来月2〜4日に開かれる南北首脳会談に参加する盧武鉉大統領には各界から298人の代表団が随行するが、今回の特徴は財界が積極的な姿勢をみせていることだ。
現代自動車グループ、サムスン電子、LGグループ、SKグループなど4代財閥会長(サムスン電子は副会長)をはじめとする18の企業トップが加わり、世界トップクラスの韓国IT企業が北朝鮮の潜在的なIT資源活用の道を直接探ることになる。
2000年の第一次首脳会談は政治的和解と南北交流の門を開いたが、今回の首脳会談は総論から各論に踏み込み、特に、南北経済協力面で従来の支援型から投資型に転換する契機になるか注目される。
韓国の対北経済支援に関しては核開発を助けたとの批判もあるが、北の核開発は米国の核に対応したものであり、本末転倒の議論である。ブッシュ政権はようやくそれを理解して北朝鮮との対話に舵を切り、出口が見えてきた。
その米朝対話を実質的に支えてきたのが韓国の太陽政策であり、新たな展開をするのは当然の帰結とも言える。
盧大統領は金正日総書記との会談で南北平和増進・共同繁栄モデルとして、開城工業団地モデルを発展させる第2、第3の工業団地造成問題を提案すると伝えられる。
候補地として開城の北西70キロの海州(ヘジュ)が挙げられている。懸案の西海の北方境界線(NLL)と非武装地帯(DMZ)を平和地帯化する上で効果があると期待されている。
南北経済協力は北朝鮮の経済再建はいうまでもなく、日中に挟撃されている韓国経済を一段とボトムアップする上でも大きな効果が期待できる。自動車・電子部品の使用されるレアメタル資源確保とともに、北朝鮮のIT人材活用が魅力的だ。
韓国対外経済政策研究院(KIEP)は17日に発表した報告書で、南北首脳会談後に北朝鮮が特区拡大政策を展開する可能性があるとして、南浦(保税加工区あるいは総合産業開発団地)、元山(軽工業中心)、新義州(貿易、商業、軽工業)、端川地域、沙里院地域(資源開発特区)、白頭山、開城、妙香山、冠帽峰地域(観光特区)とともに、IT特区としてピョンヤン、南浦、平城のうち1地域が指定されると予測した。
北朝鮮情報が極端に偏っている日本では奇異に聞こえるだろうが、韓国、中国、ロシア、欧州では北朝鮮のIT人材への注目が高まっている。
その中心に位置するのが、冒頭写真(サムネイル1,2,3,4は内部施設)の「朝鮮コンピューターセンター(KCC)」だ。
1990年10月24日に創立された同センターは北朝鮮では「IT産業の中心基地」と位置づけられ、傘下に8つの部門別開発・生産単位、品質管理センター、情報サービスセンターなどの開発支援単位、各道に11の地域別情報センターを置き、操作システムとネットワーク、操作および信号処理、生体情報処理、情報保安などソフト・ハードウェアを開発、生産する。
独自の人材育成にも力を入れ、朝鮮コンピューターセンター情報技術大学、情報技術講習所を有している。
近年は対外市場に積極的に進出し、独自の市場戦略に基づき、ドイツ、中国、シリア、アラブ首長国連邦などに支社、合作会社、販売所を置き、内外の情報技術関連会社、科学研究機関との交流を行っている。
核心技術開発に力を入れるが、当面の目標は、数年内にLINUXにもとづく朝鮮式の操作システムと応用プログラムを開発し、コンピュータ応用ハイテクの開発・サービス分野を世界レベルに押し上げることだ。ソフトウェア開発チームによる新製品開発、品質認証、国際標準化を進め、注文開発、技術サービス分野を開発する。
http://www.kcckp.net/kcc_e/index.htm
サムスン電子やLG電子が中国などに展開する海外工場を北朝鮮に移転するだけで、数千億円規模の莫大な投資効果が期待できる。世界有数の製鉄会社であるPOSCOや現代自動車が加われば、数兆円規模、日朝ピョンヤン宣言で謳われた日本の経済協力規模を優に上回る。
無論、それはまだプランの段階に過ぎないが、実現すれば南北に計り知れない経済効果をもたらすことは間違いない。
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