Sweet dreamin'

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Now & Forever ─前編─

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キラリ、1番星が瞬くミッドナイトブルーの夜空。

昨夜の雨のおかげで、此処"宮"の上空には降り注ぎそうな程、満天の星が輝いている。
ソウル市街地のど真ん中に位置するにも関わらず、ひっそりと時代が止まったような歴史ある楼閣が立ち並ぶ宮中の広大な敷地の奥までは、街のネオンの光は、ほとんど届かない。
其処には、歴代の王達も望んだであろう澄んだ夜空が広がり、宝石箱をひっくり返したような贅沢な夜の眺望を誇っていた。


ぷらんぷらんと、ペタンコのバレエシューズを履いた足を揺らしながら、そんな春の夜空を見上げ、
テラスのベンチに腰掛けたチェギョンは、穏やかに微笑む。
先程、チェ尚宮が給仕してくれたハチミツの甘い香りがほわり漂うホットミルクに手を伸ばそうとした矢先、背後からもうすっかり馴染んだ、ちょっと低めのやさしい声が聴こえた。


「ただいま。」


振り返らなくたって、誰なのかもう分かってる。
チェギョンは、くるりと声の主を捜して振り返ると、満面の笑みを浮かべてぴょこんッと飛び跳ねるように立ち上がり、いつの間にかもう傍に辿り着いていたその人に抱きついて出迎えた。


「おかえり。シンくん!」


やさしい眼をしたシンが、チェギョンをその腕の中にしっかり抱き止めながらも呆れた顔をする。

「オイ、危ないから飛び跳ねるなって云ってるだろ。」
「えー、ちょっと位、へーきだよー」
「ったく、夜は冷えるんだ。こんな処に長居して風邪でも引いたらどうする。」
「タイツに、カイロ、もふもふレッグウォーマー。完全防備だもん!大丈夫だってばっもぉ‥」

ぷぅっと膨れっ面を見せつつも彼女は笑い、キョロキョロと周囲を見回してから背伸びして、
シンの唇へおかえりの軽いキスをする。普段はほっぺだけど、今日はスペシャル。
少しだけ驚きながらも口付けを享受するシンの、秘かにフッと表情が、彼本来のものへと緩む。
そんな瞬間が、チェギョンはとても好きだ。

「今日も1日、お務めご苦労様でした、殿下。でも、予定より早くない?」
「ああ、姉上の計らいでな。中座させて頂いた。」
「そっか…。明日、お義姉様にきちんと御礼言わなきゃ‥」

シンの手を引き、ベンチに並んで腰掛けると、すかさず、シンは傍にあったブランケットをチェギョンの膝にそっと掛ける。そんな彼のさりげない気遣いがくすぐったくて嬉しい。
照れながら「アリガト」と言うと、彼女はまた和やかな眼差しで夜空を仰いだ。


その大粒の瞳には、一体今、何が映っているのだろう。
彼女の横顔をじっと凝視しながら、シンは思う。


「…今夜は、此処に居るだろうと思ったよ。」
「…うん。シンくんも、ココに来ると思った」


そう返すも、空を見上げたままのチェギョンの胸中には、きっと様々な想いが巡っているのだろう。
今日は、1年に1度。
互いの胸に刻まれた、特別な想いが去来する夜なのだから。


シンは、無言のまま、ベンチに投げ出された小さな右手を自身のそれで包み込んだ。
その感触に、チェギョンは視線をシンと合わせてフッと微笑む。

「もう、あれから何年だっけ…。
 まだほんの数年前のコトなのにもう随分前の出来事みたいに感じるよ」
「そうだな。」
「うん。でも、それと同じ位。まるで昨日のコトのように鮮明に覚えてる」
「ああ、俺もだ。」
「…もう、二度と此処へは戻れないカモって覚悟してたのにね。人生って不思議。
 未だに信じられなくて、いいのかなー?って、不安で怖くなっちゃうくらい」
「…チェギョン。」

シンの表情が歪むのを感じて。
彼女は手首を裏返し、彼の指と自身の細い指を絡ませながら、その大きくて温かな手を握り返した。

「ね、…別々の道を行くって決めた日から、本当にいろんなコトがあったよね。
 長い間、離れ離れになって。こうやって再び一緒に暮らせるように許されるまで沢山…」

遠い目をした彼女を見つめながら、シンの胸の奥に、消すことの出来ない鈍い痛みと苦みが広がる。
無言のまま、空いた片手で彼女の頭を自身の肩に乗せるように引き寄せた。
そんな口下手な彼らしい仕草に、チェギョンは眼を閉じ身を任せると、いつもの明るい声で続けた。

「でもね。あの日々があったからこそ、今すっごーくこーんなに、
 シアワセなんだなぁーって、実感してたの。エヘヘッ」

「…そうか。」



幸せ過ぎて、怖い──

そう思うのは、俺の方だ。
身も心も安寧を得た今だからこそ、天から与えられしこの幸運を。
神から授かった唯一無二の存在が、日ごとにどんどん大きく膨らんで行く度に。
自分自身、信じ難い程に、恐れ戦慄いている。
何時、一瞬の内に消えて無くなるんじゃないかと怯える程に。
そんな風に思っているだなど、おまえはきっと知るまい。


黙り込んでしまったシンの左薬指に光るお揃いのマリッジリングの輪郭を指先でなぞりながら、
彼の肩に頭を預けたまま、チェギョンは夜空を見上げる。徐に左の人差し指で1つの星を指差した。

「ね、アレ。北極星だよね?それからずーっとあっちに行くとアークトゥルス、デネボラとスピカ。
 春の大三角形っていうんだったよね?」
「ああ、よく覚えてたな。」
「ヘヘヘッ。シンくんが毎年少しずつ教えてくれたでしょ?だから覚えちゃった」

そんな可愛いことを云う妻の頬を褒める様に、手の甲で撫でるシン。
その感触に照れ笑いを浮かべていたチェギョンだったが、ここ最近のことを振り返ると、しぼんだ風船のように徐々に表情を無くしてしまう。
暫く硬い表情で考え込んだ後、胸に渦巻く複雑な思いを、消え入りそうな声で口にした。

「ね、私。ちょっとは成長してる‥かな?」
「…どうした?弱気になるなんておまえらしくない。」
「もぉー、ホントは臆病者だって知ってるクセに…」

俯くチェギョンの不安を感じ取ったシンは、やさしく何度も頭を撫でてやる。
此の処、少し塞いでいると報告は受けていた。その原因となる要因は多岐にわたり、1つにこれだと
断定出来ないが、少しでもそんな不安を取り除いてやりたいと、シンは考えていた。


「大丈夫だ。おまえはよく頑張っている。」


"大丈夫" 昔は言ってくれなかった一言。
今では、さりげなく凹んだ時に告げてくれるようになった。
やさしいぬくもりとこの一言だけで、私はもっともっと強くなれる。


「ホント?」
「ああ、だからもっと自信を持て。」

ポンポンッと軽く叩く様に頭を撫でるシンに、チェギョンは泣きそうな顔で頷いて、
むくっと頭を上げ、まだ不安を残してはいるが意志を宿した表情で、真っ直ぐに向き合う。

「私、まだまだ失敗だらけの見習い中のお妃だし、不慣れで大変なコトもいっぱいあるけど、
 2人一緒なら、なんだって乗り越えられる、そんな気がするの」
「ああ、おまえと一緒なら、何だって出来そうだな。」
「ホントに?」
「ああ、俺達は最強セット。‥だろ?」

シンの言葉にちょっぴり元気が湧いて来たチェギョンは、エヘッと笑い、
拳を振り上げ、胸元で大げさにブンブン振り回す。

「ふぉー!シンくんがそう言ってくれるだけで、なんか急にPOWER湧いて来たぞー!
 よぉーっし!何だってドーンと来ーい。何があっても、もう全然ヘッチャラだー!」
「…今、凹んでたクセに現金なヤツだな、ったく。まぁ‥その息だ。」

嘆息し口端を軽く上げたシンは、チェギョンの肩をポンと叩いて、伸びをする様にベンチに凭れ、
穏やかな眼差しで夜空を振り仰ぐ。
月明かりに照らされた鼻筋の通った相変わらず芸術的な彼の横顔を、チェギョンはウットリ見つめる。
歳を重ね、あの頃よりも一層鋭角的に、精悍な大人の青年の顔付になった夫の横顔。けれど…。


「…変わらないね。シンくん」


感慨深く、呟いた。


「なんだよ、いきなり…」


相変わらず、唐突に話が飛ぶ女だな…と、溜息を漏らし、まじまじと見つめて来る妻の顔を
訝し気に見返すシン。
けれど、チェギョンの瞳は、透明で真剣な色をしていて、シンは思わず息を呑んだ。


「あたたかくて…、正直で…、やさしい。純粋な瞳…」


聴き憶えのあるその科白に眼を見開き、俄に動揺を隠せず、シンは瞳を揺らす。
そんなシンにふわり微笑んで、チェギョンは彼のサラサラの前髪に、そっと指先で触れた。




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