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北朝鮮が金剛山開発に釈迦力になっている。
『証言北ビジネス裏外交』に詳しいように、同事業は金正日総書記が後継者時代から力を入れてきた国策事業であるが、行きつ戻りつで行き詰まり状態になっている。
直接の原因は08年7月に韓国人観光客が統制地域に紛れ込んで射殺された事件であるが、より根本的な原因は北側が韓国側との協約を遵守しないことにある。
北は金剛山開発に韓国の現代グループと50年間の事業独占契約を結び、1998年からホテル、ゴルフ場、インフラ整備などに3億2千万ドルが投じられてきたが、北側は昨年、韓国政府資産の没収を通告し、今年に入って現代の独占権剥奪と資産没収を通告した。
こうしたことは在日企業が長年経験し、「北に投資するとすべてをなくす」と言われてきたが、同じことが繰り返されつつあるわけである。
これでは北朝鮮に投資する物好きな企業は現れまい。
朝中投資協定と中国政府のバックに守られた中国企業が進出し、いいように買い叩くだけである。
金剛山問題は北朝鮮が国際投資を呼び込めるかどうかの試金石になる。
金総書記は本気で国際投資を呼び込もうとするなら、謙虚に国際法の基本から学ぶ必要がある。
金総書記や後継者の気分に左右されるようでは法治国家とは言えない。国内はともかく、外国との取り決めは何があっても遵守するとの姿勢を示さなければ外資誘致など絵に描いた餅である。
特に紛争が起きたときにそれが試されるが、北にはそれがまだ理解できない。
韓国との関係も法的に明確にする必要があろう。
同族だからと甘えず、相互の協約は国際ルールにしたがって遵守しなければならない。
そのためには南北が法主体となること、つまり国交樹立が分かりやすい。
北は韓国に野党政権が誕生すれば自分たちの要求が通りやすくなると考えているふしがあるが、勘違いである。北の実情を知った韓国民の対北意識は大きく変化している。
民主化の伝統を受け継ぐ野党政権が再登場すれば、これまでの経験を生かし、人権、民主化でより厳しい条件を付けてくる事が予想される。
その意味では朴正煕独裁政権の流れを受け継ぐ与党政権の方が話しやすいという指摘にも一理ある。
8月30日、李明博大統領は対北朝鮮強硬派の玄仁澤統一相を新設の大統領統一政策特別補佐官にし、後任として南北秘密接触にかかわってきた柳佑益(リュ・ウイク)前駐中大使(61)を内定した。任期切れまで1年半、北朝鮮との対話に舵を切る可能性がある。
金総書記もいよいよ最終決断をする正念場である。
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