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検察意見書は、確定判決がどのように証拠を判断しているかを記載するが、今回はその部分を転載する。 検察の再審請求に提出された弁護側新証拠への反論内容はもう少先に書かれている
イ 証拠の正当性に関する判断(確定判決第2・2)
スリップ痕及び路面擦過痕につき,確定審弁護人は,「スリップ痕などは警察がねつ造したものであり,請求人を不当に逮捕して実況見分への立ち会いを困難ならしめたことは,スリップ痕が,請求人らに見せることができない偽装した代物であることの証左である。」と主張するが,
本件現場において撮影された写真等から,スリップ痕は,本件事故の際の請求人の運転操作によって形成されたものであり,路面擦過痕は本件事故の際に転倒した白バイによって形成されたものと認められ,請求人の逮捕及び実況見分の実施方法について違法不当な目的は認められず,本件の証拠がねつ造されたものであるとの合理的な疑いを抱かせるものではない。
スリップ痕について,確定審弁護人は,「バスにはABSが装着されていたから,スリップ痕が生じるはずがない。低速で進行していたのであるから理論上も経験則上もスリップ痕は生じない。スリップ食の先頭部分の色が他の部分に比べて濃くなっている写真が存することは不自然である。」
などと主張するが,ABSの原理等を説明する技術者の供述等の証拠に基づき,その主張を詳細に検討すれば,いずれもスリップ痕の由来の正当性に対する合理的な疑いとなる余地はない。
また,路面擦過食について,確定審弁護人は,「本件現場にはバスと白バイが衝突後一体となって動いたような鮮明な擦過痕はなく,白バイの車体右側面に広範な擦過損傷もないから,白バイが路面擦過食を形成したとは考えられない。」などと主張するが,路面擦過痕や白バイの損傷箇所を撮影した各写真等から,前記のとおり認められ,路面擦過食の由来の正当性に対する合理的な疑いとなる余地はない。
ウ 衝突地点及び衝突態様(確定判決第2・3)
路面擦過痕の存在・形状(前記ア(ェ)),白バイ及びバスの損傷状態(前記ア図(ヵ))等からすれば,白バイがバスの前面を横切るうとする直前において,バスの前面右側が白バイ前部左側と衝突し,白バイは右に転倒してそのままバスとの衝突によりかみ合った状態となり,バスの進行方向とほぼ平行に移動したものと認められ,その衝突地点は,前記見取図(甲2号証第2図)の④地点にあるバスの右前部付近であると認めるのが相当である。 これに対する確定審弁護人の主張は,路面擦過痕の状況,白バイ及びバスの損傷状態並びに破片の散乱状況(前記ア(キ))と整合しないこど,その請求する証人らによるバスの停止中に衝突が生じた旨の証言の証明力が乏しいことなどから,理由がない。
エ 衝突直前のバス及び白バイの速度(確定判決第2・4及び第2・5)
(ア) バスの速度につき,衝突地点の位置,バスの最終停止位置,その過程でスリップ痕が形成されていることなどを前提に概算し,衝突直前のバスの速度は時速約10キロメートル程度であったと認めるのが相当である。 ,
(イ)白バイの速度につき,高知県警察本部刑事部科学捜査研究所技術吏員(以下「科捜研」という。)による算定結果,目撃証人の証言の信用性等を検討し,証拠上認められる各事情を総合考慮すれば,時速約60キロメートルあるいはこれを若干上回る程度であるど認めるのが相当である。
オ 請求人の過失(確定判決第2・6)
以上の事情を総合すれば,請求人は,大型バスを運転して,路外施設を出て右折しようとするに際し,幹線道路の車線上で白バイと衝突し本件事故を惹起しているところ,このような場合, 右から左に向かう車線を塞ぐように路上に進出するのであるから,その際には左方からの交通はもちろんのこと,右方からの交通の安全確認にも十分な注意を払うべきであり,かつ,請求人運転車両の見通し状況及び双方の速度からすれば,路上への進出を開始し中央線に向けて進行する間に,接近してくる白バイを発見し,自車を制動するなどして本件事故の発生を回避することは十分に可能であったと認められるから,判示の過失を認めるのが相当である。
以上
ここまでが検察最終意見書の本文12P中の5Pまでを掲載した。内容は確定審(高知地裁)の判決文を記載したものである。
次回からが検察の再審請求新証拠に対する意見の記載となる。
今回の転載部分で注目してい頂きたいところは「請求人の過失」認定のところである
「路上への進出を開始し中央線に向けて進行する間に,接近してくる白バイを発見し,自車を制動するなどして本件事故の発生を回避することは十分に可能であったと認められるから,判示の過失を認めるのが相当である。」
検察起訴状では、片岡の過失を次のように述べている
「右方道路から進行してくる車両等の有無及びその安全を確認して、同道路に進出すべき注意義務があるのにこれを怠り、右方道路を一瞥したのみで、右方道路から進行してくる車両等はないものと軽信し、左方道路に注意を奪われ、右方道路から進行してくる車両の有無及びその安全確認不十分のまま発進し、漫然時速5ないし10キロメートルで同道路に進出して進行した過失により、折から右方道路から進行した<白バイ>に全く気が付かず・・・・・以下略」
要約すれば
〇道路進出時に右方の安全確認をするべき注意義務を怠った。
〇右方道路から進行してくる車両の有無及びその安全確認不十分のまま発進し、事故を発生させた
この2点が過失であるとしているのだが、カタタヤスシ裁判長の判断は進出後、道路中央線に向かって進行する間に白バイを発見できる可能性があるのに、それを発見できなかった過失があるとして、検察の公訴事実(起訴事実)を認めた。
片多判決理由では、検察が片岡の過失とした道路に進出・発進時の過失には何一つ触れていない。確かに「注意義務はある」とはしているが、片岡がこれを怠ったとは判断していない。
検察の起訴事実に欠陥があり触れようがないのだ。起訴事実の欠陥とは、片岡が「道路進入前に一旦停止し右方を一瞥」したとされる時点の白バイの位置が記載されていないからに他ならない。白バイがバスから10m手前と50m手前では過失の有無の判断に大きな違いが起きる。白バイ位置の記載がなければ裁判官は片岡の過失の有無を判断できない。
それにもかかわらず、カタタヤスシは起訴状に無い片岡の過失「道路中央線に向かって進行する間に右方からくる白バイを発見できなかった」という過失を認定した。その過失を根拠に検察公訴事実を認定している。
そもそも、道路に進出後、中央線に向かっていく時の「右方の安全確認」を道交法は求めているのか? 素人の私はそんな安全注意義務は聞いたことがない。
これがまともな判決理由と言えるのか。
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再審請求関連
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「スリップ食」ではなくて「スリップ痕」ですね。OCRで読み取ったのでしょうか?
>ABSの原理等を説明する技術者の供述等の証拠に基づき,
>その主張を詳細に検討すれば,いずれもスリップ食の由来の
>正当性に対する合理的な疑いとなる余地はない
この部分、過去記事で指摘していますが「合理的な疑い」だらけなんですが(笑)
ttp://r110.blog31.fc2.com/blog-entry-95.html
ABSの原理という部分は、技術的には曖昧で不明確な供述調書です。どうも無理やり誘導してでっち上げた調書という感じです。
ABSの作動速度を20〜30km/hということにして、ABSが効かなかったという筋書きですが、ABSが効かない低速域(10km/h以下)でもタイヤがロックしません。また、ABSが作動する速度域でも連続したブレーキ痕は印象されません。
これを証明する動画をリメイクしてYouTubeにアップしましたのでご覧ください。
ttp://www.youtube.com/watch?v=OwoE6QGc1Vg
2013/11/9(土) 午後 10:51 [ 監視委員長 ]
監視委員長様
ご無沙汰です OCRの件はご明察。でも最近のは良くなりましたね。訂正が楽になりました。
動画のyoutubeにUPとのこと早速ブログ記事にはりますね
ありがとうございます
2013/11/9(土) 午後 11:57 [ littlemonky737 ]
>道路に進出後、中央線に向かっていく時の「右方の安全確認」を道交法は求めているのか? 素人の私はそんな安全注意義務は聞いたことがない。
>これがまともな判決理由と言えるのか。
驚くべき無知さです。
路外車であるバスは片側複数車線の国道上を横断するときに国道上の第1車線を走行する車両のみならず第2車線、第3車線…を走行する車両の通行を絶対に邪魔してはいけません。
絶対に邪魔しないようにするためには刻々と変化する右方からの車両の通行状況を把握する必要があります。国道侵入後も常に右方の安全確認が必要ということです。具体的には、第1車線に侵入する前、第2車線に侵入する前、第3車線に侵入する前…といったタイミングでの右方安全確認が必要です。
片側複数車線の国道を路外車が横断右折する場合、そのように複雑な安全確認が要求されます。ましてや片岡さんは交通整理のされていない交差店内でそれをしようとしたので益々の複雑な安全確認が要求される状況でした。
littlemonky737はきっと、そんなの無理!と言いたくなるでしょう。
だったらそういう横断右折は最初からするな!ということ
2016/8/26(金) 午前 8:27 [ レアアース ]
続き
具体的には、右方視界範囲に白バイが来ていないことを確認した上で第1車線の「路肩」から発進して第1車線と第2車線の境界、つまり、第2車線にとっての「路肩」に到達するまでに3秒を要したとします。
その3秒の間に右方視界範囲内に第2車線上を走行する白バイが視認できる状況に変化している可能性があります。
じっさいそういう状況になったとしましょう。
その状況でバスが第2車線にとっての「路肩」で右方を確認すれば白バイに気付き、バスは停止して白バイの通過を待つことができます。白バイの通行を邪魔しないで済みます
その状況でバスが第2車線にとっての「路肩」での右方の安全確認を怠れば白バイに衝突して人を殺します。
2016/8/26(金) 午前 8:37 [ レアアース ]