高知白バイ事故=冤罪事件確定中

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その7 完結

司会 高裁判決後は今年1月に最高裁へ上告して。8月に上告棄却となっていますがこのあたりのお話をお願いします。

支援者 最高裁では事実審理は行わないことは知っていましたし、上告をしても判決差し戻しが決定されるのは。わずか3%ということも承知していましたが、それでも上告をせずにはいられなかったですね。

司会 その理由は?

支援者 片岡さんはまともな裁判を一度も受けないまま、無実の罪で犯罪者とされた。きちんとした裁判をうけたいし。受けさせてやりたい。こんな裁判がまかり通る日本ではないと信じていましたね。

司会 裁判のやり直しを求めた署名活動も行われたときいていいますが、

支援者 これが署名の趣意書です。

司会 一部を少し読んでみます。
 
 控訴審は、この不自然で不合理な「ブレーキ痕」を最重要な証拠として有罪とした原判決を支持しました。また、弁護人が新たに申請した証拠・証人の審理を全く行わず全て却下し、控訴棄却を言い渡しました。この控訴審判決は「疑わしきは被告人の利益に」といった刑事裁判の大原則を無視したものです。このまま原判決が確定することは著しく正義に反します。私達は最高裁にて公平な審理を行い、原判決の破棄差戻しを要望いたします

 支援者 最高裁は事実審理を原則行わないのですが、原判決が著しく社会正義に反する場合は例外としているところがあります。そこにわずかな望みをかけました。

司会 これまでの判決が著しく社会正義に反すると主張したのですね。署名の方はどうでした。

支援者 署名はインターネットと街頭での署名と二つの方法でおこなったのです。最初はインターネットで広がりを見せたのです。50日ほどで2万人を超えました。最終的には4万8128名の署名を最高裁に提出いたしました。

司会 世論は後押しをしてくれたのですね。

支援者 ありがたいことです。片岡さんや私達支援者ももかなり勇気つけられました。マスコミで盛んに取り上げられた薬害肝炎の署名が4万人だと聞いていますが、それを超えたわけですから大きな関心をもってくれたと感じました。また、ある代議士が国会でも警察の捜査の信用性に関連して高知の白バイ事故を例に取り上げてくれました。

司会 それは知りませんでしたが、この事件がかなり広く知られるようになったわけですね。それでも上告は棄却されたのですね。どういう理由ですか

支援者 「上告理由にあたらない」。俗に言われる『三行半』の判決です。最高裁は一連の裁判を正当なものと判断したわけです。

司会 その時の片岡さんや皆さんのはどういう思いでした。

支援者 それは裁判に対する不信の一言ですよ。最高裁に直接署名を手渡しに言った時、要請書を手渡したのですが。その時、最高裁判所の事務官が正式に話しを聞いてくれる機会があったのです。その場で片岡さんが「きちんとした裁判を受けさせて欲しい。その上で実刑となれば、事故の相手は亡くなられているので、納得して刑に服することができる。しかし、このままでは何のために刑に服さなくてはならないのか。納得できない」と言ったのが記憶に残っています。

司会 しかし、その思いは無視された。

支援者 その通りですね。支援者の一人が「地裁の判決が出たときは高知は日本かと言われた。高松の高裁判決のときは四国は日本かともいわれた。今。最高裁の判断に多くの人が注目をしています。日本の司法が問われているのだからきちんと審理してください。」

司会 日本の司法が問われている・・ですか

支援者 もはや 警察の違法な捜査や証拠捏造よりも裁判そのものの問題ですよ。警察関係者の不法行為を裁判所が指摘しなければだれができるのですか?

 何のために裁判官は身分を保証されているのでしょうか。判決に間違いがあってもその責任は問われないとか法的にもかなり優遇されている。それは中立公平な裁判を行うためだとおもいます。違うのでしょうか。

 この白バイ事故の裁判を通して一番感じたことは裁判官がまるで公平中立な立場でものを考えているとは思えないということです。まるで、警察に都合の悪い判決はかけない。書けば「自分の保身と出世」に影響すると自分のことしか考えていない。

司会 裁判官の官僚化ということですか。

支援者 まさにその通りですよ。裁判官は役人ではあってはならないでしょう。裁判官や司法関係者が一番守らなくてはならないものは「司法の信頼」ではないでしょうか。司法への信頼なくして法治国家はなりたちません。
 この裁判で片岡さんを支援していく中で、今の裁判の現実を良く知ることができました。素人なりに裁判が進行していく中で勉強していったんですが、もっと知識があればと後悔することが多かったですね。

司会 素人といえば、今、法改正がおこなわれて裁判員制度が導入されることが決定していますが、どう考えていますか。

支援者 最初は賛成だったんですが、実際に裁判に関わってみると反対ですね。

司会 それはどういうことですか

支援者 まず、司法の世界には独特のルールがあります。法曹界というんでしょうか、裁判官。弁護士。検察や警察、すごく閉鎖的な気がしますよ。俺達の世界に素人が口を出すなと言う雰囲気をかなり感じました。

司会 わかりやすくいうと・・・

支援者 裁判前の事前準備においてほとんど事実認定が出来上がってくるというのが気にかかりますね。
 例えば一人の裁判員が証拠の認定に違和感を感じたとして「それはおかしい。」と異議を唱えても、「いや、法的にはこういうことになっています」と裁判官が説明したら、あとは裁判員は何もいえないでしょう。法的な知識がないと彼らとは渡り合えないということです。

 良心的な裁判官がいて、そういった裁判員の「異議や疑問」に関心をもっても話し合う時間もないのでしょう?裁判員も仕事をおいてきているわけですから嫌がるのではないですか?

 審理をリードする裁判官は言いたいだけ言わして「確かにそうですね。でも法的にこういう判断が妥当です。」で終わりだと思います。裁判官が恣意的に裁判の進行をすることが可能です。

 それを裁判員がおかしいと考えても、守秘義務ということで誰にもいえない。あの裁判はおかしいといえば処罰される。これでは密室裁判と同じようなものです

 裁判に国民を参加させるということは、判決の責任も国民に負担してもらうことになると思います。この責任は非常に重いものでしょう。判決をだすという重圧にたえるために裁判官はいろいろと経済的な面から法的な面において優遇されている。いわばプロなのです。

 審理中は法的知識と経験と権威で進行を左右させて判決に導く。しかし、国民の代表の裁判員に重大判決の責任を負担してもらう。こうなれば裁判官は楽でしょう。

 そうでないなら、どうして裁判員制度は死刑が関係するような重大な事件から導入するのですか。もっと小さな・・交通事故の事件などから裁判員制度を導入して、裁判官の負担を軽減して、法律のプロとして重大な裁判に力を注いでもらう。こういった形で裁判員制度を導入するならまだ理解できるのですが・・・

司会 裁判員制度は裁判官の責任を軽減するためにあるということですか

支援者 いえ 国民への責任転嫁だと思います。

司会 責任転嫁ですか?

支援者 そうです。先ほど裁判官の官僚化と言うお話が少し出ましたが、この辺りがもろに官僚化を表しています。「出世と保身」のためには「責任」を取らないことが一番ですよ。無難が一番ということです。プロとしての責任を放棄して国民に転化する。そのくせ「地位と名誉と権力」は離したがらない。官検交流とか言って検事と裁判官の人事交流を図っていますが。あれなんか官僚の『談合』そのものだとおもいます。

司会 官僚化した司法は信用に値しないということですか

支援者 もちろん、自分の良心にそって真面目にやっている裁判官も多くいますが、少なくても今回高知白バイ事故の裁判に関わった人たちに、司法を信用しろと言うのは無理ですよ。日本の司法がだめになっている。今回の裁判でそのことが一つ表面化してきたと思います。

司会 今後はどうされるのですか。

支援者 司法を信用しろと言うの無理といったばかりなんですが、やはり日本が法治国家であることを最後には信用するしかないので、片岡晴彦さんと再審請求にむけて動いていきます。

司会 再審請求という法的な手続きに訴えていくということですね。

支援者 そうです。このままでは終われません。

司会 本日はありがとうございました。

支援者 ありがとうございました。


                           終り


 明日 26日の放送でシリーズ最終回です。

「その5」あたりから、この没原稿と実際の放送は特に違う内容となっています。

その6

 支援者 弁護側の証人の証言を不採用とした理由なのですが、白バイの後ろから白バイの高速運転を目撃した、全くの第三者の証言を柴田裁判官は「第三者だからといって信用できるわけではない」として採用せず、検察側証人の同じ白バイの先輩隊員の証言を「身内だからといって信用できないわけではない」と証拠採用したのです。

司会 すごい理由ですね。それは普通、逆なのですよね。

支援者 そうでしょう。いまでも信じられないですよ。もし利害関係のない第三者の証言を否定するのであればきちんとした理由を裁判官は述べるべきだとおもいます。また、利害関係にある人の証言を採用するなら『信用できる』理由をきちんと説明しなくてはならないとおもいます。
 でもここでもまた、できるわけではないと可能性を論じて証言の採否を行っています。屁理屈といってもいいんじゃないでしょうか。

 裁判官は被告に不利な証言を採用する際は、きちんと審理した上でその理由を断定するべきです。即日結審で片岡さんから反論する場を奪いながら、弁護の機会を与えないままに、裁判官一人の考えで有罪判決を補強するとはどう考えてもおかしい。これをされたらどんな人でも有罪にされます。

 また。1年4ヶ月の量刑に付いては次のように柴田裁判官は述べています。被告人は不合理な弁解をして責任を免れようとしており,真摯な反省の情に欠けている。私は停止していた。だからスリップ痕ができるはずはないと事実を訴えてただけなんですが、それが反省の色がないと判断されているのです。この辺りから片岡さんや私達支援者の怒りの対象は裁判所に向かっていきました。

司会 不合理な弁解というのは『スリップ痕捏造』を主張したということですか?

支援者 そういう意味だと思います。それ以外に考えられません。片岡さんにとってはそれは事実なのですから、事実を訴えて『反省の色が無い』と言われて反省できる人はいないでしょう。

司会 新たな証拠や証言を審理されないまま2審は即日結審。そして判決。片岡さんや支援者にとってここまでの裁判の流れはどう映りましたか。

支援者 裁判ってこんなものか。この一言です。高知白バイ事故において高知地裁、つまり一審は3つの証拠をもとに事実認定をおこない。それを基に判決を下しているといえるのですが、白バイ隊員の目撃証言。物証としてのブレーキ痕、科学的、物理的検証としての科捜研の算定書。
 この3つですね。判決理由文を読んでみてその事実認定は恣意的で矛盾があると考えて、二審に向けて誤った事実認定に反証を準備することが普通だと思います。逆に言うと、だからこそ裁判の公平性が保たれている。私はそう考えていました。

 地裁判決を踏まえて、それぞれ充分な証拠を備えて控訴審に備えていたのですが、審理無しで即日結審をされて、反証の機会を奪われてしまいました。それだけでも不公平なのにさらに判決理由文では一審の判決を補強しているのです。

司会 どういう意味ですか?

支援者 例えばブレーキ痕関しては、地裁ではスリップ痕は急ブレーキによってできたものと検察は主張して、片岡さん側の「バスは止まっていた」と言う証言に反証してきました。その時、検察は時速10kmからの急ブレーキだからたいしたことは無いと主張しました。そして、そこから地裁の裁判官はブレーキ痕の存在を採用した。つまり急ブレーキを採用したわけです。

 そこで、私達は二審の高松高裁では同じスクールバスを使ってバスの走行実験をおこない時速10km時の急ブレーキの衝撃を再現したのです。衝撃は大変大きなもので、乗客が気がつかないはずがない事を証明して見せました。急ブレーキは運転手以外には不意の衝撃ですから、もし急ブレーキがあったのなら生徒達には確実に衝撃の記憶が残ります。

 その記憶が22名の生徒の誰にもないから、急ブレーキはなかった。つまりブレーキ痕がつくことはないと言う主張をするつもりでしたが、即日結審となり意見を主張をする機会が奪われたのです。

 ところが高松高裁のシバタ裁判官は判決理由文の中で スリップ痕に関して「人に感じる程度の衝撃が生じなかったからといって,スリップ痕が形成されないとはいえない。」とか「スリップ痕あるからと言って急制動があったとは限らない」とか言っているわけです。

 急ブレーキの衝撃がなかったことを主張する生徒の証言やバスの走行実験の結果を審理も開かずに否定し、一方で判決文の中で「スリップ痕は急ブレーキによってできたものではない」とまるで検察のようなことを述べています。

司会 検察の様な、ですか?

支援者 そうです。検察がその様に主張するのは理解できます。そごで弁護側と意見を戦わす。その上で裁判官が判断を下すのがほんとの裁判ではないですか。もし公判での審理のなかで検察がこのようなことを言ってくれたのなら乗客になんら衝撃を与えずに1mのスリップ痕を形成することが可能というなら、その方法とかの説明をもとめるなど、反論の機会があるわけですから何とかなるのですが、即日結審で双方の主張の審理もなく判決理由文の中で検察側の主張のみを採用する。そんな裁判が公平だといえるわけがありません。

高裁の判決理由は「〜〜だとはいえない」とか「〜〜とは限らない」とかばかりです。スリップ痕ができるかできないかは物理現象なんですが、1mのスリップ痕ができると断定して初めて有罪判決を下せるのではないしょうか。

 地裁では急制動の証としてブレーキ痕を採用し、高裁ではその論理が危なくなれば公判を開かないまま、つまり、審理をしないまま「急制動がなくてもスリップ痕はできる」と私達の物理的な主張をいきなり裁判官が判決文で否定する。それもこじつけたような理由で否定される。これが裁判と言うなら日本の司法は信じるに値しません。

司会 公平な裁判ではなかったと

支援者 もちろんです。片岡さんも私も最初から結論ありきの裁判であったと考えています。そうでなければ、こんなに一方的な終わり方はしなかったでしょう。
 相手が白バイでなければこの事故はどうなっていたかを考えればよくわかります。スリップ痕が捏造されることもなく,衝突地点や、バスが動いていたか停まっていたかすらも争点にならなかったと思います。

司会 相手が悪かったと言うことですか?

支援者 いえ、そうではありません。相手が誰であろうが裁判官が予断を持って裁判をしてはだめでしょう。

 警察は嘘をつかないとか、白バイが普段から交通法規を守っているとか、特に今回の事故は捜査機関の関係者が当事者の交通事故です。その捜査自体にかなりの疑わしさがもたれているわけですから、司法の信頼を守るためには、なおのこと裁判官は毅然とした態度で審理をしないといけなかったと思います。

 このような裁判が続けば司法は信頼できないですよ。高裁判決後に高知白バイ事故はテレビ報道やインターネットのおかげで広く知られるようになったと思います。そのきっかけは警察の疑惑よりは地裁・高裁とつづいた不公平な裁判に対する国民の批判だと。私は考えています。



                        づづく

ラジオ放送 最終回

26日、日曜日午前8:30から

 ラジオ大阪(1314KZ)「どうなっているの?裁判制度」で高知白バイ事故がシリーズで放送されています。

 いよいよ26日放送で5回シリーズ最終回となります。

 この記事の内容がそのまま放送されているものではありません。放送内容よりはかなり詳細なものとなっています。

 なお 表題が『没原稿』となっていますが気にしないで下さい。

?H3>その5

司会 つまり、ブレーキ痕の疑惑を証明することができなかったということですね。

支援者 裁判官は衆人環視の中で、ブレーキ痕を捏造することは不可能という判断でしたね。衆人環視といっても、野次馬は追い払われ、30人以上の警官で事故言を取り囲んでいたのですが・・

司会 その時どう思いましたか。

支援者 この裁判官は事実審理をする気が無いということがはっきりしましたね。検察にとってブレーキ痕がなくてはならない証拠だということです。実際、判決でも校長先生たちのバスは停まっていたという証言はブレーキ痕の写真という物的証拠に符合しないとして不採用です。

司会 地裁の事実認定に大きな役割をはたしたのはブレーキ痕ということですか。

支援者 それだけではありません。同僚の白バイ隊員の目撃証言がそのままに採用されています。

司会 どの様な証言ですか。

支援者 たまたま通りかかった白バイ隊員が事故を目撃したのですが、その隊員をA隊員としますが、その証言ではバスは時速5〜10kmで国道に進入しているのを目撃したとなっています。
 それと同時に事故を起こした白バイ隊員が走行してくるのを目撃しているのですが、その速度を凡そ時速60kmと証言しています。
 そして、双方を発見してから衝突まで3〜4秒と証言しているのですが、その証言とおりだとして、そこから逆算すると衝突3秒前にバスは時速10kmで衝突地点の約8m手前を走行していたことになります。
 そこは国道に進入する前の歩道の真ん中になります。そこを時速10kmで走行したことになるのですが、最初に検察は冒頭陳述で「駐車場から国道に進入する際、男性はいったん停止して・・・」としているのですよ。それを裁判官は無視していますよね。
 一方、白バイは3秒前には衝突地点の約50mを手前を時速60kmで走行していたことになります。その速度なら見通しのよい直線道路で、どうして停まれないのですか。
 また、何度もA隊員と同じ道路を同じ条件でバイクで走ってみたのですが、証言通りに走ってくる白バイを目撃することは不可能な状況でした。
 しかし、それを高知地裁の片多裁判官は全面的に評価採用しましたのです。

司会 そして判決は1年4ヶ月の実刑判決となったわけですが。支援者さんはこの裁判について何を一番いいたいですか。

支援者 裁判官に恣意的に証言や証拠を扱われては勝てるわけがありませんよ。一旦判決が出れば、物理的に矛盾だらけの事実認定でも反論できませんからね。まるで、ジャンケンの「後出し」に負けた気分です。

司会 実刑判決を不服として片岡さんは即日控訴したんでしょう。

支援者 はい。地裁の判決とその判決理由に驚きと怒りを感じた支援者は高松高裁の審理に向けて、正式に「片岡晴彦さんを支援する会」を立ち上げて広く支援をもとめました。おかげで活動が広がり、協力者も増え、マスコミにも関心を持っていただきました。そして新たな証拠や新証人を用意し、バスの走行実験もスクールバスを借りて行い、そのビデオまで作成して高裁に臨んだのです。

司会 新証拠とは具体的にはどの様なものを用意されたんですか。

支援者 バスに乗っていた生徒の証言。交通事故鑑定人によるブレーキ痕の科学的鑑定と科捜研算定書の矛盾の指摘。A隊員の証言の信憑性を否定する証拠とかですね。走行実験のビデオも提出しました。

司会 生徒さんが証言台に立つ予定になっていたのですね

支援者 はい なかなかできないことだと思うのです。生徒本人はもちろん、保護者にも勇気のいることなんでありがとうと思う一方で、なにか申し訳ないような気もしました。

司会 どういうことですか?

支援者 生徒達を事件や裁判に巻き込んでしまって申し訳ないと、しかし、多くの人がこのまま終わらしてはいけないという気持ちがありましたから

司会 多くの人というのは?

支援者 支援者や生徒の保護者達ですね。このままでは生徒達が警察や裁判所を信じられなくなるぞといった意見が多かったですね。

司会 そうですね、バスに乗っていた22名の生徒たちは事実を知っているのですからね。それは護ってやらなくてはなりませんね。

支援者 地裁判決以降、高校2年生になった生徒たちも自分から事故の様子を話す様になってきました。テレビや雑誌の取材にも応じてくれたりしたんです。

司会 生徒さんたちはどんな話をしていたのですか?

支援者 ある生徒はこう言っていました。「バスは間違いなく停まっていた。急ブレーキの衝撃は全然なかったし、衝突の衝撃も小さかったからしばらく事故が起きたとは思わなかった」また別の生徒は。その生徒はバスの実験で急ブレーキを体験しているのですが『丁度その時は漫画を読んでいたが、実験の時のような衝撃は感じなった』とか言ってくれています。

司会 生徒達は目撃談のほかにも活動をしたそうですが?

支援者 生徒達が事実を訴え、片岡さんを助けようと事故の内容を書いたチラシの配布や署名活動に集まってくれた時には驚いたし、うれしかったですよ。
 片岡さんも生徒から勇気をもらったといっていました。こういった動きの中で、2審に向かって準備が整い、10月4日の高松高裁第1回公判を迎えたのですが、高松高裁の柴田裁判官は「地裁で充分審理は尽くされている」として、新たな証拠や証言を一切審理することなく即日結審です。
 これではまるで2審の意味がありません。一審の高知地裁の矛盾が多い判決理由が、「後出し」ジャンケンのままに通ってしまった。そして、今度はジャンケンすらさせてもらえなかったということです。

司会 即日結審ですか。その時のお気持ちをもう少し詳しくお願いします。

支援者 私はある程度予想していたので気持ちに余裕がありましたが、片岡さんは高裁で事実が一定審理されたら、判決に従う覚悟をきめていたようでした。審理されないと分かった時にはかなり怒っていましたね。

司会 それはそうでしょう。せっかく生徒までが証言してくれるといっているのに、それも無視された形で結審したわけですが、高松高裁の判決はどうなりました?

支援者 禁固一年4ヶ月の事件判決に変わりはありません。判決理由の中でが強く印象に残っている裁判官の一言があります。

司会 どんな内容ですか?

                           続く

その4

明日の日曜日午前8:30から

 ラジオ大阪(1314KZ)「どうなっているの?裁判制度」で高知白バイ事故がシリーズで放送されています。明日で4回目となります。
 この記事の内容がそのまま放送されているものではありません。放送内容よりはかなり詳細なものとなっています。
 ラジオ大阪は北海道でも聞けるそうです。一度チューナーを合わせてみてください。



その4

司会 その高知地裁の公判の様子を詳しくお願いできますか

支援者 はい 地裁の審理は07年1月18日の第一回公判から始まりました。07年6月7日の判決まで6回の公判が開かれました。検察の冒頭陳述の要約はこちらです。

司会  読み上げますね。「駐車場から国道に進入する際、男性はいったん停止して右をいちべつし、右からの車両はないと思い、左に視線を向けながら発進。左を見ながらゆっくりと右折を始めたころ、右から来た白バイにバスの右前部を衝突させた」となっていますが?

支援者 簡単にいえば、片岡さんは安全確認不十分のまま、バスを国道に進入させて右側から来た白バイと衝突したという業務上過失致死罪の容疑で公訴されたわけです。
 これに対して片岡さんは「十分に安全確認をして車道に出た。中央分離帯付近で右折待ちのため停止中に白バイが衝突してきた。」と無罪を主張したのです。裁判の争点はバスが動いているときに白バイに衝突したか、白バイが停まっているバスに衝突したかということです。

司会 争点はバスが動いていたか、止まっていたかということですね。

支援者 そうです。検察はバスが動いていた証拠としてブレーキ痕の写真と事故を目撃したというたまたま通りかかった白バイ隊員の証人を立ててきました。
 片岡さんは、バスは停まっていたという証拠として事故当時生徒を引率してバスに同乗していたS先生と、バスの直ぐ後ろから事故の瞬間を目撃した校長先生。そして、事故を起こした白バイが高速運転をしているのを白バイの後ろから目撃したKさんの3人の証人を用意して公判に臨んだのです。
 検察は、バスは歩道で一旦停止後、6・5m進行して白バイに衝突して、白バイ隊員を3・6m跳ね飛ばし死亡させたとして、バスは衝突後急ブレーキをかけて停車した。その時に1mと1.2mのブレーキ痕を残したと主張したんです。

司会 それにどの様に反論していったのですか

支援者 バスはABS付きのオートマチック車です。少々の急ブレーキでは1mものブレーキ痕はつきません。しかし、このバスが22名の生徒と3名の教員を乗せて、一旦停止後に発進してわずか6,5m進行した地点で白バイと衝突してから急ブレーキを掛けて停止した際に、1mと1,2mのブレーキ痕を残したと検察は言うわけです。
 そこで、バスに同乗していたS先生と校長先生を証人申請して衝突時にバスは停まっていたと反論しました。そこで、検察は反対尋問でブレーキ痕写真を見せてきました。ブレーキ痕について弁護側は、現場検証をした警官に尋問しています。その時にも信じられない思いをしました。

 この写真です。この写真は11月の地検の事情聴取で片岡さんがみせられたものです。2本のスリップ痕の先端が何か塗ったように黒いでしょう。こんなスリップ痕はありえません。

 その警官もこのようなスリップ痕をみたことがないと答えたのです。弁護人はこれが捏造の証拠ではないかと追及したのですが、思わぬところから助け舟が出されました。

司会 誰からですか

支援者 裁判官です。

司会 えっ、裁判官はなんと言ったのですか。

支援者 白バイはバスのフロントの右角に潜り込むような形で停止していたのですが、バイクから冷却水が大量に漏れていました。「裁判官はその水がタイヤの下に染み込んだものでしょう?」と警官に尋ねたのです。

司会 尋ねたのですか?

支援者 はい。そうアドバイスをうけた警官は思い出したかのように「はい。白バイの冷却水が染み込んだものだ」と答えてその場を切り抜けました。しかし、冷却水はバスの右タイヤの前にしかありません。左タイヤのブレーキ痕の黒い先端の説明が付かないのです。

司会 確かに 左タイヤのブレーキ痕の近くには水が漏れた跡はありませんね。

支援者 それだけじゃありませんよ。バスから漏れた液体にむかって路面は傾斜がついていて、液体が傾斜を逆流しない限りタイヤには届かないのです。物理的に無理なんです。

司会 ブレーキ痕について他にも何かありますか?

支援者 1mのスリップ痕を残すためには計算上、約15km/hの速度は必要なのですが、このバスが6.5m進んだだけでその速度を出すことはどんなに急発進しても無理なんです。また、バスはABSブレーキ付きで、つまりタイヤがロックしないので、低速で急ブレーキを踏んでも1mのブレーキ痕なんてつかないのです。

司会 その辺りは強く主張したのですか?

支援者 一通り述べた後、裁判官にバスの走行検証を強く求めました。実際にバスを使って実験してくれればブレーキ痕がつくか付かないかはっきり分かるはずだと申し入れたんですが、その必要が無いと却下されました。

司会 その理由は?

支援者 なにもありません。ただ必要が無い・・です。


続く

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その3

司会 その時の状況をもう少し詳しくお願いします。

支援者 06年の11月6日に片岡さんは高知地検に呼び出されました。その時の「片岡さんはやっと自分の話しを聞いてくれる場所ができた」といって出かけたのです。

司会 「自分の話」というのは事故の状況の話ということですか?

支援者 そうです。これもおかしな話なんですが、事故発生以来、片岡さんは一度も警察に呼び出されていません。事故後8ヶ月も経ってから、初めて事故の状況を説明できる場所が地検だったんです。
地検で担当の副検事から事故の状況説明を受けた時は、片岡さんは猛烈に抗議したそうですよ。それはそうですよ。副検事から「あなたは安全確認をしないまま、国道に飛び出して白バイをはねた」と言われたんですから。バスは停まっていたと事実を訴える片岡さんに業を煮やし出したのが、バス飛び出した証拠のブレーキ痕の写真なんです

司会 その写真をみた片岡さんはどうしたんですか

支援者 頭の中が一瞬真っ白になったそうです。「これは自分の力ではどうにもならないと一時も早く弁護士のお願いしなくてはならない」と思ったそうです。その後、片岡さんの記憶は消えています。調書に拇印を押したことさえ覚えていないくらいですね。

司会 地検を出ると直ぐに、片岡さんは弁護士事務所にいったのですね。

支援者 ええ すぐに弁護士が地検に出向き、実況見分調書をコピーしてくれたんです。

司会 そんなことがあったんですか、驚きですね。

支援者 ホントに驚きました。その日のうちに片岡さんのお宅に仲間が集まったんですが、ブレーキ痕の写真なんて皆、半信半疑ですよ。何日かあと見分調書のコピーが片岡さんに届いて、その中の何枚かの写真にブレーキ痕が写っていました。それを見た私達はあきれましたね。

司会 あきれた?どうしてですか?

支援者 私は白バイ隊員の葬儀に参列した後、事故を目撃した校長と事故現場を訪れています。ブレーキ痕なんてなかったんですから。きちんと事故の痕跡を探しましたが何もなかったのです。一週間程度で消えるブレーキ痕なんてあるわけないでしょう。それが写真に写っている。警察ってのは身内を護るためにはここまでするのか。信じられないというかあきれるというか皆がそんな思いでしたね。

司会 その後どうなったのですか。

支援者 12月6日に起訴されました。裁判が確定したわけです。そこで私達は片岡さんと裁判をどう闘うかを検討したのですが、結論は無罪の主張でいくと決まりました。もちろん、執行猶予狙いとう選択肢もあったわけですが、それを決定したのが片岡さんの一言です。

司会 片岡さんはなんと言ったのですか?

支援者 淡々とした口調だったんですが、「事故から後、相手も亡くなられているし、残された子供達のことを考えて、いいたいことも言わずにいた。示談の方もご遺族にはできる限りの補償をと思い100:0の過失割合でもかまわないと保険会社にも伝えた。免許も奪われ、仕事も奪われた。これ以上警察は俺をどうしたいんだ。このままでは俺の全てがなくなる。ここまで馬鹿にされて引き下がるわけにはいかない。」 という感じでした。

司会 支援者さんはその方針についてどう思いました?

支援者 もちろん賛成ですよ。 お上にたて突くなんて・・という人もいましたが、私としたら売られた喧嘩を買おうじゃないかって雰囲気でしたね。警察にあきれた次には、お前達は何もできないだろうと舐められたことに怒りを感じましたね。こんな証拠写真の矛盾は簡単に見破れるし、事故の目撃証人も何人かいたので、やってやろうじゃないかってところです。

司会 泣き寝入りはしないと

支援者 そうです。それから具体的な裁判の準備に入っていったのです。目撃証人3名、そうのうちの一人は完全な第三者の方。スリップ痕の矛盾も幾つか見つけていましたし。いままで述べた警察の捜査の違法性や警察側証人の矛盾も十分指摘できる用意をしたつもりでしたが、地裁の判決はまさかの実刑判決で終わりました。

続く

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