河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

日本人拉致問題

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 菅首相の意向を受けて中井洽元拉致問題担当相が宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と今春から数回にわたり第三国で極秘交渉を行い、先月21、22の両日、中国・長春で極秘に接触したことが明らかになった。
 一部メデイアが報じたが、私が別個に確認したところでも極秘接触は間違いない。
 菅首相が密かに目論む電撃訪朝の可能性が無くなった訳ではないが、米側との調整など越えねばならないハードルがある。

 北朝鮮側は対米関係同様に日朝関係も、余計な政治判断を交えず、実務的に処理したいと考えている。
 その意味で、『証言 北ビジネス裏外交』でも紹介した宋日昊大使は対日問題の実務第一人者であり、相手としては適任である。日本の一部に「宋日昊大使には政治的な実権がない」との声があるが、知ったかぶりは怪我の元である。
 
 興味深いのは、中井氏が北側に、昨年7月の金賢姫(キム・ヒョニ)訪日について謝罪したことである。衆知のように、当時の中井拉致担当相=鳩山前首相ラインは「横田めぐみらが生きているとの重要証言を得る」として、高額の報奨金とともに専用機による「特別上陸許可」というVIP扱いで訪日させ、鳩山首相の別荘にまで招待した。
 これについて私は、「韓国では大韓航空機KAL 858乗客・乗員115人を殺した凶悪なテロリスト」を準国賓待遇で招請するなど「テロリストと取引する常軌を逸した行為」と批判した。また、金賢姫は日本人拉致被害者の生死に関する情報を知りうる立場になく、北朝鮮を無用に刺激するだけであるとも指摘した。
 中井氏はようやくそれを悟ったようである。
 http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/41702756.html

 中井氏がそうした愚かな行動に走ったのは、事情に疎く、西岡力「救う会」会長、荒木和博「特定失踪者問題調査会」代表らの偽言に乗せられたからであった。
 そもそも西岡、荒木氏らは安明進・元北朝鮮工作員の捏造情報を日本のマスコミに撒き散らした張本人であり、拉致問題で世論を誤導し、必要以上に事態をこじらせ、解決を遅らせてきた元凶でもある。
 再三指摘しているように、安は韓国情報要員であり、日朝関係正常化を阻害する韓国情報機関の情報操作に踊らされたことになる。
 菅首相の意図を受けて、中井氏がそうした不純分子を排し、実務的に日朝関係に当たる意味を込めて謝罪したのなら、日朝交渉は今後、実質的な進展が期待できよう。

 なお、不純分子に今なお操られている自民党の古屋圭司議員は8日の衆院予算委員会で、いわゆる「菅首相の資金管理団体が、日本人拉致事件の容疑者の長男が所属する政治団体から派生した政治団体『政権交代をめざす市民の会』に巨額の政治献金をしていた問題」で、菅首相と市民の党の関係を追及し、「この問題のキーマンである」として、「市民の党」の酒井剛代表の証人喚問を求めたが、お門違いも甚だしい。
 拉致事件の容疑者の長男は常識的に拉致問題と何の関係もないこと、それを問題視することが個人の独立・平等を定めた近代法の大原則を無視する重大な人権侵害であることを知らねばならない。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110809/stt11080901340000-n1.htm
 
 懲りない不純分子グループは、高校無償化でも何の関係もない朝鮮高校を適用対象外にしようと暗躍し、日本社会に人種差別、排外主義の風潮を醸しだそうと必死である。
 日朝友好はそうした毒草の除去とあわせて進めていくことが求められる。 

 国会であろうと、否、国会であるだけに、無垢の市民をみだりに犯罪人扱いする反人権行為がなされてはならない。ファッショ国家となる。
 民主主義国では当たり前の規範をキンキン声で公然と踏みにじったのが、自民党の山谷えり子参院議員だ。
 
 21日の参院予算委員会で山谷議員は菅首相の資金管理団体「草志会」が拉致事件容疑者の長男が所属する政治団体に献金していた問題を追求し、「拉致を起こした犯人と関係する団体」と声を張り上げて非難していたが、事実認識が独善的でかなり歪んでいる。

 日本の警察は「容疑者」としているが、犯人と決まったわけではない。ましてや、長男は拉致云々とは無関係である。長男が加わっていることを挙げて「拉致事件と関連」云々は、独断を越え、重大な名誉毀損である。
 菅首相は「そうしたことがあるのであれば、政治的な付き合いは控えたい」と語るにとどめたが、国会という公の場で無垢の市民が犯人扱いされるようなことはあってはならない。
 拉致と言う冠を付ければどんな暴言も許されるかのように思い上がった一部の風潮は根絶すべきである。

 山谷議員は拉致議連副会長であるが、過去にもその種の異常な言動を繰り返してきた。国会の委員会の場で、事実を歪曲して個人攻撃を行い、政治的な目的に利用しようとしたことは明らかである。
 こうしたマッカーシー旋風のようなことが常態化すると、国会は市民を政治的に弾劾、弾圧するファッショの場となる。
 国会の自浄作用を担う懲罰委員会で山谷議員に対して釈明を求める必要があるのではないか。

 

 産経が封建時代の連座制を彷彿させる個人攻撃を菅首相に加えている。
 個人責任を原則とする近代法の原則を逸脱したもので、同紙の人権感覚が根本的に問われていると言えよう。
 無罪がほぼ確定的な小沢氏への個人攻撃も水沢建設会長のいい加減な「証言」を産経が取り上げ、元同紙記者らの「市民団体」が検察に告発したことから始まったが、同類の無責任キャンペーン記事を繰り返す同紙の姿勢に疑問を呈する声は少なくない。

 同紙によると、「菅首相の資金管理団体が、日本人拉致事件容疑者の長男(28)が所属する政治団体『市民の党』(酒井剛代表)から派生した政治団体に計6250万円の政治献金をした問題をめぐり、菅首相が約30年前から、市民の党の“機関紙”に寄稿したりインタビューに応じたりしていたことが17日、産経新聞の調べで分かった」という。
 長男の父親はよど号ハイジャック犯の故田宮高麿元リーダーという。
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110717/crm11071722180012-n1.htm

 一見してもっともらしい理屈をあげつらっているが、注意して読めば、この記事が何の罪もない市井の個人をあたかも犯罪人かのように描いていることに気付こう。
 刑事訴訟法上、被告人は判決確定まで無罪の推定を受ける。捜査段階の容疑者は犯人ではないし、ましてや容疑者の親類・知人は無関係である。同記事は、市民社会の常識を乱暴に破り、封建時代の魔女狩さながらの風評を公然と流している。
 報道の自由を悪用した人権侵害であると指摘せざるをえない。

 産経新聞には拉致問題と絡めれば何でも許される、あわよくば政局に影響を与えようとする甘えと邪な思惑があるとみられる。
 同記事は「拉致容疑者親族周辺団体への献金、菅首相側に1億2300万円 民主の献金が“原資”か 」(13日 )なる反菅キャンペーン記事の続きである。「菅首相の資金管理団体・草志会が、日本人拉致事件の容疑者の長男(28)が所属する『市民の党』から派生した政治団体『政権交代をめざす市民の会』に計6250万円の政治献金をした問題で、・・・公党の資金がめざす会に対する巨額献金の“原資”になっていた」と、拉致問題に絡めて菅首相を追い落とそうとする意図が露骨に出ている。

 産経がありもしない「北朝鮮工作員」を捏造し、日朝友好の動きを阻害してきたことは広く知られている。
 同記事も「市民の党には石岡亨、松木薫両人を欧州から北朝鮮に拉致したとして、結婚目的誘拐容疑で国際手配されている森順子容疑者と、よど号ハイジャック犯の故田宮高麿元リーダーの間に生まれた長男が所属」と、無知な人が読んだら「長男は北朝鮮工作員」と誤ったイメージを植えつけられる。質の悪い洗脳記事の類である。
 しかし、同記事も「長男は今年4月の三鷹市議選に市民の党から立候補したが、落選している」と認めているように、「長男」は北朝鮮工作員ではなく、選挙権、被選挙権を有した一市民である。

 欧米の人権感覚からすれば、「長男」の社会政治活動にも、菅首相の政治団体の献金にも何ら問題がない。
 問題視する産経の方がおかしいのである。

 産経は安明進・元北朝鮮工作員の「横田めぐみさんは生きている」といった無責任な伝聞情報を垂流し、拉致問題に関する認識を混乱させ、結果的に拉致問題の真の解決を阻害してきた。
 だが、安は元北朝鮮工作員であるが、実は現役の韓国情報院要員であった。つまり、産経らは安を通して韓国情報部の諜報活動に加担し、日朝国交正常化を妨害したことになる。

 そうしたことへの反省もなく、無垢の市民を犯罪者に仕立てて、特定の政治的な目的を実現しようとする旧態依然とした姿勢に、ジャーナリズムの精神の欠片でもあるであろうか。

 産経新聞がまた別件で在日朝鮮人差別キャンペーンに熱をあげている。
 北朝鮮から衣料品を輸入した外為法違反容疑の在日朝鮮人業者について「国内でスパイ活動」「北の工作活動関与か」と公安情報を垂れ流しているが、いずれも外為法云々とは無関係で、立件すらされないケースであり、罪でもなんでもない。

 それをあたかも犯罪のように伝え、個人のプライバシーを侵害し、名誉や信用を傷付けている。
 これは明らかに報道の自由を履き違えた暴力であり、重大な人権侵害である。

 産経新聞は過去にも度々そうしたことを行っており、政治的な狙いがあると見られても仕方があるまい。
 意図的に日本人の中に反感を植え付け、在日朝鮮人を迫害している疑いが濃厚だ。拉致問題の腹いせということもあろう。
 だとしたら、国連人権委員会に提訴し、国際社会の良識に照らして是正すべきであろう。

 そもそも北朝鮮からの衣料品輸入を犯罪視することが日本社会ではいつの間にかまかり通っているが、それ自体が国際常識に反している。
 国際常識に欠けるから、衣料品輸入を即スパイ工作と結び付ける危険な跳ね上がりが横行するのである。

 大震災・原発事故で日本が危機的な状況に陥った3・11以降、善隣友好関係が日本の生存戦略に不可欠となっている。
 脱原発と共に、近隣諸国とやたらトラブルを起こしてきたこれまでの対アジア外交の根本的な軌道修正を行うべきであろう。

 元北朝鮮工作員で実は韓国国家情報院要員であった安明進の偽情報をさんざん垂流してきた産経新聞のワシントン特派員が、性懲りもなく「めぐみさん『北でなお生存の可能性』」なる怪情報を喧伝している。
 今日の産経新聞に掲載された「ワシントン=古森義久」が米国の民間人権擁護組織「北朝鮮人権委員会」なるものの報告書を紹介した記事がそれで、「『拉致被害者家族会』、『救う会』から得た情報への依拠も多いものの、独自に北朝鮮元工作員の安明進氏らの証言をも入手して判断を下した」というから呆れる。
 米国在住の古森記者は麻薬密輸・常用で有罪となった安明進が「偽情報を提供した」と告白し、日韓では全く相手にされなくなっている実情も分からないようだ。

 米国の超党派の民間人権擁護組織といっても、日本などの資金提供によるロビー業で生計を立てている元政府高官が中心になったもので、北朝鮮情勢には全く疎く、独自の情報源もなく、結局、安明進に頼るしかない信憑性ゼロの団体である。
 その類のネタを仰々しく売り込むのは古森氏のこれまでの手法であったが、今回はネタ切れのためか、お粗末の一言に尽きる。
 古森氏は「『拉致されて』と題された約140ページの報告書を精読した関係者の話によると」と、自分が読んでいないことを明かしているが、薄々報告書のデタラメさに気付き、関係者に責任をなすりつけ、逃げを打っているのであろう。
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110510/amr11051008360003-n2.htm

 金正日総書記が小泉首相に「全員死亡」と口頭で通告した事実は動きようがなく、日本の外務省幹部も横田めぐみ氏らが生存しているとは思っていない。
 一昨年9月に東京のアメリカ大使館が国務省に送った外交公電をニューヨーク・タイムスが「ウィキリークス」から入手してホームページで公開したが、そこには斎木・外務省アジア大洋州局長がキャンベル国務次官補との会談で「横田めぐみさんの生死が最も大きな問題だ。拉致被害者の一部は北朝鮮に殺害され、一部はまだ生存している」と述べたと書かれている。
 それは、評論家の田原惣一郎氏がテレビで述べた「横田めぐみ、有本恵子さんらが生きていないことは外務省幹部も知っている」との発言を裏付ける。

 すでに英科学誌ネイチャーなどによって、横田めぐみ氏の遺骨に対する日本政府のDNA鑑定のいい加減さが明らかになっており、遺骨が本物であることはほぼ間違いない。
 さらに、『証言北ビジネス裏外交』でも日朝外交を裏でセットした人物の証言を基に、安倍晋三氏が首相ポスト盗りのために拉致問題を政治的に利用した経緯を明らかにした。
 
 「横田めぐみさんらは生きている」との虚構に乗った日本の拉致外交は国際社会のつとに知るところであり、客観的には完全に破綻している。
 一部被害者の報復感情で歪められた日本の対北朝鮮外交を正常化すべき段階に来ていることは疑うべくもない。

 無論、無垢の人を拉致し、死に追いやった北朝鮮の責任は重大である。
 真相の全面解明、補償は無論、遺骨の調査・返還など被害者家族の怒りが収まるように最大の礼を尽くすべきであろう。
 


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