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epi.23の"LoveLove Kiss"のシンチェのお話に、いよいよ手をつけてしまいました。(;´▽`A 私、どうしても、Kiss→カウチソファーまでの状況が気になって気になって・・・(〃艸〃) アルフレッドだけが全貌を知っているんですよね・・・ズルイなぁ〜! それで、こんな感じかしら??っと、そこから『Kiss→翌朝』までを勝手に妄想してみました。 このエピソードは、皆様の中でもきっと、一番特別なモノだと思いますので、恐らく色々と イメージが違う!!と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、できましたら、どうか、 kilala目線の妄想パラレルワールドとして、お手柔らかにご覧頂ければ、幸いです。 今回は、シンとチェギョンのお互いの目線で少しお話を進めてみました。侍従の皆様なども 少し、登場していただいております。 技量不足でお目汚しかもしれませんが、ど素人なのでその辺りお見逃し下さいね〜(´;ω;`) 苦情だけはご勘弁を・・・ (ストレートな寒いタイトルですみません。でもやっぱり"奇跡"の瞬間かな〜って思って^^;) あと今回は、画像なんかもちょこっと挿絵代わりに入れてみました。如何でしょうか?! イメージが少し膨らむと良いのですが・・・ さて、二人は、今夜、いきなり大人の階段を昇って一線を越えてしまうのでしょうか?・・・ 皆様はどっちがイイですか? 私はですね〜・・・ |
Miracle of Love
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〈1〉 頭の奥で耳鳴りがした。 ──え? チェギョンは今、何と言ったんだ?! 「私が愛しているのは、皇太子ではなく、あなたよ!」 「何だって?・・今、何と言った?」 驚きが隠せず、思ったままを口にしていた。 「愛してるって・・・」 耳鳴りが止まらない。一瞬、凍りついた俺の心臓は一気に跳ね上がってドクドクと脈打ち、耳の 奥まで心臓の音が響いて来る。どうにかなってしまいそうだ。 「こんなに胸が痛むのは、愛してるからでしょ?」 彼女の紡ぎ出す言葉が未だに信じられず、動揺が隠せない。本心なのか??チェギョン?! ユルの方が良かったんじゃないのか? 俺のことを嫌っていたんじゃないのか? もし、本当なら、それは願ってもない奇跡だ。でも・・このままでは・・・ 「俺の傍にいたら・・・おまえの翼を折ってしまうかもしれない・・・」 放火容疑の問題で、皇太子を廃位されそうな今、そして、もし俺の傍で共に一生暮らすならば、 人一倍自由が似合う彼女を、この息苦しい格式ばかりを重んじる、宮の世界に永遠に閉じ込めて しまうことになってしまう。 俺は、愛する人を、この牢獄のような堅苦しい世界に閉じ込めるようなことはしたくない。 初めて出逢った時のような、あの弾けるような眩しい彼女の笑顔を守りたいから。 でも、俺の正直な心は"シン・チェギョン"という唯一無二の存在をどうしようもなく渇望してい た。ずっと、ずっと、俺の傍にいて欲しい!!! と・・・ 「私は大丈夫だから、『傍にいて欲しい』ただそう言って欲しいの・・・」 彼女の言葉が、耳の奥で繰り返しリフレインしている。 愛してる・・傍にいて欲しいと言って・・愛してる・・傍にいて欲しいと言って・・・ これは、夢か?!現実なのか?!目眩がするほどの衝撃で心臓が爆発しそうだ。 もちろん、傍にいて欲しい!!!心の奥底から全身全霊をかけておまえを欲してやまない。 おまえのことが、欲しくて欲しくて堪らないんだ!!! でも、こんなに唐突に望んだ瞬間がやって来るなんて、突然すぎて混乱している。 俺は、欲してやまなかった言葉を突然耳にしたのに、感動や喜びよりも先に、混乱が広がった。 それに俺は、彼女を今までどれ程傷つけて来た?俺にそんなこと言える資格があるのか? 幸せにすると誓えるのか?こんな不安定な状態のままで・・・ どうしたらいい?素直になっていいのか? 心臓が飛出そうな程の嬉しさと、かつてないほどの動揺で俺の頭はメチャメチャだ。 俺は、チェギョンの涙に滲んだ愛情がほとばしる懇願を込めた熱視線を受け止め切れず、ただ 呆然としてしまった。 言いたいこと、言わなければならない言葉は、たった1つだけなのに、すぐに口が反応せず、 上手く動かず開かない。 何やってるんだよ!俺!!肝心な時に!!おい!!・・・ 躊躇したまま暫くの沈黙のあと、チェギョンが自分の想いは届かなかったと、肩を落として トボトボと消え入りそうな影を落とし、呆然としながら、俺の前を横切り立ち去ろうとした その瞬間、心臓が抉られるような胸の痛みが、身体中を駆け抜けた。 彼女が遠ざかるヒールの靴音が、一層孤独感と不安を掻立てる。 ──チェギョンが行ってしまう!!行くな!!! ここで引き止めないともう二度と彼女を取り戻せないような気がして、俺は勇気を振り絞って 言葉にならない口を必死に開いた。 スピーチなんて散々やって来て、こんなことは容易いことのはずなのに、こんなたった1言を 伝えることが、こんなにももどかしく、怖くて苦しいなんて・・・あぁ、胸が張り裂けそうだ。 長年培って来た感情を殺す習慣に慣れすぎて、自分の気持ちを相手に伝えることが、こんなに もどかしく難しいことだなんて・・・クソッ!! でも、今、素直にならなければ、彼女は行ってしまう。意地を張っている場合ではない!!! 俺は決意して、ワナワナと震えながら、ぎこちなく口を開いた。 「・・傍にいてくれ・・」 かすかに声を震わせて、未だかつて無い緊張のせいで上手く口が動かない。 「!!」 チェギョンは、ピクッと動きを止めてゆっくりと振り返ってシンを見つめた。 「・・行かないでくれ・・」 早鐘を打つ自分の鼓動の音が耳まで聴こえる。視線を反らしたまま勇気を振り絞って続ける。 「俺を一人にしないでくれ・・・」 最後は、真っ直ぐにチェギョンを見つめて俺の本心をさらけ出した。―― ──ねぇ、シン君。今、私に何て言ってくれたの?空耳じゃないよね? 俺のそばにいてくれって、行かないでって、俺を一人にしないでくれって、確かにそう言って くれたよね? 夢じゃないよね? 私、シン君の傍にいていいんだよね?! シン君も、私を求めてくれている・・・そう思って、信じていいんだよね?? 今、初めて、あなたの心の声を聴けた気がして胸が震えるわ・・・ どうしよう。そう思うと、嬉しくて涙があふれて来ちゃった。止まらないの・・・ 私の気持ちが伝わって、シン君と気持ちが通じ合ったって思っていいんだよね? シン君!シン君!シン君!シン君!シン君! 私はバカみたいに『シン君』しか、今、言葉が見つからない。 その響きの全てが愛しくて仕方ないの。 チェギョンの瞳から、喜びや、嬉しさ、感動、とまどい、様々な感情が昂り、小刻みに身体が 震え、涙がとめどなく溢れ出した。 私は、気がついたら、シン君の胸の中へ飛び込んで、彼の首に抱きついていた。 シン君は、私をしっかり受け止めてくれて、私をギュッとやさしく抱きしめてくれた。 あぁ〜・・なんて、大きくて広い胸なんだろう・・・あったかい―― ──チェギョン、おまえを愛している!!俺の我が儘だけど、ずっと俺の傍にいて欲しい!! ──シン君、私、シン君が大好き!!本当に愛してるの!!ずっと、傍に居るわ!! ──夢みたいだ・・・ ──夢みたいだわ・・・ 2人は、互いのぬくもりを感じながら、しっかりと抱き合った。 そして、声にならない昂る気持ちが重なった。 シンは、抱きしめたチェギョンの肩に顔を埋め小さくKissを落とすと、それが合図になった ように、自然と2人は同時に顔を上げ、互いの引力に吸い寄せられるように唇を重ねる・・・ 初めて、シンとチェギョンは、気持ちの通いあった熱くて甘い口づけを交わした。 そのKissは、最初はそっと触れるだけのやさしいKissから、少しづつ2人の感情に合わせて 甘く、やさしく、強く、長い長いKissになって行った。 互いを慈しみ合うように、互いの唇を食むように、ついばむように、ちょっぴりぎこちなさ のある初々しさ溢れる、トロけてしまいそうな甘い甘いKissだった。 ──確かに、シン君が以前言ってたように今までのKissは、ただ唇がぶつかっただけな のかも?私にとってはあれが1st.Kissだったけれど、本当はそうじゃなかったのね・・・ チェギョンは、初めて気持ちが通い合った甘くて優しいKissの感触に酔いながら、ふと、 シンに合房の翌朝に言われた言葉を思い出していた。 ──これが、本当のKissなんだね。シン君。 愛しい人と両想いのKissは、こんなにトロケそうなほど幸せで嬉しいものなのね。 チェギョンの腕が、シンの首に絡み、そのまま優しくシンの頬を包み込んだ。 シンは、愛する人が初めて自分を受け入れてくれる喜びで胸がいっぱいになり、益々愛し さが膨らんで、このまま妻である彼女を押し倒してしまいたい、そんな衝動にかられた。 チェギョンのやわらかな唇の感触や温度に酔いしれながら、この上ない幸福感に包まれた。 ──チェギョン、おまえが、可愛くて愛しくて仕方ないよ。 唇を重ねる度に、互いに愛しさがどんどん膨らんで、シンもチェギョンも身体の芯が熱く 燃えるように火照って来た。 2人にとっての初めての長い長いKissは、甘い愛情と喜び、幸福に満ちあふれていた・・・ そんな2人をアルフレッドだけがこっそり恥ずかしそうに見守っていた。 《JPG,GIF File/Credit:GUNGGAL》
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〈2〉 愛しい人に愛される喜びを知ったシンとチェギョンは、夢のような高揚感の中、初めての長い Kissを交わして、今、ようやく名残惜しそうに、唇をそっと離した。 2人は、互いにゆっくり瞳を開くとハニカミながら顔を見合わせ、照れつつ微笑み合い、 互いのぬくもりと香りを感じながら1つの体温へ溶け合うようにギュッと強く抱きしめ合った。 ──あぁ・・こんなことが起こるなんて・・奇跡だ。チェギョンが俺のことを・・・ 本当に夢みたいだ・・・幸せで頭が真っ白になるよ・・・・・ シンは、抱きしめていたチェギョンの肩に顔を埋め、大きく深呼吸して眼を閉じるとそのまま フワ〜ッとフェイドアウトするように気が遠のいて行き、チェギョンの身体に、自分の体重を 知らない内に掛けてズルズルと倒れ込むように覆い被さっていった。 チェギョンも、シンのぬくもりに幸せを感じしばらくその感触に酔いしれていたが、どんどん 自分に体重が掛かり伸しかかるような、シンの異変に気がついて、咄嗟にシンの背中を支えた。 「シン君!!・・大丈夫?!辛いのね?胃が痛む?」 「・・・大丈夫だ。ちょっと、気が緩んで、目眩がしただけだ・・・」 「目眩って!!大変じゃない!!」 チェギョンは、シンの顔をなんとか横から覗き込むと青白く、少し顔を歪めて何かの痛みに 耐えていた。 「ここ最近、まともに食事が摂れていなかったから、さすがに目が回ったかな・・・」 無理に平静を装ってそう語るシンは、腹部、胃のみぞおち辺りに手をあてて苦笑する。 シンは、ここ最近の事件や諸々の問題で精神的にも肉体的にも疲労していて、嘔吐を繰り返す ほど体調が優れず、食事もまともに摂れない日々が続いていた。 「シン君、戻しそう?!辛いよね・・・とにかく、少し横にならなくちゃ!歩ける?!」 「ハハハ・・・大丈夫・・だ。」 「待って!スーツのジャケットを着たままじゃ、窮屈で駄目よ。楽にしなきゃ・・・ いくら、オーダーメイドのものだって、リラックスできないわ!」 チェギョンは、シンの大きな身体を支えながら、ジャケットのボタンを外し、必死に手際良く それを脱がせて隣のソファーに投げかけた。 「ベッドまでは少し遠いから、そこの奥のカウチソファーへ横になって!」 チェギョンに支えられながら、ゆっくりソファーまで移動し、右脇を下にして横になるシン。 「シン君、シャツのボタンを少し外して緩めて!ネクタイも、できたらベルトもね!」 「大げさだな・・・」 シンは、額に右腕を乗せて苦笑する。 「何、言ってるの?!そんな顔色してるのに無理しちゃって!今日は何か食べたの?!」 「いや、あまり喉を通らなくて・・あの薬湯と苦み消しの添えられた菓子位だ・・・」 「やっぱり・・・辛かったんだね。ごめんね、私のせいだよね・・・」 みるみる涙目になるチェギョン。 「おまえのせいじゃない。」 「私、お医者様を呼んで貰えるように、コン内官を呼んで来るわ!!」 涙をこらえて立ち上がり、外へ向かって振り返ろうとするチェギョンの腕を、パッと掴んで 引き止めるシン。 「大丈夫だから、行くなよ・・・」 「でも・・・」 「いいから!・・その・・傍に居てくれ・・・」 「!!・・・シン君。」 少し言い難そうに、照れて、子犬のような目で訴えるシンが可愛くて、チェギョンも吊られて 照れながら涙で潤んだ瞳で嬉しそうに微笑んで、シンが横になっているソファーの横に浅く 腰掛けた。 《JPG File/Credit:GUNGGAL》
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〈3〉 片手で腹部の胃のみぞおちの辺りを辛そうに抑えるシンの様子を見て、チェギョンは自分が お腹が痛い時、幼い頃から、両親の暖かい掌で擦ってもらうと不思議と痛みが和らいだこと を思い出した。 「シン君、じゃあ、お腹擦ってあげるわ・・・」 「え?!」 「いいから・・・こうすると、不思議と痛みが和らぐのよ!」 そう言って、シンの手を横においてチェギョンは、シンのお腹に自分の手をそっとあてて、 みぞおちから胃、腸にかけて、おへそを中心に円を描くようにゆっくりと掌で優しく擦って 行く。大医院の医師ですら、シンの身体には余程のことが無い限り触れることが無いので、 シンはかなり驚いたが、チェギョンのやさしい華奢な小さな手の暖かなぬくもりと、その ゆったりとしたリズムが段々と身体の緊張をほぐし、徐々に心地よくなって来た。チラッと チェギョンの顔を見てみると、聖母のような慈愛に満ちたやさしい眼差しで一生懸命集中し て、シンのお腹を擦っている。そんなチェギョンがまた愛しくて堪らなくなったシンは、 彼女の可憐な美しさにうっとりと見惚れて目を奪われ、じっと静かにしばらく眺めていた。 ほどなく、チェギョンと視線がぶつかり、シンはハッと自分が今どんな表情をしているのか 悟られたくなくて、少し慌てて、ぎこちなくはにかんだ笑顔を見せた。 「どう?少しは、楽になって来た?」 マッサージを続けながら、心配そうに顔を近づけ、尋ねて来るチェギョン。 「あぁ、なんだか身体がポカポカして痛みも和らいで来たみたいだ・・・」 「良かった!!・・うん、そうね。確かに顔色も良くなって来てるようだわ。 これね、子供の頃から私がお腹が痛くなった時、パパやママにこうして貰ってたの。 いつも不思議とお薬無しでも痛く無くなって来てね・・・魔法の手だなぁ〜って ずっと思ってたの・・・」 両親を思い、望郷の眼差しでどこか遠い目をするチェギョンの姿を目の当たりにして、 シンの中で、なんとも言い難い苦い複雑な気持ちが広がった。 やはり、帰りたいのか? このまま彼女をここに引き止めても良いのだろうか?―― あれだけ、帰りたいと宮を出て行きたいと心から叫んでいたチェギョンのことを思い出し、 不安や苦悩が頭によぎり、知らぬ間に眉間に皺を寄せて、しかめっ面になっていた。 そんなシンの様子に気がついたチェギョンは、また具合が悪いのかと心配になり、 「シン君、私、やっぱりコン内官おじさんを呼んで来るわ。それと、少し消化の良いお粥か 何か、チェ尚宮姉さんに用意して貰って来る。少しでも何か食べないと・・だめよ・・」 そう言って再び立ち上がり、シンに背を向けて外へ向かおうとした瞬間、シンは咄嗟に手を 伸ばし、チェギョンの腕をまた強く掴んで、グイッと引き寄せた。 「大丈夫だから。・・・行くなよ・・・」 低く小声で囁くその美声の響きが、チェギョンの中の奥底に潜む感情の琴線を刺激する。 ドキドキが止まらない彼女は、それを悟られないように平静を装って言葉を返した。 「でっでも、心配だから・・・うわっ!ちょっとシン君?!」 まだ行こうとするチェギョンの腕を更にグイッと横になっている自分の方へ引き寄せて、 チェギョンは、バランスを崩してシンの身体の上に倒れ込み重なるような形になった。 シンは、チェギョンをしっかり受け止め、そのままチェギョンを抱きしめて囁いた。 「行くなよ・・こうしている方が、あたたかくて、もっと楽になりそうだ。」 シンは、少し照れながら、ニマッと微笑んだ。 まだまだ全然、自分の感情を伝えることに全く不慣れで、明らかにぎこちない。 そんなシンに、更に心の琴線を刺激されたチェギョンの心臓は、トクントクンと全身が まるごと心臓になったように跳ね続け、ボッと火の玉のように身体が熱くなった。 「///// エヘヘッそう?シン君・・・」 顔を真っ赤にして照れまくり、シンに抱きしめられたままじっとしているチェギョンは、 どう反応していいのか分からず、今までと違うシンの様子に、とまどいを隠せない。 でも、しっかりと抱きとめ、自分を離さないシンの腕を見て嬉しそうに笑うチェギョン。 「ああ、お前の重みも、なんだか心地よくて・・・」 「うふふ。そうなんだ?!じゃあ・・・」 その言葉にピーンと頭の中で何かが弾けて、チェギョンはいきなり身体を起こして、イタズラ ッ子のような顔をして、仰向けになったシンに真正面に向き直り、わざとシンの身体の上に、 ちょっぴり体重をかけてダイブするように乗っかった。 「ド〜〜〜ン!!人間湯たんぽ!もしくは人間掛け布団!・・なんちゃって♪ エヘヘッどう??暖かくって気持ちいい??」 「うぐっ!!おまえ、重いな・・・」 「ひど〜い!重みが気持ちいいって言うから、わざとやったのに〜!もう!」 「ハハハッ、冗談だよ、冗談!・・・うん。すごく、暖かいよ。 ・・・ったく、やっぱりおまえっていきなり何するか読めなくて、面白いな〜」 「ぷ〜〜!イィ〜だ!シン君の意地悪!」 チェギョンは、プリプリ怒っているように振る舞っていたが、内心、照れくさくて堪らない いつもと違い調子が狂う、この妙なムードを上手く抜け出し、ホッとしていた。 でも、ちょっと物足りないような・・・あのまま居たかったような、その先に進みたかった ような・・・いろんな気持ちが複雑に絡まり、もどかしい・・・ドキドキが止まらない。 楽しそうに笑うシンの顔色を見ると、青白さは消え、いつもの元気そうな顔色に戻っていた。 「シン君、その調子じゃ少し楽になったようね?」 「あぁ、まぁな・・・」 「良かった!」 ──おまえを見ているだけで、心も、身体も、癒されて暖かくなるよ・・・ さっきまで、泣いたり、心配してたかと思うと、今度は笑ったり、喜んだり、怒ったり、 プイッと拗ねてムクれたり・・・本当にコロコロ表情が変わる忙しいヤツだな。 そんなおまえが、眩しくて、可愛くて、愛しくて、俺はどうにかなりそうだよ・・・ シンの均整のとれたたくましい胸板の上で、チェギョンのやわらかな肌の感触が、シャツを 通してシンの肌に伝わる。そんなことには一切気がついていないようで、チェギョンはその 柔らかな膨らみを無意識にシンの身体へ押し付けながら、指を人形に見立てて、シンの胸板 の上をちょこまかと、歩かせるようにして遊んでいた。その柔らかな感触に、フツフツと、 シンの中で本能が目醒め、愛するが故の欲望が沸き出し、溢れ始めた。 あぁ・・・このまま・・・突き進んでしまおうか?── そんなシンの考えに全く気付かない無邪気な様子のチェギョンを見て、 ハァ〜3 さっきまでのあのムードはどこへ?!── っと、彼女らしい態度に呆れつつ、思わず笑みが洩れる。 でも、そんな天真爛漫な彼女が愛しいと、あの甘い空気を再び呼び戻すように、そっと手を 伸ばし、チェギョンの表情を少し隠す前髪をかきあげ、目を細めてやさしく頬を撫でると、 彼女もそれに反応して、照れるような、はにかむような、慈愛に満ちた微笑みでシンを 見つめ返した。やわらかな身体から、彼女の鼓動の早さが伝わり、シンの鼓動も同調した。 ──今日の午後まで、まさかこんなことが起こるなんて夢にも思わなかった・・・ 出逢ってから今まで、ずっと傷つけて泣かせてばかりの彼女の心を掴むことなど、もう無理 だと思っていたのに。彼女の心はユルにあると思っていたのに。やっと、やっと・・・ 彼女が俺に心を開いてくれた・・・俺が一番欲しかったモノが、どうしても諦めたくなかった モノが、こうして手に入るなんて・・・こんな奇跡、信じられない! 今までにないやさしいシンの眼差しに…頬を包み込むあたたかなシンの手のぬくもりに… チェギョンも更に愛しさが込み上げて来た。 ──シン君の心は他にあって、夢見る未来も違う道で・・・2〜3年後に待っているのは、 ただ『別れ』だけだと諦めていたのに。私達、もうだめだと思っていたのに・・・ まさか彼が、私の気持ちに応えてくれるなんて・・・! 今まで、どうしてもっと早く素直になれなかったのかしら?どうして、愛する人を捨てて、 宮を出るなんて離婚だなんて、大それたこと言ってしまったのかしら?ヒョリンのことや、 すれ違いが多過ぎて、言葉の少ないあなたの感情が掴めなくて、いつの間にかあなたのこと が信じられなくなって、何も見えなくなってしまっていたの。怖かったの。あなたの本心を 知るのが・・・決定的なことを言われてしまうんじゃないかって。 だから、どうしても、意固地になって素直になれなかった・・・孤独で繊細で本当は優しい あなたを傷つけてしまった、こんな私を許してくれる? これからはもう、お互いにひとりぼっちじゃないんだよね?私達、間に合ったのよね? 両想いになれたって思ってもいいのかな・・・いいよね!?こんな平凡な私にシン君が振り 向いてくれるなんて、まだ夢みたい。こんな奇跡、信じられないわ! ──もう、離さない。絶対に・・・ ──もう、離れないわ。絶対に・・・ 2人は互いに潤んだ瞳を輝かせ、うっとり、しばらく無言で見つめ合った。 シンは、愛しいチェギョンの表情を一瞬でも見逃すまいと、何度も彼女の髪をかきあげ、 やさしく、頭や頬を撫で続けた。彼女に触れる手が、どこかに触れる度に熱を帯びて熱く なる。先程まで、誰も信じられず刺々しくささくれ立ち、傷つき砂漠のように渇ききった シンの心は、キラキラと輝くオアシスを得たように瑞々しく潤い、やさしくまあるい空気 と安堵感が、潤ったばかりの心にフワッと一面虹が架かるように広がった。 心を照らす太陽の女神のような彼女を見つめて穏やかに口を開いた。 「俺は、容疑者なのに、こうしていると何事もないみたいだ・・・」 「シン君は潔白なのよ。そのうち真実は明らかになるわ!」 強い意志を持って断言するチェギョンの言葉にシンの心は泣きそうになった。 それを隠すように、冗談を言う。 「もし、皇太子の座から降ろされたら、おまえに食わせて貰わないとな・・・」 「じゃあ、シン君が家事をして!私が働いて稼いであげるから!」 「男が家事なんてできるかよ!」 「案外、合ってるかもよ?」 2人は、主夫:シン、キャリアウーマン:チェギョンの家庭の未来予想図を想像し合った。 一姫二太郎のかわいい子供達に囲まれた平凡で幸せそうな家庭・・・ その後、シンが想像して口にした『働くチェギョンが主夫シンを誘惑する様子』を耳にして チェギョンは、思わず怒り出した。 《JPG File/Credit:GUNGGAL》
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〈4〉 「ひどいわ!」 「そうか?!俺がシャワー浴びてるところ見たくせに・・・」 「見てないもん。それに見たって何とも思わないわ。」 「そうか?」 目を泳がせるチェギョンにシンはイタズラッぽく小悪魔のような不信の眼を向ける。 「本当にそう言えるのか?」 挑発するようにニヤリと不適に笑うシン。 「うん。」 とぼけているチェギョンの目は、まだ泳いだままだ。 シンは、チェギョンの首筋に腕を回し引き寄せ、唇を寄せるようにシンの顔を彼女の方へ ジリジリを近づける。チェギョンは、それにつられて思わずKissを期待して、瞼を閉じ、 ちょっと口を尖らせて、その瞬間を待った。唇まであと数センチ、もう少しのところで、 その期待は見事に裏切られ、パッとシンは首の手を離し、顔を反らして、笑いをこらえる。 チェギョンは、えっ??っと目を開いて唖然としている。急に恥ずかしさが襲い目を一層 泳がせて、ムッとしつつ困惑しながら平静を装った。 「糸くずなんてつけて・・・」 ニヤニヤしながら髪についた糸くずを取り払い、チェギョンの反応を見て楽しんでいるシン。 チェギョンはからかわれたことが分かり、プ〜ッと頬を膨らませた。 「こうだろ?滅多にない機会だし、目に焼き付けておこうと・・ それでも違うっていうのか?今何を考えてた?何か期待してただろ?」 シンは、ニヤニヤ横目に目を細めながら、意地悪にチェギョンをからかう。 口を尖らすチェギョンの顔を思い出し、その表情のひょうきんさに笑いが込み上げた。 ──ぷっ!あの顔!・・あ〜、ほんとにおまえをからかうのは面白いよ!可愛いなぁ〜♪ 「違うわ!疲れて目をつぶっただけよ!・・・もう行くわ!おやすみ!」 チェギョンは、むくれて不機嫌になり、身体を起こして自分の部屋へ戻ろうとした。 すかさず、シンは呼び止める。 「やぁ〜!待てよ!・・仲直りのセレモニーを・・・」 シンは、先程と一転して真面目な視線でチェギョンをじっと見つめた。 今までに無い、シンの中に潜む"オトコ"の部分が見え隠れする熱い視線・・・ チェギョンもそれに反応して、じっとシンの目を見つめ返していたが、その言葉の意味を 悟ったのか、悟ってないのか、愛くるしい茶目っ気のある笑顔でシンの頬を指で突いて、 「そうね。久しぶりの仲直りだもの・・そうしなくちゃ!」 そう言いながら、シンを弄ぶ小悪魔のような表情で彼に顔を近づける。 シンは、その表情に期待してうんうんと頷きながら、 「そうだな!」 と、自分の望みを理解してくれたと、期待に満ちた目で嬉しそうに微笑んだ。 この後、訪れるはずの甘い展開に胸を躍らせ、シンは、どうしてもニヤけ顔になってしまう。 しかし、甘い空気はシンの鼻先で掻き消え、いきなりスクッとチェギョンは急に立ち上がり、 「大韓民国を代表する皇太子と皇太子妃として・・・ 大韓民国!(チャチャッチャチャッチャ!) 大韓民国!(チャチャッチャチャッチャ!)」 とサッカーなどでお馴染みの『大韓民国エール』を手拍子付きでやってみせた。 予想外の行動に、シンは身を起こしてチェギョンをポカンと見て、呆気にとられている。 「シン君は前回のワールドカップでこれやってないでしょ?これが大韓民国を代表する共通 のセレモニーよ!次のW杯に向けて!アジャ!」 ファイティングポーズを取って、大韓民国エールを手拍子付きで繰り返し続けながら、シン の部屋を後にするチェギョン。 シンは、みごとに自分の期待するセレモニーを裏切られてガッカリだ。 「ハァ〜〜、バカにしてるのか?大韓民国!!・・」 多少リズムがぎこちなく、微妙に変だが、チャチャッチャチャッチャ!と手拍子をして、 「ほら、やったぞ!(全部W杯観たぞ!)・・・」 あきれ顔でソファーに頬杖をついて、大きなため息をついた。 ──フゥ・・俺の期待は、あっさりかわされたようだな・・・ まだまだお子さまなチェギョンにちょっとガッカリしたシンだったが、彼女が去ってから、 ジャケットが引っ掛けられたソファーの方を見て、先程の熱くて甘い出来事を思い出し、 フッと心から溢れる喜びで幸せそうな微笑みを洩らした。 *** 〔皇太子妃殿〕 バタンッ!! チェギョンは、勢い良くドアを閉じてドアノブを後ろ手に握ったままドアにもたれ掛かった。 「ハァハァハァ・・・」 心臓が跳ね上がったまま、ドキドキが止まらない。胸に手をあてて、大きく息を吸って、 ゆっくり一息ついた。 ──シン君の言う『仲直りのセレモニー』って、その『アレ』のことよね?? 夫婦で言う"アレ"よね?? ビックリした〜〜〜!!!@△@ 待ってよ。私はまだ高校生なのよ!・・・心の準備が・・・ シン君を愛しているけど、でも、まだ、今日やっと気持ちが通い合ったばかりだし・・・ ふと、先程の甘いKissが脳裏にフラッシュバックし、真っ赤になるチェギョン。 ──///// キャーキャーキャー!!!どうしよう!!! 明日、どんな顔をしてシン君に会えばいいの?? 明日から私達どうなるの?? あんなことして、恥ずかしくって、顔なんて合わせられないよ〜〜〜///// でも、仲直りできて本当に良かった。もう無理だと思っていたから・・・まだ信じられない。 明日の朝、これが全部消えて夢だったってことにはならないわよね?! またシン君、冷たくなったりしないよね? どうしよう、ほんとに、すっごく嬉しい!!! チェギョンは、指でシンのぬくもりが残る、唇をなぞる。 ──シン君のKiss、すっごく優しかった。チョコみたいに甘くて、トロケそうな感じで、 昨日まで冰のように凍えそうで死んでしまいそうだった私の心が、今は跡形もなく溶けて 今は、ただ燃えるような愛しさだけが心に広がってるの・・・気持ちが通じ合うって、 こんなに素晴らしく幸せなことってないわ!・・・シン君に愛されるなんて、こんな奇跡が 起こるなんて!!!意地を張り続けず、素直になって本心を伝えて良かった・・・ チェギョンは、感極まって幸福の涙を零した。 頬を伝うその涙の温度は、あたたかで、歓喜にあふれていた。 しかし、胸に引っ掛かる、あることを思い出して、現実に引き戻された。 ──あ、しまった!シン君の体調どうなのかしら・・・ 心配だわ。後で、眠る前にもう一度大丈夫か確認しに行かなきゃ・・・ 1人で無理してるかもしれないしね。 それに、さっきのことが夢じゃなくて現実なのかも、ちょっと確認したいし・・・///// ふぅ〜・・今日は色々なことが起こりすぎて疲れたわね。まだドキドキは止まらないわ。 私ったら、こんな大変な時に不謹慎よね?でも、素直に嬉しい!! 今は辛いことだらけでも、きっと、未来は明るい・・・そう、信じてる。 さてと・・お風呂に入って、ちょっと頭を冷やそう・・・落ち着かなきゃ・・・ 涙を拭い、シンの部屋を振り返り、胸に両手をあてて扉の向こうに居る愛しい夫を想い、 ウットリ微笑んで、喜びを噛み締めた。 それから、1つ大きな深呼吸をして、足取りも軽くバスルームへ向かった。 バスルームで鼻歌を歌いたくなるほど、幾度も込み上げる喜びに、顔はニヤけっぱなし のチェギョンだった。 《JPG File/Credit:GUNGGAL》
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