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 幼い頃、母がなぜ片方の祖母の家では早起きし、なぜもう一方の祖母の家では朝寝坊をするのか不思議だった。ある日、父方、母方という違いに気づいて、疑問は氷解した。
 父は田舎の四人兄弟の長男だったので、母はちょっと苦労をしたらしい。

 絵に描いたような嫁といえば、小津安二郎監督の『東京物語』に登場する原節子。
夫亡き後、狭い1Kで細々と暮らしながらも、舅姑が東京に訪ねてくれば隣近所に酒を借りて、ささやかでも温かい夕食をもてなす。数日の逗留でさえ煙たがる実の娘や息子よりずっと手厚い。姑が亡くなれば、葬儀を済ませてそそくさと去ってゆく息子娘たちを見送って舅の話し相手に数日残る。いい話だったが、実際はどうだろう。

 結婚している友人に「お姑さんが好き」という人は一人しかいない。あとは嫌い派とウザったい派が半々である。夫にべたべたするとか、夫の風邪を食生活のせいにされたとか、子供の育児に口出しされたなどが一般的で、お世辞にもオシャレとはいえないお姑さんに髪型が変だと指摘されて怒っていた友人や、「何か頼むと厚かましいと言い、何も頼まないと他人行儀と言う。どうしろっての」と苛立つ同僚もいる。こういう理由で嫌うならまだしも、ダサいとか話がツマラナイといったことで、交流を断絶した人も相当数いる。

 私の年代は「嫁」世代であり、「姑」側の言い分はわからない。だから友人たちの「お正月ってサイテー」というボヤキを、笑って聞いてはいるが、私は姑の立場に実は同情的だ。
 子供を持つなら男と女、どちらがいいかと聞かれれば、私は絶対女と答える。
 周囲を見回すと、男の子を持った友人のほうが断然子供に対する愛情が深く、「舐めまわしたいほど愛しい」という。そうやって滅茶苦茶に愛しんで育て、ある日どこのウマの骨とも知れない女に持っていかれるなんて許せるわけがない。息子の結婚を考えたら、夫の浮気など屁ともないという友人もいた。息子の嫁なんて、どんなに気立てがよくてもムカつく。いっそ性悪なほうが心置きなく攻撃できていいかもしれない。私は、野際洋子や岩下志摩が演じる鬼姑なんかに勝るとも劣らないイジワル姑になる自信満々だから。だから男の子供はいらない。娘なら連れてくるのは男だから、まあ楽しかろう。
 
 今、母の姑たる私の祖母は痴呆症で、もう母のことも私のこともわからない。 
 贅沢を嫌うこの祖母は、着物も帯もほとんど持っていない。その少ない衣装箪笥のなかで、唯一ゴミ収集車に直行しなかったのがこの帯。傷みも激しく、私が「頂戴」と言わなければ処分されていた。母は一瞬驚いた顔をして「そうね、あなたにとってはおばあちゃんのものだものね」と、ちょっと寂しげに微笑んだ。

 『東京物語』で杉村春子扮する恩知らずの娘のごとく、私は親を放置して1万キロも離れた場所に住んでいる。自分の親の面倒も見られないのに、良い嫁になどなれようハズもない。そして良い姑になれるとも、とても思えない。時代を超え地球をまたぐ永遠の溝。
 祖母の帯。痛みの少ない部分を切ってテーブルクロスを作った。ふと思う。おばあちゃん、幸せでしたか? 本人に聞いても、もう彼女はそういう世界にはいない。

着物への憧れ : 古帯

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 着物を着たのは人生で二度きりである。宮参り、七五三、十三参り、成人式,まで全て省略で、大学の卒業式ですら着なかった。その二度というのは姉の着付けの練習台となったとき。もう一度は結婚式も披露宴もやらないのでは祖父母には結婚したことすら理解できないかもということで、写真館で慌しく白無垢を着たときで、なんとも味気ない。
 私くらい着物に縁がない人も、今のご時世では珍しくもない。 
 が、着物は好きだ。生地が美しい。特に古典の市松や青海波が菊花や牡丹などと組み合わさった柄はハッと目を奪われるほど斬新だし、普段の洋装では考えられないような派手な柄でも帯であれば華やかさこそあれ下品にならない。成人式や卒業式のような場所ではなく、普段に地下鉄などで、当たり前のように姿勢良くキリッと来ているご婦人を見かけると凛としたその雰囲気に見とれてしまう。
 帯を古着市で買った。着るためではないので、思い切り派手で鶴をあしらったおめでたい柄のものを選んだ。この気合の入った使い込みようからみて、どこかの貸衣装屋で幾人もの花嫁さんを着飾ったに違いないと思えた。ますますおめでたい。
 この帯の一部は中国の古たんすにかけ、一部はクッションカバーに、残りに黒い縁取りを付けて敷布を作り、フランス人に差し上げたら花びん敷などに愛用してくださっている。
 こんな使い方しかできない私、幸田文の『きもの』や青木玉のエッセイを読んだりすると、着付けもやっておけばよかったと今更ながら思う今日この頃である。

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