河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

朝米和解のプロセス

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ハノイでの米朝首脳会談は物別れに終わった。金正恩国務委員長が寧辺の核施設の廃棄と制裁の実質解除を交換条件にしたが、トランプ大統領が寧辺以外のウラン濃縮施設を廃棄対象に含めることを要求し、金正恩が難色を示すと会談を途中で打ち切り、さっさとハノイを飛び立ってしまった。
予想外と内外メデイアは報じるが、読みが浅すぎる。局面は私が予想した我慢比べの新ラウンドに入ったと見るべきであろう。

今朝一番で目にしたトランプのツイッターには「米韓軍事演習は数億ドルの無駄遣いの節約だ。緊張の緩和は今後の北朝鮮との交渉に役立つ」とあった。金正恩との対話を忍耐強く続けるとの意思表示である。
制裁が効いており、金正恩は遠からず音を上げて、寧辺+αのデイールに応じてくると見越した。独特の商売勘を働かせたと読める。

次回の会談はそれが焦点となろう。前回、指摘したように、北朝鮮の全面核廃棄は金正恩の独断では決められない。保守強硬派の同意が不可欠である。
金欠病から改革開放に前のめりの金正恩が彼らを説得出来るか、それが隠れた焦点である。

私はトランプ・金正恩会談をつぶさに観ていたが、ボルトン大統領安保担当補佐官が会談に割り込んできたのを観て、雰囲気が変わったと見て取った。記者も入ってきて金正恩に質問を浴びせたが、初めての体験に金正恩は狼狽していた。笑みがこわばっていた。
案の定、トランプは非核化のハードルを揚げ、金正恩は即答出来なかった。陪席した金英哲副委員長もピョンヤンの実勢である保守強硬派の意向を無視する事は出来ない。

陰の演出者は明らかにボルトンである。ボルトンは昨日来、米メデイア各紙のインタビューに応じ、「将来の明るい経済のために、北朝鮮は完全非核化に応じる可能性があった。大統領は悪い取引を拒否した。国益のために成功だった」と内幕を明かしている。大統領を庇いながら、その実、ボルトンの自画自賛である。
成果を誇示したいトランプは寧辺核施設廃棄程度でデイールに応じる気があったが、ボルトンが身を持って押し止めたのであろう。ネオコン筆頭格のボルトンは進言が受け入れなければ辞任する意向を暗示したと思われる。ロシア疑惑等で追い詰められ、相次ぐ側近の辞任で孤立を深めているトランプには、それを受け入れるしか選択肢がなかったと私は分析している。

労働新聞は金正恩がピョンヤンに戻る列車の中で悶々としている現時点で、米国との交渉が決裂した事を一切伝えていない。ホワイトハウスも「成功」だったと強調している。互いに今後の交渉の進展に賭けようとしている証左である。
トランプと金正恩の関係は個人的信頼関係というより、脛に傷持つ者同士の持たれあい、が実態に近い。実利で一致しているのが強みであり、安倍晋三首相とプーチン大統領の危うい関係よりもはるかにソフトランデイングの可能性は高い。

今後の展望であるが、「核は民族の宝剣」と認識するのが保守強硬派である。南北統一の決め手になる宝剣である。
現時点では、米国との交渉を核軍縮交渉に持ち込むのが保守強硬派の最低ラインである。寧辺廃棄までは応じられるとなる。
他方の金正恩は、イデオロギーには基本的に無関心の実利主義者であり、核にそれほど固執していない。昨年9月のピョンヤンでの文在寅との会談で、「世界の人々が時間稼ぎだと言っていることを知っている。ペテンなら米国の報復は目に見えている。報復に持ちこたえられるだろうか。真剣さを信じてほしい」と海外の目をかなり正確に認識している事をうかがわせた。
その一方で「リスト申告は攻撃目標リストを申告しろと言うのと同じだ」と述べ、保守強硬派にも配慮した。そのギャップを埋められるか、それが喫緊の課題となる。

今回の米朝首脳会談の番外の成果は、トランプが「北朝鮮は改革開放すればすぐに経済大国になれる」と世界に宣伝した事である。ベトナムは会談場所提供が大きな宣伝となったと喜んでいるが、北朝鮮の潜在的可能性が改めて注目された事は、今後、大きな意味を有する。
北朝鮮の地下資源は石炭、鉄鉱石、銅、タングステン、亜鉛、金以外にもレアアースが豊富であり、総額6兆ドルと試算する韓国の調査機関もある。トランプはそれを宣伝し、新たな投資先をうかがう国際的な投資家の目を引き付けた。
優秀な人的資源と合わせた巨大な潜在能力を発揮できず、世界最貧国レベルに沈んでいるのは、北朝鮮の政治体制の劣化に最大の要因がある。それを如何に止揚していくか、今後の課題の一つである。

私は『二人のプリンスと中国共産党』で米中新冷戦をいち早く予測したが、米朝会談も隠れたモメントはそこにある。北朝鮮は1993年に核不拡散条約から脱退した。NPT復帰とIAEAの査察は不可欠であるが、具体的な核弾頭解体処分は核保有国の米中が担うことになろう。
米朝核廃棄は一般に想像されているほど難しくはない。過去には南アフリカが初歩的な核兵器を自主解体し、リビアが核開発計画を廃棄した。実戦配備した核兵器についてもウクライナが全てロシアに撤収した前例もある。

動き出せば早い。
27〜28日にハノイで第二次米朝首脳会談が開催される。昨年6月の首脳会談で新米朝関係構築、朝鮮半島の平和体制構築、朝鮮半島の完全な非核化が合意されたが、地域の平和と安定に直結する問題の焦点は一点、北朝鮮の非核化である。金正恩国務委員会委員長は「完全な非核化に向けた決意」をトランプ大統領に直接伝え、事態は動きだすやに見えた。
しかし、具体的な進展は何もなく、時間が無為に過ぎてきた。

トランプは核実験もミサイルも飛ばなくなったと自画自賛し、安倍首相にノーベル平和賞推薦を依頼しながら、成果を誇示した。
確かに、一時はカウントダウンとまで言われた北朝鮮核施設などへの先制核攻撃の危険度は低下し、まがりなりにも地域の平和は保たれた。
その一方で、北朝鮮に核開発の時間稼ぎに利用された側面もある。
評価は賛否両論であり、それぞれ一理あるが、一つだけハッキリしているのは、状況はトランプ、金正恩双方に次第に重荷になっていることである。

北朝鮮の核戦力が米国を脅かすレベルでない事を知ったトランプは、以前ほど北朝鮮に関心を持っていない。制裁維持で音をあげさせる方針に切り替えた。
主たる関心は、焦眉の貿易戦争の相手である中国の影響力が韓国を巻き込んで地域で強まる事である。そこでデイールのカードに北朝鮮問題に再び目を向けた。あわよくば、外交的成果とし、来年の大統領選挙に向けたアピール材料にする腹積もりであろう。

実際、前回の「立ち枯れの金正恩 泥沼のトランプ」で「両者ともに足元は脆弱で、中国の顔色をうかがいながら、脅し透かしの我慢比べに入る」と書いたが、今日までの展開はほぼ予測した通りであり、我慢比べが続いている。
トランプ大統領は「北朝鮮側で意味のあることがなされなければならない。これが最後の会談になるとは思わない」と、大統領選を睨んだスケジュール表を示唆している。ロシア疑惑などで追い詰められている苦しい内情があるが、それについては次回(下)で検証する。

他方の金正恩だが、時間が経つほど苦しくなっている。持病の金欠病が限界に達しつつあるのだ。
市場経済が発達しているとの見方が一部にあるが、ピョンヤンのショーウインドウを見学した感想でしかない。闇市場であったチャンマダンが全国に約500余ヶ所、事実上合法化されているが、その実態は、建前の計画経済が予算難から機能しなくなり、闇取引を追認せざるを得なくなっている。
金正恩は新年の辞で「自立経済」を7回も繰り返したが、民間に丸投げしたに過ぎない。金日成時代の社会主義経済強化のスローガンの一つであったそれとは全く異なる。正規の国内教育を受けなかった金正恩自身がその違いに気付いていないだろう。

金正恩の経済政策なるものは、失敗した馬息嶺スキー場、現在進行中だが資金難で頓挫している元山葛麻海岸観光地区のような思い付きリゾート建設である。
どれも利用予定者数など経済的効果や効率性を無視しているため、造っても維持費がかさみ、投資した労力、資材、資金の無駄遣いとなる。その皺寄せで、肝心の工業生産部門や鉱山開発部門は慢性的な資金難で補修すら出来ず、崩壊状態に陥っている。

それでも金正恩が持ちこたえてきたのは、父親金正日から受け継いだ39号室管理の秘密資金である。外貨は全てここに集められ、そこから党幹部に贈り物をして支持を取り付け、他方で思い付き経済プランに流用して何とか政権を維持してきた。
しかし、2017年に国連安保理で中ロ賛成で採択された制裁決議後、虎の子の秘密資金が急速に枯渇しつつある。中国への石炭、海産物、衣料品輸出など前年の輸出総額の9割が対象となった。出稼ぎ労働者からの上納金も大きな収入源であったが、それも規制され、にっちもさっちも行かなくなっている。

それに伴い、統治基盤が揺らぎ始めている。金正恩体制下で70人以上の高級幹部が粛清され、太永浩前駐英公使ら核心幹部クラスまで連続亡命している事実は内部の思想的団結が崩壊し、強権でしか秩序が維持できなくなっていることを物語る。

ギリギリまで核にこだわる金正恩の本音は何処にあるのだろうか?
これについては再三述べているように、落下傘で後継者に納まった金正恩は、金日成主義者でも社会主義者でもない。急造の独裁者の中身はスイスの中高時代と変わらない。
「私の子供たちが一生核を背負って生きていくのを望んでいない」と、金正恩が昨年4月にポンペオ国務長官との会談で述べたとエンドル・キム前CIAコリアミッション・センター長が22日のスタンフオード大学での講演で明らかにした。小市民的な金正恩の本音がよく出ている。

金正恩自身は負担の大きい核廃棄を考えている。その見返りに制裁解除や経済支援を得て、ベトナムにさえ大きく立ち後れた経済再建を図りたいと考えているだろう。
しかし、その場合、核を南北統一を主導する最後の手段と考える保守強硬派の反発は高まり、政権維持が覚束なくなる可能性もある。

それが金正恩のジレンマである。トランプとの通訳だけを交えた1対1の会談を望んでいるのも、その辺の事情をそれとなく訴え、譲歩を迫る思惑があろう。既に、南北首脳会談では文在寅大統領にそんな胸の内を明かしている。
腹心の金ヒョクチョル国務委米国担当特別代表をビーガン北朝鮮担当特別代表と直接交渉させているのも、トランプへの直訴で経済制裁緩和の見返りを得ようとしているためである。

番外の成果は、ピョンヤンから中国・ベトナム国境まで鉄道で約60時間ほどで行けることがわかったことである。
金正恩がわざわざ鉄道を利用した腹の内は、現在進行中の韓国との鉄道連結を意識していると読める。
北朝鮮が全面核放棄と中国式の改革開放に舵を切れば、韓国と連結し、中国、東南アジアに伸びる鉄道インフラは経済再建の大きな武器になる。
北朝鮮の非核化は「新冷戦時代」に入った米中関係次第といち早く分析したのは私であるが(『二人のプリンスと中国共産党』参照)、1日(ブエノスアイレス現地時間)のトランプ・習近平会談はその正しさを改めて示した。
両者は2時間半にわたり追加関税、貿易不均衡、知的財産権の保護、台湾問題で突っ込んだ意見を交わしたが、どれも噛み合わず、90日間の猶予期間を置くとした。唯一合意に至ったのが北朝鮮情勢であり、発表文に「朝鮮半島の非核化で連携」と記された。習主席が再度の米朝首脳会談を支持とも併記された。

トランプ大統領は会談後の記者会見で「習氏は100%、私と一緒に北朝鮮問題に取り組むことで合意した。これは大きなことだ」と自画自賛した。
習政権は米国との全面対決は避けたいのが本音であり、少しでも米国からの圧力を弱めるには、北朝鮮問題で貸しを作る必要がある。米国と協調し、金正恩政権への圧力を再度強めるのは必至である。
ポンペオ国務長官は手応えを感じ、第2次米朝首脳会談について「年明けすぐにあると思う」とCNN記者に語っている。

北朝鮮は安全保障上も経済上も対中依存度をいつになく強めている。国家予算すら満足に組めなくなって久しい経済は、事実上の破綻状態である。これまで頑張ってきたからこれからも頑張れる、と無責任に言える状況ではない。
国民は対岸の中国朝鮮族の助けを得ながら辛うじて食いつないでいる。中国の圧力強化でその生命線が絶たれれば、飢餓が広がり、暴動、反乱も十分にあり得る。

金正恩委員長は焦点の非核化でトランプ大統領に譲歩せざるを得なくなった。
政権の生き残りをかけ、米国から相応の措置を得る条件闘争に外交戦の総力を挙げてこよう。

微妙な立場に置かれているのが、米朝の仲介役を自認する文在寅大統領である。
9月の金委員長との首脳会談で12月13、14日のソウル答礼訪問を約した。大統領府が3日明かしたところによると、トランプ大統領との会談でそれを伝えてソウル訪問に賛同を得て、「金氏と共に残る合意を全て履行することを願う。金氏が望む事を私が成し遂げる」とのメッセージを託されたという。
同時に文大統領は「韓米間に朝鮮半島の完全な非核化を進めていく上で立場の相違は全くない」と再確認し、南北協力が制裁の抜け道にならないと釘を刺された。

第2次米朝首脳会談の論点は明確である。全面非核化か限定非核化である。
米側は20ヶ所と推定される核施設のリストと非核化プログラムの提示を求め、北朝鮮側は寧辺など一部の核、ミサイル施設の廃棄に相応した制裁緩和を求めている。

今に至ってなおも金正恩が核に拘るのは何故か?
体制保証を確実にするためとの見方が日本では支配的だが、それほど単純ではない。

先月30日の新宿講演会でも強調したことであるが、その点に北朝鮮核問題の本質と難しさがある。
北朝鮮には南北統一の主導権を握りたいとの建国以来の悲願があり、韓国に経済力で大きく遅れを取った現在、核なくしては悲願を達成できないとの思いを強くしている。
金正恩が体制保証や経済的利益優先で核全面廃棄を約束する可能性がなくはないが、それで労働党・軍の中枢を握る金日成時代以来の保守強硬派を説得出来るかは別問題である。
文政権が米朝間の仲介役を果たそうとするのであれば、そこまで視野に入れた対策が求められる。
文在寅大統領が金正恩国務委員長と19日に会談し、「ピョンヤン共同宣言合意書」に署名したが、内容的には4月の「板門店宣言」や6月の「米朝共同宣言」より事実上、後退している。
北朝鮮が非核化を約した2つの宣言履行を巡って、核廃棄が先か、見返り措置が先かと対立してきた事は周知の事である。しかし、今回、「北側は米国が6・2米朝共同宣言の精神に従い相応の措置をとれば、寧辺核施設の永久的廃棄のような追加措置をとる用意がある」として見返り措置が先であると明記した。最も肝心な部分で、北朝鮮側に押し切られた結果となった。

米側は非核化対象のリストや工程表提出を繰り返し北朝鮮側に求め、文も訪朝に先立ってトランプ大統領から念押しされていた。金正恩との単独会談でもその点を繰り返し説得したとみられるが、合意書を見る限り、明確な成果は得られなかったようだ。
ただ、外交に付き物の裏取引もあり得る。文は24日にトランプと会い、今回の訪朝結果を伝えるが、報道陣に対して大統領府は文・金会談では公開出来ない話があったとして、「金正恩の真意」をトランプに直接伝え、理解してもらう意向を示している。文・トランプ会談を見ないことには即断できないが、前途多難である。

金正恩の、文を巻き込んだ新戦術の狙いは透けて見える。北朝鮮の核施設は寧辺だけではないが、非核化の対象を極力そこに集中させ、文を仲介に譲歩を装い、逃げ切る作戦であろう。
そうして最終的には過去の核に蓋をし、米国とは事実上の核保有国として核軍縮交渉に臨むということである。

1ヶ月半ほど前の前回のブログで、トランプと金正恩はこれから互いに中国の顔を窺いながら脅しすかしの我慢比べに入ると指摘したが、ほぼその通りの展開となった。
両者共に強気を崩さないが、足元は脆弱である。経済的困窮が深まる金正恩は立ち枯れ、ロシア疑惑やセックス・スキャンダルを抱えたトランプは泥沼状態にある。
そこから一種の腐れ縁、すなわち、金正恩は米国の制裁解除に希望を繋ぎ、トランプは北朝鮮外交の成果で中間選挙を乗り切ると奇妙な相互依存関係にある。それが第2回米朝首脳会談を現実味あるものにしているが、一歩間違えば互いに命取りになりかねない危うさも秘めている。

金正恩は9日の建国記念日に5年ぶりの大規模軍事パレードを行い、文には17万収容のスタジアムでマスゲームを披露した。いずれもかなり前から莫大な費用と労力を投じて準備したものであるが、所期の目的を達することが出来なかった。
というのも、金正恩は当初、後ろ楯と頼む中国の習近平主席の訪朝を当てにして準備していた。朝中の結束を誇示して米国に対抗し、同時に中国からの経済支援を引き出す狙いがあったのである。

外交経験不足の金正恩は大きな思い違いをしてしまった。習は3、4日に北京で開いている「中国アフリカ協力フォーラム」に「今年最大の主場外交」(王毅外相)と総力を挙げていた。持論の一帯一路に今後急成長が期待されるアフリカを取り込む狙いである。「一帯一路は米中新型大国関係構築の要になる」と『二人のプリンスと中国共産党』で書いた通りである。金正恩は習のそうした思惑を理解できず、一人相撲で苦しい国家財政をさらに苦しくしてしまった。
習としてはそうでなくとも貿易戦争で険悪化するトランプの怒りを買うことは避けねばならない。代わりに建国記念日式典にナンバー3とされる栗戦書を送り込んだが、外交を統括する盟友の王岐山ならともかく、栗では体裁を整える以上の意味はない。

金正恩が今後最も神経を尖らすのは制裁解除であるが、それを金正恩を動かすビバレッジと考えているトランプが寧辺核施設の条件付き廃棄や既に用済みの東倉里ミサイル実験場閉鎖程度で解除に応じるとは考えにくい。
制裁が現在のレベルで続けば、凶作の今年、北朝鮮国民は深刻な飢餓に直面し、金正恩政権への不満、怒りは極限まで高まろう。

とはいえ、トランプも予測不能な面がある。深夜に「ピョンヤン宣言合意書」にツイッターで歓迎の意思を表し、金正恩との第2回会談に前のめりになっている。外交的成果を挙げ、泥沼からなんとか脱しようと必死だ。
11月6日投開票の米中間選挙は事実上就任2年のトランプ大統領への信任投票となるが、焦点は共和党が下院で過半数を維持できるかにある。現時点で共和党は民主党に支持率で後れをとっている。
民主党が過半数を奪還すれば、トランプには最悪の事態が待っている。マラー特別検察官によるロシア疑惑捜査はほとんどトランプ黒で固まりつつあり、民主党主導の下院でトランプ弾劾裁判が始まることが十分に予想されるのである。
核実験やミサイル実験停止程度でも米国民を喜ばせ、有利な投票を見込めると判断して安易に妥協する可能性も排除できない。

その意味では文大統領の役割が重要となるが、低賃金引き上げ問題で躓き、支持率が急落している。功を焦って事態をより複雑にしかねない。
越南者でもある文を見ていると、親日軍事政権と朴正煕政権を糾弾した民主化勢力の宿業みたいなものが見えてくる。朴政権時代に今日の発展の基礎が築かれた韓国という国体に誇りと自信が持てず、反射的に抗日独立闘争の英雄とされる金日成に憑かれてしまう傾向である。
金九の上海臨時政府を過度に評価し、韓国近代化の礎を築いた朴正煕の時代を正当に評価しない限り、その呪縛は続くだろう。付け加えれば、金九は金日成が呼び掛けたピョンヤンでの南北協商会議に参加し、韓国政府樹立の単独選挙に反対している。

今日午前、文は金日成が抗日闘争を行った聖地とされる白頭山を訪れた。私もかつて訪れ、独特の厳かな雰囲気に魅了された記憶がある。
北側に心情を見透かされ、ミイラ取りがミイラになる可能性がなしともしない。

北朝鮮核武装容認は東アジアに共滅の核拡散ドミノを引き起こすのは必定である。
文大統領には、核に正義はなく、北朝鮮核保有は朝鮮民族と東アジアの悪夢である事をゆめゆめ忘れず、非核化の初心を貫いて貰いたい。その先にノーベル平和賞がある。
ポンペオ国務長官が明日5〜6日の日程で三度目の訪朝をする。「2年半以内に実現できると見込んでいる」と北朝鮮非核化について述べた。トランプ大統領もツイッターに「北との対話はうまく行っている。ミサイル実験も核実験も8ヶ月以上ない。私がいなかったら戦争が起きていただろう」と書き込み、ポンペオ訪朝に期待を込めた。
米朝首脳会談はいよいよ内実を問われるが、我慢比べの様相を帯び、今後の展開は予断を許さない。

と言うのも、私がかねてから指摘しているように、米朝関係はその実、北朝鮮の事実上の後見人である中国と米国の力関係の試験場でもあるからである。
それをよく弁えているのが金正恩委員長自身であり、トランプ大統領との会談直後の6月19、20日に三度目の電撃訪中をし、習近平主席に「経済制裁で大きな苦痛を受けている」と訴えた。
習は待っていたように、ロシアと共同で国連安保理に制裁緩和案を出した。それが米国の拒否権で霧散したことが、米中の綱引きが水面下で熾烈化している事を如実に物語る。

米中は6日にそれぞれの輸出品に25%規模の関税をかけると予告している。貿易赤字削減とハイテク分野の覇権が絡んだ貿易戦争が激しくなるほど、互いに北朝鮮を相手を揺さぶるカードに利用しようとするだろう。
それが北朝鮮核問題を一段と不透明化していることは否めない。

今後の見通しをする上で重要なのは、制裁強化と軍事的圧力の二つが金正恩政権を対話に追い込んだ意義を再確認することである。
米韓合同軍事演習の中止は金正恩にとって大きな成果である。だが、制裁緩和は一向にはかどらず経済的な苦境は深まり、飢餓線上の北朝鮮国民の不満が強まると共に金正恩政権の基盤は弱体化している。暴動が起きる可能性も否定できない。
他方のトランプ政権は中間選挙を控えて具体的な成果を求めている。
我慢比べとなっているが、不安定な状態がそれほど長く続く保証はない。

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