大阪 ルイブラン

シェフのちょっとおしゃべり

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笑えるはなし・・・を書いてみようと思います。
 
「あっ!」と言うことがありますよね。
 
日本人の場合、驚いたとか、何か思い出したとか、
なんとなくそんな感じですよね、
フランス人の場合、どうだ!とか、あれれー?という感じです。まあ語弊はありますが・・・
 
さてさて、ちょいちょい現れる少し変わった人物(料理人)のお話。
基本的にですがフランス人の感性と日本人の感性は当然違います。
アメリカンジョークのツボが日本人のそれに合わないのと同じように・・・・・
 
お店の名は「フォジュロン」、場所は、ruedelongchamp,
あの有名なジョエルロブションと同じ通り、最寄りの駅はトロカデロ。
パリ市内きっての高級住宅地。当時ミシュラン2つ星。
このお店のシェフ(といっても実際のオーナーシェフは別にいて、テレビによく出ている有名人だ
そうです。この方を僕は厨房で見かけたことは一度もありません、と言うかほとんどいません、裏方には・・・)
は、とっても温厚な大きな人で、とても仕事はしやすかったです。    が・・・・・
やや感性に疑問が・・・あれは感性というより・・・・・・うそ?
 
とんでもないことがありました。もう一人いた日本人と僕の二人だけが凍りつくような、
でも周りの大勢のフランス人は何事も無いような。
 
突然でした。
「アツヤ!」(私の名前、ちなみにツはチュにきこえます)。
「ビヤンヴォアー」(ちょと来て!)
何事か・・・・・・・・・?
 
なんか黒い物体がまな板の上に。
フランス人達が集まってくる。
 見えなくなる。
 でも呼ばれている。
何でや?なんで俺や?
 
見えた  トリュフ? 違う
 
ん、えっ!
 
もう一人の日本人と目をあわす。
 
ひじき?
「H I J I K I 」とシェフが自慢げに言う、ただしフランス語の最初のH は発音しないので
「イジキ」となります。周りのフレンチ達は興味心身、二人のジャパニーズは困惑。
なぜならそのひじき生です。なんにもしてない生です。もうだいたいどうなるか想像はつきます、
だってフランス人だもの。
 
ひじきって確かお出汁とか醤油とかで味付けしないと、そんなに味のするものでは無かった。
瞬間的に僕はそう思いました。でもこの人がそんなことするはず無い、絶対無い。
瞬間的にそうも思いました。
 
マッシュポテトが出てきました、ゆがいて、裏ごして、塩とバターで味付けしたシンプルな・・・
これに香り高いトリュフのみじん切りを入れるのは、フランス料理のテッパン。
でもこれはひじき・・・しかし・・・色は似てる・・・まさか。
 
みじん切りにし始めました、フレンチ達注目・真剣なるまなざし、二人のジャパニーズ困惑。
マッシュポテトに入れました、当然ひじきの色で変な色に成りました。
さあ、どうする!
 
蒸し器を持ってこさせる、
 
ここからです、このシェフのすごいところ。
 
まず、バットにアルミホイルで四角の枠をつくる、これがすばやい!
次に、変な色のマッシュポテトを四角の内側に流し入れる。そしてここがポイント・・必要以上にデリケートに、まるで高級トリュフを扱う様に流し入れる。
ラップをかけて、蒸し器の中に。
無言・・・腕組み・・・超真剣なまなざし・・・
フレンチ達 大注目。
 
数分経過・・・
 
ところで皆さん、芋に生のひじきを、刻んで入れて、なんか成りますか?
ぜったいなんにもなりませんよね!ただ熱くなるだけですよね!
僕は心の中でそう思っていました。しかし!
彼の感性は、もはやそこではなかったんです。もうすでにシェフの頭の中は味ではなかっんです。
バターのたっぷり入ったマッシュポテトを蒸してしまったんです。これだけ蒸すと当然バターは
分離して芋の水分が流れ出す、そう!中身はユルユルである!
ほぼ全員そのことは気がかりだったはず。
 
シェフの頭の中はこの窮地をどう乗り切るか・・・だったのです。
 
フィナーレを迎える。 いや迎えざるを得ない。
 
だって10数人の料理人が輪になっているんですもの、
シェフとひじきを囲んで。
 
すごかった・・・ほんとうに見事でした。
 
蒸し器からそっと出した、ヒジキ入りマッシュポテトの乗ったバット
どうすんねやろ・・・と
思った次の瞬間!
ものすごいスピードでヘラをヒジキ芋の下にすべり入れたんです。すごかった。
一瞬の出来事でした。見事さに全員があっけにとたれた、またその瞬間!
なんとそれを、これまた、ものすごいスピードでヘラごとお皿の中央に! 型崩れなし! すごい! 慣れた手つきだ! しかしまだヘラの上だ!
と、全員が感心して、すごい、と思った次の瞬間
 
「アッ」!
と、久々に聞くシェフの肉声。
 
ヘラを抜き去りました。
 
「どうだ」と言わんばかりの顔つき・・・
 
そしてもう終わりだよと言わんばかりに、
いつもの顔つきに戻り、ふつうモード。
さっとアルミホイルをはずす、こんどは無造作に。
そして、ふつうにスプーンをとり、一口。
そして「ふんふん」と納得顔
 
みんな、どうしたらええねん、といった感じ。
 
さらに二口目
さらに納得顔でそばにいたやつになんか喋ってる。
そのまま違うことをし始めるので、いたしかたなく解散モード。。。
 
しかーし! 
 
だまされへんぞ!
 
ぜったい、まずいやろ!
味ないやろ!
 
 
その証拠に、
 
その証拠に、
 
お前一人で、全部食うてもーたやんけー!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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