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自民党政権下の無責任な政官癒着により、年金記録漏れが40年以上も放置されていたことが明らかになった。
民主党の長妻昭衆院議員が委員会審議を拒否した政府に提出した質問主意書に対して、ようやく6日の閣議で、年金番号などの記録ミスが政府として初めて認識したのは「1964年9月以前」とする答弁書が決定された。
40年以上も前、小泉=安倍政権下でも6年以上も記録ミスを知っていながら放置し、5000万件の「宙に浮いた年金記録問題」につながったことになる。
社会保険庁の無策は言うに及ばず、それを監督する小泉=安倍政権下の政官癒着が改めて浮き上がった。
答弁書によると、記録ミスが確認されたのは64年9月1日付で、社会保険庁年金保険部業務課長名で社会保険事務所に対して出した「厚生年金保険被保険者台帳記号番号の確認について」という通知文書に記されている。
そこには、「依然として再取得及び重複取り消しの際の台帳記号番号(厚生年金番号)確認誤りによる記録事故が多数発見されており」との記述があった。
社会保険庁発足は62年7月で、前年に国民年金制度が始まり、62年3月から厚生年金について、パンチカードを磁気テープへ変換する作業がスタートした。
社保庁発足から2年余で多数の記録ミスが見つかったが、今年2月にやはり長妻議員らが追求するまで放置されていた。
その間、小泉政権下の04年に年金未納問題が噴出して福田官房長官が辞任し、細田氏を経て安倍氏が官房長官に就任して事態の収拾に当たっていたはずなのに、実際は、何もしかったことになる。
年金の納入には躍起になりながら、預かったカネを返す支給に全く無責任であったことになるが、その背景には、自民党厚生族と高級官僚が年金を私物化し、食い潰してきた腐敗構図がある。
政権交代がないためチェックされることもなく、既得権益化しているのである。
何しろ、自民党厚生族と社保庁が40余年にわたって食いつぶしてきた年金積立原資は、少なくとも数十兆円にも上る。
日本医師会のシンクタンクによる「02年公的年金基積立金の運用実態の研究」なるレポートによると、本来あるべき年金積立金は143兆9858億円だが、多くが特別会計、特殊法人、地方公共団体に融資され、回収不能になっている。住宅金融公庫23兆4518億円、年金資金運用基金10兆6150億円など特殊法人だけで約60兆円を食い潰しているというから、シロアリも顔負けだ。
こうしたところには高級官僚が天下り、ファミリー企業への便宜や献金やら何ならで二重三重に厚生族にカネが流れる仕組みになっている。
安倍首相は夏の賞与の一部を返納し、柳沢厚労相、村瀬社保庁長官ら社保庁職員返納分合わせてしめて10億円を弁償すると言うが、焼け石に水にもならない。
安倍首相が「宙に浮いた年金問題」の真相究明もせず、釈迦力になって日本年金機構への衣替えを図る法律を強行採択させた狙いも、臭いものに蓋をし責任追及を免れることにあったとみられる。
「私も社会保険庁の無責任ぶりには憤慨している・・・」などと、「菅さんが厚生相のときのことではありませんか」式の言葉を機会あるごとに口にするが、責任転嫁すればどうにかなると思っているらしい。
最近、「私に一番責任がある」と言い換え、一見低姿勢なのも、石原慎太郎氏が都知事選の前に謝罪のふりをしてまんまと三選を果たした前例に倣ったのであろう。
目的のためには手段を選ばずの心境なのであろう、一連の不祥事で焦っている安倍首相は、参院選を乗り切ろうと今や何でもありだ。
5日に「宙に浮いた年金記録」の照合・通知作業を今年度中に前倒し完了する“新対策”を慌てて発表したのもそれで、何かをしていると思わせるだけのパフォーマンスであることは、先立つ予算を隠していることからも明らかだ。
前回、「年金から流用するつもりだろう」と批判したが、柳沢厚生労働相は昨日の閣議後の記者会見で、“新対策”に必要な経費について「年金保険料を差し向けることは絶対あってはいけない」と否定したが、「(対策費の総額は)必要な作業量が明らかになっておらず、わからない」と相変わらず隠し続けた。
屋上屋を重ねる無駄な対策費には少なくとも1000億円はかかるとみられるが、年金保険料を充てなければ税負担となるしかない。柳沢厚労相は「参院選前に発表したい」と言うが、補正予算を組まねば不可能である。
5日の日本テレビのインタビュー中に安倍首相の口から飛び出した「消費税を上げないとは一言も言ってない」発言は、それが頭の中を駆け巡っていたからであろう。
安倍政権は、口からでまかせの末期症状を呈してきた。
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