感情論の類の話ではない。
 対北外交の基本となる事実認識に関ることであり、野田首相の冷静は判断は評価されてよい。

 相変わらず能天気なことを言っているのが、「救う会」会長の西岡力さんである。
 お友達の産経新聞正論で「野田首相は10月8日、拉致被害者家族会と面会した。就任直後の9月11日にも、在京の家族会役員と面会しており、月に2回、拉致家族と会った。家族会・救う会は座り込み決議で回答を求め、家族会全員と野田首相が会うという連絡が来た」と恐喝めいた手柄話を披瀝し、「野田首相は連日、ブルーリボンバッチを付け、メッセージ発信に努めている」と自画自賛している。
 安倍さんを持ち上げ、首相になると「外相に」と売り込んだ根性はそのままのようだ。

 「玄葉外相が訪韓した際、外相以下、訪韓した外交官がバッチを付けていたのを見て、韓国マスコミが日本の自国民保護の意気込みに感嘆する、という記事を書いた」は井の中の蛙と言うべきか、哀れなデマゴーグと言うべきか。
 韓国では「野田も玄葉もいまだに安倍モードか」と嗤われている。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111019/plc11101903000001-n1.htm

 西岡さん、「拉致問題は主権の侵害であるとともに重大な人権侵害だ」と主権侵害を前面に出して日朝対立をしきりに煽るが、本末転倒である。
 北朝鮮に行った事も見た事もないのに知ったかぶりをする西岡さん、事実認識に相当なズレがある。
 「北朝鮮は平成20年8月、拉致被害者に関する調査やり直しを約束した。ところが、同年9月、当時の福田康夫首相の辞任表明を口実に、その約束を反故にした」と拳を振り上げるが、これは嘘である。
 その橋渡しに多少関った立場から言えば、日本側は北が再調査を約束し、調査委を立ち上げる時点で制裁の一部解除を約束しながら、実行しようとせず、調査委の構成にも干渉してきた。そのうち政権が倒れ、うやむやになった。つまり、日本側の事情で約束が反故になったのが真相である。
 
 あくまでも日朝友好破壊に目的を置く西岡さんの嘘は故意的である。
 西岡さん、「北の死亡診断書はでたらめ。だからめぐみさんらは生きている」と吹聴したが、思い違いも甚だしい。私は「北には日本的な死亡診断書の習慣はない、紙一枚同然」と『金正日の後継者は在日』(04年講談社)で書いた。
 西岡さん、日本の死亡診断書を想像しながらあら捜ししたわけだが、実は、『証言北ビジネス裏外交』(08年講談社)で日朝ピョンヤン宣言破壊を目論んだ西岡一派の謀略を明らかにしたように、彼の嘘は札付き、確信犯である。

 そもそも北が日本人拉致をした目的について西岡力一派は「日本人が憎くて、無差別に狙った」と馬鹿なことをテレビ、新聞で語っていた。荒木和博さんの「数百人の特定失踪者」云々もその種の妄想の産物である。
 それについて私は「韓国で革命を起こすために日本人を利用した」(04年10月11日テレビ東京特集番組「ザ・真相」)で彼らの嘘を指摘したことがあるが、日本社会の感情論に流されてしまった。

 
 元タレントの三原じゅん子・自民党参院議員が28日の参院拉致問題特別委員会で山岡拉致問題担当相に「私は大臣よりはるかに詳しく拉致について分かっているつもり。あなただけはどうしてもダメだ!」と超党派の拉致救出議連事務局長の松原氏の大臣就任を熱望したそうだ(笑い
 西岡一派のデタラメに洗脳された議員が国会で大臣を恫喝する異常事態に早く終止符を打つ必要があろう。

 西岡力、荒木和博グループは「北朝鮮に日本人拉致被害者が数百人いる」と吹聴しているが、大嘘であることが北内部のデーターから明らかになった。
 北朝鮮に行ったことも見たこともない西岡グループの嘘が家族会を惑わせ、拉致問題を迷走させてきたが、客観的な検証の段階に来たと言えよう。

 韓国の保守誌「週刊朝鮮」は最新号で、北朝鮮の国家安全保衛部が極秘に作成したピョンヤン市民210万8032人(17歳以上)の生年月日、住所、職業、血液型、出身地、結婚相手など18項目にわたる個人情報が細かく記載されている電子データを「朝中国境で対北朝鮮情報筋から入手した」とし、内容を報じた。データーベースの98%は身分証発給日が04年9月9日で、最新は10年。
 日本の立場から注目されるのは、日本出身者6500人、日本国籍保持者86人が記録されていることである。ほとんどは1959年からの在日朝鮮人帰国事業で帰った元在日とその子孫であるが、1963年に石川県沖で出漁中に行方不明となった寺越武志(63)の名も確認された。
 
 日本人拉致被害者は確認されていない。
 データー的にはピョンヤンには西岡グループが主張してきた「数百人の日本人拉致被害者」がいないということになる。西岡グループは「地方の政治犯収容所に監禁されている」と反論するであろうが、無論、根拠があるわけではなく、単なる憶測に過ぎない。

 データー上は、北朝鮮に生存する日本人拉致被害者は北朝鮮当局が日本側に正式に通告したとおりにゼロと考えた方が合理的である。週刊朝鮮側は日本人の拉致被害者がいるかどうか分析を進めるとしているが、情報提供筋の韓国国家情報院はすでに分析済みである。
 データー漏れが数人地方に居る可能性は否定できないが、現時点では確認する術はない。

 西岡力「救う会」会長らが安倍晋三官房副長官をたぶらかして「5人帰国の約束はなかった」と嘘をつかせ、拉致問題をこじらせたことは『証言 北ビジネス裏外交』(08年講談社)で明確に指摘しておいた。
 内憂外患山積する日本は感情論に煽られた無駄な対北朝鮮外交にいつまでも国力を浪費している場合ではない。事実に基づいて交渉に臨む理性的な立場を取り戻すべきである。
 そのためには、安明進・元北朝鮮工作員、実は韓国情報部員の捏造情報に踊らされ、家族会を世論操作に悪用し、拉致問題解決に障害を作ってきた西岡力、荒木和博グループの嘘を徹底検証することが不可欠である。

 安明進・元北朝鮮工作員の「横田めぐみさん生存」捏造情報を垂れ流した産経新聞が反省もなく、また同じ誤りを繰り返している。
 これは一種の確信犯的な誤報、情報操作である。

 同紙10日付社会面は左トップに「横田めぐみさん、04年末に生存」と伝えた。
 韓国の保守野党、自由先進党の朴宣映国会議員が9日、脱北者の男性が「めぐみさんが工作員教育を受ける過程で多くの秘密を知ってしまい、戻したくても帰国させることができなくなった」と証言しているという。男性は07年に脱北する前に、父親が拉致に関与していたという労働党の日本担当者から「生きている」との情報を入手。北朝鮮が04年11月に日本政府に提出した「遺骨」についても「偽物だ」とした。また、03年までは耀徳の政治犯収容所で50代後半の日本人拉致被害者の女性が所内の療養所の料理人をしながら暮らしていたと証言したという。

 どれも裏づけが取れず、又聞きと推測の類。安は同様の手口で連日テレビ、新聞をにぎわし、日本世論を欺き、巨額の報酬を手にした。麻薬密輸・使用で有罪となってから、すべて金欲しさの捏造だったと明かしたが、日本では捏造情報がいまだに独り歩きして世論を欺き、外交まで縛っている。
 そうした誤報への検証、反省もなく、第二の安が出回っているのだから、世も末である。

 その種の捏造を率先して垂れ流したのが産経であった。
 奇しくも10日付同紙は、7月7日付号外で「江沢民死去」と報じたことに「誤報」と謝罪した。
 安の捏造報道はそれに勝るとも劣らない誤報であるが、一言の謝罪もない。「江沢民死去」誤報について「情報を有力な日中関係筋などから得た」と弁明しているが、裏も取らず垂れ流す体質は今後とも改まりそうもない。

 あまつさえ、誤報で作り上げた「拉致問題」で因縁を付けて朝鮮高校の無償化差別キャンペーンの先頭に立っている。
 このような新聞が不偏不党の公器と称し、再販制度などの社会的特権を享受する正当な理由があるのだろうか。マスコミ特権の再検証が避けられない。

 野田首相は8日、官邸で拉致被害者家族会の15人と面会し、「私が(北朝鮮に)行くことで拉致を含めた諸懸案が解決するならいつでも行く。制裁しないとは一言も言っていない。あらゆる方策を検討したい」と、家族会が訪朝や制裁を要望したことに答えたという。
 日朝対話がなければ何も解決せず、野田首相の訪朝もその意味では大きな前進となろうが、それが成果を得るためには最低限心しなければならない条件がある。

 家族会は横田めぐみさんら8人全員生存・奪還を絶対条件にしているが、これは感情論で何の根拠もない。
 それを十字架のように担いで行くような訪朝では最初から失敗するのは目に見えている。

 家族会は「北朝鮮は拉致被害者の再調査を約束しておきながら、一方的に先送りしたまま、3年たった」と非難するが、それもかなり誤解している。
 それに多少関わった立場から言えば、北は再調査に積極的であったが、「生きていると言わないと受け付けない」と日本側が頑なに反発したから流れたのである。

 今回もそれを蒸し返すようであれば、訪朝は難しい。
 行くなら理性的に、生存、死亡すべての選択肢を入れた白紙の状態で行くべきである。

 そもそも8人生存説は、安明進・元北朝鮮工作員による「横田めぐみさんに似た日本人女性を後ろから見た」との証言がエスカレートし、「絶対生きている」「みんな生きている」と報酬欲しさの捏造証言に発展して創られた虚構に過ぎない。
 以上のことは、麻薬密売・使用で有罪判決を受けた安が認めたことである。

 生存説の客観的な根拠は皆無と言える。
 「横田めぐみさんらは重要情報を握っているので北は隠している」ともっともらしい噂が流布されているが、それもためにする妄想でしかない。
 その種の捏造情報をマスコミが垂れ流し、国民を欺いたことへの検証も反省もなく、その惰性上で拉致問題解決を叫んでも得られるものはないだろう。
 
 金正日国防委員長が小泉首相との正式な会談で「5人生存、8人死亡」と通告し、小泉首相が受け入れて日朝ピョンヤン宣言が結ばれた以上、それが覆ることは国際外交常識的にはありえない。
 戦争を望む人たちはそれが分からないのか、知っていながら故意にしらばくれているのか、いずれかであろうが、そうした策謀に騙され続けることは日朝国民にとって不幸なことである。


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河信基
河信基
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