Luv me?= Love me? と読んで下さいね♪ ───────────────────────────────────────────── いよいよマカオ編に手をつけてしまいました。(((( ;゚д゚)))アワワワワ お話的に数パートになると思いますので、第一弾は、ドラマのEDシーン辺りまでのお話になります。 なのに長くなっちゃって(宮廃人の皆様的に今更感もあるかもしれませんが…泣/※劇的な内容は、 無いと思われます。) ゆる〜く退屈かもしれませんが、それでもOK!というお心の広〜い御方だけ、 読んで頂ければと思います。❤ ヽ(*´ω`) できるだけドラマのイメージを崩さないようスーッと馴染むような感じ(?)を目指したつもりですが、 ご自分の中のイメージと違う!と思われる方は、申し訳ないですが、ここでお引き取り下さいねー! 苦情は、No Thank youですので!m(。_。"m)ミアネヨ 宮を愛する創作作家さんがとても増え、嬉し楽し大好き♪という気分ですが、これだけ多くの 作家様がいらっしゃると、自分の中でオリジナルで書いていても、知らぬ間にどうしても好みが 似たシチュエーションや、内容が若干被ることも出て来るかと思います。 (☆ある意味、好みのツボが似てる宮廃人的にはうれしいバッティングなのですが…(;´〜`A) 私の作品の中でも、もしかするとそんな類似点があるかもしれませんが、あくまでも私の妄想した お話なので、全く故意ではありません。また、ご自分の中のシンチェのイメージとのギャップを 感じられる場合は今すぐにこちらでお戻りくださいませ… その辺りご了承の上、それでもOK!という寛大な御方だけ、このまま進んで頂いて、駄文ですが、 お読み頂ければ幸いです。どうぞ、宜しくお願い致します。(o*。_。)oペコッ 再会前のプロローグ:Twilight・Daybreak を挟みまして、本編スタートとなります☆ では、どうか、kilala目線の妄想パラレルワールドとして、あたたかく見守って頂ければと 思います。拙いお話ですが、暇つぶしにお楽しみくださ〜い♪(*^ー^*)ノ☆゚。・:*:・ 2009.09. kilala 拝
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Luv me?
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Twilight 「…うーん!今日も綺麗な夕陽だねぇー!」 空が鮮やかなオレンジ色から茜色に変わろうとする頃。 家路へと自転車のペダルを漕ぎ、海岸沿いの道を疾走するチェギョンは、いつも夕陽を眺める、 絶好のローケーションスポットへと辿り着いた。 「…ふぅ。」 自転車を停めて、水平線に沈み行く夕陽を仰いで大きく両腕を広げ、グンと伸びをして深呼吸する。 ここで、こんな風に過ごすのがいつの間にかコロアン島で暮らすチェギョンの習慣になっていた。 今日の夕陽はいつになく美しく、黄昏時と云う名がピッタリと嵌る、そんなどこか淋しく郷愁が 漂うような自然が造り出す絶景だった。 こんな日は稀に、チェギョンの心の奥に仕舞い込んでいる負の感情が呼び覚まされてしまう。 ──明日は明日の風が吹く… 夕陽を見ると、必ず思い出す有名な映画の1フレーズ。 『明日は明日の朝日が昇る…』いつか私が東宮で、シン君に偶然呟いた言葉。 あの時は、シン君が言ってた映画のことなんて全然知らなかったけど、こちらに来てから、 昇る朝日や、沈む夕陽を見ていたら、どんな映画なのか興味が沸いて、DVDで見てみたの。 英語の勉強にもなるし、素敵なコスチュームや破天荒で情熱的なパッションを持つヒロインに 圧倒されて、何でこんな名作を今まで見なかったのだろう…と衝撃を受けたんだよね。 「いつか…二人で、昇る朝日を見る日なんて来る、のかな…?」 こんな風に今に至るのは、紛れも無く私が未熟で幼かったせいだと解ってるから、がむしゃらに 只々前を向いて突っ走って行くしか無いんだって、私なりに必死に努力してきたつもり。 シン君の隣に並んで恥ずかしくないように、素敵な女性になる為に… …でも、でもね。やっぱり流石のシン・チェギョン様と云えど、どうしようもなく弱気になって しまう時があるの。 ──彼の傍に戻ることが許される日なんて、本当に来る…のかな? あれから、半年…。帰国への報なんて微塵も感じられない日々が淡々と過ぎて行く。 今だからこそ解る、自分が犯した罪の大きさ。 皇室の威信に泥を塗った…消せない忌まわしい事実。 一重に、自分だけが被害者のように感じ、周囲が見えていなかったコドモ過ぎた私の責任。 その責任は、重い…よね? 妃宮として到底相応しく無い、こんな私は、彼にとって足枷にしかならないのかも… それでも、"いつの日か"を目指して、自分に与えられた場所で毎日努力を重ねるしかないんだ。 でも、どれだけ努力してるつもりでも、やっぱり限界を感じる時がある。 無理…しすぎなのかな? やっぱり私には、棲む世界が違い過ぎるのかな? 一生懸命背伸びして、彼に相応しくなりたい…って頑張ってるけど、もう半年も経つのに、未だ 呑込みが悪く一向にお妃教育も捗らない。語学もカタコト程度しかまだ全然マスターできてない。 無い無いづくしで、自分の脳細胞の出来の悪さに、流石に凹んじゃう。 絶対チェ尚宮お姉さん、駄目過ぎで呆れてるよね〜ハァ…。 チェギョンはハンドルに両肘をついて、そこへ突っ伏しながら、水平線にもう1/4程しか見えない 太陽を薄らと涙混じりに眺めた。アンニュイ気分で再び、物思いに耽る。 そこにザザァーッと強風が吹き抜けた。 ──風と共に去りぬ、…かぁ。 風と共に去らなきゃ行けないのは私の方かも? 彼の人生の重荷になってしまうだけなら、私はこのままどこかへ、姿を消した方がいいのかも しれない……なんて、時々考えてしまうんだ。 いつだって強気でポジティブな私でも、こんな風にふと心が折れそうに、脆くなってしまう… ただのフツーの18歳の女の子なんだよね。 まだまだこれからよ!!…と自分を叱咤激励してひたすら前を見て歩いていても、沈み行く太陽 を見つめる瞬間、その日の太陽が死に行く姿に、どうしようもなく心が震え、どれだけ歯を食い 縛っていても、淋しくて苦しくて恋しくて、堪らなく不安になっちゃうんだ。 ハァ〜・・ちょっと、息切れかな…? ──逢いに行きたいな。 韓国とマカオって、なんて近くて遠い空間なんだろう… 「うー、参ったな。今日は久々に”来ル”なぁー。夏の疲れかな…身体もちょっとダルイし…」 フルフルと頭を左右に振り、頬を両手でペシペシと叩いて気合いを注入。 ──強く、ならなきゃ。 手に職をつけて、誰にも迷惑掛けず、自分でしっかり食べて行けるように。 あの映画のヒロインのように、強く大地を踏みしめて立ち、1人で生きて行く力を つけなければならないんだ。 明日は明日の風が吹く…ホントに人生なんて、どうなるかなんてわかんない。 あ、シン君と結婚したことが良い例だよね(笑) マジ、ありえないっつーの!アハハッ そう思えば、これからどんな未来が待ち構えようと、ドーンと来い!って言えるかも…(笑) 黄昏色に染まる真っ赤な太陽を見つめ、薄らと笑みを浮かべるチェギョン。 たなびく潮風に長い髪は舞い踊り、1日の終わりを告げる優美な自然の光景の眩しさに額に手を庇の ようにかざして眼を細めたまま、口を真一文字に結んだ。 ──このまま、彼と逢えなくなってしまっても、 彼がシアワセなら…それでいいのかもしれない。 シンの幸せを願う気持ちに嘘はない。でも、そう想った瞬間、チェギョンの胸がチクンと痛んだ。 そんなチェギョンの脳裏に、シンと交わした数々の約束が瞬くようにフラッシュバックする。 ──ううん。何、言ってるの?! 彼と一緒に宇宙征服することが私の夢なんでしょ?! 『大好きなシン君のホントのお嫁さんになって、一緒にシアワセな家庭を築く!』 ──そんな極フツーの乙女チックな些細な夢。そして、簡単なようで、一番難しい夢。 夢探しのガイドブックに一番最初に書いた、ささやかな私の夢がいつか叶いますように… チェギョンは、太陽が水平線に消えてしまうその刹那、また生まれ来る"明日"の太陽へ両手を ギュッと胸元で組み、祈りを捧げた。 「さてっと、お姉さんが待ってるわね。帰りますか!プルクンッ!」 空はもう薄らと、朱から蒼へとグラデーションを描き、しっとりとした夕闇が広がり始めた。 ポツポツと街灯や家屋のネオンがあちこちに灯る。家路へと誘(いざな)う暖かな光景。 チェギョンは、気持ちを切換え、颯爽と自転車に飛び乗り、勢い良くペダルを踏み込んだ。 ──そうだ。あの映画のラストシーンの有名なヒロインの台詞。 『After all, tomorrow is another day.』の、ソフィーが教えてくれた もう1つの意訳のこと思い出したよ… 「明日という日がある!」 チェギョンは、坂道のカーブでペダルから両足を浮かせてスイーッと車輪を自由に転ばせながら、 明るく呟いた。 ──うん。生きている限り絶対に、明日はある! それって素晴らしいことじゃない? 毎日、太陽みたいに生まれ変わって、新しい自分に出会えるんだよ! やっぱり、私はウジウジするのは性に合わない!しっかりしろー! 「シン・チェギョン!アジャ!ファイティーン!」 チェギョンは立ち漕ぎしながら、潮騒に負けない様、風を受けて大声で叫び、家路へと急いだ。 ・・・この時、私は、シン君がこの街へ間もなく訪れることなど知る由もなかった。 そして、どんな『明日』が待っているのかも… 〈To be continued→Daybreak〉
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Daybreak ──いよいよだ。ようやくマカオへ向かうチャンスに恵まれた。 先日、太皇太后の海外公務へ随行するように勅命を受けたシン。 出発を目前に控え、言葉にならない爆発しそうな感情のうねりを、深夜ベッドの上で持て余していた。 ◇◇◇ チェギョンが旅立ってから、目紛しく半年が過ぎた。 その間に、クリアすべき難題を慎重にコツコツと気が遠くなる程の苦労の末、膨大な数の様々な難関 を突破し、約2ヶ月前にシンの姉ヘミョンが、前代未聞の女帝に即位を果たした。 放火事件の首謀者と後に発覚した恵政宮が、事故後太医院で治療中のまま起訴され有罪判決が下った 後、皇籍剥奪。これにより、ユルは犯人隠避罪となり辛うじて廃位だけで済み、皇籍には残ったが、 両名の国外退去という形で、諸々うやむやにしつつ一応の終息をみせた。 しかし、事件への責任の重さを鑑みて即位を辞退したシンが、一介の大君や皇子(公子)へ降りること は許されなかった。 史上初の女帝即位に厳しい難色を示していた王族・為政者達も、父ヒョン皇帝が上皇へ即位し体調を 考慮しつつ補佐すること。また、皇太子を降りたシンだが、伝統ある直系男子の系譜を絶やさぬ為、 皇太弟に即位し補佐することで(不在となる東宮に成り代わり、暫定的に皇位継承第一位のままとする ことなど…この他にも多岐に渡る条件を経て)漸く、史上初のイ・ヘミョン女皇帝が誕生したのだ。 4ヶ月程前のある夜、ヘミョンが語った『決意』とは、このことだった… あの後、間もなくして事態が急変。事件の終息へ伴い、ヒョン皇帝譲位、シンの即位辞退の申し出に より、大きな局面を迎えた。 ヘミョン即位までの道程は途方もない茨の道であったのは言うまでも無い。 気になる皇位継承順位は、皇室典範及び条件に則り、今後のヘミョンの状況により変化することに なっているのだが、シンは漸く『皇太子』という重い鎧を脱ぎ捨て、幾分身動きしやすい立場を得る ことができた。 しかし、自分の我侭で姉の人生を狂わせてしまうことに、シンは意志を打ち明けた際、深く詫び、 悔恨の念を抱き、胸が押し潰されそうで、即位に至るまで何度も本当にこれで良いのかと確認した。 が、当のヘミョン本人は、 『史上初の経験ができるなんて、そう滅多にないことよ!歴史の1ページに私の名が刻まれる… 凄いことじゃない!フフッ この際、おもいっきり楽しまない手はないでしょ?』 と、あっけらかんと笑って一蹴し、その聡明な頭脳、行動力、秀麗さで、重い重責にも果敢に奮闘し、 また、スマートにその天賦の才を遺憾なく発揮。今の処、そつなく順調に皇帝の業務をこなしていた。 世論の風評も、相変わらず二分してはいるが、現在ではその若くも英知溢れるカリスマ性が、世界に 一躍注目を浴び、新しい時代の到来と一大センセーショナルを巻き起こしている。 誕生して間もない輝かしい美貌の女帝に、徐々に国民は大きな期待の念を抱くようになっていた。 皇太弟に即位したシンは、粛々とヘミョンの補佐をしつつ、チェギョン帰国への糸口を模索し続けた。 事件後、勤勉な様子や公務に取り組む真摯なシンの態度に、チェギョンに対する誹謗・中傷は、以前 よりは随分鎮静化を見せた。 しかし、王族会や議会では、未だ、あと一歩という処で、帰国許可が承認されない状況であった。 ◇◇◇ ──明日、マカオに出発するのに、な…。 深く溜息を吐き出すシンの胸には、焦る気持ちと苛立ち…どうにもならないジレンマが募る。 先刻、出発直前の打ち合わせで、ヘミョンと上皇は『明日からの定例議会の席で、なんとか承認して 貰えるよう、一気に畳掛ける!』と強い意気込みを豪語していた。 謹慎中の身分で権力を持たない今のシンは、マカオ滞在中に吉報が齎される淡い期待を、唯々祈る だけしか術がなかった。 ──でも、それでも数日後、やっとチェギョンに逢えるんだ。 そう考えるだけで、気鬱な現実からほんの少し解放され、早鐘のように胸が高鳴る。 ソワソワして目が冴え、ベッドの上で何度も寝返りを打つばかりで、一向に眠れやしない。 チェギョンに逢える喜びや緊張、不安がグルグルと渦巻いて、もう頭の中が破裂寸前だ! 嗚呼、この半年『一日千秋』なんて言葉ではまとめられない程、気が遠くなり死にそうに 長い日々だった。 シンは、サイドテーブルの上に置いた携帯を手に取り、最新のチェギョンの笑顔の待受画像を見て 微笑んだ。この笑顔に逢えるのだと思うとそれだけで更に感情は昂り、チェギョンへ逢いたい想い は募るばかりだ。ドクドクと跳ねる心臓の音に、もはや、半ば強制的に眠るのは諦めた。 「ハァ…まだ3時か…。朝までまだあるな…」 携帯を弄りつつ、ゴロンと寝返りを打ち、チェギョン専用の画像フォルダを開きスライドさせた。 ぼんやりと、そのめくるめく眩しい笑顔を眺めながらマカオへ居る愛しいヒトに想いを馳せた。 ──今回のマカオ訪問は、チェギョンには秘密。 アイツ、突然現れた俺を見てどんな顔するんだろう? 驚くんだろうなぁ〜。クククッ お祖母様の随行で海外公務が入っていることは、数日前にアイツには連絡済みだ。 しかし、詳しい場所については、一切知らせていない。チェギョンの精神的負担を考慮し、 警備上のことも含め最大限配慮しようというのが、皇室内で討議した結論だった。 お祖母様とタッグを組んで、チェギョンへ逢いに行く予定の打ち合わせは完璧で、既に コン内官とチェ尚宮と緻密に連携して、チェギョンのスケジュールもリサーチ済み。 公務終了後にサプライズで、逢いに行くことになっている。上手く行くといいんだが… 「逢ったら、なんて話そう…?」 こんなにも恋焦がれ、再会への喜びに満ち溢れ、愛するが故に臆病に、不安におののく心。 完全に舞上がっている自分を認めざるを得ない。 しかし、否応無く突きつけられる現状を考えると、手放しで喜べる状況ではない。 まだ帰国許可の承認が下りない、なんて…どう伝えればいいんだ? これ以上、傷つけたくない…。なら、逢わない方がいいのか? 否、それは耐えられない。 こんなにも渇望する心を抑えることなど、もはや限界だ。 俺の心が血を流し死にかけている…。 「ハハッ。俺、おまえに逢ったら、どうなるんだろうな…?」 ──チェギョンに逢った俺は、一体どんな反応をするのだろう?理性を保てるんだろうか? そんな未知の自分を知るのが楽しみであって、怖いな…。 この胸に渦巻く、未だかつて感じたことがなかった、言葉にならない制御不能なこの感情。 シン・チェギョンという存在にしか反応しない、甘く切なく苦しい程、溢れる不思議な想い。 こんな複雑な逸る想いを伝える言葉を俺は知らない。 チェギョンなら、その言葉を知っているかもしれないな。 その言葉を俺に教えてくれるだろうか… シンは、むくりと起き上がり、ベッドサイドの椅子にちょこんと座らせた白い物体を手に取る。 今日の顔は、膨れっ面と満面の笑顔Ver. 膨れっ面の方を暫くの間、じっと見つめて溜息をつく。それはどれくらいの時間だったろうか。 苦し気に眉間に皺を寄せ、俯き加減で、ポツリと一言、心に渦巻く不安を吐き出した。 「皇太子じゃない俺を、おまえは受け止めてくれる…か?」 口にした事でシンの心を巣食う不安は増大し、肩を落とし、うなだれてしまう。 ──チェギョンの願い…大切な約束を1つ破った。 どうしても、アイツを迎えに行く為の翼を手に入れる為に…。 アイツが死守するよう望んでいた『皇太子』でなくなってしまった自分。 期待を裏切った、タダ人の俺を求めてくれるのか。正直、自信が…無い。 情けない程に、アイツに対しては弱気になってしまう。惚れた弱み、だな…。 「一緒に生涯を歩いてくれ…なんて言える立場かよ?」 ようやく『宮』という窮屈な鳥籠から翼を大きく広げ、羽ばたこうとしているのに、再び このしがらみの中へ引きずり込んでいいものなのか?誰よりも自由が一番似合う彼女を…。 愛しているなら、この呪縛から解き放ってやるべきじゃないのか? でも…。 「俺は、我侭だな。それでも手放せないんだ…。 傍に居て欲しい…なんて、身勝手だよな。でも、どうしても譲れないんだ。」 自嘲的に口端を上げ、乾いた笑みを浮かべる。 白い物体を腕の中に抱えパビリオンへ向かい、主不在の真っ暗な部屋をじっと佇んだまま見つめた。 「一緒に暮らしたいな…早く。」 静寂なパビリオンに、シンのつぶやきだけが、その心のごとく反響した。 テラスに視線を送ると、薄らと空が白み始めていた。 夜明けは近い。 ──眩い光を放つ朝日…。今度こそ、アイツに見せてやりたい。 『明けない夜はない』 そうだ。何もかもきっと上手く行く!そう信じて祈ろう。昇る太陽に… シンは、心に巣食う不安や迷いを振り切るように、ブルブルと頭(かぶり)を左右に振り、冷静な 自分を取り戻す為、ひんやりとした初秋の冷気を求め、テラスへの扉を開いた。 朝焼けの天を仰いで、深呼吸する。 ──イ・シン、しっかりしろ!アイツが待っているんだ! 弱気になるな。やっと手にしたチャンスだぞ…行くしか無いんだ! 迷うな! 腹を括って、ただ前だけを見ろ! 「天よ…。どうか、御加護を…」 シンは神々しい光を放ち昇る太陽に向かって、硬く握りしめた両手を額に当てて、心から祈りを 捧げた。目を閉じると、チュンチュンと小鳥のさえずりが耳に届き、新しい夜明けを告げる。 ゆっくりと瞳を開くと、朝露を浴びキラキラとした庭の緑に心はスッと癒されて行くのを感じた。 「よし!行こう。イ・シン、ファイティン!」 心機一転。 爽やかな朝の光を纏ったシンは、出発の準備をすべく、颯爽と一歩を力強く踏み出した。 ・・・俺はこの時、自分が仕掛けた以上のサプライズが待っていることなど、知る由もなかった。 そして、マカオの地でどんな『明日』が待ち受けているのかも… 〈To be continued→Luv me?〉
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Luv me? 〈1〉 『夢は何?』 ──チョコを片手にそう問うチェギョンの声が、鮮明にあの日のまま耳の奥に響いている。 そんなこと、初めて尋ねられたし、考えたこともなかった。 強いて言えば、あの頃夢見たのは、自由と映画監督になること位だ… でも、アイツにそう訊かれたことで、いつの間にか、違う夢を見たくなっていたんだ。 BooBooBoo... 手元に握りしめた携帯が振動し、着信を告げる。ディスプレイには、チェ尚宮の名。 シンは、すぐにその名を確認すると、受話ボタンをPushした。 「もしもし、チェ尚宮か?」 「はい、殿下。只今、妃宮様から連絡が入り、間もなく図書館を出発されるそうです。ご準備を…」 「わかりました。今すぐ向かいます。」 逸る気持ちを抑えて、携帯のOFFボタンを押す。 ──あの日から芽生えた俺の中の『夢』。 今、一番身近に叶えたい夢は、アイツをこの腕に抱きしめて二度と離さないこと。 至極単純で、一番難しい夢。 でも、必ず実現してみせる…! 「行きます。」 シンは、運転席と助手席に座る翊衛士に静かに意志を秘めた声音で告げて、自らの手で、後部座席の ドアをグイッと開き、一歩外へ踏み出した。バタンッと音を立てた黒塗りの御用車は、ゆっくりと その場を離れて行く。シンは、それを見送りながら頷き、しっかりと前を見て歩き出した。 ──もうすぐ、もうすぐだ。 一歩踏み出す毎に、心臓の鼓動の音がどんどん大きくなって来るのを、身を以て感じる。 ドクンドクンドクンドクン… シンの喉はカラカラに乾いて、唇までカサついている。潤いを求めて、ゴクリと息を呑み込んだ。 コツリッと図書館の正面玄関の対岸に位置する歩道で海岸を背に足を止め、デニムのバミューダの ポケットに両手を突っ込み、身体の向きを反転させて、この半年間、恋焦がれた愛しい人が中に居る その図書館の扉を、深呼吸して真っ直ぐに見つめた。 「此処に、居るんだな…」 呟いた瞬間、ドンドンドンドン…とリズムを刻む、重低音のウーハーのように耳の奥まで劈くよう な心臓の音が一際大きく高鳴る。シンは、苦しいまでの胸の高鳴りに身震いした。 ──未だ且つて無い程の緊張感。どこかの国家元首に会うよりも遥かに緊張するな… 何度も夢にまでに見たこの瞬間。 漸く逢える歓喜の中に見え隠れする不安。胸に渦巻く言葉にならないこのもどかしい想いを、 シンは持て余しながら、そよ風を感じて、はち切れんばかりのこの動悸を落ちつかせようとした。 ──アイツ、どんな顔するんだろう? 驚くよな? そして、俺はどうしたいんだ? 最初になんて声を掛けよう…? したいことは、決まっている。でも… こんな風にチェギョンに様々な想いを馳せる、ほんの数分間が、まるで何時間にも感じる。 逸る気持ちは加速度を上げて、年季の入った白縁の色硝子の扉が開くその瞬間をじっと待った。 ◇◇◇ 「う〜ん。やっぱりこのパターンのデコルテライン、ドレープ!素晴らしいわね!」 時をほんの少し遡った図書館内。 チェギョンは、ファッション関連の書籍をテーブルにドサリと広げて、あれやこれやとコピーを 取りたい、気になるページにポストイットをペタペタと貼っていた。 昨夜、『チェ尚宮大変身!コーディネイト改造計画』と称し、着せ替え人形状態だったチェ尚宮に もっとしっくり来るような物をプレゼントしたくて、チェギョンは、彼女の為に、オリジナルの 『シン・チェギョン・クチュール』のデザインの参考になる素材やパターン(型紙)を片っ端から チェックしていた。 「トルソーは、私のサイズので多分大丈夫よね?…あ。むしろ、もっと細いかも…ガーン!」 デザイン画をサラッと描いているスケッチブックの上で、ペンを右手でクルクルと弾くように 回しながら、頬杖をつき、アヒル口で盛大に溜息をついた。 「でも、デザインの勉強にもなるし、久しぶりにミシン踏みたいし、一石二鳥!ウヘヘッ デザイナー兼ディレクター気分で、お姉さんをもっと素敵にしなくちゃっ!超・楽っしい〜♪」 『これも、デキる素敵なオトナの女性へのステップよー!』などと気合いを入れて、ふんふ〜ん♪ と鼻歌混じりに、カラーコピーを取っていると、パーカーのポケットに入れた携帯がメールの着信 を告げた。 「ん?お姉さんだ。…ハイハイ。ここを出る前に連絡すれば言いワケね。了〜解〜!」 チェギョンは、コピーを取りながら、素早く返信メールを打ち込み、チェ尚宮に送信した。 パチンと、携帯を閉じながら、ふと、窓の外に視線を送ると、柔らかな陽射しが降り注いで、そんな 平和な光景になんとなく心が癒される。 ──おなか空いちゃったなぁ〜。なんかおやつ買って帰ろうっと♪何にしよっかなぁ〜? チェギョンの頭の中は、本日のおやつのことでいっぱいで、じゅるりっとヨダレを零しそうな勢いだ。 ポワワ〜ンと…エッグタルトや、セラドゥーラ、マンゴープリン、牛乳プリン…あれこれ、Sweetsが 沸々と頭の中に浮かんで、ニヘッと笑った。 「おっし!完了!んじゃ、そろそろ帰りますか〜!」 トントンと膨大なコピーを両手で束ね、ファイルに挟んでバッグに仕舞い、本を元の書棚へと戻す とエレーナに軽く挨拶をして、玄関の扉を開いた。 玄関前に駐車していた自転車に手を掛けた瞬間、風に乗って一瞬、懐かしいオーラを感じた。 ──まさか…ね?! こんなに切なくて愛おしいオーラを感じるのは、この世で唯一人しか知らない。 ──ハハッ。来るワケないじゃん。 チェギョンは何気なく視線を海岸へ向けると、その『まさか』が現実になったことを知る…。 ≫≫ ドクンッ ≪≪ 一瞬、息が止まるほど驚いて、心臓が大きく跳ねた。 ──ホンモノ?! 何で、ここに居るの?! 大きな瞳を何度もパチパチとしばたいて、夢じゃないの?と何度も眼を凝らしていると、視線の先 のその人は、優しい瞳をしてやわらかく微笑み、軽く右手を挙げて手を振った。 ──うわっ、やっぱ、ホンモノだよ! 消えちゃったりしない…よね? 蜃気楼とか幻じゃないんだよね?ね?ね?ね? 徐々にこの世で一番逢いたくて堪らなかったその人が、目の前に居る現実を感じて、みるみる内に ふんわりと花のような笑みが広がった。 チェギョンは、ブンブンと大手を振って、大声で現実であることを確認したくてその名を叫んだ。 「シン君だぁ────────ッ!!!」 《JPG File Credit: GUNGGAL》
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〈2〉 扉の中から現れた、この半年、待ちに待ち続け、恋焦がれた愛しい女(ヒト)の姿をその瞳でしっかりと 眼に捉えたシンの心臓は、ドクドク早鐘を打ち、もうパンク寸前だ。 「シン君だぁ────────ッ!!!」 ≫≫ ドクンッ ≪≪ ──半年ぶりのダイレクトなチェギョンの声。 うわっヤバッ…! 鳥肌が…! 若干、線がホッソリとしたようだが、相変わらず、元気いっぱいのままだな。 そして、綺麗に、なった… シンは、大手を振るチェギョンのビッグスマイルに、思わず泣きそうになるのをグッと堪えた。 気が付けば一歩踏み出し、徐々に速度を上げ車道を横断し、いつの間にかシンは駆け出していた。 チェギョンも、シン目掛けて、一目散に自転車を押して駆けて来た。 ──シン君!! ──チェギョン!! チェギョンは自転車のストッパーを乱暴に降ろし、シンの胸に飛び込んだ。 真っ直ぐに飛び込んで来てくれた彼女の、懐かしいぬくもり、鼻腔をくすぐる甘い香りに軽い目眩を 覚える。シンは、力一杯ギュッと背中に腕を回して抱きしめようとした…その刹那、ビクリッと動き が止まる。脳裏にチクリと刺すような痛みと警鐘が鳴り響いた。 ──抱きしめる資格が俺にあるのか?! まだ帰国も叶わない現状、皇太子で無くなった自分をチェギョンは受け入れてくれるのか… そんな様々な恐怖が、シンの腕や指先の動きを躊躇させた。行き場を失い宙を彷徨う両手。 見下ろした胸元に顔を埋めるチェギョンの愛らしい姿に、溢れ出す胸に疼く甘い感情。 ──それでも、触れずにはいられない!! シンはワナワナと震える両手を持て余し、戸惑いながらも、チェギョンの小さくて華奢な肩をすっぽり と両手で強く包み込み、その存在を確かめるようにそっと身体を引き寄せた。何度も夢見たこの瞬間。 肩口をしっかりと掴んだ指先から伝わる柔らかな体温に、ジワジワと押し寄せる喜びの波紋…安らぎ。 あの日から1日たりとも、忘れられなかったぬくもり。 気が狂いそうな程、恋焦がれたやわらかな感触。 首元に埋めた肌に触れる艶やかな髪から薫る、甘い香り。 ──やっと、やっと逢えた。 震える程の歓喜に、シンは壊れ物にそっと触れるように掴んだその肩の感触に、しばらくの間、 酔いしれた。 どれくらい時間(とき)が過ぎたのだろう。シンは、ゆっくりと身体を離し、チェギョンの頬を やさしく掌で包み込んで、顔を少し持ち上げ微笑んだ。早鐘を打ち続ける鼓動。 ──こんな時、なんて言えばいいんだろう…? 「…久しぶり。」 「うん。久しぶり!シン君!」 出て来たのは、ありきたりの挨拶で。シンはそんな自分に内心、辟易する。 でも、チェギョンは照れ笑いを浮かべて、頬を包み込むシンの手に両手を重ねるように包み込んだ。 瞳を閉じて、シンのぬくもりをじっと感じるチェギョンの姿が、いじらしくて溜らない。 シンは、空いた片手で優しく頭を撫でてやると、チェギョンが弾かれたように花開くように笑った。 「ねぇ、シンくん。」 「ん?」 「どうしてここに居るの?」 「…ん。お祖母様の付き添いの公務でな。時間が空いたのでちょっと様子を、と思ってな…」 「そっか。海外公務ってマカオだったのね? もうっ何で教えてくれなかったの?イジワル!」 「フフッ。おまえを驚かせたくて…」 「ほぇっ? あー、そりゃもう〜確かに心臓止まるかと思ったわよ!満足?!」 「ハハハッ…。心臓が止まりそう…か。」 チェギョンは、笑うシンの胸を軽くグーで叩いて、可愛らしく一睨みする。 そんな拗ねた表情すら、愛しくて、シンの胸は熱くなった。 「…チェギョン。」 「うん?」 シンは、そのふっくらとした桃のような頬を何度もやさしく撫でながら、ポツリと呟いた。 「逢いたかった…。」 「!」 チェギョンは、一際大きな瞳を見開いて頬を更に桃色に染めた。 「私も、すごく逢いたかった!」 微笑み合い喜びを噛み締めながらシンは、さりげなくチェギョンの左手に指を絡めて手を繋いだ。 「行こう…か?」 「うん。そうだね!」 シンは片手で彼女の自転車を押しながら、チェギョンと仲良く手を繋いで歩き出した。 久々に手を繋いで歩くことすら、なんだか躊躇してしまい、くすぐったい、そんな二人の再会だった… 《JPG File Credit: GUNG DVD Caption》
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