大阪 ルイブラン

シェフのちょっとおしゃべり

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超ひさしぶりの今回のブログ・・・僕が若ーいころ、パリで働いていた時に感じた、今でも忘れない感覚について、少しおしゃべりさせて下さい。
 
パリのレストランには、ほぼ必ず洗い場専門の方がいます。そしてそのほとんど(僕が知る限り)全てが、外国の人達です。すなわちフランス人ではないと言うことです、もう少し言うと、いわゆる先進国の方ではないと言うことです。
みんないいやつばかりでした、深く付き合うわけではないので、まあそんなもんかな・・・
 
僕がフランスに行って2軒目に勤めた、ジェラール・フォシェというレストランで出会った、アフリカのマリから来ていた兄弟との、ほんの小さな出来事。
 
ある日の夕方、厨房には僕しか居ませんでした、そろそろ出ようかなと思っていたころ(夕方はだれもいなくなります)、洗い場の弟の方が僕のところに、楽しそうな顔で寄ってきます、そして僕が耳にイヤフォンをつけて聞いていた、SONYのウォークマンを指さします、僕は、ふと、こう思いました「あ、そーか、こいつの国ウォークマンなんか無いねや、絶対ないわ。」と・・・このことが後に、僕をなんとも言えない、いやな、恥ずかしい、気持ちにさせるのです。
 
僕はさっと、イヤフォンをはずし、サザンオールスターズを聞かせてやりました、彼はめっちゃ楽しそうに体をくねらせ、リズミカルに踊りだします。僕もなんか楽しかったな。
ひとしきり聞き終えると、彼はイヤフォンを外し、僕にかえしてくれました、その時です。僕はほんまに最低なことを言いかけました、フランス語がまだへただったことも幸いして、何も言わず(言えず)笑顔だけでうけとり、彼は少し心残りな感じで、すっと行ってしまいました。ほんま言わんでよかったー。ちゃうわフランス語でてけーへんかっただけか。。。
 
その時僕が言おうとした、とんでもない一言。
 
「これもう、要らんからあげるわ」
 
えっ?
 
いやいや、要る要る!
 
なにを考えとんねん俺は、
金持ちか!何様やね!・・・俺は・・・
 
なんで、そんなこと思ったのか、いまでも思い出すだけで、いやーーーーーーーーな気持ちになります。
 
数ヵ月後、
僕は、パリで出会った、スリランカ人の友達に、まだ彼がスリランカにいた頃の写真を見せてもらうことになります。 言われるまでその写真に写っている、頬のこけた、やつれた初老のような人物が、この目の前にいる、30歳くらいのこの本人だなんて、とてもとても・・・わかりませんでした。言われたって、信じられませんでした。
 
僕は、日本から来ています、自分ではけっこう、気合入れて必死のパッチの決意で来たつもりでした、
しかし、彼らは、気合どころではないのです、帰る所が無いのです。。スリランカの友人は、内戦で家族が・・・帰っても働けない。そんな話をしてくれました。
俺は・・・・・・大阪に帰る。
内戦は・・・・・・ない。
仕事は・・・・・・ある。
子供の頃の写真は・・・・・・なんか、おもちゃで遊んでる。
 
全て勘違いでした。
レストランはハード?  何を言うとんねん。なにがハードやねん、めっちゃまかない食って、休憩もしてるやん。
ちょいちょい、まかないでワインとかチーズ食ってるやん。たしかに労働時間は長いけど、自分が選んだことやん、彼らは選ばれへんねんで!好きで来てるんちゃうで。。。
気合? アホか。普通にチケット買うて、普通に飛行機のって来とるやんけ。
 
自分はがんばってきた、自分は努力した、人より早く、人より多く・・・
自分は出来たと思う!フランスに来ても普通に通用するやん。よっしゃ、ええ感じや!
 
全て勘違いでした。
 
自分の周りにある、全ての物が、全ての人が、当たり前なはずの全部が、
実は世界では、当たり前ではなかった。
この稀に恵まれた先進国に生まれたからこそ出来ることで、自分はその環境にチョコンと乗っかって、恵まれた中でがんばっただけなんだ。
 
 
 
 
あれから20数年、なんでもがんばれる・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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