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18日付の夕刊フジが次期韓国首相に決まった李完九前与党院内代表に対して「朴大統領の“忠犬ハチ公”のような人物」と伝え、顰蹙を買っている。
隣国の次期首相に対する常軌を逸した誹謗中傷である。 同紙は親筋の産経新聞の前ソウル支局長が朴槿恵大統領への名誉毀損罪で逮捕されて以来、ヘイトスピーチさながらの誹謗中傷記事をヒートアップさせてきたが、許容範囲を超えていると指摘せざるをえない。 反韓感情にアピールする売らんかな主義丸出しに、タブロイド版の同紙は一面に大きく「朴大統領 大恥」とのタイトルを掲げ、16日の韓国国会で李氏の首相同意案が可決された事を報じた。 敵意に満ちた悪口雑言以外にも、初歩的な事実誤認が少なくない。 問題の“忠犬ハチ公”暴言は反韓を生業にしている室谷克実なる人物のコメントであるが、全くのお門違いである。 李氏は「大統領に直言する」と公言する直言居士として知られている。李明博前大統領が世宗市への首都機能一部移転公約を反故にした事に抗議して忠清南道知事を辞任した折紙付の硬骨漢でもある。朴槿恵大統領ともそれがきっかけで近くなった。 そうした事実関係も分からず、隣国の次期首相に暴言を浴びせ、「朴大統領の周辺にまともな人材がいないということだ」と無責任な邪推を連ね、偏見と誤解を撒いている。 韓国では犬、と謗るのは最大の侮辱となる。知ってか知らずでか、無知に偏見を重ねた室谷氏と夕刊フジの責任は決して小さくない。 新首相決定直後の世論調査で朴大統領の支持率が34・2%まで回復したのは、決して偶然ではない。 朴槿恵大統領の支持率は一昨年の訪米、訪中で急上昇し、同年9月のG20首脳会議後に67%と最高を記録した。米中を睨んだ積極的なバランス外交で韓国の国際的な地位を向上させた事が高く評価された事を如実に示している。 それが反転したのは昨年4月の客船沈没事故への対応の不手際からであったが、事故収束後、支持率は回復基調に転じる。 このときに李完九・セヌリ党院内代表が野党と地道な協議を重ねて「交渉の達人」の評価を固める。逆に野党の新政治民主連合は合意事項を守れず、二転三転混乱し、当事者能力の不在をさらして国民の不評を買った事は記憶に新しい。 その意味で李氏の首相抜擢は適任と言えよう。 夕刊フジはもはや論外としても、大手紙にも7票の僅差で李氏同意案が可決された事を挙げて、「政権浮揚に失敗」、「今後の展望不透明」云々と悲観的に報じるものがある。 韓国紙にも似たような論調が散見されるが、問題の本質がよく見えていないようである。 国会人事聴聞会で野党が狙った3回目の首相同意案撤回が実現せず、本会議に上程された時点で政治的には既に勝負がついていたのである。 朴政権の支持率が思うように回復しなかった主因は、人事を巡るリーダーシップを必要以上に疑われた事にある。 官僚選抜試験の科挙に受かり、立身出世する伝統を受け継ぐ学歴社会の韓国では、国民が人事を政治家の統治能力を判断する最重要規準とする政治文化がある。 そのため大統領の専権事項である人事が政争の対象となり、単なる噂が面白おかしく尾ヒレがついて飛び交い、人心を惑わす。前産経支局長が乗せられた「空白の7時間」もその類いである。 朴大統領も事あるごとに周囲とのコミュニケーションが欠ける「不通」などと、その資質にあらぬ疑問を持たれた。 実際、内部文書流出問題が青瓦台内部の権力闘争物語へと針小棒大に脚色されて流布された昨年12月以降、支持率が急降下した。 それを誰よりも熟知しているのが、世論の動向に敏感な朴大統領である。 李氏の首相選出でそうした負の連鎖に終止符が打たれたと胸を撫で下ろし、嬉々として今日、李氏に首相任命状を渡し、閣僚4人を交代させる内閣改造を断行した。 態勢を固めた朴政権は今後、「増税なき福祉」など内外政策の内実を問われる。 昨年も貿易収支が大幅黒字、経常収支黒字が400億ドルに達し、経済成長率もプラス3・7%(日本は0・6%)と、マクロ経済指標は膨れる一方の貿易赤字、累積国家債務に苦しむ日本に比べて遥かに好調である。その果実を国民にいかに実感させるかが具体的に問われる。 反韓チラシが的外れの悪口雑言を撒くのは、それなりの政治的な狙いがある。 朴政権を貶めることで、反射的に安倍政権を側面支援することである。旧日本軍慰安婦問題など歴史認識問題で対立している朴大統領非難は、安倍援護となると算段している訳である。 さらに、対米、対中関係が微妙に影響している。 オバマ大統領は歴史認識で朴槿恵大統領に同情的である。さらに、安倍首相と対立している習近平主席と朴大統領が友好関係を深めることに孤立感を深めている。 そのため、朴大統領が折れてくる淡い期待をかけて圧力をかけている気になっているのである。 逆効果であることが全く理解されていないのが、理知を弁えないチラシたる所以か。 |
韓流・嫌韓流の深層分析
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ヘイトスピーチは2008年頃から目に付くようになった社会現象であり、戦前からの在日朝鮮・韓国人差別とは本質的に異なる特徴を帯びる。
その中核となっているのがいわゆる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)であるが、その呼称が示すように在日を特権集団とみなしている。 一昔前まで、在日は哀れな亡国の民であり、日本社会の最底辺で呻吟する憐憫と蔑視の対象であったが、ヘイトスピーチで僻んだ憎悪を吐き出す一部日本人には特権集団と認識されている。 反動形成、すなわち、コンプレックスの裏返しである。 10月下旬、都心のJR新宿駅周辺に100人ほどが日の丸の旗を持って集まり、「日韓国交断交国民大行進in帝都」の垂れ幕を掲げ、「クソまみれの朝鮮人」、「ゴキブリ朝鮮人を叩き出せ」とシュプレヒコールをあげながら駅に向かって行進し、1時間後に解散した。 その間、デモに反対するカウンターと呼ばれる人たちが歩道から「レイシスト、帰れ」と批判し、応酬する場面もあった。 私も街中でヘイトスピーチデモを見掛けたことがある。マスクなどで顔を隠していたが、若者が多い。女性も混じっていた。 ありったけの口汚い言葉をてんでに叫んでいたが、私の耳に聞こえてきたのは、彼らの心の悲鳴であった。何が若者をこのような無意味な行動に走らせるのかと、怒りよりも、悲しみが浮かんできた。 街行く人々は概ね、何が起きたのかとビックリした表情を浮かべて見送っていたが、私と同様の感想を持った人も少なくなかったであろう。 ヘイトスピーチの背景にあるのは、長い停滞に沈む日本社会の閉塞感である。 40代以下の層は高度成長時代の日本を知らない。彼らがイメージする日本は不景気、リストラ、非正規労働、ブラック企業、格差拡大、財政危機であり、未来に希望を持てないものが多い。 相対的に中国、韓国の国力が高まり、領土問題や歴史認識において日本との摩擦が強まっている。 閉塞感や危機感の捌け口を外に求める排外的なナショナリズムが高まるが、その極端な形態がヘイトスピーチにほかならない。 日本の内なる外的な存在である在日に攻撃の矛先を向けて、日頃の憂さを晴らそうとしているのである。 植民地時代に強制徴用などで日本に来た在日とその子孫には事実上の賠償として特別永住権が与えられているが、在特会は特権と批判する。 貧しい朝鮮部落が存在した一昔前はそれを特権と意識する日本人は皆無であったが、彼らの目には、それは、在日の生活を良くしている特権と映る。その分、自分達が損をし、未来を暗くしていると怒りをぶつけてくるのである。 そのほとんどは彼らの一方的な誤解なのだが、歴史観の欠如と偏見が感情的な反発を増幅させている。 ヘイトスピーチが不正なものであることは言うまでもない。 国連人種差別委員会が8月、日本政府にヘイトスピーチの法規制を勧告し、それに先立って京都地裁が人種差別として在特会に学校周辺でのヘイトスピーチ差し止めと損害賠償を命じた。 問題は、政治の世界にそれを助長する動きがあることである。 山谷国家公安委員長らが在特会幹部と写真を撮って親密な関係を誇示したり、自民党がヘイトスピーチ規制に消極的な姿勢を見せたり、一部マスコミが公然と庇ったりと、ヘイトスピーチが言論の自由、表現の自由に属するかのような誤解を与えている。 それが結果的にヘイトスピーチを助長している。 |
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10月の貿易収支で韓国が大幅の黒字、日本が赤字になったことは、グローバルな金融危機が実体経済に波及することが危惧される中、ある種の先行指標として重要な意味を持っている。 |
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予想していた事態が可視化してきた。 |
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少し前のあの熱狂は、どこに行ったのだろう? 「冬ソナ」ブームで火がついた韓国のポピュラーカルチャー、韓流のことである。 |





