河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

韓流・嫌韓流の深層分析

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 凶悪犯罪が続発し、被害者は厳罰を!と報復を叫び、治安悪化に怯える人々は喝采を送り、裁判所は厳罰を下し、他方で政府が罰則強化に動き、法相は「死刑の自動化」まで口にし始めた。
 それでも犯罪は一向に減らず・・・悪循環に陥り、殺伐とした気分にさせられる昨今の世相だが、全く別の声が隣国から聞こえてきた。

 日本ではほとんど無視された犯罪世界死刑廃止デーの10日、市民団体の死刑廃止国宣布式準備委員会がソウルのプレスセンターで、東北アジアで最初の死刑廃止国宣言式を行った。
 死刑囚の運命が分かれたのは1997年12月30日、保守系の金泳三政権時代に、23人が不運にも?刑場の露と消えた。その後、民主化運動の流れを受け継ぐ野党の金大中政権が誕生して、死刑は中断、人権派弁護士として民主化運動の一翼を担った盧武鉉大統領も金政権の政策を継承した。
 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは過去10年間、死刑執行をしなかった国を「事実上の死刑廃止国家」と分類しているが、今年12月29日に韓国はその仲間入りをする。その前日、改めてソウル市庁前広場で死刑廃止国宣布祝賀行事が開かれる予定だ。
 宣言式では、金前大統領が「私も80年に死刑を宣告された。我々の人権運動史上、今日は最も意味のある日だ。人権先進国の仲間入りを果たした」と演説した。金前大統領は1980年の光州民主化運動を裏で操ったとして軍事政権に死刑を宣告されたが、国際的圧力で執行は停止された。

 採択された宣言文は、「死刑制度は生命権を国家が侵害する反人権的な刑罰であり、刑罰が持つ教化機能を全面的に否定する。犯罪発生に対する社会の責任を犯罪者に転嫁する卑劣な行為」と訴えたが、日本社会にはどう響くのだろうか。

 宣言式には韓国の人権運動家や宗教家ら約300人とともに、日本からも死刑廃止論者らが参加した。その一人、安田好弘弁護士は記者会見で「日本は死刑大国になろうとしている。韓国での死刑廃止実現は大きな希望だ」と語った。
 安田弁護士は日本社会では孤立気味。山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団長として、まず死刑ありきに反対し、真相究明の立場から弁論を張り、世間からつるし上げられている。タレントの橋下徹弁護士がテレビ番組で懲戒請求を呼びかけると、日本弁護士連合会に懲戒請求が殺到した。

 東北アジアで最も早く民主主義が定着した国としては遺憾なことだが、今の日本では、犯罪者の人権を省みる余裕は失われつつある。
 何しろ現職の鳩山邦夫法相が「法務大臣が署名をしなくても死刑執行できる方法を考えるべきだ。ベルトコンベヤーって言っちゃいけないが、乱数表か分からないが、客観性のある何かで事柄が自動的に進んでいけば、次は誰かという議論にはならない」と、まるで死刑囚を屠殺場の牛か馬かのようにみなす暴言を口にする。
 「人の尊厳」への自覚が皆無だ。人間を乱暴に囚人と非囚人に分類し効率的に処理しようとするのは、ユダヤ人をベルトコンベヤーに乗せるように大量虐殺したナチス、捕虜に人体実験をした悪魔の関東軍731部隊に通じる発想だ。
 亀井静香代議士が「人間の資格が無い」と批判したのは当然だが、本人はこれと言った陳謝も無く、法相を平然と続けている。

 悲しいことだが、人間としての連帯感、絆が欠けている。世襲の坊ちゃん政治家によくある世間知らず苦労知らずなため、発想が貧困で、人間を単純化して考えるのだろうか。
 人の命を奪うのは許しがたい大罪だが、好きで悪人になる者はいまい。成長の過程で本人にはどうしようもない親子・友人などの人間関係、経済苦などで悪魔に魂を売ってしまうケースが多い。
 犯罪の社会的原因まで踏み込まないと、犯罪はなくならないし、罪人も更正しない。厳罰で脅せば済むといったものではない。

 同じグローバリーゼーションの波に洗われながら、韓国は人権・個性尊重のリベラリズムで乗り切ろうとし、日本は国家意識を強調する保守化の方向に切って交わそうとする。
 その違いが、死刑廃止問題に微妙に影を投げている。韓国は国連人権理事会の理事国として、第62回国連総会で死刑執行モラトリアムを求める決議案に賛成し、国内法整備を世界に訴えた。

 とは言え、韓国も正式に法律で死刑廃止を決めたわけではない。「死刑制度廃止に向けた特別法」が国会議員175人の署名・発議で国会に提出されているが、採決はまだだ。
 伝統的に、韓国人は日本人以上に国家意識が旺盛で、報復主義的である。進歩主義の金大中ー盧武鉉政権はそうした国民気質を変えようと努力してきたが、保守系の野党候補が大統領選挙で勝利すれば、再び死刑が執行される可能性がある。

 国籍や民族を問わない保守層独特の性向も、無視できない。富裕層が多い彼らは、富の偏在が犯罪の温床となることを認めたがらない。犯罪者は既得権益や秩序を脅かす憎むべき敵であり、「ベルトコンベヤー」で処分すべきモノでしかなくなる。
 日本で生活重視の民主党が政権をとれば、韓国とは逆に、死刑廃止へと向かうのではないか。

 小さなことでけちを付けたがるのは、朝鮮日報も同じだ。と言うよりも、針小棒大の極端な思考に流れやすい韓国人の悪い癖をそのまま紙面に曝け出す点で、この新聞の右に出るメディアはない。
 スタンスは保守系右派なのだが、日本の保守系右派と違うのは、金大中=盧武鉉と続く改革派政権への敵意を露にし、自国に対してとみに自虐的なことだ。

 直近の例が、「うそで塗り固められた詐欺王国・韓国」(上)(下)との論説委員によるコラムである。
 自国を詐欺王国と蔑むどぎついタイトルは、日本の大手紙には絶対に載らない。せいぜい三文週刊誌の見出しになる程度だが、韓国でまがりなりにも最大の発行部数を誇る新聞の紙面を堂々と飾っている。
 そこまで言い切るのだから、相当な内容があるのだろうと思いきや、これが、個人のスキャンダルを自分の正義感や屁理屈で目一杯膨らませた代物ときている。
 学歴詐称で東国大助教授を罷免されたシン某の件を取り上げているのだが、「韓国社会を映す鏡のような存在だ。韓国人全体の問題である」と飛躍させ、「韓国の大統領はいつも平然とうそをつく。シンのうそなどさほど驚くべきものではなかった」とこじつけ、はては、13年前の検察の古い統計を持ち出して、「人口10万人あたりの詐欺事件の発生件数は、韓国が日本を35倍も上回っている」と強引な結論を引き出している。
 http://www.chosunonline.com/article/20070919000043

 中傷ビラまがいの粗雑な文だが、顔写真まで載せて誇らしげに披瀝しているのだから、驚きを通り越して、あきれてしまう。日本でも国会議員が学歴詐称で辞職に追い込まれたが、朝鮮日報の論理でいくとさしずめ「世界一の詐欺国」といったところか。
 ありえないことだが、日本でそのようなことを書こうとしたら、即、首か左遷だろう。

 韓国の名誉のために付け加えれば、日本の大手紙に勝るとも劣らない立派な記事はいくらでもある。
 紹介したのは、あくまでも陰の部分である。政治と学派の論争が絡み、些細なことをさも大事にあげつらって攻撃する李朝時代の党派抗争の悪しき遺産と言える。
 
 朝鮮日報は宿敵の盧武鉉政権の評判を落とすために必死に揚げ足取りをしているのだが、それが電子版に乗って日本に流れ、韓国への誤解や偏見を振りまく手助けをしていることまでは気付いていないのではないか。

 いわゆる嫌韓本の類は多くがそこからネタを仕入れているが、最近目に付いたのが、「本当はヤバイ!韓国経済」だ。
 「世界で唯一の赤字中央銀行!」と鬼の首でもとったようなキャッチコピーをつかっているが、何のことはない、朝鮮日報が今年2月にリリースした「韓銀は世界唯一の『赤字中央銀行』」をちゃっかりと拝借しただけのものでしかない。
 韓銀が赤字化したのはウォン高防止のために通貨安定証券を発行したちゃんとした政策的理由があるのだが、朝鮮日報がケチをつけたのをみて、その隠れた狙いもわからず、独特の理屈や結論まで共有し、「韓国経済はヤバイ」と相乗りしたわけである。

 「韓国では金に困った女の人が高金利で返せない時、『身体放棄覚書書』なる誓約書を書いてアメリカや日本に売春婦として売られる事が日常的にある」と、社会の片隅で起きた事件を誇張して書いた部分もあるが、ネタ元はすぐ割れる。
 一昨日、奄美に少女二人が売春目的で売られた事件が発覚したが、「日本で日常的にある」と書くバカはいまい。

 同書は、針小棒大の韓国的思考に枝葉末節的な日本的思考が乗せられた好例と言える。
 その種のいわゆる嫌韓本は、両者が妙に共鳴していることを物語るが、興味深い社会現象ではある。

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 古代、朝鮮半島の日本への影響力の大きさを物語るのが、日本語が韓国語(朝鮮語)と文法が同じことだ。言語学的にはウラル=アルタイ語系に属する。
 言語は文化形成に決定的役割を果たすから、古代史における朝鮮半島と日本の密な関係がうかがわれる。千数百年後のことだが、英国と米国との関係を思い浮かべると分かりやすい。
 米歴代大統領が英語を使ってきたように、聖徳太子ら天皇家の祖先は古代朝鮮語を使っていた。ヨークがニューヨークになったように、天皇一族が入植した地はナラ(国)と呼ばれ、漢字が伝えられると奈良となった。
 
 それほど近い間だが、国境が生まれ別々の道を行くなか、朝鮮語が音中心なのと対照的に、日本語は訓中心に発展し、互いに全く理解できない言語になった。表現方法や考え方、論理展開や修辞法などもかなり異なる。
 その直近の一例が、「『韓国人が総長なのに…』国連本部に‘変な太極旗’」というタイトルの中央日報の記事だ。
 国連本部に掲揚されていた韓国旗(サムネイル1)が誤っていたので差し替えられたというものだが、日本なら「よく気付いた。めでたしめでたし」となるエピソードの類のことに、「何で今まで放置していたのか」と目くじらを立て、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の責任まで追及しかねない剣幕だ。

 保守系の中央日報は何かと盧武鉉政権に噛み付いてきたから、坊主憎けりゃ袈裟憎しで、盧武鉉大統領の外交側近として通商外交相を務めていた潘国連事務総長のあら捜しをしている可能性もある。
 しかし、それを割り引いても、そうした攻撃的な批判の仕方は、ある意味で韓国的である。必要な範囲で記事を再現すると、以下の通り。

 国連本部前の‘変な太極旗’が取り替えられる。ニューシスが18日、太極マークが小さい太極旗が掲揚されていると報じたことを受け、韓国国連代表部は19日、「正規の太極旗を国連本部側に伝えた」と明らかにした。
国連韓国代表部側は「加盟国の国旗は国連本部が一括管理している。太極図案に問題があることに気づかなかった」と釈明した。
しかし問題の太極旗はかなり以前から掲揚されていたし、少し注意して見ればすぐに太極マークが小さいことに気づくことであり、国連代表部やニューヨーク総領事館が国の象徴である太極旗に関心を向けていなかったという批判は免れなくなった。
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=91347&servcode=400§code=410

 単なるミスを、‘変な太極旗’などとことさら構えるのは明らかに自意識過剰だ。
 少し注意すれば分かることなら、その前を中央日報の記者(本記事を書いた記者も含めて)も何回か通っているはずなのに、気付いていない。それは何故なのかと冷静に考えることはせず、人の欠点ばかりをあげつらうのは考えものだ。

 国連本部前には192加盟国の国旗が掲揚され、儀典国が管理しているそうだが、中央日報が思っているほど一々気にする人はほとんどいないだろう。目に入ってもすぐに忘れてしまうし、図柄までじっと見つめるのはオタクやマニアぐらいだ。
 一般外国人はどれが韓国旗かも知らないし、数少ない韓国研究者でも太極まで知っているのはさらに限られる。
 
 儒教的国民である韓国人には、「・・・べきだ」と自己の価値観を押し付ける傾向がある。誰にも言えることだが、韓国人は特に強い。
 太極は宇宙の根源とされ、森羅万象は陰陽により弁証法的に生成変化する。それをシンボル化したのが韓国旗で、世界の国旗の中で最も理屈っぽく、韓国人の気質を良くあらわしている。

 李朝末期から使われ、朴泳孝が1882年8月に渡日した時に掲げたが、同年7月に米海軍省航海局が発行した「Flags of Maritime Nations」に掲載された太極旗が文献上最古の史料とされる。
 ちなみに、解放直後に北朝鮮でも太極旗が振られたが、韓国に先取りされたためか? 1ヵ月遅れで建国された北朝鮮は五角星の共和国旗を掲げた。
 それが冒頭の写真だが、‘変な太極旗’の方が遥かにましだ。中央日報は米海軍省には抗議しないのだろうか。
 
 同紙の「国連代表部やニューヨーク総領事館が国の象徴である太極旗に関心を向けていなかったという批判」云々は、平均的日本人の感覚には異常に聞こえる。アメリカ人やドイツ人も同じだろう。
 インターネットが世界で最も普及した韓国は、テックル文化の国だ。タプクルともいい、電子版の記事ごと書き込み欄が付くが、日本版の同記事にはこの時点で、日本から189件の書き込みがあった。
 これがまた、日韓比較文化のサンプルを見るように面白い。次のようなものが目に付いた。
 「自意識過剰」「だれも気にもとめてない」「何を目くじら立てている」「そもそも国連の事務総長が朝鮮人だということも、世界の人は知らない」「典型的な自己中の思考パターン」「韓国旗の隣の国旗の国名とデザインが正式かどうか、韓国人はいつも気にしてみてるのか」「誰の責任がどうであるとかガタガタ言う前に、本国から持っていけ」
 
 言葉遣いはともかく、どれももっともな意見である。

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 保守派同士だから、日韓保守派はもっと仲が良くてもいいはずなのに、実際は、そうでもない。屈託のないリベラル派の交流とは、雲泥の差である。
 国家や民族と言うプライドを背負いこんでいるために、動きが鈍く内向きになり、壁が出来るのはわかる。しかし、それにしても家庭内別居のような関係は奇観ですらある。

 日本保守派の牙城といえば産経新聞だが、最近、韓国保守派の牙城・『月刊朝鮮』の前社長である趙甲済編集委員がその「正論」に「南北首脳会談は大統領選への戦略」とのタイトルで、以下のようなコラムを寄せた。
 「第1回首脳会談は、金大中大統領(当時)が不法に軍事費転用の危険を知りつつも4億5000万ドルを金正日総書記の海外秘密資金口座に送り実現させた。会談で合意した南北共同宣言は金正日政権の対南赤化戦略と一貫しており、後に韓国を左傾化させた。」
 「過去10年間、政権の座で親金正日政策を主導した左派勢力・・・」
 「会談は『大韓民国憲法守護勢力=保守勢力』を共通の敵とみなし、大統領選で敗北させるべく一種の同志的戦略会談になるかもしれない。」
 http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/seiron/070828/srn070828000.htm

 それらの評価は日本の保守系メディアに共通しており、趙氏の影響力の大きさがうかがわれる。
 日本の保守系論客が金大中=盧武鉉政権に対して「反米親北政権」という用語を枕詞のように用いるのは、その証左である。

 南北首脳会談や金大中=盧武鉉政権への評価の是非は、ここでは論じない。
 とりあえず、日本の保守系メディアの北朝鮮や韓国への認識が、趙氏に代表される韓国保守派の影響下で形成されていることを確認するだけで十分である。

 「反米親北政権」の打倒が日韓保守派共通の悲願となっている、と言っても過言ではない。
 それほど切っても切れない密な関係でありながら、しかし、重要な部分で越え難い深い溝がある。

 金大中=盧武鉉政権に対して日韓保守派ともに「反米親北政権」と敵意を剥き出しにするが、日本の保守派はそこに抜け目なく「反日」を加え、「反米反日親北政権」と言い換える。
 しかし、それに韓国保守派は同意できない。金大中=盧武鉉政権を「反日」と規定し、非難することは自らを「親日売国」に追いやり、墓穴を掘ることになりかねない。
 「愛国」を掲げる彼らにとって「反日」は最もデリケートな問題であリ、韓国の「反日勢力」の核心部分は保守層に重なるからである。

 恐らく日本の保守派はまだ気付いていないだろうが、日韓保守派の間には憲法観で決定的な違いがある。
 趙氏は「大韓民国憲法守護勢力=保守勢力」と韓国保守派の旗印を明確にするが、日本の保守派の旗印は改憲、というよりも、廃憲=自主憲法制定である。
 小泉=安倍政権下の日本では、護憲は非保守・リベラル派とみなされる。彼ら保守派にとって、憲法は占領軍によって押し付けられたものでしかない。

 韓国憲法と日本国憲法は一卵性双生児、ともにマッカーサーGHQ司令官の下で作成されたもので、その意味では押し付けである。
 それを韓国保守派は自身の拠り所とし、日本の保守派は「国体を傷つけられた」と恨みを抱く。
 前者にとって連合軍は日本の植民地支配に終止符を打つ解放軍であったが、後者にとっては占領軍であったことがそうした溝を生んでいるのである。
 
 最大の共通項である「親米」にも、質的な差がある。
 「日本の軍国主義者・・・は、人類のあり方への無慈悲な考えに突き動かされていた。天皇に根ざした狂信的な神道があるので日本は民主化できない、天皇を裁判にかけないかぎり日本の民主化は失敗する。そういった意見が米国内にはあったけれど、日米が協力して民主主義制度のなかに天皇を位置づけた結果、より強固な民主主義が育った」
 ブッシュ大統領が先頃、退役軍人会で行った演説だが、日韓では受け取り方がまるで異なる。
 冒頭の一枚の写真、さらに、「アメリカがもう40代なのに対して、日本は12歳の少年」と語ったマッカーサーの言葉は、日本の保守派のDNAに屈辱として刻み込まれているが、韓国保守派には解放の証である。
 韓国保守派の親米は心酔型、日本は打算型と言えよう。

 とりわけ、歴史認識問題では日韓保守派は憎悪を剥き出しにする。
 その典型的例が米下院での従軍慰安婦対日非難決議案採択で、双方は総力を挙げてぶつかった。

 この溝は永遠に埋まらないとの見方もあるが、そうそう悲観したものでもあるまい。
 韓国保守派の精神的支柱は、韓国近代化の礎を造った朴正煕元大統領であるが、彼は現実主義的な親日家であった。
 この歴史をどう共有するか、そこに両者の接点があろう。

 その一方で、保守派などは抜きにして、日韓の交流はいつになく深まっている。韓流はその象徴であるが、光に陰が付きまとうように、嫌韓流なるものが支流に渦巻いている。
 だが、書店の一角をにぎわす嫌韓本は、韓国の保守系紙誌の日本語記事のパクリ乃至は流用の類が多い。韓国語もろくに解さない著者が日本語版インターネットから引っ張っているようだが、もともと誇張の多い原記事をさらにマンガなどで誇張する。面白いが、実際の話とはかけ離れたよた話になってしまう。「韓国経済は破綻」、「“犯罪民族”韓国人」といった調子である。
 それによって若い世代が誤解と偏見を植え付けられている限り、溝はなかなか埋まらないだろう。

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 韓流は日韓文化交流史にエポックを画した画期的な出来事であった。
 それによって、日本人、特に、女性層の韓国観に、歴史的な転換が起きたことは間違いない。

 それに反発して嫌韓流なる現象が現れたことも興味深い。
 ぺ・ヨンジュンらマッチョな韓流スターへの嫉妬、という見方も出来るが、その執拗さにはかなり根深い要素を感じさせる。保守派独特の危機感があるとみられる。

 文化史的には嫌韓流は韓流の陰の部分だが、その発信源の一つは、ソウルにある。
 黒田勝弘・産経新聞ソウル支局長がそれで、流暢な韓国語を駆使しながら得た情報を斜めに構えたユニークな視点から料理して、東京に発信している。
 「盧武鉉政権は親北反日政権、言論弾圧をいつになく強化している」が持論で、悪意に満ちた曲解に近い記事を送稿しても、韓国政府は何も言わず、産経新聞ソウル支局が閉鎖されることもない。盧武鉉政権下での徹底した民主化(日本よりも進んでいると評する外信もある)の恩恵を被っているのだが、知ってか知らずでかー恐らく甘えがあるのであろう、相変らず悪態をつき続けるのが面白い。

 韓国の悪口なら何でもよいと飛びつく層が一定数存在し、いわゆる嫌韓本を売れ筋にしている。
 「在韓25年」を売り物に黒田氏が昨年出版した「日本離れ”できない韓国」も、かなりの“反響”を起こした。

 アマゾンのカスタマーレビューから拾ってみると、「韓国がいまだに異様に日本に対して敵意をもっていることは不思議でもなく、彼の国のメンタリズムに基づくものが多い。信じられないのですが、言論統制を行っているんですね。反日教育と併せて情報操作までする国です。危険な国だと感じました」。
 個別の事象を一面的に誇張した叙述が、極端な偏見を植え付けていることが分かる。

 「韓国がなぜ反日に走るのかと言う構図が、本書を読むとよく見えてくる」は、盧武鉉政権=反日のイメージで洗脳することに成功した一例ではないか。
 「韓国人は慰安婦問題などでたびたび訴訟を起こすが、不思議に思っていた。 著者によると、そもそも韓国人は対日請求権放棄をほとんど知らないそうだ!」は、「従軍慰安婦は存在しない」との産経新聞のプロパガンダに沿った、すり替えの成果である。

  「韓国は民主化は進んだものの反日的であり政治的に退化している。日本に対する『甘え』を捨てて『日本離れ』しない限り、韓国の反日姿勢は続くのではないだろうか?」は、すり替えに加え、重大な事実誤認がある。
 「政治家がうっかり口にして問題になる『日本は韓国に対していいこともした』という言葉の理由がよくわかりました」は、日韓併合と植民地化正当化に成功した例といえる。
  「韓国が日本に対して、社会や技術基盤の整備の面でまだまだ依存している実態を指摘します」は、日本経済も韓国に依存している実態を隠し、優越感をくすぐっている。「私はこの本を読んで韓国人に対する優越感に浸った」は正直だ。
 「本書は韓国に長年住んでいるライターによる韓国人の深層心理の研究といったところであろうか? 中国人の反日感情は建前上は筋が通っているように思うが、韓国人は無茶苦茶で低俗の逆恨みである」は、ほとんど捏造で、悪意すら感じる。

 「サッカーW杯の日本対オーストラリア戦の視聴率は、日本より韓国での視聴率の方が高く、『日本が負けるのは韓国が勝つことよりうれしい』と、韓国人は大喜びだったらしい」は、ことさら悪イメージを広めようとしていることをうかがわせる。
 そうした人もいるがそうでない人もいるし、どちらが多いとは断言できない。その点では日本と同じである。
 著者が意図的に部分的な現象を誇張して、イメージ操作しているのではないかとさえ疑わせる。

 それらのカスタマーレビューが同書のすべてとは思わないが、「在韓25年」を売りにしているにしては、偏見や誤解、優越観や敵意を増幅させ、対立を深めるばかりで、韓国理解を深めたと思われるものが皆無なのはどうしたことか。
 ことさら褒める必要もないが、客観性をないがしろにして特定の感情を煽るようでは、反韓プロパガンダと言われても返す言葉がないのではないか。

 いかに偏っているか、例えば、ソウル在住11年の日本人ジャーナリスト・伊藤順子氏が書いた「ハーレムより怖い韓国」と比べてみよう。
 数年前に出された同書は、「韓国人の盲目的ナショナリズムに傷つき、告発する体験的韓国論」として韓国でも話題になった。
 
 それによると、著者は高校生のとき、在日韓国人と恋愛し、ソウルに留学するが、「日常的な言語」として通用する韓国人のナショナリズムとぶつかる。
 ソウルにいる西洋人には日本の味方が多い。日本が好きだからではない。韓国人の自国民族礼賛主義に嫌悪感と人種主義の臭いまで感じ、韓国人が嫌悪する日本に同情しているのだ。一緒に勉強していた米国人留学生が、「ソウルはハーレムより怖い所だ」と語り、韓国を去った。
 祖国と民族の優秀性を自慢する韓国人が、母国を嫌って移民し、孤児を世界に大量輸出する事実をどう説明すればいいのか、とも批判している。
 韓国は外国人が住むにはとても不利で、永住権がなく、チャイナ・タウンがつくられなかった唯一の国だ。韓国人は米国のグリーンカードや日本の指紋押捺などは詳しいが、自分の国の外国人の権利は無視する。 
 韓国人はいまや他民族を抑圧する民族になった。旅行中に出逢ったネパール人のホテル従業員が、「韓国では反抗すれば手足を切られる。コリアは南も北もおそろしい」と怖がった。

 黒田氏よりもはるかに鋭く韓国人と韓国の問題点を抉り出し、韓国人にとっては耳の痛い話だが、そうした古い韓国を地で行く保守系の朝鮮日報までが、どうして同書を大きく紹介したのだろうか。
 著者にインタビューした東京特派員は「外国人がどれだけ住みにくい国かを書きながら、私はそれでも11年も韓国に住んでいる。本当に韓国を好きかと尋ねられると、ただ照れるほかない。実際、韓国人は好奇心が旺盛で楽天的、相手が負担に思うほど人はよい」と著者の言葉を伝えながら、「本全体に韓国に対する愛情が込められている点が、日本の右翼が書いた『嫌韓書』とは違う」と結んだ。
 http://www.chosunonline.com/article/20011017000037

 愛情はともかく、批判に不可欠な客観性、誠実さが伊藤氏にはあるが、黒田氏には欠けていたということではないか。
 黒田氏の指摘は不快なだけで、韓国が学ぶことはほとんどない。しかし、伊藤氏らの指摘はその後、盧政権によって生かされ、韓国は「単一民族国家」から「多民族共生社会」へと脱皮を図り、外国人に永住の道を開き、チャイナ・タウン建設が進んでいる。一昨年にはアジアで初めて外国人に地方参政権を認めた。

 黒田氏が自慢する日本の安倍政権からはいまだに「単一民族神話」が漏れ聞こえ、外国人参政権を否定し続け、歴史認識問題で世界と対立している。
 「“日本離れ”できない韓国」の内実は、韓国を貶めることで憂さを晴らす自慰行為でしかないのではないか。「“韓国離れ”できない日本」と書き換えた方がよかろう。

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