河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

北朝鮮のIT

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 来月2〜4日に開かれる南北首脳会談に参加する盧武鉉大統領には各界から298人の代表団が随行するが、今回の特徴は財界が積極的な姿勢をみせていることだ。
 現代自動車グループ、サムスン電子、LGグループ、SKグループなど4代財閥会長(サムスン電子は副会長)をはじめとする18の企業トップが加わり、世界トップクラスの韓国IT企業が北朝鮮の潜在的なIT資源活用の道を直接探ることになる。
 2000年の第一次首脳会談は政治的和解と南北交流の門を開いたが、今回の首脳会談は総論から各論に踏み込み、特に、南北経済協力面で従来の支援型から投資型に転換する契機になるか注目される。

 韓国の対北経済支援に関しては核開発を助けたとの批判もあるが、北の核開発は米国の核に対応したものであり、本末転倒の議論である。ブッシュ政権はようやくそれを理解して北朝鮮との対話に舵を切り、出口が見えてきた。
 その米朝対話を実質的に支えてきたのが韓国の太陽政策であり、新たな展開をするのは当然の帰結とも言える。

 盧大統領は金正日総書記との会談で南北平和増進・共同繁栄モデルとして、開城工業団地モデルを発展させる第2、第3の工業団地造成問題を提案すると伝えられる。
 候補地として開城の北西70キロの海州(ヘジュ)が挙げられている。懸案の西海の北方境界線(NLL)と非武装地帯(DMZ)を平和地帯化する上で効果があると期待されている。

 南北経済協力は北朝鮮の経済再建はいうまでもなく、日中に挟撃されている韓国経済を一段とボトムアップする上でも大きな効果が期待できる。自動車・電子部品の使用されるレアメタル資源確保とともに、北朝鮮のIT人材活用が魅力的だ。
 韓国対外経済政策研究院(KIEP)は17日に発表した報告書で、南北首脳会談後に北朝鮮が特区拡大政策を展開する可能性があるとして、南浦(保税加工区あるいは総合産業開発団地)、元山(軽工業中心)、新義州(貿易、商業、軽工業)、端川地域、沙里院地域(資源開発特区)、白頭山、開城、妙香山、冠帽峰地域(観光特区)とともに、IT特区としてピョンヤン、南浦、平城のうち1地域が指定されると予測した。

 北朝鮮情報が極端に偏っている日本では奇異に聞こえるだろうが、韓国、中国、ロシア、欧州では北朝鮮のIT人材への注目が高まっている。
 その中心に位置するのが、冒頭写真(サムネイル1,2,3,4は内部施設)の「朝鮮コンピューターセンター(KCC)」だ。

 1990年10月24日に創立された同センターは北朝鮮では「IT産業の中心基地」と位置づけられ、傘下に8つの部門別開発・生産単位、品質管理センター、情報サービスセンターなどの開発支援単位、各道に11の地域別情報センターを置き、操作システムとネットワーク、操作および信号処理、生体情報処理、情報保安などソフト・ハードウェアを開発、生産する。
 独自の人材育成にも力を入れ、朝鮮コンピューターセンター情報技術大学、情報技術講習所を有している。

 近年は対外市場に積極的に進出し、独自の市場戦略に基づき、ドイツ、中国、シリア、アラブ首長国連邦などに支社、合作会社、販売所を置き、内外の情報技術関連会社、科学研究機関との交流を行っている。
 核心技術開発に力を入れるが、当面の目標は、数年内にLINUXにもとづく朝鮮式の操作システムと応用プログラムを開発し、コンピュータ応用ハイテクの開発・サービス分野を世界レベルに押し上げることだ。ソフトウェア開発チームによる新製品開発、品質認証、国際標準化を進め、注文開発、技術サービス分野を開発する。
 http://www.kcckp.net/kcc_e/index.htm

 サムスン電子やLG電子が中国などに展開する海外工場を北朝鮮に移転するだけで、数千億円規模の莫大な投資効果が期待できる。世界有数の製鉄会社であるPOSCOや現代自動車が加われば、数兆円規模、日朝ピョンヤン宣言で謳われた日本の経済協力規模を優に上回る。
 無論、それはまだプランの段階に過ぎないが、実現すれば南北に計り知れない経済効果をもたらすことは間違いない。

 北朝鮮のソフトウェア開発能力は先進国レベルに達している。2001年の米国防総省報告書は「北朝鮮と中国のコンピューターハッキング能力は米中央情報局(CIA)の水準に達した」と指摘し、韓国政府が昨年6月に作成した「陸軍情報保護総合発展計画」も「ハードウェアの技術力は劣悪だが、ソフトウェア開発能力は先進国並み」としている。
 ハッキングばかり注目されるが、将棋や囲碁ソフトなど一部は日本にも入ってきている。

 日本ではまだあまり知られていないが、軍事目的で1990年代に光ファイバーを全国に張り巡らせた北朝鮮は、金正日総書記が01年1月に上海などを訪問してから民生転用を図りはじめた。金総書記は「桑田滄海(そうでんそうかい)」と中国の目覚しい発展に驚き、中国のIT企業などをつぶさに視察してIT立国を決意し、人材育成を集中的に進めた。
 その成果は近年徐々に現れ、中国市場に北朝鮮のIT人材が進出している。

 韓国紙の中央日報は3日、金日成総合大学、金策工大など北朝鮮の名門大を卒業した北朝鮮技術者が中国国内の韓国系企業、中国朝鮮族企業で現場経験を積んでいると、以下のように現地の様子を伝えた。
 
 北京で活動する対北朝鮮事業家のAさんは「北朝鮮で選抜された優秀なIT人材が韓国企業や同胞企業で働いているが、公にせず雇用する企業も多いため、300〜400人になるだろう。最近、北朝鮮では『中国に行けばドルも稼げるし、コンピューター技術・経験も増やすことができる』という認識が広まり、中国で就職する人たちの競争が激しくなっている」と語った。
 北京のIT中心地である中関村、韓国人密集地域の望京、大連などで、コンピュータープログラム開発、アニメーション制作、インターネットショッピングモール管理などに従事している。
 在米同胞Pさんが年初に北京に設立したIT企業では20人が勤務しているが、中国大卒社員の初任給と同じ月1500元(約18万ウォン)を受けている。

 香港で企業活動をしてきた同胞Cさんが大連に500万ドルを投資して設立したソフトウエア企業には、70人余が働いている。 アニメ原画を制作し、今後、を200人に増やす計画がある。
 関係者は「金日成大学で芸術を専攻し、韓国や日本から受注したアニメ制作関連の仕事をしている」と説明した。

 中国朝鮮族Kさんが北京で運営するインターネットショッピングモールにも、コンピューターを専攻した北朝鮮エンジニア20人が勤務している。
 望京地域のマンションにある事務室でコンピューター数十台を設置し、北朝鮮産の高級薬剤や酒などを販売している。関係者は「インターネットを扱う技術は高い。客の相当数は韓国人」と話す。

 韓国大手IT企業のLG関係者も「LG CNSが05年6月から07年2月まで米国同胞が設立したN社と外注契約をし、50人の北朝鮮IT人材を活用してプログラムの開発を進行した」と明かした。大手企業が北朝鮮IT人材を直接活用するのは初めてという。
 関係者は「金日成大学と金策工大を卒業した理工系人材に1人当たり月1000ドルが支給される。中国職員を雇用すると福利厚生費など付帯費用が増えるが、北朝鮮人材は実力優秀で誠実だ」と評価した。

 他方で、「二年くらいで、交代で帰ってしまう。せっかく覚えたのにまた一から始めなければならない」と嘆く在日関係者もいる。
 優秀で労働コストは低いが、北朝鮮に雇用契約という観念が定着していないため人材の安定確保に難点があり、制度的に改善する余地は少なくないとみられる。

 フランス最大の報道機関・AFPが18日、「北朝鮮が年内にインターネットの国別ドメインコードを登録する予定」と報じた。
 ドメインコードは「.kp」で、「The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers、ICANN」が10月に開かれる会合で承認する見通しだと、同団体のメンバーがAFPに伝えたという。

 5月に「将軍様公認の北朝鮮初のインターネット」で 「ピョンヤンの中国大使館が一月にホームページを立ち上げた。北朝鮮のネット(イントラネット)をこじ開けた“歴史的事件”である。アドレス(http://kp.china-embassy.org/)にkpという北朝鮮の国別コードが入っており、サーバー所在地は間違いなくピョンヤン」と書いた。月刊宝島にも紹介したが、日本メディアでは初めてのことである。
 国別ドメインコード登録は、北朝鮮のネットがいよいよ国際社会のインターネットに接続される動きとして注目される。

 
 AFP記事は以下の通り。
 
 同団体メンバーは、「北朝鮮がインターネットに対してより積極的にコミットしていることを象徴する事象」と語った。最近では、パレスチナ自治区の「.ps」、欧州連合(European Union)、EUの「.eu」が登録されているという。
 他方で、北朝鮮国内からのインターネットアクセスはいまだに厳しく制限されているとの指摘もある。
 1990年に設立された朝鮮コンピューターセンター(Korea Computer Center)により国内からのワールドワイドウェブ(worldwide web)へのアクセスが監視され、承認を与えた情報についてのみダウンロードが可能な仕組みとなっている。コンテンツのほとんどは科学技術に関するもので、アクセスすることができるのは研究所や大学機関と限られた個人のみだとされる。
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2268799/2029038

 AFPはまだ中国大使館のHPは把握していない模様だが、海外メディアとしては北朝鮮に食い込んでいる方である。
 昨年12月6日にもピョンヤン初で「金総書記、平壌の会員制ゴルフクラブで11ものホールインワン達成」と報じたことがある。
 「金正日総書記は、世界でも類をみないスポーツ施設であろう会員限定のPyongyang Golf Clubで、1ラウンドのうち合計11ホールでホールインワンを達成したという。金総書記の卓越した才能は、核兵器による瀬戸際外交にとどまらない。『将軍様』の個人崇拝の徹底化に尽力する北朝鮮の宣伝機関は、パー72、7700ヤードのコースで成し遂げた金総書記の偉業に、熱狂的な称賛を送った」と、シニカルなものであった。
 http://www.afpbb.com/article/1151632

 日本ではマスコミ関係者ですら「北朝鮮にIT?」とまだピンと来ないようだが、その実力については韓国、米国の諜報関係者が早くから注目していた。
 04年5月に陸軍の防諜部隊である機務司の宋泳勤司令官が機務司令部と韓国情報保護振興院が共催した国防情報保護コンファレンスで、「北朝鮮は金正日総書記の指示で精鋭のハッキング部隊を運営し、韓国の国家機関と研究機関の情報をハッキングするなど、サイバーテロ能力を強化している」と、ハッキング部隊の存在を公式に確認、その任務は、韓国の政府や研究機関などのコンピューターシステムに侵入して各種のデーダを収集し、時にはサイトをダウンさせることだと警戒を呼びかけた。

 米国でも、2001年の米国防総省報告書で「北朝鮮と中国のコンピューターハッキング能力は米中央
情報局(CIA)の水準に達した」と指摘している。

 知らぬは日本だけである。
 最近は情報戦略に関しての議論が盛んだが、「北朝鮮の(情報)工作は陸軍中野学校の模倣」程度の認識では2000年代に急速に発展している北朝鮮の情報戦略を理解することは難しいだろう。

 朝鮮中央通信が1日、金日成総合大学コンピュータ科学部の20代の新進研究者たちが、音声でコンピューターに命令する音声認識プログラムを開発したと報じた。
 大学キャンパスの地名を取って竜南山(リョンナンサン)と名付けられたプログラムは、音声による文書作成、ファイル検索などが出来る。すでに各部門に導入されている。
 同大の金ドッコ製作システム研究開発センター室長は「プログラムはどんな人の朝鮮語の文章発声に対しても96%以上の認識率と毎秒5字の認識速度を保障できる。また、音声による文章編集、コンピューター操作、名前による電話接続などに利用できる」と説明している。
 http://www.kcna.co.jp/calendar/2007/08/08-02/2007-0801-010.html
 
 北朝鮮はIT立国を目指して人材育成に力を入れているが、その成果が現れ始めたと言えよう。
 ITに国家的な力を入れはじめたのは88年、政務院に電子自動化工業委員会が創設された。98年の政務院の内閣改編とともに同委員会は金属機械省に電子管理局と自動化管理局として分離統合されたが、重要性が再認識され、翌年に二局は再度、電子工業省として独立した。
 傘下の電子製品開発会社がピョンヤンにコンピューター組立生産基地をつくり、その製品が各地のコンピューター秀才養成基地に備えられている。

 その一方で、国家的なプログラム研究、開発、普及の総合的中心基地として90年に朝鮮コンピューターセンターが設立された。米国のマイクロソフト社やアップル社が北の朝鮮文識別コードをOSに割り当てなかったため、朝鮮コンピューターセンターはWindowsやMacintoshを利用するために、ピョンヤン情報センターと協力して英文や日本文のOS上で朝鮮文を入力、編集する認識プログラムを開発した。
 また、LINUXに注目して00年に朝鮮語版LINUX1.0を開発し、事務用統合ソフトウェア開発や、海外のオープンソース運動を睨んだLINUXのアプリケーションソフト開発に力を入れる。

 総合的なIT研究開発機関としては、97年に金策工業総合大学情報センターが発足し、コンピューターネットワーク、人工知能、マルチメディア処理分野で研究成果を収めた。
 朝鮮コンピューターセンターとの共同で3Dアニメーションプログラムを開発した実績もある。

 01年頃から「人民経済の情報化」を国の重要戦略として掲げ、テレビ、新聞などでIT立国を盛んに標榜し、将来を担う人材育成を国家的プロジェクトとして押し進めている。
 01年4月からコンピューター秀才養成事業が始まり、エリート養成機関である萬景台学生少年宮殿、ピョンヤン学生少年宮殿、金星第一高等中学校、金星第二高等中学校(ピョンヤン学生少年宮殿の附属学校)に最新型コンピューターと周辺装置を揃え、全国から厳格な試験でコンピューター秀才養成班600人を選抜し、将来のビル・ゲイツとなる゛コンピューターオタク゛を集中的に育成している。

 人民大学習堂や中央科学技術通報社などのHPにアクセスするネットワークが整備され、金日成総合大学や金策工業総合大学、朝鮮コンピューターセンター、ピョンヤン情報センターの専門家たちが教育に当たる。地方の学校にもコンピューター小組があるが、設備が不足している。ここでは一人に一台づつコンピューターが与えられ、学生たちは一日中かじりついて学ぶ。 

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 日本ではまだあまり知られていないが、北朝鮮では軍事用の光ファイバー網が全国に張り巡らされ、近年、民生転用が積極的に図られている。
 鉄道専用通信への導入もその一つで、首都ピョンヤンと東海岸の咸鏡南道端川(タンチョン)市間で光ケーブル設置工事が終わり、ピョンヤンと平安南道のコチャ間の数十の駅にも先端通信設備が設置されている。

 朝鮮新報の現地特派員の記事「朝鮮の鉄道事情(上)」(07/7/17)が伝えたもので、鉄道運営システムの現代化事業の一環として進められている。
 チュ・ジェドク鉄道省局長は同紙とのインタビューで、「経済が発展すれば、中国とロシアを通じてユーラシア大陸とつながり、物流量も増えるだろう」と語り、シベリア横断鉄道(TSR)や中国横断鉄道(TCR)との連結を見越していることを明らかにした。
 将来的には、南北鉄道の再連結で中国、ロシアとつなぎ、朝鮮半島からユーラシア大陸にいたる輸送網構築が視野に入っているという。

 北朝鮮では解放後、独自に内陸部に鉄路を拡大、基幹線は電化されているが、単線であり、老朽化や電力事情の悪化で十分な機能を果たしていない。
 国家科学院鉄道科学分院が機関車・貨車工場と協力しながら、枕木のコンクリート化などそれなりの努力をしているが、技術や資金不足で思うように結果を出せないでいる。
 外部の協力が不可欠であり、北朝鮮も中国やロシアの支援に期待している。5月末には北東部の羅津(ラジン)とロシアのハサン間の現代化に関する覚書を締結した。

 だが、複線化などで立ち遅れた北朝鮮鉄道網整備には、中国やロシアに劣らず、韓国の支援が重要である。
 技術や資金もさることながら、世界11位の経済大国の韓国と連結してはじめて北朝鮮の鉄路は中国、ロシアへの物流中継線としての経済的価値を有する。
 すでに試験運転が終わった京義線と東海線の再連結を早期に実現し、ソウルと工業団地のある開城、観光地の金剛山間などに運用区間を延ばしながら、TSRやTCRにつながていくのが実情に合っている。
 
 ソ連がそうであったが、北朝鮮は軍事技術と民生技術の格差が大きい。
 軍事用の光ファイバー網もその一つであるが、軍、政府機関、大学、研究所などを結ぶネットワークが存在し、電子図書館からネットカフェまで市民に開放されつつある。
 鉄道専用通信への転用は、ネット時代に向けた新たなステップといえる。

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