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P10 途中より
本件市道の指定最高速度が30キロメートル毎時である以上、緊急自動車である被控訴人H運転車両の本件市道における最高速度は、道路交通法22条、同施行令12条3項によって法定最高速度である80キロメートル毎時となるから、
被控訴人Hが時速約50キロメートルないし60キロメートルで走行していたとしても速度規制違反とはならず
(なお、道路交通法41条2項は、速度違反の車両等を取り締まる場合の緊急自動車については、 さらに上記の法定最高速度80キロメートル毎時の規制もない旨規定している。)、
本件事故に関する被控訴人Hの過失を基礎づける事情にはならない。また、緊急自動車は、やむを得ない事由があるときは、道路の右側部分にはみ出して通行することができる(道路交通法39条)から、道路中央から左側部分を通行していなかったことから直ちに本件事故に関する被控訴人Hの過失が基礎づけられるものではない。
そして、前記認定の衝突地点等、本件事故態様に照らすと、控訴人が本件市道の左側に寄って一時停止し、被控訴人H運転車両の通過を待つて右折を開始しておれば、本件事故は避けられたと認められ、
他方、緊急走行中の被控訴人Hにおいて、本件交差点に進入するに当たり、緊急自動車が走行中であるのに直近右折した先行右折車両の後方から控訴人運転車両が引き続いて右折進行する事態を予見し、衝突事故を回避すべき可能性があつたものとは認め難いから、本件事故の発生について被控訴人Hに過失があつたものとは認め難いところである。
そうすると、本件事故の発生につき、被控訴人Hに過失があるものとは認め難く、控訴人に対し、被控訴人県は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負わないこととなる。
なお、仮に控訴人が主張するように、本件事故発生時、控訴人車両が右折を
開始せず停止していたとしても、
控訴人は、緊急自動車が対向直進して接近してきているのであるから、進路を譲って本件市道の左側に寄って一時停止すべき義務があるのにこれを怠り、漫然と、先行右折車両の背後で右折のために止まつていた過失があり、
以下P12
本件交差点を高速で直進する被控訴人Hにおいて、直近右折.した先行右折車両の背後に控訴人車両が隠れていることを予見して控訴人車両との衝突を回避する措置をとることを期待することが困難であること
と控訴人の上記過失を対照して、相対的に評価すると、控訴人の主張する事故態様を前提とした場合に被控訴人Hに本件事故発生について何らかの過失があるとしても、その過失割合は、原判決が認定した1割を上回ることはないものといわざるを得ない。」
10
同30頁12行目の「エ、したがって、」から16行目の「しているが、」までを
「なお、仮に本件事故態様が控訴人の主張するとおりであり、本件事故の発生につき被控訴人Hに何らかの過失があるとしても、」と改め、 22行目の「原告」の次に「被控訴人Hに対する」を付加する。
11
同31頁3行目の「できること」を「でき、また控訴人が右折を開始していたか否かにかかわらず、控訴人には緊急自動車進路妨害の過失があること」と改め、
12行目の「原則として」を「全件につき」と改め、 13行目から14行目にかけての「していたと認められる」を「した交差点優先車妨害の過失が認められる上、控訴人が右折を開始していたか否かにかかわらず、控訴人には緊急自動車進路妨害の過失があると認められる」と改める。
12
同頁17行目末尾の次に行を改め、次のとおり付加する。
「本件事故の発生につき、控訴人の過失割合を9割、被控訴人Hの過失割合を1割として賠償すべき損害賠償額を算定すると次のとおりである。」
第4 結論
以上の次第で、控訴人の被控訴人らに対する甲事件本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきである。また、被控訴人県の控訴人に対する甲事件反訴請求については、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害金14万1291円及びこれに対する本件事故日である平成16年11月8日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求することができ、
被控訴人Hの控訴人に対する乙事件請求については、損害金78万9391円及びこれに対する本件事故日である平成16年11月8日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求することができるところ、
被控訴人県の甲事件反訴請求につき損害金12万7161円及びこれに対する平成16年11月8日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し、
被控訴人Hの乙事件請求につき損害金64万3421円及びこれに対する平成16年11月8日から支払済みまで年5分の害合による遅延損害金の支払を求める限度で認容した原判決は、結論を異にするが、控訴人のみが控訴した本件においては、原判決を控訴人の不利益に変更することは許されない。
よつて、控訴人の本件控訴はいずれもこれを棄却すべく、主文のとおり判決す
る。
高松高等裁判所第2部
裁判長裁判官 金馬健二
裁判官 安達 玄
裁判官 田中一隆
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