河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

朝米和解のプロセス

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米ミサイル防衛局は5月30日、米国初のICBM迎撃実験に成功したと報じた。その前日の29日にトランプ大統領はツイッターで「北朝鮮は弾道ミサイルをまた発射し、中国に対して大変無礼なことをしている」と呟いている。ICBM迎撃実験は直接的には北朝鮮を意識していることが明らかだ。

と言うのも、29日早朝、北朝鮮は東海岸の元山から弾道ミサイルを発射し、翌日の朝鮮中央通信は「精密操縦誘導システムを導入した新型弾道ミサイル発射を金正恩委員長が指導し、成功させた」と報じた。朝鮮中央テレビはこれ見よがしに発射の模様を流し、「予定目標より7メートルの誤差で命中」とシミュレーション画像を繰り返した。
それに対する直接の回答がICBM迎撃実験という訳であるが、トランプ大統領は親子ほども歳が離れた金正恩委員長といつまでもチキンゲームを続ける気は毛頭ない。事態はいよいよ最終局面に達しつつあると読める。

孫子は「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」と述べたが、この兵法の大原則を知らないのは、トランプか金正恩か?

結論から言うと、首脳外交らしき事をしたことがなく、外交経験がゼロに等しい金正恩の、最大の敵とするアメリカについての認識は極めて偏り、危うい。スイス留学時代に憧れたプロバスケットのイメージをいまだに引きずり、情緒的である。趣味のSNSで米情報を随時入手してはいるが、主観的に過ぎ、客観的にアドバイスしてくれるブレーンもいない。
焦眉の核・ミサイル問題でミサイルを乱発するなど、極端に反応するのはそのためである。もともと衝動的に動くタイプであるが、強気に見えて、その実、疑心暗鬼や内面の恐怖心をうかがわせる。

29日早朝のミサイル実験で金正恩が発射したミサイルは53発に達し、3回の核実験と併せ、金日成、金正日時代に比べ異常に多い。祖父、父は核大国・米国への冷徹な認識と彼我の政治力学的関係を踏まえた戦略的な思惑から慎重に実験したが、金正恩の場合は、やたら反発し、自分を認めて欲しいの一点張りで、子供じみている。自己の力を内外に誇示し、米国を交渉の席に引き出そうと昂るが、その実、恐怖感を隠せない。
29日の弾道ミサイル発射後、北朝鮮外務省報道官は「今は日本領土内の米国の軍事対象(米軍基地)が照準器内に入っているが、日本が敵対的な姿勢に変えなければ日本国内の標的を在日米軍以外に広げる」と威嚇した。
一種の人質作戦であり、日本海に展開しているカール・ビンソン、ロナルド・レーガンの2つの米空母艦隊を強く意識している。日本を恐怖に陥らせ、トランプが企んでいる先制攻撃を思い止どませたいというのが金正恩の本音である。
唐突な対空ミサイル実験も空襲を恐れてのことに他ならない。

金正恩は米国を脅せば交渉に応じると思い込んでいるが、それが根本的な誤りである。旧日本、ドイツに対する開戦、近いところではアフガン、イラク攻撃が物語るように、米国は伝統的に脅す相手にはより攻撃的になる。
トランプは北朝鮮への軍事オプションを公言しているが、金正恩が対米核攻撃を口にしている以上、核先制攻撃もオプションに加えていよう。

日韓のマスコミにはトランプが軟化し、対話に舵を切ったと報じるのもあるが、表面的な見方である。前掲のツイッターで「中国はhardに努めている」と付け加えているが、中国の対北制裁強化を期待し、猶予を与えているからに他ならない。
すなわち、トランプ大統領は4月の習近平主席との会談で北朝鮮問題に対処する目標期限として「100日間」を設定し、その間に中国が効果的な制裁・圧力を行使しなければ「単独行動する」と通告している。貿易赤字問題を解消する「100日間」だけ報じられ、秘密に付されていたが、訪中したソーントン国務次官補代行が5月26日に記者団に明らかにした。中国に約束の履行を迫る訪中であったのである。

その軍事オプションを通告した「100日間」の期限が7月上旬となる。国防総省のデービス報道部長は30日の記者会見で「2隻の空母が現在、西太平洋で定期の作戦行動を展開している」と公式に認めた。カールビンソンとロナルドレーガンの空母艦隊を指すが、31日から日本海で合同軍事演習を始めるとされ、ニミッツも加わると米メデイアは報じる。異例のことであるが、軍事オプションの目標期限の「100日間」を想定していると読める。

敵を読めない金正恩は、敵との相対関係で把握すべき自軍の実力も正確に把握出来ていない。
米国を核攻撃する能力を増強すると並進路線を大言壮語したものの、実際は核の小型化もミサイルへの搭載も未完成であった。それに気付いて、数次の核実験やミサイル乱射に及ぶが、逆に韓米にデーターを晒し、「核ミサイル完成は早くて2〜3年後」と認識されてしまった。

焦った金正恩は核ミサイル完成を北朝鮮科学者に必死に督励しているが、それが逆に、完成前に攻撃されるリスクを高めている。
敵が高度な武器を入手する前に叩くのが戦略戦術の要諦であるが、金正恩はそれさえも分からない。あるいは、薄々感じて恐怖心に駆られているのであろう。側近させも信じられず次々と粛清するのも強迫観念故と考えれば理解できる。

純軍事的にはかつてクリントン大統領が言ったように、水爆3発で方がつく。しかし、民間人の大量被爆は広島、長崎以上の人道犯罪の謗りを免れず、たとえトランプと言えども躊躇うだろう。
逆に言えば、金正恩は米国もさすがにそこまではしないだろうと、自国民を盾に取っていることになる。気ばかり強くて経験不足の青年は、米国を敵視しながら、どこか幻想を抱いているのである。

だが、トランプは金正恩が米国を攻撃する核ミサイルを保有するのを絶対に座視しないことだけは明らかである。
ロシアゲートなどで追い詰められている中、かつてブッシュ大統領がアフガン、イラク攻撃で支持率をアップさせたのに倣い、北朝鮮攻撃に踏み切る可能性は十分にある。地下貫徹のバンクバスターに戦術核を搭載し、金正恩の地下司令部などを瞬時に吹き飛ばす作戦などが漏れ伝わる。
金正恩は米国を甘く見ないことである。保身ではなく、北朝鮮国民を第一に考え、中国の仲裁を受け入れて核放棄、改革開放へと向かうしかない。

なお、米国のICBM迎撃実験の真の狙いは、先の見えた小国北朝鮮ではなく、中国、ロシアである。『二人のプリンスと中国共産党』で明確に俯瞰したように、米中は当面、新型大国関係を構築しながら世界秩序維持に協力するが、いずれ社会主義か資本主義かの体制的な選択で決着をつけねばならなくなる。米国のICBM迎撃実験はTHAAD配備とともにその布石に他ならない。
日韓はその間で揺れるが、日本については近著『日本の改革 首相を目指した在日・新井将敬』で考察した。
米国などとイランとの核交渉が2日、妥結した。細部に問題点を残すが、基本的には解決する方向へと大きく動き出した。
世界の関心は、もう1つの核問題である北朝鮮へと向かっている。

イラン核交渉妥結が北朝鮮核問題解決にいかなる影響を与えるか賛否両論あるが、基本的には好影響を与えよう。
結論から言えば、核問題解決のみが経済制裁を解き、北朝鮮が切実に望む外国の経済協力を得る唯一の道であるとのメッセージを金正恩政権指導部に伝えることになるからである。

イランが核交渉へと動いたのは経済制裁で逼迫する生活への国民の不満が高じ、政権が無視できなくなったからである。
翻って北朝鮮。イランのように石油を産出せず、食糧も自給できず、外国の支援なくしては餓死者が出る。戦略物資の対外依存度がイランよりはるかに高く、国民の不満は極限に達している。

核心層は「米帝国主義のせいだ」と耐えているが、絶対多数の国民はいつまでも食糧問題1つ解決できない政権の責任に目を向けている。治安強化で抑え込むのは難しくなっている。
イラン核交渉が妥結し、国民生活の向上が伝われば、核心層にも動揺が広がろう。

具体的に検討しよう。
ウオールストリート・ジャーナルは4日、イランと北朝鮮の核問題には5つの違いがあるとして、「格別に影響を与えない」と断じたが、はたしてそうであろうか?

その1は、イランは核開発途上であるが、北朝鮮は10個前後の核爆弾を有するとする。
確かにその違いはあるが、この立論は核保有の政治的軍事的効果を前提にしている。しかし、メリットよりもデメリットの方が大きいとなれば話は別である。

現に北朝鮮に対する米国の軍事的圧力は、労働新聞の論調を見れば明らかなように、先制核攻撃を含める米韓新抑止戦略となって北朝鮮を圧迫しており、核保有を逆効果もしくは無意味化している。
世界最強の核大国の核搭載ICBMの照準に四六時中入っている恐怖は、計り知れないものがあろう。
北朝鮮はイラク、リビアが核開発を放棄した事が軍事干渉を招き、政権崩壊に繋がったとしばしば主張するが、イラン核問題解決がそうでないことを証明する良い前例となる。

第2は、イランは経済制裁解除が見返りとなるが、北朝鮮は在韓米軍撤収問題を議題に挙げる点である。
しかし、在韓米軍問題は韓国と米国の問題であり、韓国与野党共にその点で一致している。北朝鮮が韓国の内政に干渉するのは筋違いとなる。

第3に、北朝鮮の核施設が不透明で、NPTから脱退しているため把握しにくい点である。
これは技術的な問題であるが、狭い北朝鮮の査察はそう難しくない。

第4に、北朝鮮が核交渉自体を拒否している点である。
北朝鮮国連代表部関係者はイラン核交渉妥結を受けて「先に核兵器をなくすことはない」と強調したが、交渉を有利に運ぶ外交的なレトリックと見た方が良いだろう。
核放棄は北朝鮮の体制に影響を与えないことを保証すれば済む。

第5に、オバマ政権の関心が低くなっている点である。
任期2年を切ってイラン核交渉に全力投球し、北朝鮮核問題は現状の制裁中心に据え置くというものであるが、戦略的に見て、この問題が一番厄介かもしれない。
オバマ政権はアジアへのリバランス戦略を進め、軍備を東アジアに集中させつつあるが、北朝鮮の脅威は中国の反発を交わす口実に出来るからである。

特に、集団的自衛権行使に向けた安保法制整備など、日本の軍備増強と自衛隊の活動範囲拡大に北朝鮮問題が必ずと言って良いほど利用されている。
日朝交渉停滞の最大の原因もそこにある。

金正恩政権がこの隘路から抜け出す道は、第1に中国との関係修復、第2に韓国との関係改善である。
そのためにも核放棄が前提となるが、金正恩国防委員長にそうした問題認識と決断力、行動力があるか、それが問われる。
『ザ・インタビュー』サイバー攻撃問題でオバマ大統領が実施した制裁措置に反発した北朝鮮国防委員会政策局が7日、声明を発表し、米政府に対して制裁措置の全面撤回を求めた。
原則的な立場と称して喧嘩腰に3項目の要求を突き付けているが、その是非云々以前に、情勢認識が主観的、誇大妄想的で極めて危うい。
旧日本軍が自己を過信し、米国を過小評価して無謀な対米戦争に突き進んだ前轍を踏もうとしているかのようである。

若い指導者が自己の権威を誇示しようと無理に背伸びするのはよくあることであるが、内政と外交を混同すると自国民に取り返しのつかない災禍を及ぼすことになりかねない。
金正恩第1書記が標榜する先軍思想なるものは客観的には暴力剥き出しの軍国主義の一変種であるが、力で世界を従わせようとすると、より大きな力から手痛いしっぺ返しを食らうことになる。

国防委政策局声明は「偉大な呼び掛けが全民族は勿論、世界の心を熱くしている」と金第1書記が新年の辞で南北首脳会談や南北対話を呼び掛けた事を自画自賛しているが、実態は、北朝鮮国民はともかく、韓国民や世界は冷ややかに眺め、真意を疑っている。
韓国が呼び掛けた無条件対話ではなく、従前のようにあれやこれや条件をつけ、脱北者のビラ散布にも注文を付けているからである。
これでは、崔龍海書記らが仁川アジア大会場まで突然押し掛けてきて対話を提案しながら、舌の根も乾かない内に前言を翻した前轍を踏むようなもので、あまりに大人気ない。
至極当然の事であるが、対話とは相互譲歩と妥協であり、自己の主張を貫く場ではない。基本的なマナーを弁える必要がある。

独善的で極端な言動は、国際社会では自分の首を締めるだけである。
「ザ・インタビュー」サイバー攻撃で米国が制裁強化を発動すると、慌てて自己の関与を否定しているが、事前に報復を繰り返し予告し、昨年12月7日の国防委政策局声明は「米国への核洗礼まで宣布した我々の報復はその程度で終わらない」とまで言い放っている。今回の声明も「正義の懲罰」と称えている。
国際社会では、それを犯行予告もしくは犯行声明と呼んでいることを知らねばならない。

「ザ・インタビュー」問題で北朝鮮が神経質に反応するのは、過激言動で米国の気を引き、対話の場に引き出そうとする戦略が逆効果になっている事に焦っているからに他ならない。
失敗から教訓を汲んで軌道修正するのが普通の知恵のある遣り方であるが、危険極まりないことに、最高指導者の権威にこだわる北朝鮮は同じ過ちを繰り返す。

国防委声明は制裁措置撤回、敵対行為の無条件中止など3つを米政府に要求するが、その対価に自分は何を譲歩するか、特に米国が強く求める核廃棄にどう応えるかについて一言も言わない。
逆に従来の姿勢に固執し、「未曾有の超強度対応戦に突入した事を宣布する。自国領で銃砲の洗礼を受けたくなかったら、敵視政策を進んで撤回しろ」と、米本土攻撃を示唆しながら、恫喝している。

それを指示する金第1書記を北朝鮮国内では「肝っ玉が太い」と称えているが、国際社会では無謀、井の中の蛙と笑う。
しかし、北朝鮮国民の安全を思えば笑ってはいられない。
「ザ・インタビュー」サイバー攻撃に対してオバマ大統領は「安全保障上の問題」として対抗措置に踏み切った。
米本土への核攻撃まで示唆する北朝鮮に対していつまで言葉遊びと見逃すだろうか。
米世論の対北朝鮮感情も急速に悪化している。

中国、ロシアも一目置く核超大国の米国に対して小国の北朝鮮が核戦争を挑むこの度し難い情勢認識をまず正さなければならない。
北朝鮮外務省は30日、「核抑止力をさらに強化するための新たな形態の核実験も排除できない」との声明を発表した。
26日のノドンミサイル発射などを安保理決議違反とした国連安保理「報道機関向け談話」に、「絶対に容認できない」と反発してのことだが、公式に新形態の核実験を予告するのは初めてであり、金正恩政権の怒りのほどがうかがい知れる。

外交は感情に流れた方の敗けと決まっている。
北朝鮮は国防委員会の14日声明で、米国に対し「核打撃手段の主たる目標は米国」であるとの過激な表現を用いながら、敵視政策の撤回を求めている。
それが無視され、逆に制裁圧力が高まっていることに焦慮感を募らせ、正面突破を図ろうとしているとみられる。

米国を脅して朝米対話の交渉の席に引き出そうとする金正日政権時代から繰り返してきたいわゆる瀬戸際政策であるが、無論、米国が応じる可能性は1%もない。
そのような前例を作れば、米国の対外威信は地に落ち、真似るケースが続出するからである。

経験不足の金正恩第1書記は誤解している節があるが、ロシア、中国さえ腰を引く圧倒的な核戦力を有する米国が自国への核攻撃を公言する金政権を放置しているのは、口ほどではない、実際にはそのような脅威は存在しないと理解しているからにほかならない。
仮に脅威が現実のものであると認識しているとしたら、とうに実力行使で除去していよう。

昨年3月の第3回核実験と並進路線に対抗して米国は、挑発には核を含む先制攻撃で対応する新抑止戦略を韓国と共に定めた。
その狙いは、圧倒的な核戦力を誇示して北朝鮮を封じ込め、自制・修正する選択権を与える戦略的余裕を示したことにある。

米国が今最も知りたいのは、北朝鮮の核戦力のレベルである。
北朝鮮が実際に米国に核攻撃を仕掛ける能力を有するのはいつか、それによって米国の対応は変化する。それは金第1書記が甘い願望を抱く交渉ではなく、はるかにシビアな、おそらく無視できなくなった脅威を除去する先制攻撃である。

機関紙労働党機関紙『労働新聞』の16日付個人筆名論評が「どの国にもない、原子爆弾より強力な武器を有している」と示唆している。韓米情報機関はそれに注目し、観測を強めている。
北朝鮮外務省の予告通りに第4回核実験に踏み切るとすれば、1ヶ月程度でより具体的な動きが可視化してくるはずだと、目を凝らしていよう。
つまり、第4回核実験は金第1書記の意に反して、米国に願ってもない重要情報を提供することになるのである。

韓米は密かに、前回の核実験がプルトニウム型かウラン型か確証をつかめなかったので、その点に注目している。
また、核弾頭化に不可欠な小型化、軽量化のレベル判定にも神経を尖らせている。

客観的に見れば、北朝鮮の核が軍事的な勝利を金正恩政権にもたらすことはできない。韓国、日本に一定の損害を与えたとしても、北朝鮮全土は核の焦土と化すだろう。不用意に核攻撃を公言したことで、逆に核攻撃される危険性を高めてしまったのである。
核はあくまでも外交的に米国、韓国、中国、日本を揺さぶるカードとして意味があったが、それも限界に来ている。

核保有の公然化で米国の核戦力を無力化しながら米韓日を協商のテーブルにつけ、経済協力を得て経済建設を進めようというのが並進路線が描く青写真であるが、我田引水にすぎ、事実上、破綻している。
金第1書記は新年辞で約束した国民の生活向上を達成して、来年にも第7回党大会を開催して権力基盤を固めたい。
しかし、現実が迫る選択は、並進路線の修正で南北首脳会談に応じ経済再建の実を取るか、引っ込みがつかなくなって自滅へと暴走するか、二つに一つである。
金第1書記は本当の意味で指導者としての力量を問われている。北朝鮮外務省が予告した第4回核実験は、それを推し量る重要な契機となろう。
韓米の新抑止戦略は、北朝鮮指導部に衝撃を与えている。
6日付民主朝鮮は個人論評で「核、ミサイルを含むあらゆる武器で我々を先制攻撃することを基本内容とする」と非難し、危機感を露にしている。

核と経済建設を同時に進める並進路線を全面に押し出した3月、4月当時なら、核には核でと強気に出たであろうが、論調は極めて抑制的である。動揺すらうかがえる。
無謀な並進路線が米国の強大な核戦力の前方展開を招いてしまった恐怖を実感しているのであろう。

米国が世界最大の軍事大国と恐れられているのは、中ロさえ畏怖する圧倒的な核戦力が睨みを利かしているからである。
しかし、それは反人道的な使えない武器である。
その封印を解いてしまったのが金正恩政権にほかならない。

核先制攻撃を明確なオプションにした新抑止戦略は普通なら全世界からごうごうたる非難を浴びるところだが、そうした声がほとんど聞こえない。中国さえ沈黙している。
金政権の常軌を逸した対米核全面戦争キャンペーンが、やむを得ないとの雰囲気をつくってしまったのである。

これだけでも並進路線は完全なる失敗である。
米国と北朝鮮の核戦力は大人と子供以上の差がある。通常兵力だけで北朝鮮を制圧するのは相当な損害を覚悟しなければならないが、使えない武器である核を用いれば、瞬時に決着がつく。
向こう見ずな金正恩第1書記も、自身が核照準に入っている恐怖を実感していることであろう。

並進路線は経済的にも北朝鮮を疲弊させた。
短期決戦を目論んで人的物的資源を総動員したものの、期待した譲歩を韓米から得られなかったばかりか、中国からも金融制裁などを受け、経済は立ち行かなくなっている。

とりわけ、食糧、石油などの戦略資源を海外に頼る北朝鮮にとって外貨枯渇は致命的である。
中国との貿易は与信業務が制限され、現金決済が求められるが、今年1月から8月までみても4億ドルの赤字であり、外貨調達に四苦八苦している。
シリア、ミャンマー、イランとの交易も先細りとくれば、自ずと選択肢は限られてくる。
金永南委員長が金第1書記が経済に集中していると述べたのは、にっちもさっちもいかなくなった窮状を暗に示唆しているのであろう。

労働新聞を含めた北朝鮮メディアは朝中国交樹立記念日の6日、一斉に論説を掲げ、隣国の外交的経済的な発展を称え、伝統的な友好関係の維持強化を訴え始めた。
米国の核の恐怖を和らげ、経済を再建するには中国に頼るしかないと、ラブコールを送っているようなものである。
崔龍海の言質以来の6カ国協議復帰の流れに従って、非核化を決断するのは時間の問題と読める。

ケリー国務長官の不可侵条約呼び掛けはその呼び水なのである。
朴槿恵大統領はバリで習近平主席と再度会談し、北朝鮮非核化への協力を呼び掛け、習主席も応じた。
大枠は朴大統領、習主席、オバマ大統領の交差首脳会談で決められていると見るべきであろう。

習主席とまだ会談も出来ていない金第1書記が、三国交差首脳外交の流れを変えるのは不可能に近い。
傷口が深くなる前に並進路線を廃棄し、経済再建に集中することを決断出来るか、その一点に北朝鮮の運命が掛かっている。

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