河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

南北関係・統一論

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韓国と北朝鮮との南北高官会談は25日深夜1時直前、合意に達し、南北同時に共同報道文を発表した。
南北の緊張常態は収まったが、最大の収穫はその陰にある。

25日付の労働新聞は南北高官会談が合意に達したと伝え、6項目の共同報道文を掲載した。
その第2項で「北側は最近軍事境界線非武装地帯南側地域で発生した地雷爆発で南側軍人が負傷した事に遺憾を表明した」と、韓国と合意した通りに伝えた。
事実上の謝罪であり、前回「大きな賭けに出た金正恩」で指摘したように、今回の高官協議が始まった経緯を考えれば、その意義は決して小さくない。今後の南北対話の分水嶺となろう。

一部には「明確な謝罪がなかった」と不満の声もあるが、交渉術を理解しない皮相な見方である。
北朝鮮側代表の黄炳瑞軍総政治局長は同日夕方のピョンヤンのテレビに出演し、「共同の努力により南北関係改善の新しい雰囲気が同意できた事は幸いと考える。真摯な姿勢で合意を履行する」と会談の成果を強調している。
その一方、「根拠のない事件をでっち上げ、一方的に非難した」と、遺憾表明が地雷事件に対するものではなかったかのように述べているが、南北合意の下での政治的な予防線と読める。
実際、韓国政府に取り立ててそれを非難する気配はない。北朝鮮の準戦時体制解除の時期を拡声器放送中止と「同時」と付け加えた第6項も含め、想定内であったということである。

仮に北朝鮮側が明白な謝罪でもしたら、金正恩委員長の権威は傷付き、責任問題で内部が激しく動揺するであろう。
韓国側も北朝鮮が混乱する事態は望んでいない。
43時間にわたる異例のマラソン徹夜交渉をすれば自ずと相手の事情や本音が見えてくる。黄総政治局長とカウンターパートナーの金寛鎮大統領府安保室長との間に阿吽の呼吸に似たそれなりの理解と信頼関係が生まれたということである。2+2の南北高官が疲労感の中に安堵感を漂わせ、交互に入り交じって記念撮影した写真にそれがうかがわれる。
今回の南北高官会談の最大の成果は、まさにそこにある。

板門店の韓国側施設「平和の家」で行われた南北高官会談の様子はCCTVを通して韓国大統領府に生中継されたが、韓国は北朝鮮側にも映像を送り、金正恩委員長が執務室で観れるようにした。金安保室長と黄総政治局長はしばしば中座して指示を仰ぎ、時に二人だけで交渉を煮詰めている。
つまり、事実上の間接的な南北首脳会談であった。

それだけに、「遺憾」の形で北朝鮮が事実上、謝罪した意味は大きい。
朴槿恵大統領は「挑発には断固対応する」と原則論を強調し、緊張を激化させて何らかの対価を得る従来の瀬戸際戦術がもはや通じないことを明確にした。
今後の南北関係に劇的な変化をもたらす分水嶺となる可能性がある。

雨降って地固まるような朝鮮半島の信頼醸成は、半島有事を周辺危機事態と想定して進められている日本の安保法制案の議論にも少なからぬ影響を与えるであろう。

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(FAO作成の2014年→2015年度北朝鮮の穀物別生産量推定値)

金正恩政権が直面する最大の課題は、国民を食べさせる食糧問題にある。
どの政権もつまるところ、国民の生命と生活を守るために存在するが、北朝鮮国民が現在直面する最大の危機は、外にではなく内に、今日明日の命をつなぐ食糧問題にある。

北朝鮮国民の中でも、300万とも言われる餓死者を出した1990年代の悪夢を彷彿させる食糧不足への恐怖感が急速に高まりつつある。
全国の農地が乾ききった異常事態を目の当たりにし、秋の収穫への展望が立たなくなっているからである。

金正恩政権にも危機感がじわり広がり、6月23日の労働新聞は1面トップに「党の戦闘的呼び掛けに応え、農作物耕作を主体(チュチェ)農法の要求通りに行おう」との社説を掲げ、「100年来の大干魃」を克服しようと国民の奮起を訴えている。
だが、国民に1滴の水も無駄にしない精神論を鼓舞するだけで、党や政府が成すべき施策にはほとんど触れていない。
打つ手がない窮状が透けて見える。

金日成時代の本来のチュチェ農法は、工業が農業を支援し、灌漑網整備の水利化、農村生活を向上する電気化、化学肥料や殺虫剤を供給する化学化、トラクターによる耕作など機械化という4化政策を推進し、農業生産力を上げるという合理性があった。1970年代まではそうして基本的に食糧を自給してきた。
しかし、金正恩政権のチュチェ農法には4化がほとんど抜けている。灌漑設備は劣化し、停電が慢性化し、肥料は足らず、トラクター不足を人海戦術で補っている。
工業が衰退し、農業を支援できなくなっているのである。その結果、北朝鮮の食糧生産量は最盛時の半分に落ちている。

社説は「敵の制裁封鎖策動が農業を出来なくしている」と非難するが、外に責任をふっていては事態は悪化するだけである。
昨年に続く今年の干魃は、しかるべき対策を怠ってきた人災とも言える。

制裁が北朝鮮経済に打撃を与えているのは事実であるが、自ら制裁を招いていることも否定できない。
核開発を公然化した並進路線で貿易の9割を依存する中国とも対立し、石油など戦略物資が滞り、経済は破綻の様相を深めている。
核開発が制裁を強め、経済建設を阻害していることは明らかである。

金正恩政権が核にこだわるのは、韓国に対する経済的、外交的な劣勢を跳ね返し、体制維持を図ることにあるが、逆効果になっている。
そもそも並進路線は戦略性に欠けるのである。防空能力が劣るノーガードの国がいくら核を強化しても勝算はなく、せいぜい自爆テロにしかならない。
核恫喝で譲歩を迫り、経済支援を引き出そうとしても足元を見透かされ、全く通じない。経済特区をいくら設置しても外資は来ず、馬喰嶺スキー場などを作っても観光客は来ない。すべて当初から分かっていたことであった。

金正恩第1書記は今年の新年辞で「人民生活向上で転変を起こさねばならない」と食糧問題解決を公約した。それに失敗すれば、当然、責任を問われる。
北朝鮮への食糧支援を長年行ってきたWFPは深刻な食糧危機を予測しており、金正恩政権は事態を見越してしかるべき対策を取らねばならない。

北朝鮮の混乱は誰も望んでおらず、とりわけ韓国は安定と自立再生に向けたウインウインの協力関係構築を再三表明している。
今こそ、朴槿恵政権に無条件の対話を呼び掛けることである。従来のように高飛車に物申すのではなく、率直に状況を説明し、適切な支援を求めねばならない。
世界有数の経済大国となり、約4千億ドルの外貨を有する韓国の協力を得れば、食糧問題解決は言うに及ばず、北朝鮮の経済全般再建も十分に可能である。

そのためには、北朝鮮の核開発に不信感を強めている韓国国民の理解を得なければならない。「核は民族の宝剣」などといった唯我独尊的な言い分が通じるはずもなく、核廃棄への道筋を示す必要がある。
金正恩第1書記は個人の面子を捨て、北朝鮮国民のために決断するときである。
8日に発表されたG7首脳宣言は「中国」への名指し批判を避け、重要議題であったAIIBへの言及は一言もなく、逆に足並みの乱れを露呈した。
首脳会議は初日、1時間半の予定を1時間もオーバーし、討議の多くを台頭する中国にいかに対応するかに掛けたが、日米と英独仏イで意見が割れ、まとまらなかったのである。
世界2位の経済大国である中国不在のG7の限界を露呈したと言えよう。

宣言には「東シナ海および南シナ海での緊張を懸念。・・・大規模な埋め立てを含む現状の変更を試みるいかなる一方的な行動にも強く反対」と記されたが、中国名指しは慎重に避けている。
安倍首相は冒頭発言を促され、制裁継続が明示されたロシアに準じる形で対中批判を盛り込もうと熱弁をふるったが、体よく交わされてしまった。
議長国のドイツのメルケル首相は中国市場重視派であり、日中の紛争に首を突っ込む考えは毛頭ない。フランス、イギリス、イタリアも同様である

注目されたAIIBへの対応で、安倍首相は「G7が結束し、持続可能でないことにカネをかけないようにすべきだ」と訴えたが、完全に無視されてしまった。
AIIBに対抗し、日本主導の総額1000億ドルの「インフラパートナーシップ」を表明して差別化を図ろうとしたが、G7抜きで動き出した国際経済で存在感を示すには役不足であった。

中国不在のG7で議論の多くが中国に費やされたことが、中国の存在感の大きさを見せつけた。
中国のGDPは現在、世界の15%であるが、7%前後の成長を続けて2020年代には世界最大の経済大国になることが確実視される。米国の反対をおしてイギリスなどEU諸国がAIIB参加に雪崩を打ったのはそのためである。
AIIBに加え、中国、インドなどBRICSが2016年発足を目指す「新開発銀行」(NDB)が加われば、国際経済、金融秩序の主導権はG7外に移る。
G7が存在意義を保つには中国、ロシア、インドを加えるしかない。

G7では今回、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、日EU経済連携協定(EPA)、米EUのFTAを連携させる「メガFTA」構想が論じられたが、同床異夢の観が免れない。
どの国も成長力を失い、他力本願で、推進力に欠けるからである。

安倍首相も「三大FTAで世界標準を作り、中国を従わせる」と掛け声は勇ましいが、肝心の足元はぐらついている。
今年1〜3月のGDPは前期比1%増、年率換算3.9%であったが、ホテル増設など外国人観光客増を受けた卸小売り業やサービス業の設備投資が増えた一次的な要因によるもので、第2四半期は落ち込むと見られている。
世界銀行は10日発表した経済見通しで、2015年度の日本の成長率を0.1%引き下げ、1.1%とし、さらに下回る可能性もあるとした。中国7.1%は言うに及ばず、米国2.7%、EU1.5%より低い。
国際社会の日本経済評価は冷淡であり、財政再建に厳しい目を向けていることを知らねばならない。

日本経済再生には、アジアの成長力を取り組むしか道はない。
中国、韓国からの観光客増加で今年1〜3月はやや景気が上向いたが、これを持続するにはAIIBに積極参加するしかない。
歴史認識や領土問題で隣国と無闇に対立し、憲法違反の安保法制問題で無駄なエネルギーを費やしている場合ではない。

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米大使へのテロ事件は韓国野党陣営に起きている潮流の変化を象徴している。
犯人の金基宗(55歳)は長く民主化運動に身を置き、弁護士時代の廬武鉉元大統領とも裁判活動で知り合うなど、広く知られた存在であった。
聖公会大客員教授を務め、ウリマダン統一文化研究所を主宰していたが、大統領官邸前で焼身自殺を図ったり、日本大使にコンクリート塊を投げつけるなど次第に過激化し、浮き上がっていく。

事件当日もひとり韓服で現れ、事前登録もしていなかったが、顔が利く存在であったため、米大使に近い上席のテーブルに案内され、まさかの犯行に及んだ。
警備の不手際と言われれば警察当局には弁明の余地がないが、先輩後輩関係や身内に甘い韓国社会の馴れ合い体質がそのまま出ている。

本人は単独犯行を主張しているが、社会的に浮き上がった存在であり、嘘はなさそうである。
過去、北朝鮮に7回訪れ、自宅から十数点の北朝鮮書籍が発見されている。「金日成は20世紀最大の人物」、「北は平等で自由な社会」と供述しているが、一昔前の典型的な親北派知識人とみられる。

このタイプの親北派は統合進歩党に多かったが、金正恩国防委員長の対米対南強硬路線に同調した李石基事件で政党解散に追い込まれ、従北派と指弾されて大衆から孤立した。
一匹狼の金容疑者はテロでしか自己主張出来ないと思い詰めたと思われるが、相手が同盟国の大使であったため、周囲が振り回されている。

最も対応に苦慮しているのが、1ヶ月後の国会議員補選を与党への反転攻勢の場としたい野党の新政治民主連合である。
写真(上)は12日に行われたネット新聞の旧「自主民報」関係者によるソウル市庁舎前での抗議集会である。「自主日報停刊決定ソウル市糾弾」とあるように、新政治民主連合の次期大統領有力候補と見なされている朴元淳・ソウル市長が非難の矢面に立たされている。
「自主民報」が親北的として廃刊処分を受けたのは知られているが、朴市長が司法部に登録取消処分を求めたのが原因という。それに代わって発行した「自主日報」まで市長権限で停刊したと抗議しているのだが、朴市長が従北派、親北派と明確な一線を画そうとしていることは明らかである。

野党の次期大統領候補を朴市長と競う文在寅代表がテロ事件直後に米大使を見舞い、「韓米同盟強化」を口にしたのも同じ脈絡である。反米親北ではもはや選挙は戦えないというのが共通認識である。
11日に与党セヌリ党事務総長が金容疑者と関係が深い新政連国会議員のリストと従北派の排除を文代表に求めると、直ちに「従北勢力と結び付けてイメージダウンを図る名誉棄損」として警察に告発した。ネットでは事件後、新政連に逆風が吹いており、防戦に必死である。

文在寅代表は17日に先の大統領選を激しく争った朴槿恵大統領を2年3ヶ月ぶりに訪ね、共生と協力関係を構築する意向を示している。
これまでの不毛の理念論争に終止符を打ち、対米対北政策など国家の基本に関わる安保統一政策で基本合意して一皮剥けたことを国民にアピールし、中道や保守勢力を取り込む狙いである。

一部には大使が襲われた米国は怒っている、韓米同盟に亀裂が入ったと誇張する見方があるが、穿ちすぎである。反対に米国は、韓国社会の厄介な反米感情の風向きが変わったとほくそ笑んでいよう。
THAAD配備やTPP交渉への韓国の前向きの対応を求める動きもあるが、無理押しはしまい。微妙な段階の北朝鮮や中国との関係における韓国の戦略的な役割を考えれば、ここは雨降って地固めるのが得策と判断しよう。

3年目に入る朴槿恵大統領の国政運営にも弾みが付いてきた。
写真(下)は12日にソウルのプレスセンターで開催された大統領の諮問機関「民主平和統一諮問会議」主催の討論会である。初めて本格的に南北統一の具体的な方法論が論じられたが、「新しい統一韓国のパラダイム “漢江の奇跡“から“大同江の奇跡“へ」とあるように、チャ・スンヒ嶺南大教授が朴正煕元大統領の「開発独裁」を金正恩政権が受容することを求めた。ある意味で画期的である。

私が一昨年暮に与党のシンクタンク・ヨイド研究院を訪ねてイ・ジュヨン院長とそのような意見を交換した。
後に同研究院HP1面に大きく院長ら3人との写真がアップされ、「『朴正煕』の著者河信基氏が朴正煕モデル提唱」と紹介されたが、確かに物語は進展している。

金正恩国防委員長には韓国の世論の変化が全く見えていない。
テロ事件が起きると「南の民心の反映」、「正義の刃」と見当違いのことを言って小躍りし、祖国平和統一委員会書記局論評に至っては「安重根と同じ義挙」と妄言し、顰蹙を買う始末である。

そもそも反米世論が変化した根本的原因は、核・ミサイル開発で韓国に脅威を与えている金正恩政権の並進路線にある。民族の宝剣、対米戦用云々したところで、事あるごとに常軌を逸した言動で脅迫するのだから通じる筈もない。
韓米合同軍事演習に反対する声がほとんどないのは、北朝鮮の脅威に対抗するためにやむを得ないと考えているからである。
それに加えて、独裁権力の三代世襲、人権侵害や困窮した北社会への反発もある。

今日の労働新聞の論評は「挙族的な反米聖戦の火を燃え上がらせよう」と主張しているが、イスラム国のサイトかと見まがう。
食糧も電気も外貨も何もかも足らず、内部で不満が鬱積している。その不満を外に向けるために緊張を煽っているのであろうが、いつまでも続くわけがない。
1面全面の社説で「自力更正のみが生きる道だ」とする党中央委員会と党軍事委員会の共同スローガンを掲げ、「ヨンギル爆弾」の精神で党中央=金正恩を守る事を訴えているが、自身、見たこともない祖父の権威にしがみつくしか術がなくなっている。敗北主義、保身主義との戦いを強調しているのは、党内の動揺が深刻化していることをうかがわせる。

金正恩委員長に近い筋によると、金正恩は孤独で、妹以外、心から信頼できる人物がいない。叔父の張成沢粛清を悔やみ、叔母の金敬姫に声を掛けるが相手にされないという。
身辺警護に異常に神経を使うが、いつ内乱が起きても不思議でない。

前回挙げたシャーマン国務次官のスピーチにも「北朝鮮急変事態」への言及があり、韓国、中国も共有する認識とみられる。
消息筋によると、北朝鮮問題の軟着陸を目指して、韓国、北朝鮮、米国、中国による4か国協議が水面下で進んでいるようである。中国外相が朝中首脳会談に言及したのもそれと関連する。

金正恩政権が生き残る道は、核を放棄し、朴正煕の開発独裁モデルの受容を促す朴槿恵政権の支援に頼るしかない。
それは譲歩であるが、敗北を意味しない。豊かで平等な社会を作ることが出来れば、自ずと歴史が評価してくれるだろう。
その間の南北関係は、南北に強い権限を有する政府が並存する国家連合か低段階の連邦制になるだろう。

なお、本稿は20日の新宿文化センターでの日韓国交正常化50周年記念シンポでの講演の準備を兼ねている。

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リッパート米大使が10日、ソウルのセブランス病院を退院し、院内で記者会見を行い、満面の笑みを浮かべながら、「雨降って、地固まる。一緒に行きましょう」と韓国語で述べた。
「雨降って、地固まる」は8日に見舞に訪れた野党・新政治民主連合の文在寅代表の慰労の言葉から借りたものであり、「一緒に行きましょう」はネットで今年一番の流行語になる勢いで広まっている。
タフな体力といい、韓国世論を引き付けるパフォーマンスといい、さすがオバマ大統領が送り込んだ切れ者、とうならされる。
事件は対米感情を一変させたと言っても過言ではない。

オバマ大統領が「韓国を見習え」と発破をかけた韓国は世界最先端のネット社会であり、ネット空間は青年学生層の溜まり場である。
廬武鉉大統領誕生の原動力となったノサモが象徴するように、進歩左派と反米勢力の牙城であった。
それが朴槿恵大統領当選を後押ししたパクサモから徐々に流れが変わり、今回の事件を機に反米から親米へと大きく様変わりした感すらある。

前回紹介したネイバーの記事のテックルで最もアクセス数が多かったのが、「一緒に行きましょう」で、賛成が5640に達する。反対はわずかに181であった。
ネチズンの揺れる心情を窺わせるのが、賛成5675、反対542の次のテックルである。
「永遠に一緒に行かねばならない。米国を除いて、日本、中国、北韓(北朝鮮)、ロシアの誰を信じる事が出来るか。憎くても米国の方がましだ」

韓国人にとって米国は、同盟国ではあるが、どこか得たいの知れない怖い存在であった。
私が『朴正煕』の取材を兼ねて訪韓した1995年当時も、ソウルの中心部に広大な基地を構え、戦闘服の米兵が市内を闊歩していた。しばしば事件を起こし、激高した学生たちが米軍基地になだれ込み、星条旗を引き裂いた事もあった。日本の沖縄と似ていた。
しかし、一昨年末に行ったときにはソウル市内で戦闘服の米兵を一人も見掛けなかったし、平沢への移転が始まった龍山基地内部を参観した時にも意外と閑散とした雰囲気に驚かされたくらいである。
韓米関係が成熟した大人の関係に変わりつつあることを実感した。

その転換期の昨年10月、オバマ大統領の安全保障補佐官を務めた最側近のリッパート大使が赴任してきた。
前任のソン・キム大使は中学時代に外交官の父親について米国に移住した韓国系の米国人であり、ネイテイブの韓国語を流暢に操り、かって知った韓国社会に溶け込んだ。
リッパート大使はそれ以上に韓国人社会に気さくに入り込み、反米的な民族和解協力汎国民協議会主催の朝食講演会にも快く応じたが、皮肉にもそれが裏目に出て、凶行に遭った。
一部に韓米関係の悪化を懸念する声も上がったが、全くの杞憂に終わり、逆に「雨降って、地固まる」結果となっている。

大使内定後の議会人事聴聞会で北朝鮮有事の覚悟を問われ、「駐韓米軍司令官と協力し、2万8500人の米兵と共に今からでも即時に対応する」と並々ならぬ意気込みを示したという。
志願の情報将校としてイラク、アフガニスタンで通算3年の実戦勤務を経て、国防長官政策秘書室長などを務めた実績を買われ、金正恩政権の核・ミサイル開発を力で封殺する新抑止戦略採用後の新事態を効果的に管理できる行動型大使として送り込まれたと思われる。

中東歴訪から帰った朴槿恵大統領が昨日、大使を見舞い、「自分も2006年に顔を切られて同じ病院で手術を受け、その後の人生は『おまけ』と考え、国のために生きてきた」と述べると、大使は「私もおまけとして得た人生を米韓関係のために最善を尽くしたい」と応えた。
そのやり取りが伝えられてまた韓国の青年層の心を掴みと、発言の反響を推し量った情報専門家らしい卒のなさである。

事件直前、シャーマン国務次官の歴史認識を巡る「日本寄り」発言が物議を醸していたが、韓国メデイアがいつもの言葉尻を誇張して報じた空騒ぎであった。
米国務省のHPで原文を読むとよく分かるが、「nationalistic feelings」を「民族主義」と誤訳し、韓国、中国を批判したと曲解したのである。靖国神社参拝や旧日本軍慰安婦問題などを挙げて、安倍首相の「国家主義」も批判している。
自分の父親はガタルカナル戦で負傷したと明かした文脈から、感情論を排し、「過去を直視」することを強調したかったことが理解できる。

事件は図らずもそうした誤解を解消したが、米側の思わぬ収穫は韓国青年層の同情を勝ち取り、最大野党まで歩み寄ってきたことである。
世論の変化を感じ取った文在寅・新政治民主連合代表はリッパート大使を見舞い、「雨降って、地固まる。韓米同盟がより強固になれば幸い」と述べた。
親北反米的と言われてきた新民連代表が「韓米同盟」を積極的に評価した事は、歴史的な転換と言える。以前指摘した朴正煕再評価と連動している。

米国との信頼関係が深まり、安全保障問題の根幹で与野党が歩調を合わせ、国論が一致してきた事は、朴槿恵政権には好材料であり、外交の幅を広げる。
韓国国防部報道官が8日、懸案の「高高度迎撃ミサイル(THAAD)の韓国配備はない。韓国独自の地対空ミサイルを構築する」と断言し、中国の憂慮を一掃したのも、自信を示す。
韓米同盟を軸にしながら中国とも「戦略的なパートナーシップ関係」を構築し、米中を取り持って地域の安定を図る韓国独自のバランス外交を押し進めるということである。

日本の一部反韓チラシが喧伝する「米中の間で股裂き」は無論、ない。
この種の与太話は、韓中の経済関係強化や歴史認識共闘への危機感、嫉妬と僻みの域を出ない。

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