河信基の深読み

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小泉→安倍“旧厚生族”負の系譜

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 「宙に浮いた年金」の責任を菅元厚相や社保庁労組に押し付けて逃げようとした安倍さん、ようやく首相の自覚が出てきたようだ。
 コムスンやノバの社長ですら、元部長や職員に責任を転嫁してはいない。“知らぬが強み”の安倍さん、平気でそれをやってきたのだが、ようやく行政の長の責任の重さに気付いたと思われる。

 世間の批判を浴び、人に指摘されないと分からないのが、この人らしい。
 昨日の参院厚生労働委員会。民主党議員が「安倍内閣発足時から何人の人が、領収書がないと記録漏れは修正できないと、社保庁から突っ返されたのか」と突っ込むと、自席から言い返すいつもの様子と異なり、小首をかしげ顔が赤らみを帯びた。
 恐らくその瞬間から、「責任を明らかにしなければならない」と他人事のように語っていたことが、実は自分のことであると悟ったのであろう。
 この日の午後、ぶらさがりとかなんとか言う記者会見で、「一番責任があるのは、現在の行政府の長である私だ」と認めた。

 世襲議員がゆえに、どうしても世間一般の感性や常識と乖離してしまう。
 前回、「社保庁は政府の一部であり、最高責任者である首相の安倍さん、まず自ら給与を返上したら」と、誰よりも先に襟を正すべきは安倍さんであると書いたが、遅きに失した感はあるものの、一応前進と言っておこう。
 しかし、これだけの不祥事を犯しておきながら、国民への謝罪がいまだに一言もないのはどうしたことか。政府の不手際で年金をもらえず苦しんでいる人が多いのに、そのトップの給料のカットとか返上もない。
 
 さすがにそれでは世間は納得しないと思ったのか、13日夜の自民党議員の会合で中川幹事長が「歴代社保庁長官の退職金は返還させる。歴代厚相の給料も返してもらう」とぶった。
 そこまでは常識ある発言なのだが、小泉前首相が「オレはカネないよ」と文句を言うと、すかさず「党でもちます」と答えたと言う。
 思わず声を上げて笑ってしまったが、今朝の朝日新聞に出ていたほんとの話である。

 年金問題の闇は深い。
 厚生相経験者からは、「バカなことを言うな」、「自民党社会部会長(厚生労働部会)会長はどうなるんだ」と不満を表す声も出ているという。
 自民党社会部会長として厚生利権に深く関わり、コムスンの堀口会長とも懇意にしていた安倍首相を牽制したものだ。

 かちかち山の狸ではないが、責任回避策が裏目に出て、自分の尻に火が付きはじめている。 

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 安倍首相は12日夜、「宙に浮いた年金」問題の原因や責任追及について「まず実務的に(責任が)どこにあったかという議論は当然しなければいけない。その後、政治的な責任はどこにあったかを考えるべきではないか」と述べ、歴代厚相らより社保庁長官ら事務方の責任追及を先行させる考えを示した。
 物事には順序というもの、けじめがあるが、それが段々、逆になっている。

 菅直人元厚相に一番責任があると言い出したのは安倍首相だが、親分の森元首相から小泉前首相は三回も厚相をしたが、どうする気だと批判された。
 そして、ついに小泉前首相ら歴代厚相の責任については、「今、そういうことに議論を費やすべきではない」とトーンダウンした。

 結局、社保庁長官ら事務方の尻尾切りで交わすということらしいが、これでは弱いものイジメではないか。
 国民の目はそう甘くない。

 社保庁は政府の一部であり、最高責任者が首相であることは言うまでもない。
 本当に年金問題を解決する意思と覚悟があるのなら、あれやこれやに責任転嫁せず、自ら給与を返上するなど垂範率先すべきではないか。

 産経新聞によると、中川幹事長は13日夜、二階俊博国対委員長、武部勤前幹事長らとの会合で、「歴代社会保険庁長官の退職金は全部召し上げないと、国民は納得しない。場合によっては歴代厚相、首相も給与召し上げなどで責任を取ってもらわなければならない」と語ったという。しかし、酔っていたからか、肝心の現職の首相が抜けている。
 部下や退職者に押し付けるようでは、責任逃れといわれても仕方があるまい。

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 安倍首相は政治資金規正法改正案の今国会成立を求め、自民、公明両党は13日午前、衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会で同法案を強行採決した。14日の衆院本会議で可決し、参院に送付する方針だという。
 参院選の争点をぼかし、松岡農水相自殺や年金破綻による逆風を交わそうというものだが、政治家の蓄財と利権構造を温存する狙いも潜んでいるとみられる。

 政府与党の政治資金規正法改正案は、資金管理団体の事務所費、光熱水費などの支出透明化を図るとするが、穴だらけの鍋を派手な包装紙に包んで、絶対に水漏れなしと売り込んでいるようなものである。
 「なんとか還元水」をはびこらせた領収書問題について、5万円以上の経常経費(人件費除く)支出報告に領収書の添付を義務づけるとした。不動産所有禁止規定もある。
  
 本当に資金の流れを透明化する気があるなら、民間と同じすべての支出に領収書添付が常識だ。それをわざわざ5万円以上にしたのは、5万円未満に分ければ領収書がいらない、と脱法行為を指南しているようなものである。
 また、民主党修正案にあるように、領収書の添付義務対象にはすべての政治団体を含めるのが筋だが、資金管理団体だけに限定することで、大手を振って蓄財する道を開いたと言える。

 不動産所有禁止は額面どおりなら評価できるが、義務対象を資金管理団体に限定した不徹底さは、不純な動機を感じさせる。
 宙に浮いた年金の責任を菅直人氏に押し付けようとした手口と同じで、小沢民主党代表を狙った責任転嫁と思われる。
 
 政治の動機から蓄財を除去することは、クリーンで民主主義的な政治に不可欠である。
 政治の世襲で財を成した安倍首相には、その心構えが欠けているようだ。

 政府与党はデタラメな年金行政に対する責任逃れに必死で、今度は、菅直人民主党代表代行、小泉純一郎前首相ら歴代厚相の責任に乗り出す構えだが、薮蛇になる可能性がある。
 自民党厚生族と厚生官僚との癒着が明るみになり、特に、3度厚生大臣を務めた小泉前首相とその後継者でやはり厚生族の安倍首相の負の系譜まで、炙り出されることになるからである。

 産経新聞によると、下村博文官房副長官は11日午後の記者会見で、社会保険庁による年金記録不備問題で原因や責任を追及する検証委員会について「関係者の果たした役割、責任追及も検証の対象になる。(歴代)大臣も例外ではない」と述べ、菅直人民主党代表代行、小泉純一郎前首相ら歴代厚相の責任も検討対象になるとの見方を示した。
 http://www.sankei.co.jp/seiji/seisaku/070611/ssk070611000.htm

 この記事には、菅直人民主党代表代行を道ズレにして逆風を交わしたいとする自民党側の思惑がよく出ている。
 安倍首相は6月はじめの街頭演説で「基礎年金番号設計・導入時の厚相は誰ですか。菅直人・民主党代表代行じゃありませんか」と菅氏に責任を転嫁し、自民党は同趣旨のチラシ10万枚を作成し、都道府県連などに発送した。それと同じ発送だ。

 しかし、菅氏が厚相だったのは橋本内閣時代で、後任の厚相は小泉前首相であった。天に唾するようなもので、森元首相は「みっともない。総理も一緒になってそんなことを言い出している」と自制を求めたのも当然であった。
 ところが、安倍首相は年金問題から逃げたと思われたら参院選で勝てないと危機感を強め、中川昭一政調会長らに「年金問題を緊急に最重要政策として採り入れてほしい」と選挙公約に含めるように指示した。当初は憲法改正や教育再生などを「目玉」にする方針だったが、それどころじゃなくなったというわけである。
 喧嘩はムキになったほうが負けと相場が決まっているが、経験不足の安倍首相は自分に火の粉が降りかかることに気がついていないようだ。

 支持率下落に我を忘れ、「宙に浮いた年金記録」5000万件の「1年以内の解決」と強がってみせた時点で、負けは決まったようなものである。
 物理的技術的に不可能であるばかりか、財政負担も専門家は数千億円掛かると言い、半端ではない。尾身財務相が12日の閣議後の記者会見で、「費用がどのくらいかかるかまだ分からないが、コンピュータープログラムの開発経費など、必要であれば、(07年度予算の)予備費や補正予算で対応したい」と述べたのも、そのためだ。
 だが、それを聞いた安倍首相は「補正予算はまったく考えていない。予算の範囲内ですべてできると思う」と否定した。状況の深刻さが分かっていないのである。

 首相の側近である下村博文官房副長官の「歴代大臣の責任追及」発言は首相の本音であろうが、保身に汲々とし、小泉前首相らの責任追及が自分の足元を崩すことになることには考えが及んでいないとみられる。
 「年金からコムスンまで厚生利権の闇:小泉→安倍“旧厚生族”の系譜(下)」で指摘したように、「自民党をぶっ壊す」で始まった小泉「改革」は、膨大な累積赤字で破綻に瀕した財政再建を名分に、対立派閥の旧田中派の牙城であった公共事業費、郵便貯金利権を切り崩し、自派=森派の年金など厚生利権を守るという側面があった。

 小泉首相が安倍氏を後継者に育てたのは、コムスンの折口氏との緊密な仲が物語るように厚生族であった安倍氏に厚生利権をバトンタッチする意味もあった。
 実は、社会保険庁の民営化に道を開く社会保険庁改革関連法案などは民間から村瀬長官を抜擢した小泉政権時代から準備されたことで、04年の時点ですでに480兆円もの債務超過に陥り、事実上破綻状態にあった年金行政の実態や責任問題に蓋をし、同時に、自派の利権を守ることに狙いがあった。

 ところが、民主党の追及で「宙に浮いた年金記録」5000万件に焦点が当てられ、その目論見が白日の下にさらけ出されつつある。
 それが今回の事態の本質と言え、従って、菅氏とともに小泉氏の責任を追及すれば、その意に反して安倍首相にも自ずと矛先が向けられることになるのである。

 安倍首相は「『宙に浮いた年金』5000万件を1年以内に解決する」と大見得を切って、社会保険庁改革関連法案と年金時効撤廃特例法案を衆院で強行採決させたが、それを裏付ける具体策をいまだに示せないでいる。
 一時しのぎのプロパガンダ、参院選対策用のパフォーマンスと疑われても仕方があるまい。
 
 5000万件といえば、公的年金加入者総数7000万人の7割に関わる大変な数だ。20年近くも放置していただけに相当に垢が溜まっている。1年以内で片付く簡単な問題なら、社会保険庁もバカでないから、とうにしていたであろう。
 3割に達する年金未払い・未加入問題で大騒ぎし、安倍官房副長官の上司で首相レースのライバルでもあった福田官房長官が辞任に追い込まれたのが3年前のことである。今から考えると、トカゲの尻尾切りであった可能性がある。村瀬現社保庁長官を民間から起用したのは小泉首相だが、やはり前回指摘した「小泉→安倍にわたる厚生利権の闇の系譜」を明らかにする必要がある。

 実際、その間も当の社保庁はデタラメな年金行政を繰り返し、政府与党が見てみぬふりをしてきたわけであり、根は深い。
 政官の構造的な癒着腐敗であり、責任問題は勿論、肝心の財源がいくら残っているのかまで解明し、年金を支払ってきた国民に説明するのが筋である。それを一切省略し、社保庁の看板を変えようというのは、不正経理・粉飾決算で経営危機に陥った会社に経営責任も問わず会社更生を認めるようなものである。
 やはり不正申請で問題になったコムスンをグループ会社に事業譲渡しようとしたグッドウィル・グループの手法に酷似しているが、共通の指南役がいるのではないか。

 国民に腹の底を見透かされ始めた政府与党も、「無用な不安を煽るのはよくない」と火消しに努める一方で、アリバイ作りに必死である。
 政府は8日、5000万件について「1年以内に全件の調査を完了させる」ために、新しいソフトウエアを導入する方針を固めたという。
 読売新聞によると、新ソフトはNTTデータと日立製作所が共同で開発し、数か月程度で完成する予定だ。政府が行う調査は、年金の加入者(約7000万人)と受給者(約3000万人)の計約1億人分の「氏名」「生年月日」「性別」の3条件と、5000万件の記録上の3条件が一致するかどうかをコンピューター上で照合する。名前の読み違え、生年月日や性別誤記などを検索し、「完全に一致」「大半が一致」「一部だけ一致」など関連度の高さごとに分類するという。検索後の記録は社保庁から該当者に通知され、領収書などに基づく記録の確認作業が進められる予定、という。
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070609i101.htm

 元の記録がある台帳やマイクロフィルムと照合しない限り、すでにコンピューターに入力された記録をいくら新ソフトで検索しなおしても大量の記録漏れが出ることは、パソコンをしていれば誰でも分かる。
 それに劣らず問題なのは、新ソフト開発を請け負うというNTTデータには、「関連子会社を含め11人の年金官僚が天下りし、元キャリアは年収3000万円、ノンキャリア1500万円を得ている」(写真週刊誌『フライディー』6/22)。社保庁は年金掛け金からこれまでコンピューターシステムに年間維持費1000億円を含め1兆2000億円を投じながら記録ミスを再生産し、天下り組みを養ってきたのである。その一部が政界に還流していない保証は無論、ない。

 前掲読売記事では明らかにされていないが、新ソフト開発と運営費総計数千億円?も恐らく年金掛け金から流用するのであろう。
 要するに、政府案は、欠陥だらけのコンピューターシステムを作っておいて、その補修にさらに莫大なカネを注ぎ、年金掛け金を自分たちで食いつぶす社保庁ビジネスを助ける格好になる。それはこれからも、財政破綻まで延々?と続くことになるのである。

 グリーンピアなどへの散財に加えてコンピューターシステムにともなう支出で、年金の掛け金がかなり減額していることは間違いない。
 04年に厚生労働省が国会で明らかにした2100年度までの年金財政の財源と給付の状況を示す「貸借対照表(バランスシート)」試算でも厚生年金、国民年金は合計480兆円の債務超過になっている。その内訳詳細は明らかにしなかったが、政官財につらなる社保庁ビジネスが財務悪化の一因であることが浮かび上がりつつある。

 厚生族の安倍首相もそれは熟知していようが、説明責任を果たせば政権はもたない。
 「改革はスピーディーにタイムリーに」と強行採決に走って矛先を交わし、一ヵ月後に迫った参院選を何とかしのぎ、いずれ増税でなし崩し的に国民に負担を押し付けて人知れず帳消しにする、というのがシナリオであろう。
 その背後から財政破綻が毎秒数百万円ずつ忍び寄る中、「美しい国」とか言う標語に酔いしれるのは、現実逃避の麻薬中毒症状に似ている。 
 http://ueno.cool.ne.jp/gakuten/network/fin.html

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