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壁のない病室 ある精神科医の記録
虎の門病院 精神科部長 栗原 雅直
ブックオフで購入。
1995年発行とあるので今から20年前の本ですね。
本の裏にはこうある
精神病も体の病気も、病気であるという点においては同じである、との考え方に基づき、精神科と他科の患者を一緒の病棟に入院させるという画期的療法を敢行し、つとめて患者の生活に溶け込む人間的な治療を追求した、虎の門病院精神科医の24年間にわたる苦闘の記録。
栗原先生はかなり変わった先生のようだ。
医者のイメージからことごとく遠く、とても人間的だ。
先生自身、自分をこう語る。
アームチェアに座ったまま、距離を置いて患者を診断するような気分にはなれない。患者を対象物の位置に置いて治療する、冷静かつ客観的な、普通の医者ではないようだ。どうしても患者にまぎれ、まきこまれ、まつわりつかれてしまう。それが私の一生だったと思う。
いい先生だったんだろうなぁとこの文章を読んで思う。
医者は患者から発せられる言葉や、言葉にならない行動の表現を虚心に受け止めて、ベテランのガイドのように、病気と言う地図のない暗黒大陸の山道を切り開き、患者を安全な場所へ導いて行かねばならない。
頼りになるなぁ。
このごろ思うのだけれど、何のために生きているのか。自分は何をすべきなのか?をきちんと認識できると、生きる意味を見つけることができると思う。
それは「ピエタ」を読んだ時のクラウディアの貴族について語る文章で教えられた。
「貴族は何のために生きているのか」ただ単にお金を持っている人、人生を楽しむ権利のある特権階級ではなかった。
人々をよりよい生活へ導く勉強をしなければならないという使命がきちんとあったのである。
使命を知って生きている人はどれだけいるだろう。
それを知らずに、ただやみくもに生きているだけではだめなのだと知ったことは、
私にとって大発見で、今までの姿勢を根底から覆す概念だった。
栗原先生はお医者さんとはどういう立場なのか? をしっかり定義していらっしゃった。
立派な人というのは、こういうところが丁寧だ。
一味違う人というのは、つまりそういう事なんだなぁと思う。
先生は患者たちがたむろしているディルームで時間を過ごす時間異常に多かった。
そのほうが、患者の自然な話を聞けるらしい。
もっとも、先生自身もその時間を楽しんでいたふしがある。
そんな人間的なところがまたよい。
精神科の患者の何人かが、私の出勤を待ちかねて、ナースステーションのまわりの廊下でウロウロしている。テレパシーで苦しめられるのでどうにかしてほしいとか、薬は眠くなるばかりだ、苦しくてとてものめないからやめてくれ、だれそれのイビキが大きいので寝られない、などと口ぐちに回答を求めてくる。
笑うところではないと思うのだけれど、私はなんだかとってもよい空間を目撃したような気分になって微笑んでしまった。
このあまりに人間臭い「患者」と「師」の風景を、例えば人間と神の関係という風に置き換えてみれるからだ。
人間はいつも神様に些細なことを報告しているではないか。
神様、ほんとにいつもありがとうございますと心から思うのである。
精神科の現実というものもやはりあった。
患者さんと深くかかわり心が通ったと思っていても、その中の複数人が自殺を選択している。
患者さんに自殺されたらずいぶんとショックだろうと思う。
精神科医はそんな死を体験しなければならない過酷な職業なのだ。
先生はそれについて感情的な感想は書いていない。
別の記述でこんな事を書いている。
診察の際に沈黙が支配することがある。
耐えられなくなったほうが喋り出すのだが、私は黙っているほうを選ぶ。黙っているほうが、相手の存在がよく心に伝わってくるからだ。もっともそれには、精神科の患者という重苦しくて耐え難い存在を引き受けてジッと支える、いわば「人間力」といったものを必要とするのだ。
「人間力」かぁ。
精神科の患者の重苦しくて耐えがたい存在との対峙。
分かるなぁ。その重さ。
それを「支える力」
それも多数の患者を。
そうか、それを人間力っていうのか。
身近な人が自殺してしまった時、残った人間はとてつもない傷を負う。
なぜ、どうしてと、問い続ける。
それをじっと耐えるのは「人間力」しかないのかもしれない。
人間力とはなんだろう?
矛盾するようだけれど、人間を超えたような力だろうか
いや、いや、違う。人間力とは人間力なのである。
先生をドラマ化したらさぞや面白いお話になるだろうなぁ。
すごくぼんやりしているんだけど、包容力があって頼りになるお医者さんです。
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コメント
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私ね、この間店にむか〜しママ友だった人が来たんです。
で、元気?となにげなく聞いたら、娘さんが精神を病んでしまったと。
それもかなり厳しい病気らしくて…
ママ友は明るい人だったんだけど、すっかり疲労感が表情にはりついてたから、なんとも言葉をかけられず、お互い沈黙してしまいましたよ。
彼女が去った後、私はしばらくそのことが気になって、ずっと考えちゃったけど、何も良い考えなんか浮かばなかった。
それなのにも関わらず、お節介にも手紙出しちゃった(^_^;)
たまにはマンガの話しでもしながら、ウチでお茶でも…と。彼女はどう思ったかな。
せっかくひとりで本屋に入ってリラックスしようと思ったのに、昔の知り合いに会ってしまって、手紙まで来て、ストレスになっちゃったかな。この本の先生みたいに関わるのはきっとすごく難しいんだろうな〜と思いましたです、はい。
長々とごめんねm(__)m