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GPS付きランニング用の時計って素晴らしく便利。あと迷子解消機能を付けてくれれば完璧なのに。

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 銀座は古美術桃青の冨永氏が上梓した『恋する骨董』という本に、「外車やブランド品を持っても自慢にはならない。美術品に嗜好する人が減ったのは嘆かわしい」とある。で、でも、外車やブランドもんが自慢になる世界のほうがごく一般的なんだからしょうがない。それに信長だって細川忠興とて舶来ものはお好きだったと思うがな。
 たまたまバイクでふらりと立ち寄った青年が、店頭のある器に魅せられて、その日のうちにバイクを売り、それで器を求めにきたと美談風に語り、また祖父の影響で骨董に興味をもった青年に「最初に買うならこのぐらいがよいでしょう」と百万円の刷毛目茶碗を見繕う。ほぇ〜っ。先日、清楚な古備前の徳利に出会ったが、指にはめていたカルティエを大黒屋へなどとは考えもしなかった私は、氏からすれば、嘆げかわしい低級庶民なのだろう。
 氏はは、欲しいものは値段も聞かずに「これいただきます」と意思をつたえ、そのあとで値を聞き、支払いの相談をするのをよしとする。しかし、そんなことは私のような一般庶民にはとてもできない芸当である。

 大阪は老松通りの骨董街で年に二度の骨董祭があるからと、知り合いが案内くださった。
 軒を並べる古美術店のひとつに根来の盆があった。ご挨拶し、断ってから手にとって見ていたら、奥田瑛二似の店主がほどよい距離感で説明してくれた。お値段を伺って、私は、(う…)と心中フリーズしつつ、それでもじっと見つめていた。すると店主は「いくらだったらいいの?今日はお祭りだし、言ってごらん」と優しく言ってくださる。
 骨董屋さんで値切るのは本意ではない。市で値切るのは好きだが、お店というのはなんとなく違う。それに根来の値は適正だった。が、問題は、家を購入し、準禁治産者にローンを組んでくれる銀行はなく、半年かけて現金ニコニコ支払い中なので、前代未聞の手元不如意なのである。じゃあ骨董祭なんかにくんなよっ!…と、わかっちゃいるが、馴染みさんの案内で老松なんて垂涎イベントに抵抗できようかっ。いや、できまい。(←古典調)
 後ろ髪を引かれつつ、とりあえずまだお祭りの出だしだったので、お店を辞去した。

 緻密な彫の菓子器、里帰り薩摩の珈琲サービス、麦わらの徳利、呼継ぎの古唐津茶碗。心に残るものはいくつもあったが、やっぱり根来が気に係り、戻って店の前でためらっていたら、瑛二がでてきた。
「きめた?いくら?」
 しばし沈黙の後、正直にその日に払える金額をいった。それはその根来の価値を完全無視した、一方的な私の財布の都合価格。すると瑛二は一瞬ひるんで、それから
「しゃーない。そちらのご夫妻のお顔も立てないといけないし」と売ってくださった。それを包みながら、実を言うと、うちの店でこんなもんに目を留める若い女性なんて見たことないから…、それで売る気になったんよとおっしゃった。え゛、世が近世なら孫がいてもおかしくない大年増なんですが…。家を完済したら、また何かいただきに上がります、その時は値切らずに。と心の中で頭を下げて失礼した。店主がたとえ塚地や江頭似でも再訪するかどうかは、…あまり自信がない。

 私が通うお店は3つぐらいしかない。馴染みといっても、日常雑器をいただくのが精一杯。素敵な店主さんたちに、往時のような財界の数寄者たちがお客につきますように。ウン百万もするようなものを値段も聞かずに買えるようには、私は一生なれませぬ。

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  • padapadatalentさん、そういっていただけると、とても嬉しいです♪

    私は老松は、実ははるか昔に1度通っていたのですが、そのときはお祭りでもなかったですし、そこが有名な骨董どおりともしらず、2件目ぐらいでどっかに移動してました(^^;)
    いや、とっても気に入りましたよ〜!でもおなじみさんのご案内がなければ、こんなに楽しくはなかったと思いますけどね(^ ^)。

    本屋さんって、あの中ぐらいのあたりにある、間口の狭いお店かしら?私もその店なら目にとまりました。骨董通りにある店らしく、通りに近い本棚には、古美術・骨董関係の専門書やエッセイなどがずらりと並んでいて、確かにもっとゆっくり見たかったです。

    りんりんの妹

    2010/6/10(木) 午後 1:20

  • 顔アイコン

    値段を聞かずに。。。

    物の価値を貨幣価値に置き換えて考える部分をしないと良い、悪いの二元論に陥ってしまいそうな気もして。。。

    [ 山半 ]

    2010/6/10(木) 午後 9:11

  • 顔アイコン

    根来のすみ切り欲しいんですけど気に入ったものがなかなか出ないんですよね〜。。。

    漆は直射日光に気をつけてくださいね。

    [ 山半 ]

    2010/6/10(木) 午後 9:12

  • 山半さん、良いか悪いかの二次元でも、その的確な判断ができればよいのかもしれませんが・・・私はそれも相当アヤシイです。好きか嫌いかの二次元ですから(^^;)
    そういう意味では貨幣価値に置き換えるのは確かに指標になるかとおもいます。

    よのなかたいていのものは貨幣価値に置き換わりますからねえ。再来週あたり私自身の貨幣価値も提示されそうです。目減りしたかなー(爆)

    りんりんの妹

    2010/6/11(金) 午前 11:33

  • 山半さん、直射日光、気をつけます。
    しかし、しばし眺めたい気持ちはあるんですよね・・・。日焼け止めクリーム塗ろうかな。(←バカ(^^;)。

    りんりんの妹

    2010/6/11(金) 午前 11:34

  • 急須、輝いていますね。いい色合いですよ。
    今度覗いてみようっと。
    一度でいいから、値段を気にせず「これ、頂ける?!」って言ってみたい(笑)

    しらこ

    2010/6/12(土) 午前 3:22

  • しらこさん、そうそうあのギャラリーです♪シンガポールの精鋭クリエーターの展覧会が去年あって、その一人にも選ばれて出展してました。・・・しかし、ありがちですが、若手!とはいっても、たぶん40代です(^ ^)。
    私が値段を事前に見ないで買えるのは、・・・伊勢丹4Fのワゴンのタオルぐらいなもんです(爆)

    りんりんの妹

    2010/6/12(土) 午前 11:11

  • 顔アイコン

    > ウン百万もするようなものを値段も聞かずに買えるようには、私は一生なれませぬ

    背景にお城でもないと出来ないことです
    細川さんみたいに・・・
    (でもなってみたいですねー!)

    [ 夢想miraishouta ]

    2010/6/12(土) 午後 0:21

  • 顔アイコン

    根来のことは全く知らないのですが、やはり上塗りの赤漆が磨り減って下地の黒漆が出てこないと値打ちも出てこないということなんでしょうね・・

    [ 夢想miraishouta ]

    2010/6/12(土) 午後 4:37

  • 夢想さん、そうですよね。でもまあ品物と店主を見る眼があれば、できることなのかもしれませんね。想定とズレがおきないでしょうから(^ ^)。私にとっては、どちらにしても、やはりムリです(涙)

    りんりんの妹

    2010/6/13(日) 午前 2:46

  • 夢想さん、私もよくわかってませんが(^^;)、でも黒の露出が多いほうが人気があることは確実です(爆)。私はこのぐらいがいいですけど。それに私は多分飾らずに使いますから、そのうちまた味わいも変わってくるでしょう♪

    りんりんの妹

    2010/6/13(日) 午前 2:48

  • 顔アイコン

    根来ですか、いいですね〜
    私も根来好きですが、欲しい欲しいと思っていても縁が無く、違う塗り物になってしまうんですよね。

    やはり、心に残るものに戻るんですよね。
    私など、1年前(それ以上前)に見た物、「昔見た××まだ有ります?」って買う場合が結構ありますよ(そのお店は定期的蔵に仕舞うもので残っているんですが)。無かったりすると、無くて当然なのですがメチャショックなんですよね。

    sousoukin

    2010/6/16(水) 午後 7:07

  • SOUSOUさん、わりとメジャーなようでいて、縁がないものなんですよね。私も根来が欲しいなあ・・・と思い出してから、かれこれ5年以上たちますよ。

    あ、お店に戻ってなくなっているとショックですか(^ ^)。私はわりとホッとすることが多いです。骨董って「ご縁」なので、なければそれで「そんなもの」ってかんじです。度重なる失恋の経験から悟った境地でしょう!(←単に諦めが早い(^^;) SOUSOUさんは、きっとフルばっかりでフラれたことがないのでせう♪

    りんりんの妹

    2010/6/16(水) 午後 10:12

  • アバター

    なんとなく
    いつからか白州正子さん
    イメージしてましたよ^^

    この折敷でますますそうなってしまうかも。
    あっ
    ちなみに僕は白州正子さん、大好きですから(笑)

    月に吠えるのか?

    2010/6/17(木) 午後 8:42

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    素敵な根来ですね。
    昔はやつまの御膳と言われた形で色は洗朱。
    今は、なかなかこの色がでないんですよね。

    [ jikichi ]

    2010/6/18(金) 午前 9:38

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    とんでもございません。
    私もフラれてばかりで、その経験から、何事に対してもチャレンジ精神(言い方を変えれば数打ちゃ当る)、探す!→諦め!→切替!は、早いですよ。

    骨董は女性探しと同じで、
    関東は伝来で選ぶ→家柄重視
    関西は箱書で選ぶ→見た目重視
    名古屋は中身で選ぶ→性格重視(地元です)
    だすって。

    sousoukin

    2010/6/18(金) 午前 11:11

  • 龍作さん、あ、ありがとうございますっ。しかし薩摩のおひぃさまとではもう氏素性からして違いすぎ、畏れ多いです(^^;)。

    でも私も「武相荘」みたいな古民家での生活には憧れますが、町田と大原の古民家と渋谷のデザイナーズハウスで悩んだ末・・・渋谷にしてしまいまひた。私はやはり俗人です(涙)。

    りんりんの妹

    2010/6/20(日) 午後 1:32

  • Zikichiさん、本職の方に言っていただくと、さらに嬉しいかも♪
    今はなかなかでないというのはどうしてなんでしょうか?材料のせいでしょうかね。不思議です。

    りんりんの妹

    2010/6/20(日) 午後 1:37

  • SOUSOUKINさん、それはっ、不屈の闘志ってやつですね!♪

    しかし、その関東・関西・名古屋の話は、前にどなたかからも教えていただいたことがあります(^ ^)。言いえてますよね〜!で、SOUSOUKINさんはどれでしょう。私は・・・やっぱりイケメン好み(爆)関西生まれですから〜♪
    …うそです。私は本当は箱書きでも外見でも性格でもなく・・・知性&お笑い重視です(^^;) あれ。骨董の話でしたっけ?

    りんりんの妹

    2010/6/20(日) 午後 1:46

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    [ 母屋 ]

    2010/9/12(日) 午後 10:13

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