河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

ピリッと世評

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景福宮瞑想(続)

今、金浦国際空港の出国ロビーでのんびりとテレビを観ているが、まだ時間があるので改めて韓国の印象をまとめてみる。
昨年のロウソクデモ以来の韓国だが、この国の変化の速さを実感させられたのがカード社会である。

今回、現金と共にカードを準備して持参したが、コンビニやスターバックスの支払いから娘・孫への土産まで全てカードで済ませ、現金をほとんど使わなかった。日本では体験しなかった驚きであり、韓国は完全なカード社会に変貌した。
タクシーもカードで払ったが、「3年前ぐらいからカードに切り替えられた。税金のとりっぱぐれがなくなったので、国としては好都合なのでしょう」との運転手の言葉が事の本質をついている。
日本ではアリペイなど中国が話題に上がるが、韓国の比ではない。中国のカード普及率は60%台だが、韓国は90%で世界ダントツの1位だ。現金決済は13%という数字もある。
5Gでピョンチャン・オリンピック放送をするなどインターネット普及率で韓国は世界トップを走ってきたが、そのネットインフラがカードの急速な普及を促したとみられる。
仮想通貨が問題になっているが、現金決済が姿を消し、通貨の社会的な役割や概念が変わるのはもはや現代社会の趨勢と言うべきであろう。

現在の韓国を語る上でもう一つ見逃せないのが、青年の就業問題である。
日本にいるときは9%前後の韓国の青年失業率の深刻さがテレビ、新聞で取り上げられていたが、学歴社会特有のカラクリがあることを今回、知った。

大卒の仕事は70万人分足りないが、逆に高卒以下は110万人前後の労働力が足りないという注目すべき数字がある。
つまり、仕事がないのではなく、選んでいるのである。
実際、職にあぶれるという暗い雰囲気はなく、ミョンドンなど見た目にも元気な青年たちで溢れ、活気があるのはそのためであろう。
ミスマッチの間隙を埋めているのが中国、東南アジア、スリランカ、バングラデッシュなどからの外国人労働者である。
韓国は日本以上に少子高齢化が進んでおり、大きな転換期に差し掛かっていることは間違いない。

意外であったのは、思っていたほど北朝鮮が話題になっていないことだ。
代わって、ワールドカップで韓国が初戦に破れたことが衝撃となり、今夜のメキシコ戦に注目が集まっている。

良くも悪くも韓国人は熱く、楽天的である。
私もこれから飛行機に乗り、家でゆっくりメキシコ戦を視聴するつもりである。

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景福宮瞑想

イメージ 1

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景福宮の一隅にあるカフェのテラスのチェアーで一眠りした。緑茶をすすり、木々を渡ってくる心地よい風を感じているうちに軽い眠りに落ちてしまった。
目が覚め、周囲をボーッと眺めているうちに、百数十年前のこの空間はどんなだったろうと想いを巡らせた。

目前を韓国人に混じって中国人、米国人、スウェーデン人、日本人、マレーシア人等々が列をなして通りすぎていく。男女問わず、韓国の伝統衣装である韓服を着ている人が少なくないのが、幻想的ですらある。
とりわけ、チマ・チョゴリを華麗にドレスのように着て楽しんでいる黄白黒の女性たち(写真Aはスウェーデン人一行)を見ていると、韓流ドラマと似て非なる世界が見えてくる。そして、それを楽しんでいる自分が時空を超えた気儘な観察者に思えてきた。

18日に釜山近くの金海空港から韓国入りし、高速道路を走って東海岸の港湾都市統営に入った。翌日、大河小説「土地」の作者の朴景利記念館を訪れた後、遊覧船で李舜臣将軍が豊臣秀吉の水軍(脇坂軍)を撃破した閑山湾戦闘の現地を訪れた。李将軍の指揮所が制勝堂として保存されている。
写真Bはそこで撮ったものだが、背景の狭い湾を見れば勝因は明らかである。一帯はリアス式海岸の多島海であり、大小の湾が入り交じっている。その一つに日本水軍は誘き寄せられ、両側から挟撃され、47隻中12隻が沈められる惨敗となった。

その翌日、忠清北道の天安市の独立記念館に向かった。日本植民地時代の独立闘争を記念する広大な記念館であるが、興味深かったのが、社会主義者の独立闘争が一つのコーナーで紹介されていたことだ。
金日成の名はなく、金九らが中心の構成であるのはいつもの通りであったが、朝鮮共産党創始者の一人であるチョ・ボンアムの名が当時の日本の新聞記事を引用しながら登場していた。反共を国是としてきた韓国で恐らく初であろう。歴史教科書改訂などイデオロギーを超え、事実を事実として記述しようとする風潮がうかがえた。

さらに20日には扶余に移り、李朝時代からの古民家などを集めた民俗村を訪れた。30万坪の広大な敷地を駆け足で見学したが、李朝の崇儒抑仏の下でも弥勒菩薩が山間に祭られ、弥勒信仰が民衆の間で広まっていたことを実物で知ったのは当時の世相を新たな視点から分析できる大きな収穫であった。

とまあ、これまで訪れたコースとは全く異なるコースから韓国を訪れ、別の視点から新しい発見があった。
と言うのも、今回、日韓の未来を担う国際的人材育成という独自の教育理念を掲げた茨城県の中高一貫校である青丘学院の理事を引き受け、修学旅行に随行したからであった。

そして今日から、学生たちと別れて自由行動となり、景福宮を訪れた。
私は韓国に来ると、必ずここを訪れることにしている。韓国の自負心を直に感じる場だからだ。

最初に訪れたのは自著『朴正煕』の取材のためで、金泳三政権の時であったが、王宮前には旧朝鮮総督府の建物が建っていた。非常にグロテスクに見えたものだ。
その次に訪れた時には撤去工事が始まり、来る度に古の趣が復活した。正門の光化門が復元され、昔ながらの色彩豊かな軍装の衛兵が仁王立ちし、交代式も復活して観光客を楽しませるようになった。
一般公開された王宮内部でも大規模復元工事が行われ、今回は後宮の庭園が整備され、水路が往時の姿で水を流しているのを確認した。新たに興福殿の復元工事が年内完工を目標に進められている。
来る度に旧王宮の姿に近付いているのは韓国がそれだけの国力をつけた証であり、自負心である。・・・と、感じている私の自負心でもあるだろう。

今や韓流ドラマの影響で世界中から観光客が訪れ、ドラマの主人公たちと同じ服装をして王宮の中を歩き回っている。
貸衣裳屋が景福宮の近くに店を構えネットで売り込んだのが当たったのであるが、韓流にうまく乗ったということである。

今や世界の中の韓国であるが、韓国自身はその事をどれだけ理解しているであろうか。
伝統文化の心臓部である旧王宮内を、往事の姿で多国籍外国人が闊歩するのは韓国ぐらいであろう。単なるお国自慢や観光政策で済まされるレベルを超えている。
時空や人種、国籍を超えた普遍的なものがあるように思えるのである。

明日は韓国語訳版『朴正煕』の新版の打ち合わせをする。自由韓国党が理念を見失い、分裂、自滅状態の今、最貧国の韓国を経済大国への軌道に乗せ保守の精神的拠り所となった朴正煕元大統領の再認識が不可避である。
私は保守ではないが、革新と保守共に偏る傾向がある以上、相互のバランスは必ず必要である。

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規模や分野はまるで異なるが、前途ある多数の高校生が犠牲になった旅客船事故は、日本中を震撼させた原発事故と驚くほど似ている。
市場経済社会が宿命的に抱える病巣みたいなものが見えるのである。

その感を強くしたのが、セウオル号が沈没直前に珍島沿岸海上交通管制センターと交わした交信である。福島原発事故直後に現場が東電本社、首相官邸と交わした通信記録を想起せしめた。
危機に直面した人間心理が露出している。

20日に韓国政府が公開した交信記録には「船が傾いて脱出不可能」「今脱出させれば救助できるのか」と、セウオル号側が状況を絶望的に捉え、船長が適切な指示を出せず、乗客よりも自分等の安全を考えていたことが如実に出ている。
実際、船長、航海士、操舵士、機関士ら操船に携わる15人全員が脱出し、置き去りにされた乗客や一般乗務員に多くの犠牲者が出た。
二時間もの間、「動かないように」との船内アナウンスを真に受けて多くの生徒が沈む船と運命を共にしたが、職場放棄により助かるはずの命をも奪った船長らには、未必の故意による殺人罪を問うべきであろう。

福島原発事故でも、東電が水素爆発前後に全員退避命令を出した事が判明している。
それに従っていたら、原発三基は大爆発を起こし、何も知らされていなかった周辺住民、ひいては、私の住む首都圏全域も高濃度放射性物質に汚染され、死の地帯と化していたことであろう。

絶望的な状況に直面すると保身を第一に考える人間のおぞましい本性が剥き出しになる瞬間であるが、無論、そうでない人もいる。
沈没事故では客室乗務員14人は最後まで子供たちの救助に奔走し、大半が船と供に沈んだ。
福島原発事故でも、現場の所長が有志と最後まで原子炉対策に当り、被害の拡大を防いでいる。

想定外の事故であったため、政府があたふたとし、対応に遅れが目につく点も酷似している。
中央災害対策本部が発表した救助者、失踪者数が二転三転し、救助活動は統率がとれず、バラバラであった。
被害者家族が現場海域を事故翌日に視察した朴槿恵大統領の直接指揮を求め、大統領府に抗議デモをかけようとした心情は十分に理解できる。

日本でも菅直人首相が事故の一報を受けて東電本社に乗り込み、現場からの撤退指示を撤回させた。
この経緯については現場を混乱させただけとの批判が起こり、未だに真相は藪の中だが、それだけ指揮系統が乱れたという反証でもある。

しかし、両者に共通する最大の問題は、事故など起こるはずがないと高をくくっていたため、いざ起きた時にパニックに陥り、迅速適切な措置が取れなかったことにある。

船長はベテランで、四年前に安心と無事故をテレビで豪語したこともある。その船長を無責任男にしてしまったのは、ユ一族のファミリー会社である清海鎭海運の人命軽視とも言える利益至上主義にある。
実に危うい話だが、セウオル号は一昨年、日本の九州観光会社から購入した1994年建造の老朽船である。18年も使えば観光船としては寿命とされるが、ユ一族は補修をして15年寿命を伸ばし、同時に簿記上の価値を高めてそれを担保に産業銀行から120億ウオンの融資を受けている。

以上は21日に金融監督院が発表した監査報告書で明らかにされたことだが、不正を見抜けない行政監督の杜撰さも浮かび上がってくる。
海洋警察庁によると、さる2月の特別安全点検でセウオル号は良好とされたが、水密扉などの作動不良が発見されていた。その10日後に修理と海運組合仁川支部に報告されて済まされている。
客室や貨物室の無理な増設で、船の重心が不安定化していたことも見逃されていた。

出港にあたって報告外の貨物やコンテナが積み込まれていたことが判明している。
沈没事故当時、ドーンという音を聞いたと救助された複数の乗客が証言しているが、急な旋回で積み荷が崩れ、バランスを失ったと推測されている。
一部に飛び交う座礁説や潜水艦衝突説は無責任な憶測に過ぎない。
信じがたいことに、乗務員たちは退避訓練をしたことが無いことも判明している。

清海鎭海運は昨年赤字を計上し、経営が厳しかった。船主が詐欺まがいの方法でセウオル号を改装、借金し、経費をギリギリに切り詰めて運航していたことは明々白々である。
大株主ユ父子3人と海運会社代表らに出国禁止措置が取られ、厳しい捜査が行われているというが、至極当然である。

しかし、そうした危険な運航を長年放置してきた行政当局の責任も免れない。
その背景にあるのは利益至上主義と人命軽視からくる馴れ合いである。

朴槿恵大統領は就任早々、行政安全部を安全行政部と変え、人命重視を打ち出したが、下部に徹底しているとは到底言い難い。
韓国の安全管理に対して世界が疑いの目を向けている。観光立国の名誉にかけても、全船舶への再点検が欠かせない。

全く同じことが日本にも言える。原発事故は地震火山大国に原発を乱造した原発安全神話が招いた人災である。その背後に利益至上主義と人命軽視があったことは言うまでもない。
沈没事故は、改めてその苦い教訓を思い起こさせる。

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みなさん、明けましておめでとうございます。
世界の平和、人々の安寧な暮らしを祈念しながら、今年もタブーなしに、侃々諤々の議論を交わしましょう。

このプログは一見地味ですが、かなり広く読まれ、海外にも読者がいます。
思想、信条を問うことなく、百%表現の自由を享受する場として維持発展させるために、根拠を示さない非生産的な攻撃、誹謗は慎むのが最小限のルールとわきまえましょう。

今年も宜しくお願いします。

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 紳助と橋本には共通性がある。
 ともに大阪で人気があるのは独特のクササがドラッグのように大衆を麻痺させる。

 前者はヤクザ、後者はファシストのアウトローだ。
 失業不安や閉塞状況への不満のはけ口を求める大衆には刺激的でおもしろい。

 だが、そうした現象は知力の劣化の裏返しである。
 そのどす黒い沼の底には、民主主義への飽きと敵意がうごめき、ノルウェーで起きた白色テロ的な力信仰が増殖している。

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