河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

歴史認識問題(従軍慰安婦etc)

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 従軍慰安婦に対して日本政府に公式謝罪と補償を求める決議が米下院で採決され、改めて日本の個人賠償責任問題が浮上している。
 未解決の対北朝鮮への賠償問題にも影響することが予想されるが、日韓条約ではどう扱われたのか、韓国政府が公開した韓日協定関連文書を通して改めて検証する。

 盧武鉉政権の過去史究明によって、40年以上の歳月のかなたから蘇った韓日協定関連文書が語るのは、日韓両国が請求権に関する表現をめぐり、鋭く対立していた事実である。
 当時の朴正熙(パク・チョンヒ)政権は「請求権」という言葉を明記するように求めたが、日本側は「経済協力資金」いう表現にこだわった。

 1965年5月14日に日本外務省で行われた「請求権及び経済協力委員会・第6次会議」で日本の西山代表は、「我々が提供するものは、あくまでも賠償のように義務によって与えられるのではなく、経済協力である。一種の政治的協力という意味で提供されるものと考えており、日本の一方的な義務によって提供することになっては困る」と主張した。
 これに対して韓国のキム・ボン代表は、「(日本に)まったく義務がないと言うのは話にならない。韓国国内の一般国民の感情は請求権を受け入れるということであり、請求権という表現が変われば重大な問題が起こるだろう」と反論した。
 こうしたやりとりは、すでに1962年末の第6次談から争点となり、翌年1月、日本外務省で開かれた第23回会議で韓国側は「日本側が提示した協定要綱案第1の『無償経済協力として』という表現と、第2の『有償経済協力として』という表現は到底受諾することができない」と述べている。

 日本側は日韓交渉では一貫して「請求権」ではなく、「経済協力」を主張していたことになる。日本側が当時の資料公開に消極的であったのは、戦後補償に対して矛盾する姿勢を取っていたと批判されるのを恐れたためと思われる。
 日本政府は強制連行の被害者たちが起こした一連の対日戦後補償訴訟で「1965年の請求権協定で、個人請求権問題は完全に解決された」と主張しているが、公開された文書は「二枚舌」を語っている。

 他方では、足元を見られ、曖昧な形で譲歩した朴正熙政権の責任を指摘する声もある。
 太平洋戦争犠牲者遺族会は04年9月、韓国国会での記者会見で「第5回韓日会談予備会談会議録(一般請求権小委員会第12、13回会議録)」を公開し、ヤン・スンイム会長が「1961年の韓日会談で、韓国政府が日本政府の韓国人犠牲者に対する直接補償の提案を拒否し、国が補償金を受け取って支給する方法を選んだ」と批判した。
 会議録によると、韓国政府は労務者、軍人・軍属ら国外に動員された被徴用韓国人の生存者、負傷者、死亡者、行方不明者などの肉体的・精神的苦痛に対する補償金の支給を請求した。しかし、日本政府が韓国人犠牲者に対して直接補償する案は拒否し、韓国側が補償金を受け取って支給する方法を選んだ。
 「しかし、朴正熙政権は65年の韓日協定締結後に受け取った5億ドルの対日請求権資金から、被徴用韓国人に対する補償を実施すべきだったにもかかわらず、浦項製鉄と京釜高速道路の建設に投入し、70年代に軍人・軍属の死亡者8000人に限って補償をした」という。

 それに対して盧武鉉大統領は政府の責任を認め、太平洋戦争前後の国外への強制連行で死亡もしくは行方不明になった犠牲者について、1人当たり2000万ウォンの慰労金を遺族に支払い、生存者に対しては毎年1人当たり50万ウォンの医療支援金を支払うことを決めた。
 それに基づいて先月3日に「太平洋戦争前後の強制動員犠牲者支援法案」が国会で可決され、一件落着するはずであった。

 ところが、同案に、生存者に医療支援金に加え1人500万ウォンの慰労金を支払うことが修正追加されたため、今月2日、盧大統領は信義違反と批判し、他の過去史関連法案などとの均衡や財政負担増を理由に拒否権を行使した。
 国会で再度、出席議員の3分の2以上の賛成で可決されない限り、廃案となる。

 韓国には強制連行問題に対して、日本が経済協力にこだわり、十分な謝罪をしなかったことに道義的な責任を求める声が強い。
 個別請求すべきだとの声もあるが、政府の立場は、日韓条約で決着した問題であり、個人補償は政府が責任を負うとする。世界最貧国であった当時、朴正熙政権は経済開発資金ほしさに譲歩、個人補償分まで投資に回し、禍根を残した。豊かになった今、それに対しては基本的に国が責任を負うというものである。

 しかし、従軍慰安婦問題は当時全く提起されておらず、審議の対象外であった。法的には個人が対日請求権を行使できる余地が有るとみられる。
 麻生外相が関わる麻生炭鉱など日本企業による賃金未払い問題なども同様だ。

 また、未解決の北朝鮮との賠償問題では、そうした問題点を踏まえた新たな視点からの交渉が不可欠と見られる。
 日朝ピョンヤン宣言は日韓方式を真似た「経済協力」で決着を図るかのような記述になっているが、事実上死文化しており、一から、北朝鮮に現在も生存する従軍慰安婦らへの謝罪・補償などもきちんと議論し、後顧の憂いをなくすべきであろう。

 くれぐれも、仏作って魂入らずにしてはならない。

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 米下院本会議で従軍慰安婦対日非難決議案が採択されたことは、ボディーブローのように日本外交にじわじわと打撃を与え始めている。
 2日発表のARF議長声明にある「人道上の懸念に対応する重要性」との文言は拉致問題と従軍慰安婦問題を意識し、「日朝双方の主張を採り入れた妥協案」(フィリピン政府高官)であった。

 日本は国際社会から、拉致問題に劣らぬレベルで適切な対応を迫られたことになる。
 従軍慰安婦は朝鮮半島だけではなく、中国人(台湾も含む)、フィリピン人、インドネシア人、オランダ人など広範囲にわたるだけに、今後とも国際会議の度に取り上げられていくことであろう。

 改めて米下院が30日に採択した対日謝罪要求決議を振り返ると、要旨は以下のようなものであった。
 1、日本政府は1930年代および第二次大戦中、帝国軍の性的奴隷とする目的で若い女性を手に入れるよう正式に指示した。
 1、その残忍性・重大性において前例がないと思われる慰安婦制度は20世紀最大の人身売買事件の一つである。
 1、日本の教科書の一部は慰安婦の悲劇や他の戦争犯罪を軽視しようとしている。
 1、日本の官民双方の関係者は最近、93年の河野官房長官談話を弱めようとの意思を表明した。
 1、日本帝国軍がアジア・太平洋の島々で性的奴隷となるよう若い女性に強制したことに対し、日本政府は明確かつあいまいさの残らない形で公式に事実を認め、謝罪し、歴史的な責任を受け入れるべきである。
 1、首相が公の声明として謝罪すれば、これまでの声明の誠意に関して繰り返される疑問の解決に役立つだろう。
 1、日本政府は性的奴隷・慰安婦の売買の存在を否定するいかなる主張に対しても明確かつ公に反論しなければならない。
 1、日本政府は慰安婦に関する国際社会の勧告に従いながら、現在と未来の世代を教育しなければならない。
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date5&k=2007073100361

 米国務省のケーシー副報道官は「ブッシュ大統領と安倍首相はこの問題を話し合い、大統領は日本側の対応に満足の意を表明している」と述べ、「米政府としては下院の謝罪要求決議を支持せず、距離を置く姿勢を示した」と伝えられたが、外交儀礼の域を出るものではない。
 民主党主導の議会に、ブッシュ政権は国政全般にわたって受身に追い込まれている。また、安倍首相が訪米に当たって同問題で「謝罪」を繰り返したことにブッシュ政権内ですら「二枚舌」と批判する空気があり、拉致問題を挙げてテロ支援国指定解除反対を申し入れた安倍首相にライス国務長官が「米国の国内問題だ」と釘をさしている。
 安倍首相がケーシー発言を真に受け、赤城問題のようにもたついた対応をしていると、北朝鮮側にいいようにあしらわれるであろう。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中、北朝鮮など計27カ国・機構が参加して開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)で、北朝鮮が従軍慰安婦問題を持ち出してくる事は予測されたことである。
 北朝鮮は事前の6月19日〜21日にフィリピンのアルベルト・ロムロ外相をピョンヤンに招き、ベテラン職業外交官出身の朴宜春(パク・ウィチュン)新外相らとの顔合わせを済ませ、両国外務省間の双務協議システム樹立に関する協定まで締結している。
 それを受けてマニラに乗り込んだ朴外相は、宋旻淳(ソン・ミンスン)韓国外相、ネグロポンテ米国務副長官ら、日本を除く各国外相との微笑外交を積極的に展開した。従軍慰安婦問題に議長声明で言及することもその間に合意されたとみられる。

 他方の麻生外相は、前回同様に今回も議長声明に「北朝鮮が拉致問題など人道上の懸念に・・・」と入れたがったようだが、そっくり抜け、事実上、従軍慰安婦問題との併記となった。

 朝日新聞は「議長国のフィリピン政府高官は『人道上の懸念』について、拉致問題と従軍慰安婦問題という『日朝双方の主張を採り入れた妥協案』と説明した」と報じた。韓国など海外メディアも、そうした報道をしている。
 ところが、他の日本のメディアはほとんどが「拉致問題に間接的に言及」と伝えた。これでは国民は何が起きているのか、正確にはわかりにくい。
 http://www.asahi.com/international/update/0802/TKY200708020375.html
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007080200686

 NHKへの放送命令が象徴するように、小泉=安倍政権下でメディアへの統制が強まっている。特に北朝鮮関係でそれが露骨である。
 改憲志向の政権下で憲法が定めた国民の知る権利が侵されている一例と言えようが、危険な動きである。まず事実を客観的に伝え、論評は次に、というジャーナリズムの原点に返るべきであろう。

 安倍首相は米国で「謝罪」を繰り返し、河野談話の継承を公言したのだから、早期に公式謝罪をして決着をつけるべきである。
 「二枚舌」の汚名をそそいで花道を飾るためにも、それがよいのではないか。

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 米下院本会議で日本国首相に公式謝罪を求める従軍慰安婦決議案が採択されたことは、翌日、大手各紙が一斉に社説で取り上げるなど、日本社会に大きな衝撃を与えている。この問題の病巣の深さを物語るように、各紙の評価は大きく割れている。
 前回、当コラムにも276ものコメントが寄せられ、賛否両論、侃々諤々の議論が交わされた。それも踏まえて再度、今の日本社会の自画像であり、成熟度を図るバロメーターでもある従軍慰安婦問題に証明を当ててみよう。

 日本ではあまり報じられなかったが、従軍慰安婦決議案阻止に向けての米国での官民挙げての行動は、凄まじいものがあった。
 「日米を離間させる工作」(麻生外相)、「事実に基づかない決議は両国に重大な亀裂を生じさせる」(平沼赳夫元経済産業相)と露骨に牽制した。日本国内では、保守系メディアで櫻井よしこ氏らが「慰安婦は親に売られた売春婦であった」、発議者のホンダ議員は「中国、韓国の手先」などと書き立てた。
 これに対して米側は、「事実に対抗するばかげた主張だ」(ラントス外交委員長)と取り合わなかった。

 一体、どちらに真実があるのか。
 半世紀以上も前の、混乱した戦争の時代の事であり、証言も記憶が曖昧だ。
 だから、賛否両論が起きるのだが、我々が人間として(国籍、人種は関係ない)、まず最初に、謙虚に耳を傾けなければならないのは、被害者の声だ。

 最近、私に、第二次世界大戦末期に起きたドイツ人親子の悲劇を知らせるメールが届いた。
 「半世紀がたった今でも、ブーブリツは恐怖の記憶におののいている。家族とともに東プロシアを逃げ出したときの体験だ。
 ある夜、家族や仲間と民家の地下室に隠れているところをソ連兵に見つかった。ソ連兵たちは腕時計を巻き上げ、次に欲しがったのは女だった。
 『私たちの中に女性教師がいた。四五歳で男性経験のない人だった。彼女は10人のソ連兵にレイプされ、血に染まった下着姿で戻ってくると、大声で泣き叫んだ。この教師の母親は娘を抱きかかえ、私がカミソリの刃を持っているからと言い、親子は外に出ていった。二人は森の中で死んでいた』。」

 ニューズウィーク日本版1995年5月17日号に掲載された「終戦後の『民族大虐殺』」という記事の抜粋らしいが、メールの件名は「アメリカ下院の謎」であった。
 米下院はなぜ従軍慰安婦ばかり扱うのか、との趣旨の異議申し立てに思えたので、私は以下のように返信した。

 「米下院はあらゆる不正義に対して批判的であるべきです。したがって、従軍慰安婦だけではなく、ドイツ人親子の声なき声にも耳を傾けるべきです。
 ただし、米下院は正義の絶対的代弁者ではありません。ドイツ人親子の無念を届ける行動が必要でしょう。いかなる正義も行動なくして実現することはないと思われます。
 以上、初めて知ったドイツ人親子の無念を思っての、ささやかな感想です。」

 元従軍慰安婦の訴えは、そのような被害者の声が米議会に届いたと言える。
 彼女らは当初は自分の行為を恥じて口をつぐんでいたが、かなりの時間が経ってようやく口を開くようになる。レイプされた女性たちが泣き寝入りし、やがて権利意識に目覚めて告発に及ぶケースを思えば理解しやすい。

 恐怖と屈辱感と遠い記憶が、証言を曖昧にするのは避けられない。だが、それを持って揚げ足取りをするようでは、人間としての品格が問われる。
 加害者を暴き出し、しかるべき責任を取らせるために努力し、協力するのが、人類の良心と正義に照らし、また、再発防止のためにも求められる当然の行為である。
 
 安倍首相が4月の訪米で議会指導者やブッシュ大統領に「謝罪」を繰り返したのは、好意的に解釈すれば、多少はそういう気があったからではないのか。
 もっとも、参院選で「信用できない」と烙印を押されたように、安倍氏の言葉には信憑性に疑問が付く。決議案阻止のために「二枚舌」を使ったのかも知れない。
 
 いずれにしても、安倍首相は「旧日本軍や政府官僚が慰安婦の強制徴集に直接関与した証拠はない」と反発するが、挙証責任というものがわかっていないようだ。
 93年の河野官房長官談話でそのことを認め、基金までつくって賠償に及んだ以上、それを覆すには新たな証拠があらねばならない。「河野官房長官は実は裏があって、本当は・・・」という類の話は、ばかげているばかりか、「一国の官房長官が嘘をついたのか」と日本の信用問題に発展する薮蛇の危険性もある。
 再審請求と訴訟構造的に似通っているが、広義であれ狭義であれ“強制していないことを証明する物証”が一つも無い以上、旧日本軍はクロとの認定が覆ることは無いということである。

 分かりやすくするために、具体例を挙げよう。
 安倍首相らは、旧日本軍は慰安所業者をつかって売春させた、したがって直接に強制はしていないと強弁するが、日本軍と慰安所業者の関係は、二人以上で暴行傷害に及んだ同時傷害の特例に似ている。
 この場合、強制などをしなかったことを被告側が証明しない限り、共同正犯とみなされる。
 それを定めた刑法207条は強姦致傷罪には適用されないとの判例があるとの指摘もあったが、それは日本のケースで、欧米社会で認められる性質のものではない。

 軍が慰安婦の募集を命令している文書の存在が確認され、オランダ人慰安婦が日本軍によって強制的に売春婦にさせた戦犯裁判記録も発見されており、日本軍が組織的に慰安婦強制に関わったと判断するのが常識的だ。
 それを「売春婦」とすり替えるのは、ナチスが女性政治犯を売春婦に仕立てた、知能犯ではあるが卑劣極まりない行為とどこが異なるのか。
 安倍首相らは強制性を認めると個別的な賠償責任が発生することを恐れているのかもしれないが、嘘で固めた責任逃れは、日本の名誉と国際的信用を貶めるだけである。

 安倍首相が否定すればするほど、「日本政府の新しい声明は歴史的証拠に反し、被害者やその家族を苦しめている」(ベルハーゲン・オランダ外相)、「日本の首相の発言に対して遺憾を表明し、女性たちに対する謝罪問題には明確な態度を要請する」(マッケイ・カナダ外相)と批判の声が広がっている。
 他方では、「歴史的記録は北朝鮮による拉致事件に劣らず証拠がはっきりしている」(ワシントン・ポスト)など、安倍首相が拉致問題とは異なるダブルスタンダードを取っていることへの疑問の声も起きている。

 今回の件は小泉=安倍政権が引き起こした、反省を“自虐的”と拒むネオコン的な歴史認識問題の帰結であり、自業自得の面がある。

 日本は米議会で問題視される前に、明確に謝罪し、責任を明らかにするべきであった。
 戦後ずっと積み残された問題がここに来て噴出しているが、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」などという方向音痴は金輪際放棄し、また、個人的欲望や小さなプライドを捨て、日本の名誉と信用という大義を優先させて一日も早く公式の謝罪を出すべきである。

 なお、各紙社説の検証は次回に譲る。

 米下院本会議で30日(日本時間31日)、日本政府に対して、旧日本軍が慰安婦を強制動員したことを公式に認めて謝罪することを要求する決議案を満場一致で採択した。
 安倍首相の稚拙な対応が事態を深刻化させたと言えよう。

 聯合ニュースによると、ナチスによるホロコーストの生存者でもあるラントス外交委員会委員長が提案説明を行い、「日本帝国の軍隊が多くのアジアの女性を強制動員したことは否定できない事実である。歴史を歪曲し、慰安婦犠牲者たちを非難する日本の態度は不誠実で、恥ずべきものである」と批判した。
 今年1月に決議案を発議した日系三世のマイク・ホンダ議員は、被害者のイ・ヨンス女史が外交委聴聞会で日本軍の蛮行を証言したことに言及し、「彼女が出来ることは、泣くことと、『有難う』と言うことだけだった」と述べた。

 続いて討論が行われたが、反対意見は一つもなかった。
 共和党のデービス議員は「真の友は過ちを正すことだ」と同盟国日本への気遣いを見せ、女性のウルシー議員は「再び女性が戦争の犠牲者になってはならない」と声を強めた。
 各議員たちは、最初に慰安婦問題を発議し、過去三度にわたって決議案を提出してきたエバンス元議員の熱意と貢献を改めて称えた。 

 議案提出は午後3時15分。35分間の討論の後、満場一致の口頭投票で採決した。
 一部に正式の表決ではないのではないかとの疑問も出されたが、議長が賛否を問い、反対意見がないことを確認して口頭投票にしたもので、問題はないとなった。
 http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2007/07/31/0200000000AKR20070731015000071.HTML

 同決議案は今年1月に発議されたが、それほど注目されたものではなかった。
 ところが、安倍首相が「狭義の強制性はなかった」などと舌足らずに強弁したため、「安倍首相が『慰安婦動員に強制性があったということを立証する記録がない』と述べたため、多くの米国議員が怒りを示した」(ワシントンポスト)と米マスコミが批判的に取り上げ、全米の注目するところとなった。

 浅慮から火に油を注いだ形になった安倍首相は、何とか沈静化しようと、4月の訪米で繰り返し議会関係者らに「謝罪」し、採択中止を訴えた。
 しかし、その反面で外務省に決議案通過阻止の強力なロビー活動を指示し、2つのロビー会社と1広報会社を雇い入れた。加藤良三駐米大使も6月22日、ナンシー・ペロシ米下院議長ら有力下院議員5人に直接、「決議案を可決すれば日米両国の友好関係と信頼、広範囲な協力に悪影響を及ぼす。日本は米国のイラク戦に協調してきた政策を見直すことがある」と、半ば恫喝するような書簡を送った。
 加藤書簡は待ってましたとばかりに米マスコミの標的になり、「決議案が通過されると、支持率が30%以下に落ちた安倍首相にはまた悩みのタネが増える」(ワシントンポスト)と皮肉られた。

 日系もほとんどが決議案支持派、ダニエル・イノウエ(民主)上院議員のように「日本は謝罪している」と理解を示すのはごく小数だ。
 実際、安倍首相のダブルスタンダードは不信感を強め、加藤書簡4日後、決議案は下院外交委で賛成39、反対2で可決された。

 ホンダ議員は「参議院選挙が終わる翌日の30日、下院全体会議で決議案を表決する」と一定の配慮を示しながら、余裕を見せた。
 その言葉通り、本会議では表決するまでもなく、全員一致の口頭採決となった。

 安倍外交については「靖国参拝を中止し、韓国、中国との関係改善に尽くした」との評価があるが、表面的である。
 自民党総裁選で日本遺族会の支持を取り付ける密約から靖国参拝を繰り返した小泉前首相の公私混同が招いた異常な対立を、「公式参拝をしない」単なる不作為で解いただけのことであり、従軍慰安婦、南京大虐殺、朝鮮人強制連行問題などでは逆に対立が潜在化し、深刻化している。

 それが従軍慰安婦問題で米国にまで波及し、外交的孤立を招いている。
 日本の戦争責任への反省の上に立つ平和憲法を否定し、旧日本軍をことさら庇う安倍首相の「戦後レジームからの脱却」的発想が、アジアから米国にいたる歴史認識での対日包囲網を形成させていると読める。

 その影響は、6か国協議での日本孤立化の一因にもなっている。
 「自国民の拉致問題には敏感だが、慰安婦などへの加害行為には鈍感だ」と、安倍首相の「二枚舌」が拉致問題での日本の発言力を削いでいることは否定できない。
 北朝鮮側も「拉致は解決済み」を声高に主張し、過去の謝罪・賠償を強く求めている。

 日本のメディアには「北朝鮮は拉致問題と過去の歴史問題を相殺しようとしている」との論調があるが、これは誤りだ。
 北朝鮮側は「とうてい相殺できるものではない」と、逆に日本側を非難している。
 「韓国には、50万人の横田めぐみがいる」。韓明淑・韓国前首相の言葉だが、北朝鮮だけではなく、韓国も含めた朝鮮半島側の認識は、日本で想像されている以上に厳しい。

 米下院は従軍慰安婦問題で日本首相に公式謝罪を求める決議を満場一致で採択したが、法的拘束力はない。
 法的には無視できるが、日本は対応を誤ると、道義に欠けた国とみなされ、風当たりは一層強くなるだろう。
 日米通商摩擦再燃などといった影響が出ることも十分に考えられる。また、米国に進出している日本企業には朝鮮人強制連行などに関わった企業が少なくないが、ドイツにしたような賠償を求める動きが出てくる可能性がある。

 安倍首相は参院選に大敗しながら続投を宣言したが、そのような無責任な姿勢は国際社会では通じないと知るべきである。

 米下院本会議での採決を控えたsex slave(従軍慰安婦)対日非難決議について、安倍首相をはじめ保守層の一部から「日本軍が強制した証拠はない」と反発する声が上がっているが、挙証責任というものがわかっていないのではないか。
 広義であれ狭義であれ強制していないことを証明する物証が一つも無い以上、旧日本軍はクロとの認定が覆ることは無い。

 馬脚を現すとは、例の「事実」(THE FACTS)なる広告のためにあるような箴言である。
 山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審の「聞くに堪えない3日間」ではないが、旧日本軍を庇おうと挙げている証拠が、逆に、犯行を裏付けるものとなっていることが分かっていない。

 例えば、陸軍省副官通牒「軍慰安所従業婦募集に関する件」を挙げ、「運営などは業者に任せ、軍は直接に関与(強制)していない」と主張するが、それが示すのは「軍慰安所」の存在と「慰安婦募集」に軍が関与した事実である。「直接に関与(強制)していない」はいいわけであり、全く証明されていない。
 例えは悪いが、広域暴力団の山口組の施設内で売春行為が行われているのに、山口組は関与していないと言い張っているようなもので、まともな神経の持ち主とは思えない。

 また、オランダ人少女らを病人に仕立てて診療所に収容し、「慰安所」に連行して売春を強要した事を示す被害者の尋問調書が、オランダ軍による戦犯裁判の記録にあることが確認されていると、しぶしぶ認めながらも、「一部隊の軍規違反行為であり、すでに処罰されている」などと強弁している。
 これも、「一部隊の軍規違反行為」なる主張を証明するものは無く、「ドラえもんがどうのこうの」と言った類の戯言でしかない。

 常識を外れた苦し紛れのへ理屈は、感情的になって判断力が極度に低下しているのであろう。
 ナチスが女性政治犯を売春婦にして陵辱した行為が明らかになっているが、売春婦に仕立てれば誤魔化しが利くという発想は似ている。
 国際社会で問題になっている犯罪シンジケートの人身売買を正当化するようなものである。
 米社会で怒りを呼び起こし、決議案可決の動きを加速化させてしまったのは自業自得と言うべきである。

 従軍慰安婦の存在は、専門家の間ではすでに決着が付いている。
 同広告の賛同者には、「拉致議連」関係の政治家、西岡力副会長ら「救う会」幹部以外に、屋山太郎、桜井よしこ、岡崎久彦、すぎやまこういち氏らが名を連ねているが、いずれも歴史の門外漢である。
 
 彼らは歴史だけでなく、挙証責任の何たるかもほとんど理解していないようだ。
 オランダ人を含む数多くの被害者が告発し、「慰安所」が旧日本軍の施設内にあった記録などが発見されている以上、旧日本軍が国家的に強制したと判断するのが合理的である。
 
 従軍慰安婦問題については、旧日本政府、日本軍、慰安所経営者らがいわば共犯関係になるが、日本軍が立案、指令し、慰安所経営者らが実行、と役割分担をしたと考えるのが妥当だろう。
 刑法207条にいう同時傷害のようなもので、旧日本軍とその代理人らは自分がやっていないことを立証しない限り、罪を逃れることはできないのである。 

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