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産経新聞が「慰安婦は強制性がなかった」「自発的な売春婦」と先頭に立って喧伝してきた事は衆知のことだが、“産経のドン”として君臨していた鹿内信隆産経新聞社長・フジサンケイグループ会議議長が日本軍の経理担当の主計将校時代に自ら慰安婦の設置・運営業務に携わっていた事実を知る人は少ない。
当の産経新聞がひた隠してきたからである。 事実を知っていながら隠蔽し、全く逆の言辞を紙面で臆面もなく書き連ね、読者を欺いてきたことになる。 言論機関として、それ以前に、人間として許されるのか、大いに疑問である。 鹿内は1990年に没するまで産経グループに君臨したが、1983年に桜井武日経連会長との対談集『いま明かす戦後秘史』(サンケイ出版)で以下のような対話を交わしている。 桜井「慰安所の開設」 鹿内「その時に調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか、悪いとか・・・、持ち時間が将校は何分、下士官は何分・・・といったことまで決めなければならない(笑) こんなことを規定しているのが『ピー屋設置要綱』というんで、これも経理学校で教わった。」 この会話は、慰安婦が旧日本軍によって組織的系統的に運営されていた事実を如実に語っている。 強制性があったことも明白だ。調弁というのは、兵馬の糧食などを現地調達することを意味する軍隊用語である。牛馬同様に見なしていたことが分かる。 業者を使ったので軍が直接関与していていないというのは本末転倒の詭弁である。 鹿内の道徳的な退廃度は噴飯ものである。 手柄話のように笑いながら慰安婦を話題にしており、女性への性暴力との認識は欠片もなく、女性を男性の性奴隷のようにみなしている。 それが当時の日本軍の風潮であり、戦後も続いていたということである。 やはり主計将校であった中曽根康弘元首相も今は口を閉ざしているが、「土人女を集めた慰安所開設」について語っていた。 鹿内は産経新聞の経営権を強引に掌中に収めた後、800人もの首切りで経営方針を自分に従わせた。産経グループを今日のように戦争犯罪を隠蔽、合理化する体質に変えた張本人と言える。 鹿内の話を裏付ける史料も研究者によって発見されている。 旧日本軍作成の部厚い『初級作戦給養百題』がそれで、9ページの「第一章創設」に「2 慰安所の設置」とある。 鹿内は1939年4月から9月まで陸軍経理学校で学んでおり、同教材で学んだ後に現地に赴いたとみられる。 中国に侵略していた北支那方面軍の岡部直三郎参謀長が「兵士による強姦事件が激増している」として速やかに慰安所設置を求めた通諜(1938年6月27日付)も発見されており、慰安所設置が軍紀維持のために不可欠とされていた内情が浮かび上がってくる。 今後とも中国での元戦犯の証言などが明らかになろう。 オランダ人慰安婦が強制された裁判記録も残されている。 1948年のインドネシアのバタビア臨時軍法会議で旧日本軍のB、C級戦犯11人がオランダ人慰安婦35人に対する強制連行、強制売春、強姦で有罪となり、少佐が死刑判決を受けたのである。首謀者の大佐は日本に逃亡し、自殺した。 スマラン慰安所事件(白馬事件)と呼ばれるもので、南方軍第16軍幹部候補生が収容所のオランダ人女性をスラマンの慰安所に連れ去った。 鹿内が明らかにした慰安所もそれと大同小異のものである。 櫻井よしこ氏らは「軍規違反の特例。他にはなかった」と詭弁を弄するが、国際社会で通じる話ではない。 加害者を庇い、被害者を売春婦と貶める反道徳性を省みるべきであろう。 朝日新聞が「慰安婦狩」に関する吉田証言について「虚偽と判断し、取り消す」と訂正したことを受け、産経新聞などが慰安婦への強制そのものがなかったかのような声を挙げているが、意図的なすり替えである。 今日のラジオで安倍首相が「日本の名誉を傷付けた」と朝日新聞を批判した。 個別言論への干渉と非難されるべき異常な事態であるが、それだけこだわっていることの証左である。「狭い意味での強制はなかった」と旧日本軍を庇い、事実を隠蔽しようとする安倍氏の姿勢こそ日本の名誉を傷付けていることを知らねばならない。 余談だが、8月に訪韓したローマ法王は明洞教会のミサに7人の元慰安婦を招いて面会した。イギリスのニュースサイト「オンライン」は「日本によって性奴隷にされた慰安婦に会い、和解するように求めた」と伝えた。 それに対し文藝春秋編集部は「法王が求めたのは日韓の和解ではなく、南北の和解」として「間違った認識」と非難するが、初歩的な事実誤認である。法王は慰安婦問題を同誌が考えている以上に知っており、当然、日韓の問題であることも理解している。 小さなプライドに拘る浅薄な雑誌になったものである。 |
歴史認識問題(従軍慰安婦etc)
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安倍首相は従軍慰安婦強制に陳謝した河野談話は継承する、見直しは行わないと国会質疑で明確に述べた。
そうして、オバマ大統領を挟んで日韓首脳会談が先月末にハーグで持たれた。従軍慰安婦問題を協議する日韓外務局長協議も16日にソウルで開催される。 ところが、安倍氏はその一方で、河野談話の検証に固執し、密かに骨抜きを図っているように見える。 側近の菅官房長官は11日の衆院内閣委員会で、河野談話検証結果について「国会から要請があれば出させていただく」と答弁している。 問題は、検証チームのメンバーの名前が秘密にされていることである。 15日の朝日新聞によると、マスコミ関係者や女性識者による検証チームの人選はすでに終え、5月の連休明けに結果を国会に提出し、今国会中に結論を出す予定という。 肝心の検証チームのメンバー名だが、検証結果を国会に提出する際に公表する方針という。不透明で公平さに欠ける。 秘密主義丸出しの検証では、結論ありきの疑似検証と批判されても仕方があるまい。 閃聞するところでは、検証チームの女性識者とは櫻井よし子氏を指すようだ。 歴史学の門外漢である櫻井氏はこれまで産経新聞紙上などで、従軍慰安婦は売春婦であり、日本軍が強制したものではないと率先して喧伝してきた。その論拠たるや、客観性や科学性とは無縁で、政治性を帯びた感情的な俗説を繰り返しているに過ぎない。 マスコミ関係者もいわゆる「新しい歴史教科書を作る会」関係者が含まれるという。 彼らはいずれも安倍首相に近い人物らで、安倍氏が第一次安倍内閣で「慰安婦には強制性がなかった」との答弁書を閣議決定する上で影響力を及ぼした。 安倍氏の歴史認識を歪ませ、韓国、中国との軋轢を生じさせたメンバーに検証の真似をさせて安倍首相は何をしようというのか。 韓国、中国をまた騙したと怒らせ、米国の不興を買うことは火を見るより明らかである。 過去の反省を自虐的と拒む貧困な知性では、未来思考の外交は難しい。 日本国民に正しい歴史認識を与える検証にはそれなりの意味があろう。 そのためにも、こそこそ裏で動かず、検証チームのメンバーを直ちに公開し、学問的な素養のある公正なメンバーとすべきである。 |
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さる10日、ソウル高裁が新日鉄住金(旧日鉄)に対して植民地時代に徴用で働かせた元韓国人労働者の訴えを認め、未払賃金と賠償金として一人当たり1億ウォン(880万円)を支払うように判示した。
人道に反する罪に時効はなく、奴隷的な強制徴用への賠償は当然とも言える。その意味で15日の毎日新聞社説「国家間の合意に反する」は違和感を覚える。 原告四人は1、2審で敗訴し、うち二人は日本でも敗訴している。 しかし、韓国大法院が昨年五月に「日本による韓国支配は違法な占領であり、強制動員を違法とする韓国憲法の価値観に反している。1965年の日韓協定により元徴用工個人の請求権は消滅していない」との見解を示してソウル高裁に差し戻した。 なお、憲法裁判所は2011年8月に韓国政府が従軍慰安婦(性的奴隷)解決に向け努力しないことを違憲と判断した。 1987年の民主化以降の歴史見直しの中で韓国司法界では憲法の精神、規定に沿って国内法秩序を再整理してきた。 右傾化の中で憲法9条や労働権、生存権条項が骨抜きにされてきた日本とは真逆の傾向であると言えよう。 そうした流れの中でソウル高裁の判決が出るべくして出たとも言える。 違憲立法審査権を自ら封印し、行政に追随している日本の最高裁に比べれば、韓国憲法裁判所や大法院の方が、基本的人権や民主主義の法理によっぽど忠実である。 ソウル高裁判決は、日本政府が韓国政府に払った経済協力金は請求権と法的な対価関係にない、請求権協定は植民地支配に対する韓日両政府の合意がない中でなされたとして、「損害賠償請求権は消滅していない」と判断した。 概ね妥当なものと言えよう。 しかるに、毎日は第一報で「韓国の司法が日韓関係を悪化させている」との日本政府関係者の談話と共に、「日本側の不信感をさらに高めそうだ」と伝えた。 産経などに比べればましとはいえ、姿勢がいわゆる国益擁護に傾きすぎていないか。 菅官房長官は10日の記者会見で「財産請求権問題は日韓協定で解決済だ。容認できない」と述べたが、安倍首相は従軍慰安婦問題を否定し、侵略や植民地支配の定義は定まっていないと東京裁判を否定する発言を国会答弁で繰り返している。 日本側には日韓協定当時も今も強制連行や徴用を反省する気はなく、これらの問題は度外視されて今日に至ったと言っても過言ではない。 毎日社説は「総額8億ドル以上の請求権資金を日本が供与」と書き、日本がすべきことはしたと言いたげだが、無償は3億ドルで、残りは有利子の有償、しかも日本企業とタイアップした営業的な色彩を帯びたものである。 そもそも被害者に対する反省も謝罪もなく、金で解決しようとした姿勢が誠意に欠けていた。 従軍慰安婦も含めた強制徴用問題は、精神的にも金銭的にも未解決である。 国家間の合意に反すると大上段に切り捨てられる問題ではあるまい。 米国のカリフォルニア州は2003年にナチスドイツ及びその同盟国による奴隷、強制労働に対する請求権を延長するトムヘスデン法を制定し、それを受けて関連ドイツ企業が基金を設立して賠償に充てた 前例がある。 日本企業も未払賃金踏み倒しの汚名をそそぐために、その前例を見習うべきではないか。 ソウル高裁判決は実効性に欠ける。 韓国内に該当企業の資産がないため強制執行ができないためである。 だが、将来、中国の裁判所に同様の訴訟が起こされ、進出している日本企業が差押え対象になることも考えられる。 日本政府やメディアの神経質な反応は、それを見越し、影響を懸念した面もあろう。 歴史認識問題は被害者への明確な謝罪と賠償なくしては永遠に解決しない。 そのことを肝に銘じるべきである。 |
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維新の会代表の橋下大阪市長が「従軍慰安婦は必要だった」と発言した事が世界的な非難を呼び起こし、橋下氏は昨日急遽、外国人記者クラブで釈明の記者会見を開いたが、責任逃れとの意見が支配的であった。
自分の歪んだ意見が安倍首相らに近いと見せようとした、と英国人記者に見透かされるなど、河野談話の見直しを公言している安倍首相にも飛び火する気配である。 誤訳へと論点をすり替え、他に責任を転嫁するなど、橋下氏が弁護士としてはやり手であることは間違いない。 冒頭、英訳文を添えた釈明文を読み上げ、従軍慰安婦をSex Slave とするのは誤りと反撃も試みたが、外信はSex Slave に反省なしと報じるなど、効果はなく、もはや弁明の余地は無くなったと言っても過言ではない。 橋下氏の失敗は、根本的な事実認識の誤りを記者たちに突っ込まれ、答に窮したことにある。 「日本軍の関与を直接示すような証拠はなかった」と大上段に構えたが、これは大嘘か無知蒙昧な事実誤認である。 日本軍が占領したインドネシアにおいて、1942年から45年まで欧州系の女性200人から300人が慰安婦にされ、うち65人について日本軍が直接命令した文書が発見され、少佐らがB 、C級戦犯として処刑されている。 直接的な証拠が無い、は真っ赤な嘘であり、逆に従軍慰安婦が朝鮮人のみならず、中国人、欧米人にまで拡大されていたことを明確に示している。 旧日本軍や内務省が敗戦前に不利な文書を大量焼却したことは明らかになっているが、橋下氏は証拠を出せとしらを切る犯罪者を真似るのではなく、証拠発掘に協力することこそ弁護士としての良心ある行動と知るべきである。 何より重要なことは被害者の声に謙虚に耳を傾けることであるが、橋下氏は元慰安婦の証言は信用できないのかと質されると「歴史学的に議論がある」と逃げた。 真実から顔を背け、加害者を庇おうとするのだから、何をかいわんやである。 橋下氏は言葉に詰まり、「河野談話は強制性について逃げている」とすり替え、第一次安倍内閣が07年6月に「慰安婦への強制を直接示す証拠は見つからなかった」との答弁書を閣議決定した事を挙げた。 しかし、この閣議決定は場当たり的ないい加減なものであった。 安倍氏は同年4月の訪米で、従軍慰安婦への公式謝罪を求める対日非難決議案採択の動きを見せていた議会関係者やブッシュ大統領に「申し訳なかった」と謝罪している。 当人は国会答弁で野党からその真偽を突っ込まれて否定していたが、誤魔化せなくなって二転三転し、結局、肯定する答弁書を閣議決定するドタバタ劇を演じた。 安倍内閣の節操なき閣議決定や国会答弁が、お調子者の橋下の迷走を呼んだことは否定できない。 米国務省のサキ報道官が橋下発言に「言語道断」とお灸を据えたのは、軍国主義的な歴史認識で韓中と対立する安倍首相への警告でもあった。その直前にシーファー元駐日大使が「米国の国益を害する」と強い語調で批判している。 ワシントンポスト紙が社説で「安倍の二枚舌」と非難するなど安倍首相への風当たりは強まる一方であり、国連拷問禁止委員会は対日審査で日本政府の公式答弁まで求めている。 一部マスコミは「情報の発信の仕方が悪い」とこの期に及んでも橋下=安倍を庇おうとしているが、姑息な手段をろうするのは日本の名誉と評判を貶め、外交的な孤立を深めるだけである。 ちっぽけなプライドのために大局を見誤ることほど愚かなことはない。 アウンサンスーチー女史は訪韓に際して「過去の過ちから目をそらすものは同じ過ちを犯す」と安倍政権の対応を批判したが、心して耳を傾ける必要があろう。 |
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安倍首相が熱望していた1月中の訪米が延期され、2月以降に大きくずれ込むことになった。
米側の日程調整が難しいというのが表向きの理由だが、安倍氏の従軍慰安婦に対する誠意なき、というより、悪意に満ちた態度が米国内で批判されていることと無関係ではない。 昨年の総選挙勝利直後、安倍氏は1月中の訪米を打診し、米側の了解を得ていた。緊張する対中関係を念頭に、韓国、米国との連携強化によるいわゆる外交建て直し戦略を描いていたのである。 それが出鼻から躓き始めている。 朴クネ次期大統領に4日、額賀特使を送ったのも安倍流戦略の一環だが、その前日、ソウル高裁が靖国神社に放火した劉強氏に対して政治犯罪に当たるとして日本の引渡し要求を却下する決定を下した。 これに対して安倍氏は「犯罪人引渡し条約に違反する」と記者団に語り、韓国の法秩序を否定するかのような高飛車な姿勢を示した。 劉氏が祖母を従軍慰安婦にされたことに抗議して靖国に放火したと述べていることを、ソウル高裁は政治的動機によると判断した。 政治犯を保護する国際協約に叶うものであり、至極当然の決定である。 それに真っ向から異を唱える安倍氏の反人権感覚、ひいては歪んだ歴史認識こそ問われなければならない。 劉氏は中国政府の求めに応じて本国に送還されたが、いみじくも安倍氏は韓国、中国から同時にノーを突きつけられた結果になった。 朴クネ次期大統領は正しい歴史認識が関係改善の前提とだめ押ししており、安倍氏が日本の過去の国家犯罪を隠蔽しようとするほど、孤立するだけである。 安倍氏が頼りとする米国も厳しい視線を注いでいる。 ソウル高裁決定と期を一にして、ニューヨーク・タイムズが、従軍慰安婦を娼婦と冒涜する安倍氏の歴史認識を厳しく批判する社説を3日付で掲載した。 安倍氏の訪米延期はそうした、米国で高まる批判と無関係ではあり得ない。 安倍氏と安倍内閣の閣僚四人は昨年11月に従軍慰安婦を否定する広告を全米で流し、旧日本軍の犯罪行為を隠蔽する姿勢が問題視されていた。 オバマ大統領も従軍慰安婦問題に強い関心を向けている。 昨年暮に死去し、準国葬とされたダニエル・イノウエ上院議員は、第一次安倍政権時、安倍氏の時代錯誤の歴史認識を辛辣に批判していた。 米下院が安倍首相に従軍慰安婦に謝罪することを求める決議121号を全会一致で採択したのはこの頃である。 同郷ハワイの英雄イノウエ氏を尊敬するオバマ氏も、安倍氏の誤りを座視はできまい。 第一次安倍内閣は従軍慰安婦問題で躓き、安倍氏の唐突な入院、政権投げ出しの伏線となった。 何も学ばず、誤った歴史認識にこだわっていると、同じ轍を踏むことになる。 |







