河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

北朝鮮のIT

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ゲームや映画など重いコンテンツをパソコンで気楽に楽しむ上で高速インターネットが不可欠だ。
この分野ではインターネットの生みの親である米国が一番先を行くとイメージしている人が多いだろうが、イメージほど当てにならないものはない。
 米連邦通信委員会(FCC)は3月16日、2020年を目標に全米約1億世帯が毎秒100メガビット程度の高速インターネット通信網を手ごろな価格で利用できるよう整備することを柱とする「国家ブロードバンド(高速大容量)計画」を発表したが、その裏には韓国などに大きく立ち遅れた危機意識がある。
米国は、映画などが豊富な割には高速インターネット網の整備が遅れており、コンテンツ配信大手米アカマイの09年第3四半期のまとめによると、平均通信速度は毎秒3・9メガビット。
この分野で世界最先端を行く韓国の14・6メガビットの三分の一弱でしかない。7・9メガビットの日本と比べても約半分である。
 オバマ大統領は計画発表を受けた声明で「全米の高速通信網を、世界で最も強力なものにする」と述べたが、韓国を意識していることは言うまでもない。
国家ブロードバンド計画には学校や病院などの施設には毎秒1ギガビット程度の超高速インターネット通信網を整備し、テレビ向けに確保されている電波の一部を高速の無線インターネット通信に開放するとするが、韓国ではすでに部分的に実現されている。
  日本では、昨日から韓国の先進IT事情を視察するため訪韓している原口総務相が光ファイバー網の整備を強調しているが、言うまでもなく韓国をモデルにしている。携帯や液晶テレビなど国際市場でサムスン、LGなど韓国勢にソニー、東芝、NECなどが後塵を拝しているのも、高速インターネット環境の決定的とも言える格差が背景にある。
 例えば、私は『韓国IT革命の勝利』を書いた00年の時点で韓国ではインターネットでテレビ、ラジオを生中継で視聴していた。
東京の私がそれを利用できるようになったのはようやくヤフーがADSLを導入した04年くらいからである。今は韓国のテレビ、ラジオを自宅のパソコンで視聴している。
ところが、日本では未だにテレビ、ラジオを自由にパソコンで楽しめない。NHKが最近一部ドラマを有料のオンデマンドで利用できるサービスを始めたが、韓国では過去のドラマのオンデマンドも含め基本的に無料である。
ダークホースが北朝鮮だ。『金正日の後継者は在日の息子』『証言北ビジネス裏外交』で「すでに光ファイバーが全国に整備され、IT人材育成に国家的な力を入れている」と書いたが、半信半疑の人が多い。マスコミを含め偏ったイメージで北朝鮮を見ているので、別の顔が視野から抜けてしまっているのだ。いずれ北朝鮮にも先を越されるかもしれない。
 
 香港紙の鳳凰網が21日、重慶晩報を引用し、北朝鮮における第三世代携帯サービスであるコリョ(高麗)リンクの利用者が12万人に達すると伝えた。
 北朝鮮では04年のヨンチョン(龍川)列車爆発事故以来、携帯電話サービスが禁止されていたが、昨年3月に解禁された。コリョリンクは北朝鮮が08年12月15日にエジプトの通信会社であるオラスコム・テレコムと25対75の出資割合で設立した合弁会社。
 
 携帯電話からは北朝鮮国営のインターネットサービスであるヨミョンマンへの接続が可能で、ユーザー名とパスワードを入力すると歌、新聞、メールを利用出来る。
 オラスコム・テレコムは「昨年、北朝鮮全域で移動通信網拡大と技術開発に2千700万ドルを投資し、153の基地局を設置、ピョンヤン、平城、安州、開川、南浦、沙里院、海州の7都市と8つの公道でサービスを提供している」と明らかにしている。
 一般市民には高嶺の花だが、党・政・軍幹部に加え、市場関係者や新興富裕層が主なユーザーとなっている。
 
 『証言 北ビジネス裏外交』にもあるように、北朝鮮における最初の携帯サービスは02年11月で、東北部の経済特区である羅津と先鋒(現羅先市)に限定され、労働党、人民委員会、人民保安省、国家安全保衛部幹部が主な利用者であり、03年11月における使用人口は2万人とされた。
 だが、その一方で、中国との国境地帯で携帯を用いる市民が増えた。
 

 昨年12月にエジプトの通信大手オラスコムとの合弁による第三世代の携帯電話サービスが始まった北朝鮮では、今年5月から携帯による画像通信サービスが開始されたと、民族和解協議会が運営するサイト「わが民族同士」が5月22日に伝えた。

 それによると、「黎明」というサイトが5月中旬から携帯電話サイトを開設し、「世界のどこからでも携帯電話でアクセスでき、朝鮮メディアの主要記事、社会主義朝鮮の真の姿、祖国統一をテーマとした生動感ある画報と画帳を見ることができる」(同サイト案内文)と、新サービスを開始したことを伝えた。
 労働新聞、民主朝鮮、朝鮮中央通信などの報道、「ピョンヤン消息」、民謡や児童歌謡など100曲を収録する「音楽鑑賞」、図書、美術、特産物、商標展示場などのメニューがある。白頭山や大同江、歴史遺物を紹介する写真や動画もみれる。

 サイトへのアクセスが可能な携帯機種として、サムスン、モトローラ、フィリップスなど8種を挙げている。
 それ以外にも、ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル(WAP)を支援するすべての携帯電話で閲覧が可能とされ、「朝鮮語が支援されない携帯電話でも朝鮮語が表示される」と説明している。

 韓国内からは、「黎明」など北朝鮮が直接運営するサイトや海外の親北サイトへのアクセスは政府によって遮断されているが、携帯電話からはアクセスできる。

 情報は事実、諜報は世論誘導、と以前書いたが、この問題もそれを念頭に考える必要がある。
 一つだけ確実なのは、サイバー攻撃を行う能力を北朝鮮が有しており、米国や韓国が恐れているという事実である。

 韓国、米国政府を震撼させたDDoS(分散サービス妨害)攻撃は、不特定多数のパソコンに特定サイトへ自動的に反復接続するように設定したプログラムを送り込み、過負荷を与えて使用不能にする。7日に始まり、韓国放送通信委員会は9日、3回目のサイバーテロ攻撃が同日午後6時ごろから開始されたと明らかにした。

 国家情報院はプログラムを分析し、青瓦台やホワイトハウスなど韓国12、米国14のサイトを攻撃するようになっていたと発表した。さらに、8日、国会情報委員会所属の議員に対し北朝鮮絡みの可能性を指摘した。
 具体的な根拠は示していないが、韓国内1万2000台、海外8000台に及ぶ個人のパソコンが汚染されたことから、韓米への敵意から国家レベルで計画された→北朝鮮が該当すると推論したようだ。

 韓国政府の動揺ぶりは、G8首脳会議拡大会合に出席するためイタリアを訪れている李明博(イ・ミョンバク)大統領が9日、韓昇洙(ハン・スンス)首相に国際電話し、サイバー攻撃の真相把握と被害拡大防止を緊急指示したことに現れている。
  
 米政府も敏感に反応し、国務省のケリー報道官は8日、同省サイトへの攻撃が「今も続いているが、かなり少なくなった」と語った。
 米メディアによると、サイバー攻撃を受けたのは、ホワイトハウス、国土安全保障省、国務省、国防総省、財務省、連邦取引委員会やニューヨーク取引市場など。財務省と連邦取引委員会のサイトが一時ダウンした。

 マレン統合参謀本部議長はナショナルプレスクラブでの講演で、「サイバー攻撃に対する憂慮がますます深まっている。現在、調査を続けている」とし、攻撃主体についての具体的な言及は避けたが、AP通信は複数の米政府当局者の話として、「発信源は北朝鮮国内とみられるが、攻撃者の特定は難しい」と報じた。
 「米政府は独立記念日の7月4日に合わせた北朝鮮の挑発の一つと考えている」「北朝鮮ハッカー部隊」と報じるメディアもあり、北朝鮮への警戒感が一段と高まっている。
 
 それに対抗して、韓国国防部は来年1月1日付で情報保護司令部を設置する。ハンナラ党も昨年「国家サイバー危機管理法案」を提出したが、野党の反対にあっている。
 そうした中、今回、国家情報院がDDoS攻撃の背後に「北朝鮮もしくは北朝鮮追従勢力がある」と早くからリークしたことに野党は警戒を高め、民主党の李康来(イ・ガンレ)院内代表は「根拠も示さず北関連推定説を出したは、‘サイバー北風’ではないか。ネチズン(ネットユーザー)の間では政府の自作劇説も出ている。テロ防止法推進の狙いが隠されているのではないか」と批判した。

 今日は盧武鉉前大統領が自殺してから49日になり、遺骨が埋葬される故郷・ポンハ村には多数の人々が訪れるなど、「自殺に追いやった」と現政権を批判する声はおさまりそうもない。
 500万人超の国民が焼香したとされる前大統領葬儀を境に与野の支持率は逆転し、李明博大統領の支持率も20%を切ろうとしている。
 そうした背景から、人気挽回のための「サイバー北風」「政府の自作劇説」との風説が流れてくる。

 他方、6月27日に北メディアが米韓のサイバー戦対処訓練を非難しており、北朝鮮が仕掛けた可能性もある。
 「金正日の後継者は在日の息子」でも指摘したことだが、北朝鮮は1991年の湾岸戦争から米軍の戦法を研究し、特に、イラク軍が通信網を寸断され劣勢に陥ったことから、光ファイバー網構築などの対策に乗り出した。
 同時に、米軍が指揮統制自動化体制(C4I Systems (Command Control Communication Computer Intelligence)でネットを活用していることに逆に弱点を見つけ、それを撹乱するハッカー部隊を養成した。
 http://www.kcna.co.jp/calendar/2009/06/06-27/2009-0627-016.html

 中国も国防大学が97年に「電子システムの弱点をつく点穴戦略」を提唱したが、その先を行くのが北朝鮮である。
 北朝鮮はすべからく一点突破の国柄であり、十八番の秀才(エリート)教育でIT人材を集中育成し、ソフトウエア開発能力は高く評価されている。

 数年前にロシアのプラウダが集中的な人材育成や光ファイバーの普及を根拠に「北朝鮮は潜在的なIT大国」と報じたことがあるが、ネットは外部と遮断されたイントラネットにとどまり、政治の厚い壁に発展を阻まれていた。
 ところが、最近、後継者問題など新しい風に乗って開放の兆しが見える。

 ピョンヤン駐在のヒューズ英大使が3日、インターネット生中継でロンドンの英外務省の記者団との会見に応じたのはその一つだ。
 大使は北朝鮮国民の動向について「住民は後継者に正雲(ジョンウン)が指名されたことを知らない」「強力な武力を持ってこそ、外部圧力を退け国家を守ることができると信じている」「金総書記の健康状態や精神状態については知らされていない」と述べた。
 さらに、「さらなる核実験もありうる」「人権が無視されている」「北朝鮮の国内総生産の33%は武器開発に使われている」「北朝鮮北東地域の食糧配給が200グラム以下に減ったという話も聞いた」などと述べた。
 http://www.yonhapnews.co.kr/international/2009/07/03/0606000000AKR20090703191100085.HTML

 ピョンヤンの中国大使館がHPを公開しているが、ネット中継による記者会見は初めてのことである。
 ヒューズ大使はさる3月にも、同僚の駐韓英大使のブログに「ピョンヤンに春が来たようだ」と最高人民会議選挙の模様を伝えるなど、ピョンヤンからのネット送信を利用している。
 今回、人権侵害を批判する発言もあったが、北朝鮮当局は一切干渉しておらず、ある種の意図が透けて見える。

 国内のイントラネットを外部と接続し、情報鎖国と決別する試みであろう。
 先月も米国などで人気のコミュニケーションサイト・Twitterに公式ページを開設し、外交情報を発信していることが知られ、話題になった。ハンドル名は「kcna_dprk」、所在地「ピョンヤン」、自己紹介欄には「朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の中央報道機関からのニュースをお届けいたします」とある。書き込みも可能である。
 http://twitter.com/kcna_dprk

 ITに関する北朝鮮の人的、インフラ水準は世界的にも高レベルにある。
 すでに小学校3年から英語・コンピューター教育を始めるなど、人材育成に力を入れている。
 光ファイバーは国内に普及し、パソコン・ノートパソコン・携帯電話、汎用半導体の生産を開始しており、インターネットと接続することでIT産業に新たな活力を吹き込む狙いであろう。
 
 外部との接触はこれまで軍事的治安上の理由から禁止されていたが、それを開放しIT立国を目指す政策的な意志が作用したと言うことである。
 そのような決断を下せるのは金正日総書記か、スイスでITになじんだ後継者しかいない。後者の意志が作用しているとみても不自然ではない。
 

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