河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

韓流・嫌韓流の深層分析

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18日付の夕刊フジが次期韓国首相に決まった李完九前与党院内代表に対して「朴大統領の“忠犬ハチ公”のような人物」と伝え、顰蹙を買っている。
隣国の次期首相に対する常軌を逸した誹謗中傷である。
同紙は親筋の産経新聞の前ソウル支局長が朴槿恵大統領への名誉毀損罪で逮捕されて以来、ヘイトスピーチさながらの誹謗中傷記事をヒートアップさせてきたが、許容範囲を超えていると指摘せざるをえない。

反韓感情にアピールする売らんかな主義丸出しに、タブロイド版の同紙は一面に大きく「朴大統領 大恥」とのタイトルを掲げ、16日の韓国国会で李氏の首相同意案が可決された事を報じた。
敵意に満ちた悪口雑言以外にも、初歩的な事実誤認が少なくない。

問題の“忠犬ハチ公”暴言は反韓を生業にしている室谷克実なる人物のコメントであるが、全くのお門違いである。
李氏は「大統領に直言する」と公言する直言居士として知られている。李明博前大統領が世宗市への首都機能一部移転公約を反故にした事に抗議して忠清南道知事を辞任した折紙付の硬骨漢でもある。朴槿恵大統領ともそれがきっかけで近くなった。

そうした事実関係も分からず、隣国の次期首相に暴言を浴びせ、「朴大統領の周辺にまともな人材がいないということだ」と無責任な邪推を連ね、偏見と誤解を撒いている。
韓国では犬、と謗るのは最大の侮辱となる。知ってか知らずでか、無知に偏見を重ねた室谷氏と夕刊フジの責任は決して小さくない。

新首相決定直後の世論調査で朴大統領の支持率が34・2%まで回復したのは、決して偶然ではない。
朴槿恵大統領の支持率は一昨年の訪米、訪中で急上昇し、同年9月のG20首脳会議後に67%と最高を記録した。米中を睨んだ積極的なバランス外交で韓国の国際的な地位を向上させた事が高く評価された事を如実に示している。

それが反転したのは昨年4月の客船沈没事故への対応の不手際からであったが、事故収束後、支持率は回復基調に転じる。
このときに李完九・セヌリ党院内代表が野党と地道な協議を重ねて「交渉の達人」の評価を固める。逆に野党の新政治民主連合は合意事項を守れず、二転三転混乱し、当事者能力の不在をさらして国民の不評を買った事は記憶に新しい。
その意味で李氏の首相抜擢は適任と言えよう。

夕刊フジはもはや論外としても、大手紙にも7票の僅差で李氏同意案が可決された事を挙げて、「政権浮揚に失敗」、「今後の展望不透明」云々と悲観的に報じるものがある。
韓国紙にも似たような論調が散見されるが、問題の本質がよく見えていないようである。
国会人事聴聞会で野党が狙った3回目の首相同意案撤回が実現せず、本会議に上程された時点で政治的には既に勝負がついていたのである。

朴政権の支持率が思うように回復しなかった主因は、人事を巡るリーダーシップを必要以上に疑われた事にある。
官僚選抜試験の科挙に受かり、立身出世する伝統を受け継ぐ学歴社会の韓国では、国民が人事を政治家の統治能力を判断する最重要規準とする政治文化がある。
そのため大統領の専権事項である人事が政争の対象となり、単なる噂が面白おかしく尾ヒレがついて飛び交い、人心を惑わす。前産経支局長が乗せられた「空白の7時間」もその類いである。

朴大統領も事あるごとに周囲とのコミュニケーションが欠ける「不通」などと、その資質にあらぬ疑問を持たれた。
実際、内部文書流出問題が青瓦台内部の権力闘争物語へと針小棒大に脚色されて流布された昨年12月以降、支持率が急降下した。

それを誰よりも熟知しているのが、世論の動向に敏感な朴大統領である。
李氏の首相選出でそうした負の連鎖に終止符が打たれたと胸を撫で下ろし、嬉々として今日、李氏に首相任命状を渡し、閣僚4人を交代させる内閣改造を断行した。

態勢を固めた朴政権は今後、「増税なき福祉」など内外政策の内実を問われる。
昨年も貿易収支が大幅黒字、経常収支黒字が400億ドルに達し、経済成長率もプラス3・7%(日本は0・6%)と、マクロ経済指標は膨れる一方の貿易赤字、累積国家債務に苦しむ日本に比べて遥かに好調である。その果実を国民にいかに実感させるかが具体的に問われる。

反韓チラシが的外れの悪口雑言を撒くのは、それなりの政治的な狙いがある。
朴政権を貶めることで、反射的に安倍政権を側面支援することである。旧日本軍慰安婦問題など歴史認識問題で対立している朴大統領非難は、安倍援護となると算段している訳である。

さらに、対米、対中関係が微妙に影響している。
オバマ大統領は歴史認識で朴槿恵大統領に同情的である。さらに、安倍首相と対立している習近平主席と朴大統領が友好関係を深めることに孤立感を深めている。
そのため、朴大統領が折れてくる淡い期待をかけて圧力をかけている気になっているのである。

逆効果であることが全く理解されていないのが、理知を弁えないチラシたる所以か。
ヘイトスピーチは2008年頃から目に付くようになった社会現象であり、戦前からの在日朝鮮・韓国人差別とは本質的に異なる特徴を帯びる。
その中核となっているのがいわゆる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)であるが、その呼称が示すように在日を特権集団とみなしている。

一昔前まで、在日は哀れな亡国の民であり、日本社会の最底辺で呻吟する憐憫と蔑視の対象であったが、ヘイトスピーチで僻んだ憎悪を吐き出す一部日本人には特権集団と認識されている。
反動形成、すなわち、コンプレックスの裏返しである。

10月下旬、都心のJR新宿駅周辺に100人ほどが日の丸の旗を持って集まり、「日韓国交断交国民大行進in帝都」の垂れ幕を掲げ、「クソまみれの朝鮮人」、「ゴキブリ朝鮮人を叩き出せ」とシュプレヒコールをあげながら駅に向かって行進し、1時間後に解散した。
その間、デモに反対するカウンターと呼ばれる人たちが歩道から「レイシスト、帰れ」と批判し、応酬する場面もあった。

私も街中でヘイトスピーチデモを見掛けたことがある。マスクなどで顔を隠していたが、若者が多い。女性も混じっていた。
ありったけの口汚い言葉をてんでに叫んでいたが、私の耳に聞こえてきたのは、彼らの心の悲鳴であった。何が若者をこのような無意味な行動に走らせるのかと、怒りよりも、悲しみが浮かんできた。
街行く人々は概ね、何が起きたのかとビックリした表情を浮かべて見送っていたが、私と同様の感想を持った人も少なくなかったであろう。

ヘイトスピーチの背景にあるのは、長い停滞に沈む日本社会の閉塞感である。
40代以下の層は高度成長時代の日本を知らない。彼らがイメージする日本は不景気、リストラ、非正規労働、ブラック企業、格差拡大、財政危機であり、未来に希望を持てないものが多い。
相対的に中国、韓国の国力が高まり、領土問題や歴史認識において日本との摩擦が強まっている。

閉塞感や危機感の捌け口を外に求める排外的なナショナリズムが高まるが、その極端な形態がヘイトスピーチにほかならない。
日本の内なる外的な存在である在日に攻撃の矛先を向けて、日頃の憂さを晴らそうとしているのである。

植民地時代に強制徴用などで日本に来た在日とその子孫には事実上の賠償として特別永住権が与えられているが、在特会は特権と批判する。
貧しい朝鮮部落が存在した一昔前はそれを特権と意識する日本人は皆無であったが、彼らの目には、それは、在日の生活を良くしている特権と映る。その分、自分達が損をし、未来を暗くしていると怒りをぶつけてくるのである。
そのほとんどは彼らの一方的な誤解なのだが、歴史観の欠如と偏見が感情的な反発を増幅させている。

ヘイトスピーチが不正なものであることは言うまでもない。
国連人種差別委員会が8月、日本政府にヘイトスピーチの法規制を勧告し、それに先立って京都地裁が人種差別として在特会に学校周辺でのヘイトスピーチ差し止めと損害賠償を命じた。

問題は、政治の世界にそれを助長する動きがあることである。
山谷国家公安委員長らが在特会幹部と写真を撮って親密な関係を誇示したり、自民党がヘイトスピーチ規制に消極的な姿勢を見せたり、一部マスコミが公然と庇ったりと、ヘイトスピーチが言論の自由、表現の自由に属するかのような誤解を与えている。
それが結果的にヘイトスピーチを助長している。

 10月の貿易収支で韓国が大幅の黒字、日本が赤字になったことは、グローバルな金融危機が実体経済に波及することが危惧される中、ある種の先行指標として重要な意味を持っている。
 それは、競合関係にある国際市場で、円高の日本がウォン安の韓国に対して価格競争力を失い、押されていることを示唆する。
 国際市場は景気後退とともに縮小しているだけに、仮に、この傾向が持続・拡大するようだと、第3四半期実質経済成長率がやはりマイナスを記録した前期比マイナス0.1%(年率換算マイナス0.4%)と落ち込んだ日本経済は、内需不振に貿易不振が加わり、深刻な事態に直面することも予想される。

 それは杞憂ではない。すでにその兆候がはっきりと表れているからだ。
 パナソニックは09年3月期の営業利益見通しを39.3%減と下方修正したが、要因の一つにサムスン電子がウォン安を背景に安売り攻勢をかけていることがある。
 同様な現象は、薄型テレビ、半導体などの電機・IT製品から自動車、造船まで幅広く見られ、業界関係者は危機感を強めている。
 http://www.asahi.com/business/update/1127/OSK200811270036.html

 無論、韓国経済の現状も厳しいものがある。
 サムスン経済研究所は27に発表した報告書『09年の経済展望』で、輸出の増加率が一ケタにとどまるとして、来年の経済成長率を3・6%から3・2%に下方修正した。
 
 とは言え、マイナス成長が予想される日本などに比べ、3・2%はかなり高い。今年の経済成長率も4・4%と予想されており、韓国の実体経済のファンダメンタルは他の先進国に比べれば健全と言える。
 サムスン研究所は来年の貿易収支は48億ドルの黒字、経常収支は21億ドルの黒字と予想する。問題となっているウォン安ドル高も、経常収支の黒字転換により、ウォンの対ドルレートは年平均で1ドル=1040ウォン前後で歯止めがかかると見通した。

 こうした予測には、それなりの合理性がある。
 そもそも現在のウォン安ドル高は、ヘッジファンドの売り注文によるところが大きかった。実際、大信証券のリポートによると、6−10月にヘッジファンドが登記上の拠点とする租税回避地(タックス・ヘイブン)の投資家による売り越しが7兆8000億ウォンに達し、11月も5000億ウォンの追加的な売り注文があった。
 しかし、その動きも次第に鈍化し、ヘッジファンドの売り余力は限界に達しつつあると見られている。
 それを見越して一般外国人投資家が26日1218億ウォン、27日1913億ウォンと2日連続で1000億ウォン以上の買い越しを記録した。9月22日以来のことで、大型株を中心に鉄鋼金属、金融、電機電子などの業種に集中した。
 雨降って地固まるではないが、投機的なヘッジファンドが市場から退場し、一般投資家の比重が高まることは市場の健全化にとって好都合と言える。
 
 韓国の強みは他のOECD加盟国に比べ、財政赤字規模がGNPの30〜40%程度で、例えば、日本の150%に比べ、財政出動の余力が十分なことである。
 また、政策金利も4%台と、ゼロ金利の日本に比べかなり幅がある。
 従って、内需拡大のために大胆な財政・金融政策を実施することが可能であり、不況への備えも十分というわけである。
 
 それと対照的なのが日本で、無策のまま2か月以上も費やした“麻生不況”もあって、状況はかなり厳しい。

 予想していた事態が可視化してきた。
 韓国の10月の経常収支が史上最大の49億ドルの黒字を記録し、ウォン安が追い風になって輸出が健闘していることが数字で裏付けられたのである。

 他方、国際市場で韓国製品と競合する日本の貿易収支は、同月、639億円の入超(財務省貿易統計速報)となり、8月に続いて大幅な赤字に転落した。
 日韓ともに国際的な金融危機に揺さぶられている点では同じだが、ここにきて明暗が分かれ、財政・金融政策力の差がじわじわと表れている。
 
 韓国銀行によると、10月の経常収支は49億1000万ドルの黒字となり、関連統計を取り始めた1980年以後、最大規模を記録した。
 これにより、今年1月からの経常収支累積赤字は90億1000万ドルに減少し、年度末までにさらに改善すると見込まれている。
 原因としては、原油など原材料価の下落とともに輸入額が減少し、商品収支が黒字になったことが大きい。
 また、ウォン安によるサービス収支の改善も要因に挙げられる。サービス収支は9月の12億4000万ドルの赤字から5000万ドルに激減したが、旅行収支がウォン高時期からの海外への旅行者増に歯止めが掛かり、逆に海外からの旅行者増で2001年4月以降初めて5億ドルの黒字となった。
 
 注目すべきは、商品収支が、9月の8億9000万ドルの赤字から、27億9000万ドルの黒字へと劇的に好転したことである。
 原材料価下落の反面、世界的な景気後退の中でもウォン安が幸いして輸出が比較的健闘しており、韓国銀行は今月の経常収支も10億ドルの黒字となると見通している。
 http://news.kbs.co.kr/article/economic/200811/20081127/1676963.html

 海外が関心を向けているのはウォン安であるが、実は、一部で言われているほど深刻ではない。
 その主因となっている資本収支は、堅調だからだ。
 韓国の金融機関の海外借入金償還額は10月にピークを迎え、資本収支純輸出規模が9月の47億8000万ドルから10月は史上最大の255億3000万ドルに達した。

 外貨保有額が数十億ドルに落ちた1997年の金融危機時であったなら、デフォールトとなるが、現在、外貨は2000億ドルを超えており、基本的に問題はない。
 投機筋の動きも無視できないが、国際的な金融協調体制が確立されつつあり、ウォン安は峠を越えたと見るべきであろう。

  

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 少し前のあの熱狂は、どこに行ったのだろう? 「冬ソナ」ブームで火がついた韓国のポピュラーカルチャー、韓流のことである。
 ムードやトレンドには一過的なものと、生活に溶け込み文化の一部と化すものに分かれるが、多くの日本女性の心を熱くした激流は、今では穏やかな流れに変わり、日本社会の隅々に溶け込んでいる。 
 日韓は「越境する文化の時代」を迎え、テレビ、映画、マンガ、インターネット、観光などが日韓の国境を超え、グローバルなポピュラー文化を形成しつつあると言えよう。

 そのことは、東京からは見えにくいことだが、韓国の高校生たちが学期休みの小旅行に訪れ、閑古鳥が鳴いていたリゾートや温泉街に活気が戻った九州地方に行けば、一目瞭然である。
 玄界灘の対岸である釜山市と福岡市が観光やマンガなどを媒介に、人口800万人、地域内総生産2000億ドルの釜山・蔚山・慶尚南道の東南経済圏と、人口1300万人、地域内総生産4070億ドルの九州経済圏をつなぐ超広域経済圏形成へと動き出している。
 
 「冬ソナ」の前に静かなブームを起こしたかの傑作も、四月から装いを新たにして茶の間に蘇る。
 恐ろしく凶暴だが、正義感溢れるキュートな彼女と純朴なボクのコンビが笑わせ、泣かせてくれた『猟奇的な彼女』が、TBSの連続ドラマにリメイクされるのだが、草薙剛と田中麗奈コンビがどんな日本的味付けをして見せてくれるのか、文化論的にも興味が尽きない。

 これも韓流が日常生活に溶け込んだ証の一つであろう、我々男性の目に見えないある韓流化粧品が、コスメ系で今年一番のヒット商品になるかもしれない勢いで売れていると言うから、面白い。
 BRTCブランドのBlemish Balm(ブレミッシュバーム)クリーム、略してBBクリームがそれで、その筋の通によると、元来は皮膚科の治療用クリームであったが、化粧下地、ファンデーション、UVカット、美容クリームのエレメントをオールインワンに凝縮した、韓国的合理主義を体現したようなクリームに生まれ変わった。
 韓国のセレブ系タレントが撮影中に使っているとの噂が流れ、たちまち「芸能人コスメ」として大ブレイクした。
 
 女性心理は日韓変わらないようだ。
 日本でも今年になって日テレの「おネエ★MANS」という番組でメイクアーチストのIKKOが紹介し、深夜のTVショッピング番組でニューハーフ系のKABAチャンが取り上げ、ヨン様で部数を伸ばした女性週刊誌が特集を組むなどして一つのトレンドとなり、ニッセン、ベルーナといった大手カタログ販売業者が目を付け、急速に女性層に浸透している。
 毎日、空輸便で輸入しても供給が間に合わない超品薄状態らしく、特約販売店であるスクラム商事の孫城周社長は「これほど受けるとは思いませんでした。販売元との折衝により、特別枠を確保して何とか消費者の求めに応じています」と語る。化粧品には誇大表示のまやかしモノが少なくないが、BBクリームは東京都薬務課の認可を受けていると言う。
 
 韓国の対日貿易赤字は昨年298億8000万ドル、2000年の113億6000万ドルから163%も増大した。
 BBクリームでどうこうなる話ではないが、化粧は女性の最大関心事、化粧品は彼女らのイメージを左右する。「安かろう、悪かろう」の過去のイメージに悩まされ、売り上げが伸びない韓国にとって、イメージ戦略上からも軽視できない現象の一つと言えるかもしれない。
 

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