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少々酒も入れば口も軽くなってくる。 その頃合いを見計らって政が話を戻した
政「兄貴は現場検証があるってヨンでるんですよねぇ・・何か理由があるんですね」
鉄「・・・勘に近いっていやぁ近いが、武田奉行の提案には具体的に路面の横傾斜を調べる方法が書いてあった。ってのが理由といやぁ、そうなるな」
政が相槌を打ちながら、さらに探りを入れる
政「横傾斜ってのはカントってやつですね。それを奉行はどうやって測るって言ってるんです?」
鉄「それがな・・、わかりやすいっていうのか・・ おもしろいっていうか、まっ、文系の発想なんだ」
政「へぇ〜 文系の発想ですかい? それはどんな方法です」
鉄は盃を手にして、にやりと「ビー玉」と言った。
政「ビー玉・・ですかい?」
鉄「ああ ビー玉を転がして路面の傾斜の方向を調べるのはどうだろうと提案してるんだ」
政「はぁっ 事故現場で転がすんですかい。そりゃ わかりやすいちゃぁ、わかりやすいンですが・・マジに・・」
鉄「マジじゃなければ書けないと思うがな。でもなぁ、小さなビー玉じゃ路面ので凸凹にひっかかるじゃねぇか。で、バスケットボールでやりましょうと・・・」
政「えっ。弁護団がバスケットボールでやろうと言ったんですか」
鉄「あはははは、流石にそれは意見書には書かなかったようだぜ」
政「そりゃそうでしょう。小学生理科の実験じゃありませんから。先生方も意見書には書けないでしょう。しかし、奉行はマジにビー玉を転がそうっていったんですかい」
鉄「確かに<例えば>という前置きはあったぜ。でもな。路面の傾斜を調べる必要があると考えているのは間違いないぜ。」
政が頬に手を当て、一瞬、鉄から目をそらした。再び視線を戻して鉄に尋ねた
政「兄貴はその文書、打ち合せ調書の写しを持っているんですかい」
鉄「いや、旦那に見せてもらっただけだ。」
政はどうにも「流れ」が読めないでいた。確かに奉行所が現場検証の必要性を認めているのはわかるが、それだけではないと考えた
政「その調書ってのはどれくらいの量でした」
鉄「そうだな・・ A4半紙で5、6枚ってところか。別添えの資料もあったな」
政「資料も付いていたんですか・・・・・その資料ってのは、どんな内容でした」
鉄「ずいぶん昔の衝突実験報告書だ。バイクを乗用車に側面衝突させる実験のな」
政「・・・・その他に何かなかったですか」
鉄「過去の判例もいくつかあったな。傾斜4度で乗用車が進みだして起きた事故の判例と、訴因変更に関した再審請求審の判例だ」
政はますます混乱した。第30回三者協議、正確には三者協議とは言えないが、その打ち合せ調書の中身が見えてこなかった。政は情報が整理できなかった。そして、政は鉄の読みに疑問をもった
続く
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