河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

韓国街角情報

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全5ページ

[1] [2] [3] [4] [5]

[ 次のページ ]

李明博前大統領時代の海外資源開発事業に絡む公金横領疑惑で捜査の対象になっていた成完鍾・京南企業前会長が9日、ソウル市内の山中で首吊り自殺した。ポケットから李完九首相や大統領秘書室長ら朴槿恵政権の前職、現職幹部らに不正献金したと書きなぐったメモが発見された。
自殺前日に京郷新聞とのインタビューに応じ、政治家には義理も信頼もないと自分への検察捜査を抑えてくれなかったことへの不満を吐露している。

それから1週間以上経つが、問題の核心がずれてしまっているのではないか。
おそらくそれがメモを遺して自殺した目的であろうが、本筋の公金横領疑惑を解明しない限り、事件は政争に弄ばれる結果に終わりかねない。
例の「空白の7時間」のように、韓国社会はマスコミを含め根拠薄弱な噂が噂を呼んで、必要以上に事態をこじらせ、社会的な消耗をする傾向がある。
流言飛語に惑わされず、事実に基づく冷静な対応が必要であろう。

専ら論難の対象になっているのが3000万ウオンを渡したとメモにあった李総理であるが、16日に朴槿恵大統領が金武星新ヌリ党代表との会談で「(去就問題は27日に)帰国してから決める」と述べ、ペルーなどの外遊に発ったため、一旦鎮静化したかにみえた。
ところが、先週末辺りから、大統領の帰国を待たずに辞意を表明すべきだとの自発的辞職論が湧き出している。

発信源は与党である。27日に国会議員の再補選があるが、世論が悪化し、李総理がそのままでは戦えないというのが理由になっている。
しかし、李総理への疑惑は自殺した成前会長のメモだけであり、検察が関係者の自宅捜索などで押収した証拠で裏付けられたものではない。
李首相も否定している。

現時点では単なる噂の域を出ないのであるが、それでわあわあ大騒ぎしているのだから、滑稽というしかない。
日本では猪瀬都知事が辞任したが、5千万円授受を認めてのことであり、単なる噂ではなかった。

本来ならマスコミが冷静に問題点を指摘すべきなのだが、「李首相の疑惑に対する態度がおかしい」と、これもまたイメージレベルの話で一緒になって騒いでいるのだから、何をかいわんやである。
事実に基づかず、個人の思惑や主観で論難を起こし、空騒ぎする癖があると笑われても仕方があるまい。

海の彼方から客観的に見れば、成前会長の一連の行動は会社を守るために、本筋の公金横領疑惑を親朴系政権幹部への収賄疑惑で交わそうという狙いであろう。
それに本筋の疑惑筋の旧親李明博前大統領系が乗ったと見られる。

本筋の疑惑を徹底究明しないで、枝葉末節を伐っているだけでは、政治腐敗も政治不信もなくならない。
思惑や先入観で不毛な論難にエネルギーと時間を費消するのではなく、事実に基づく判断と検察による徹底的な実態解明が先行すべきは当然のことである。
 安倍政権の支持率がついに半数を切り、49%(朝日新聞2日付)に下落した。アベノミクス失速への失望と共に、戦争準備法と批判される特定秘密保護法案強行採決などで露呈した危うさが嫌われている。
正念場を迎えた安倍首相としては、鬱積する国民の不満を外に向け、右派保守勢力の支持を繋ぎとめるためにも、中国の防空識別圏設定に対する強硬姿勢を変えるわけにはいかない。バイデン副大統領との会談直前、米国と共に中国防空識別圏の「撤回」を求めていくと強気に語っていた。
 
 ところが、バイデン副大統領から「力による現状変更の試みは黙認しない」との言質を得るのが精一杯、ついに、「撤回」という言葉は合意文書に盛り込めなかった。
民間機にフライトプランを提出しないように求めた日本と、提出を求めた米政府とのギャップは埋まらなかったばかりか、ある意味で拡大している。
 安倍首相はフライトプランでの日米ギャップに衝撃を受けていた。サキ米国務省報道官が先月29日に民間航空会社にフライトプラン提出を容認したと明らかにした直後、猛烈に反発し、わざわざ記者会見で「外交ルートを通じて確認したが、そのような事実はない」と否定して見せた。日本の主要紙も「米国はブレた」と声をそろえ、米国頼みの安倍政権の対応に「梯子を外される」と疑問を投げた。
 
前回指摘したことでもあるが、バイデン副大統領が「撤回」に同意を与えなかった理由を推し量ることはそれほど難しくない。最大の通商相手国である中国との「対話の深化」に重点を置く米国は、「一方的な」防空識別圏設定に不快感は示していたが、「撤回」させるとは一言も発していない。そうできるとも思っておらず、不測の軍事衝突を防止するシステム構築に主眼を置いてきた。
 つまり、漁夫の利を得る一種の分割統治である。問題の背景に尖閣領有権争いがあるとして、双方から一定の距離を置き、調停者として立ち振舞おうというわけである。
事実、従来から尖閣諸島の施政権は日本にあり、日米安保条約の適用対象と述べながらも、領有権には触れず、中立を堅持している。
 オバマ政権は海外に展開する米軍のコストを削減するリバランス政策に着手しているが、中国はその主要な交渉相手であり、日本は韓国とともに補完的な立場に位置付けられている。
安倍首相との会談でも、バイデン副大統領は安倍首相の面子を傷つけないようにと慎重に言葉を選びながらも、「危機管理」の必要性を強調し、最後まで「撤回」論には与しなかった。その一方で、TPP 交渉において日本が聖域5項目で譲歩するように強く求めるしたたかさを見せた。
 
中国の防空識別圏設定を日本のメディアは「突然」「軍の独走か」と報じるが、認識不足である。
習近平主席が四ヶ月前に防空識別圏設定を決めていたと香港誌『亜洲週刊』が報じているように、中国は用意周到に事を進めており、昨年に日本が尖閣を国有化した時点でこうなることは予想できたことである。
 バイデン副大統領は習近平主席と会談する予定であるが、前回指摘した韓中国防省間ホットライン設置に倣い、中国の防空識別圏は事実上認め、偶発的な軍事衝突を防ぐ信頼醸成措置で一件落着となろう。
キャメロン英首相やウクライナ大統領が相次いで訪中して相互協力強化を謳うなど国際的には無用な紛争の拡大回避が主流であり、根っ子にある尖閣領有権問題も暗黙のうちに棚上げされると読める。
 
やや遠回りしたが、バイデン副大統領は安倍首相に韓国との関係改善を促した。訪中後に訪韓するが、朴槿恵大統領との会談でも同じことを求めよう。
 具体的には韓日首脳会談の開催であるが、事はオバマ政権が考えているほど単純ではなく、サンフランシスコ講和条約で日本の戦争責任を曖昧にした米国にも責任の一端がある。
 民主主義と市場経済という価値観を共有する隣国が長期にわたって首脳会談を開催しないのは、確かに正常とは言い難い。
だが、もう一つの重要な価値観である歴史認識問題でここまで相互不信が強まってしまった以上、腹にもない上面の会談をしてどれほどの効果が期待できるであろうか。
 もう少し、互いを冷静に見直す冷却期間を置いた方が中長期的には良策といえない事もない。
朴槿恵大統領はドイツ、フランスの前例に倣って韓日中共同の歴史教科書を作成することを提唱し、先月末の韓日議員連盟総会でも基本的に意見の一致を見た。その推移を見守ってからでも遅くはあるまい。

朴槿恵大統領は米中関係を睨みながら、じっくりと構えている。対照的に安倍首相に焦りの色が見えるが、韓国を対中包囲網に巻き込みたい意図がありありである。
 安倍氏は「中国は嫌な国だが、外交は出来る。韓国は交渉も出来ない愚かな国だ」(週刊文春11月21日号)と述べたという。韓国マスコミが問題視すると菅官房長官が「愚かで無責任な週刊誌」と否定したが、安倍氏本人はいまだに否定していない。
安倍氏の苦しい本音がうかがえる。韓中間に楔を打ち込み、揺さぶろうと算盤を弾いたのであろうが、中国と一触即発の防空識別圏問題で淡い期待は吹き飛び、ますます立場を悪くしている。
 
 従軍慰安婦を娼婦と侮辱し、南京大虐殺を否定する安倍政権の歪んだ歴史認識は、むしろ「抗日」の記憶を呼び起こして韓中を結束させ、日本の孤立を深めている。
 折りしもハルビン駅での安重根顕彰碑設立を巡る対立が再燃した。先月18日に朴槿恵大統領は訪韓した楊潔チ中国外相に「ハルビン駅での安重根義士顕彰碑建立は順調だ」と、6月の習近平主席との会談で合意したことが進行していることに謝意を伝えた。
これに菅官房長官が「安は犯罪者であると韓国側に伝えてある」と記者会見で反発、ユン・ビョンセ韓国外相が「遺憾」と反論すると、すかさず中国外務省副局長も「安重根は中国でも有名な抗日義士であり、広く尊重されている」と応えた。
安が伊藤博文を銃撃したハルビン駅構内の現場が目隠しされ、建立工事が始まっており、この問題で日本に分はない。
 米国も安顕彰碑建立に言及し、「歴史認識を巡る懸案を対話を通して平和的に解決するよう両国に促す」(サキ米国務省報道官10月22日記者会見)と述べた。米国は日本の戦争責任追求を対ソ連の政治的な理由から中断したが、日本軍国主義と戦った連合国であっただけに、基本的なスタンスは維持しているようである。
 
 朴大統領は頑なに過ぎるとの批判も一部にあるが、安倍政権が不安定化している最中での拙速な韓日首脳会談は、安倍首相に誤ったシグナルを送る可能性がある。
 安倍首相は日韓首脳会談まではとそれなりに自制を働かせているが、すでに文科省は教科書検定基準を厳格化し、従軍慰安婦を否定するなどの歪んだ歴史教科書を来年4月から一律流通させる計画を進めている。現在は封印している靖国神社参拝も強行するであろう。
 韓日首脳会談をクリアすれば安倍首相は一挙に右派勢力が待望する極端に右よりの政策実現に突き進むであろうが、その場合、朴大統領の面目は丸つぶれとなり、政治的なリスクを負わされる。
 
 禍をもって福と成すとの諺もあるように、現在の状況は積年の膿を一挙に出して、未来志向的な安定的韓日関係を築いていく好機とも言える。
韓国としては克日の総仕上げであり、朴正煕元大統領の歴史的評価と直結する韓国内部の歴史認識問題に決着をつける契機とも成ろう。

次回のテーマであるが、地域のもう一つの懸案事項である北朝鮮情勢が慌ただしくなり、張成沢・労働党行政部長失脚説が流れてきた。
韓国与党セヌリ党のシンクタンクであるヨイド研究院長との懇談で、張と崔龍海・軍総政治局長との対立に言及したが、それが可視化したようである。
 
 安倍首相が日韓首脳会談を早くと焦るのは、米国の視線以外にも、ある意味でそれ以上に厳しい経済的な事情が隠されている。
 韓中交易が拡大するのと反比例して深刻化する日本の貿易赤字の急増であり、直近の10月の経済統計がそれをはっきりと示している。
 
 日本の10月の貿易赤字は史上最悪更新の1兆907億円と、過去最長の15ヶ月連続の赤字となった。貿易が日本経済の柱であることは二言するまでもないが、貿易収支が2011年200億ドル、2012年730億ドルと赤字に転落し、今年は一段と膨れ上がることが確実である。先進国最悪のGNPの2・4倍、1100兆円超に跳ね上がった累積財政赤字とあわせた双子の赤字急増は、日本経済の危機が深化したことを物語る。
 その原因は、円安誘導が裏目に出て輸入材が高騰したこともあるが、より重要なことは輸出が米国市場を除いて期待したほど伸びず、特に政治的に対立する中国市場が冷え込み、対中赤字が5064億円と赤字全体の半分を占めたことにある。
 
 他方の韓国はというと、日本と対照的に10月も70億ドルと21ヶ月連続の黒字。経常収支も同月、史上最大の95・1億ドル、前年同月比プラス49・8%と20ヶ月連続黒字となる。今年1月から10月までの黒字総額は582億ドル、前年同月比1・5倍と絶好調である。
 その最大要因は米国、欧州、中でも対中輸出が好調なことにあり、自動車、IT、半導体が中心となっている。
 
 日本では見逃されていることであるが、上記の衝撃的な統計は日中対立で日本の対中輸出が不振に陥った分、韓国がそれを補うように対中輸出を増やしていることを物語る。
 これは偶然ではなく、2030年には米国を抜いてGNPが世界一となると予測されている中国市場を中心に市場の再編が起きており、流れに乗った韓国と反対に、日本が全く適応できていないことを如実に示している。
 安倍政権が逆方向にねじれてしまっているのは、日本にとって悲劇的と言わざるを得ない。
  
 それは「日本経済再生の最後の3年間」と保守層が期待し、財政規律を度外視した金融緩和に舵を切ったアベノミクスがやはり無謀なものであったことを白昼の下に晒すものであり、遠からず安倍政権は政治的な危機に直面することになろう。
 安倍首相としてはその前に、米国との同盟関係を強めながら、中国包囲網に韓国を引き込み、逆攻勢をかけようとしているが、成功しそうもない。
 
 韓国政府は昨日、TPP 交渉参加を検討すると発表した。日本の一部マスコミは早速、中国包囲網に韓国も加わるとアドバルーンを揚げるが、希望的な観測に過ぎない。
 実は、韓日中FTA 交渉が遅々として進まない中、韓中FTAを先行させる合意が朴槿恵大統領と習近平主席の6月首脳会談で成されたとの情報がある。韓国は中国との間で進むFTA 交渉とバランスを取ろうとしているのであろう。
 戦略的には中国市場の成長力を取り入れていくのが韓国経済発展には不可欠であるから、当然ともいえる。競争相手の日本に先んじている戦略をいまさら捨てるわけがない。
 
 中国が23日に尖閣を含む空域を防空識別圏に設定したが、安倍首相の強硬姿勢を受けて同空域に飛んだ自衛隊機に対して中国機がスクランブルをかけるなど、日中関係は一触即発である。
 他方の韓国は直ちに中国との戦略対話をソウルで開催し、韓国の防空識別圏と一部重なることを抗議しながらもあくまで対話で解決することを目指し、相互の国防部に新たなホットラインを設置することで合意した。
 安倍政権が頼みとするオバマ政権だが、中国との決定的な対立を避けたい戦略的な次元から韓日どちらの対応を大人と見るか、合理的に考えれば容易に分かることである。
  
イメージ 1
 
イメージ 2
 
 ハプニングは旅先ならではの醍醐味であるが、ソウルの龍山米軍基地内のレストランで夕食を済まし、カン教授に車でホテルまで送ってもらった直後、思いもよらぬ光景に遭遇した。
連合ニュース社前で降ろしてもらい、ソウルの夜景を楽しみながらの散歩も一興とブラブラ歩いていたのだが、異様な一角(写真上)に入り込む。

バス大の機動警察車が、さして広くもない二車線の通りの片側を封鎖している。1,2,3、・・・しめて5台。制服、私服の警官が要所を固めて睨みを利かし、物々しい雰囲気が立ち込めている。
平穏なソウルに突然出現したトワイライトなゾーンである。
 
 それまで警官の姿をほとんど見かけなかった。街中の要所に張り付いた機動隊が風物詩であったソウルは、旧世代の記憶の中で急速に風化しつつある。タイムスプリットしたようなこの仰々しさは何事?、と俄然好奇心が刺激されたが、なんと日本大使館前であった。
 初めて目にする日本大使館は、米大使館よりもさらに地味に、ビルの谷間にひっそりと佇んでいた。夜目に辛うじて認めた屋上の日の丸がないと、個人の邸宅と見紛う。
 警官の刺すような視線を意識しながら大使館前を行ったり来たりし、歩道に戻ろうと振り返った瞬間、等身大の少女の座像が目に飛び込んできた。
日本でもしばしば報じられる従軍慰安婦像(写真下)である。悲しげな目が日本大使館をじっと見つめている。
とっさに写真を撮ろうと構えた。傍らに立っていた警官が怪訝そうに近付いて来たが、風体から単なる旅行者と分かったのであろう、黙って引き返した。

像の下に埋め込まれた銅製のパネルに、日本大使館への千回の抗議行動を記念して像が建立されたと刻み込んである。日本大使館と道路隔てた公道に市民団体が自発的に作ったものであるが、国民感情を意識してソウル市はそのままにしている。
日本政府が抗議し、日本のメディアが像を撤去するために右翼が訪韓すると報じ、韓国にも伝わった。物々しい警護は他でもない、像を巡る小競り合いから日本大使館を守るためのものであった。

この光景に、歴史認識でギクシャクする現在の韓日関係がそのまま投影されている。
韓日の架け橋をと任じる身としては実に残念な現象である。過去が今を窮屈にし、未来を暗くしている。韓国には自制を、日本には反省を求めたいと改めて思った。

事は女性の尊厳の本質に関わり、被害者にとっても、加害者にとってもデリケートな問題を孕んでいる。
 レイプ問題は過去には被害者が泣き寝入りするケースがほとんどで、元従軍慰安婦たちも世間の目を気にしながら息を潜めて暮らしていた。時間とともに多くが亡くなり、歴史の闇に隠されようとしていた。
 正直に言えば私も、元従軍慰安婦の証言に接した当初は、腫れ物に触るような恥じらいを感じ、旧朝鮮総督府庁舎のように事件そのものが消えてほしいと思っていた。
その限りで、日本の保守派が自分の恥、国家の恥と感じ、目を背けようとする心情は理解できないでもない。
 
 しかし、被害者が勇気をもって名乗り出たのを無視するのは、人道上許されない。国際法上も、人道に反する犯罪には時効が否定される。
ベルリンの壁が崩壊する頃に参加したドイツの地方都市でのシンポジウムで、社会民主党幹部が苦悩の表情でナチスの犯罪を語るのを聞きながら、事実を直視して教訓を得ようとする怯まぬ良心に感動した記憶がある。
 隠す方が、人間として恥ずべきであり、同じ過ちを繰り返すことになりかねない愚かな行為なのである。
 その意味で、日本政府が河野談話で慰安婦問題を謙虚に反省したことは評価される。
 ところがその一方で、産経新聞系列の『新しい歴史教科書を作る会』が強制連行や南京大虐殺など旧日本によるアジアへの侵略行為と植民地支配への反省を“自虐的”と拒む歪んだ歴史認識を保守政界に広める。
 そして、河野談話を否定し、従軍慰安婦を「日本軍による強制がない合法的な売春」と貶めるに至る。
 
 こうした極端な主張は櫻井よしこ国基研理事長ら安倍首相のブレーンらが声を合わせているが、このグループが内々にたらい回しているフレーズが、「日本軍が直接に関与した証拠はない」である。
 しかし、これは真っ赤な嘘である。
 従軍慰安婦にされた女性は朝鮮人、中国人など日本軍が侵略した全地域で行われ、インドネシアではオランダ人女性が強制売春の犠牲になった。いわゆる白馬事件であり、1944年2月に日本軍南方軍管轄の第16軍幹部候補生隊がオランダ人女性35人を民間人抑留所からスマランの慰安所に強制連行して売春させた記録が発見され、戦後の軍事裁判で大佐らが処断されている。
オランダ政府も1994年、正式に「日本占領下蘭領東インドにおけるオランダ人女性に関する強制売春に関するオランダ政府所蔵文書調査報告」を発表している。
 
 毒婦との別名がある櫻井よしこ氏らはそれを承知で「日本軍が直接に関与した証拠はない」と未だに言い張っているが、真実は隠せない。
 21日、中国国民政府とオランダ政府が実施した計6件のBC級戦犯法廷の起訴状や判決文などの裁判資料6点が法務省によって収集され、国立公文書館(東京)に保管されていたことが、関東学院大の林博史教授(日本近現代史)によって発見された。櫻井氏やその系列のいかがわしい似非歴史学者らの欺瞞が暴かれたということである。
 
 従軍慰安婦や南京大虐殺否定を政治的なプロパガンダに利用する反韓・反中‏的、ナショナリスティックな安倍政権誕生で、状況は一段と複雑化した。
安倍首相が未だに櫻井氏の主張を繰り返しているのは、歴史への無理解もあるが、政治的な事情が大きく与っている。つまり、昨年の自民党総裁選で保守層の支持を取り付けるために、河野談話見直しを公約にした手前、引き返すに引き返せなくなっているのである。
 
 朴槿恵大統領は韓日首脳会談開催の条件として、安倍首相が元従軍慰安婦への侮辱的な発言を撤回するように求めているが、至極当然のことである。オバマ政権にもそうした見方があり、キャロライン・ケネデイ新駐日大使も元従軍慰安婦に同情的とされる。
 安倍首相は何とか慰安婦問題を棚上げしようと早期会談を求めるが、これも新手のプロパと見られる。従軍慰安婦問題を棚上げして首脳会談を開催しても問題はよりこじれるであろうが、次回解析するように、安倍氏とその周辺はそれを見越し、難問山積する内外状況を正面突破する政治的な契機にしようと画策していると読める。
 
 日本の保守メディアは朴大統領の安倍首相への強硬姿勢を「反日」と報じるが、一面的な感情論である。
 最近、韓国では「克日」という言葉が復活している。感情的な反日、嫌日を超える。すなわち、過去をだらだらと引きずった旧韓日関係を清算し、日本と真の友人になる意味があると解するのが合理的であろう。
 
 拙書『朴正煕・韓国を強国に変えた男』がソウルの大手書店でロングセラーになっているのも「克日」復活と無関係ではあるまい。
 最終章「見果てぬ夢ー克日」で日本を乗り越えるのが朴正煕の終生の願であったと論じ、2004年文庫本後書で「朴正煕時代の総決算」を提唱したが、父子二代の夢が現実と成りつつある。 
イメージ 1
 世宗路沿いにあるはずの建物がみつからない。右前方に米国大使館があったはずだ。世宗路は青瓦台に近い韓国の政治の中心部である。少なくとも8年前までは、米大使館はその一角に周囲を睥睨するように佇んでいた。
 ようやく茶色の建物を認めた。周囲を高層ビルに囲まれ、星条旗がないと見逃してしまうごく普通の大使館である。写真は世宗路全景を正面中央の李舜臣像から撮ったものであるが、米大使館は右奥、高層ビルの左下辺りに位置する。道路を隔てた真向かいの白い大きな建物が韓国の外交通商部である。
その古いイメージで探したから戸惑ってしまったのであるが、米大使館は小さくなった。無論、建物自体が小さくなったわけではないく、あくまでも相対的な印象である。
 影が薄くなったものだとつくづく思ったが、新局面を迎えた韓米関係を象徴している。
 
以前から指摘しているように、オバマ大統領、習近平主席らとの朴槿恵大統領の積極的な首脳外交により、中米を中軸にした新たな政治秩序が形成されつつあるアジア・大平洋地域において、韓国の存在感は確実に高まっている。
日本の安倍政権が尖閣領有、歴史認識問題で中米対立の矛盾側面を刺激しているとするなら、朴政権は反対に、経済的な依存関係を強める中米の協調側面を促進させる触媒の役割を巧みに果たしていると言えよう。

とりわけ、冷戦時代の遺物と言える北朝鮮核問題で、朴政権はある意味で決定的な役割を担っている。
 朴大統領は就任早々、「韓半島信頼プロセス」を発表し、北朝鮮に対し核を放棄さえすれば大規模経済支援を行うとの明確なメッセージを発した。それは妥協を排したリアルな原則的な立場に立脚するもので、米国との間で北朝鮮の核挑発には核先制攻撃もありうるとする新抑止戦略を締結して北朝鮮の暴走を封じ込める一方、中国に対して対北制裁強化で足並みを揃えることを促している。
 オバマ政権は北朝鮮に対して核放棄の具体的な行動を起こすことを対話の条件としているが、その具体的な判断は朴槿恵政権に委ねていると言っても過言ではない。
 政府債務上限引き上げを巡る国内対立の激化に手を焼き、外交にまで十分な手が回らないのが実情であり、そうした状況は下院の多数派奪還を目指す一年後の中間選挙まで続くことになろう。
 
それを端的に物語るのが、米国のプレゼンスを象徴する新駐韓大使に韓国系のソン・キム氏を任命したことである。韓国で生まれ育ったキム氏は中学生の時に駐日公使を務めた父親とともに米国に移住し、検事をへて外交官となり、6ヶ国協議米代表として北朝鮮にも10回行っている。
 オバマ大統領はアジア重視戦略にシフトする中で現地に通じた人物を大使に配置し、中国系のロック氏を駐中国大使に任命したのに続き、北朝鮮問題のエキスパートと厚く信頼するキム氏を大使に抜擢した。キム大使からの助言に基づいて対北朝鮮政策を調整しているが、キム大使が常に韓国外交通商部と緊密な連携を保っていることは言うまでもない。
 かつて米国大使は韓国の政治に深く関わり、影の大統領と言われた時期もあったが、もはや遠い過去のことである。
 
因みに、駐日大使はケネディ元大統領の娘のキャロライン氏だが、外交経験はなく、オバマ大統領再選を支持したことへの論功行賞であると言われる。
 日本がオバマ政権の新アジア重視戦略の本筋から微妙にずれていることが、こうした儀礼的な人事にもうかがわれる。

もう一つ、韓国における米国のプレゼンスを語る上で無視できないのが米軍である。しかし、ソウル市内で米軍兵士の姿を見かけることはなかった。北朝鮮との関係が緊張していることを思えば、拍子抜けの感があった。
 幸いにして、私をソウルで迎えてくれたカン・テフン前檀国大総長がソウルの龍山米軍基地管理に助言する諮問委員を長く務めていたことから、同基地を訪問することができた。カン教授とは私の著書『朴正煕・韓国を強国に変えた男』を韓国語に翻訳出版してくれた間である。
 
 韓国の地図には一切掲載されていないが、同基地はソウル駅から南方にわずか1キロ、南山近くにある。2・9平方キロの敷地には在韓米軍司令部、米第8軍司令部、国連軍司令部、米韓連合司令部などが集中しているとされる。
 景福宮見学などを終えた夕方6時過ぎ、カン教授の車で同基地の検問所に向かった。カン教授一人ならほとんどフリーパスであるが、同行者がいるというので改めて指紋検証を行う物々しさであった。私もパスポートや身分証を提出した。
 詳しいことは別の機会に譲るが、基地内は木々が鬱蒼と繁り、寮、病院、郵便局、銀行、ゴルフ場、レストランなどが点在する。行き交う人もまばらで、ソウル市の喧騒も届かない閑静な別天地である。南山のテレビ塔がくっきりと見えたのが印象的であった。
 8千人ほど駐屯しているらしい。レストランで兵士たちが食事をとっていたが、半数はいつでも前線に出動できるように、リュックを担いで完全武装している。ソウルに来て初めて、緊張らしきものを感じた。
 北朝鮮は同基地を目の敵にするが、皮肉なことに北朝鮮自身が基地の存続に一役買っていることに気づいていない。同基地は2016年には平沢へ移転する予定であり、基地周囲にはそれを見込んで高層マンションが立ち始めたが、金正恩政権が核を放棄しない限り、移転は延期になりそうである。
 朴槿恵大統領も本音では、北朝鮮さえ核放棄し、南北平和共存に応じれば、ソウルの中心部を占め韓国人の反米感情を何かと刺激する米軍基地を移転させられるのにと歯軋りしている。
 最近も、米NSAによる外国首脳の電話盗聴が問題になり、龍山米軍基地内のCCソウルが青瓦台を盗聴しているとの疑惑が持ち上がり、報復として閉鎖が取りざたされている。
 
 北朝鮮の労働新聞など各メディアは未だに韓国を米国の傀儡政府と呼び、世界の失笑を買っているが、冷戦時代の時代錯誤の認識は捨てないと逆効果である。
 米国との直接交渉に期待し、一発逆転を狙っているが、韓国との和解なくしては物事は一歩も進まず、経済は疲弊して国民生活は窮乏化し、自分の首を絞めるだけである。
 
 米国の東アジアにおけるプレゼンスは薄くなる一方である。北朝鮮政府は核を放棄すると米国に攻められると国民の危機感を煽るが、米国にはそうする意図も利益も力もない。
シリア、イラン問題で存在感を高めているロシアがASEAN に韓国、中国、米国、日本など18ヵ国を加えた新安保機構設立を呼び掛け、中国が賛同して14日からブルネイで外務・国防当局のワークショップが開かれる。北朝鮮核問題も俎上に上がることになろう。
 朴大統領は13日に訪韓したプーチン大統領と会談し、核廃棄を前提にロシアが進める北朝鮮の鉄道インフラ事業に協力することで合意したが、首脳外交から取り残された金正恩第1書記は新たな流れを見失わないことである。

全5ページ

[1] [2] [3] [4] [5]

[ 次のページ ]


.
河信基
河信基
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
10/31まで秋の行楽キャンペーン実施中
抽選で150,000名様に当たるチャンス!
マツモトキヨシで期間中何度でも使える
100円引きクーポン<Yahoo! JAPAN>
衛生対策製品クレベリンの姉妹ブランド
クレベ&アンドハンドジェルが新登場
今だけ。お試しキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事