Sweet dreamin'

ご訪問ありがとうございます。只今長ーいお休み中の為、ご挨拶は不用デス(´人`;)スミマセン

星 観 恋 愛 主 義

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

『宮』 二次創作リレー
 
星観恋愛主義 
〜BRETHTAKE〜
 

 
痛恨の、ミステイク。
 
流れが変わってしまう二人の未来。
その先で見る景色、…傍に在るのは未だ遠過ぎて誰かと知れずに。
 


 こちらのガイドをご覧の上、順次ごゆっくりとリレーの旅をお楽しみ下さい 
尚、全話一般公開になっておりますので各Y!ブログのお気に入り登録は不用です(^人^)
どうかファンポチは焦らず、お気軽にふらりとお立ち寄り下さいませ❤ 



* 執筆メンバー(敬称略) *
 
 
 第1話 
chibi-ken
 

第3話
すうちゃん★
 

第5話
choux
 

第7話
kilala
 

第9話
りんりん
 

第11話
ごもら
 

第13話
第15話
最終話
あじさいまあく


〜 全16話完結 〜
※各ブログ内、該当書庫にて公開中。

Supervisor : choux
Image Artwork & Design : kilala & choux   




不肖私kilalaが初参加させて頂いた、準備期間1年がかりの初リレー作品です。ドキドキ❤
お話は、とってもスタンダードなパラレル宮。
そして私にとって、初パラレル作品デス(/∇\*)キャー♪きょわいー!((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
ただ只管、有志の皆様にご迷惑が掛からないようにバトンを繋ぐ事だけを考えてガンバッテみました★

きっと最初で最後の愉快なチンジュウズとのチキチキ★コラボレーション(w)
みなさまとご一緒にメンバー 一同、おもいっきり楽しみつくそう!☆-ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノイエーイ 
ってな気分❤なので(w)わははっ
よろしければのんびりゆるーく、最後までおつきあいくださいませ!


私kilala担当パートは、第7話・第8話
公開日は、1月21日・22日 (両日0時更新)になります


あうぅっやっぱ緊張でお腹痛いよー …いっ勢いでキヨブタします (+ω+)ノ"
ではでは、あたたかく見守ってくらさいネ❤



ーJPG Credit:Goong DVD,JUGAL,YOONEUNYEGAL,GooglePhotoよりリアレンジー
 [Goong궁] (C)2006 Eight Peaks/MBC All Rights Reserved.
※このブログ上にあるすべての文章、画像の無断転載を禁じます※ 


星観恋愛主義 第7話

イメージ 1

「ぅッ、ひっく…。サイテー、最っ低よ…!!」


後から後からボロボロと、止めどなく涙がチェギョンの頬を伝う。
深夜辿り着いた東宮殿の灯りを消した真っ暗な自室のベッドの上で、両膝を抱えて小さく踞りながら、
叫び出したい感情を押し殺し、嗚咽混じりにその心を吐き出した。
自身が招いた結果だと理解していても、到底涙を止めることなど出来やしない。

「アハッあははは…。今ドキありえないよねー?!
 ダンナ様の誕生日に私をプレゼントだなんて…うっはー。完全三流メロドラマだ」

──何を泣くの?ちょっぴり早く大人になっちゃっただけでしょ?

いずれはこんな日が来るかもって覚悟の上だったじゃない。
あの瞳に映るのは、別のヒト…
最初から何も期待しちゃダメなんだよ?
所詮、私は仮初めの名ばかりの奥さんだもん。
ね?わかったでしょ?初めてだったのに、何度も何度もあんな…ッ、
一時的な欲望を満たす為だけの都合のいいオモチャなんだ。


「ッひっく‥。チ、チェジュン相手だと、まだまだ‥イケてたんだってばぁ…」

──ヤダ‥もぉ信じらんない。力で敵いっこないなんて…


「‥‥‥ッ」

ワナワナと唇が震える。もう限界だった。


「ッ…んぅッく、ふ‥ ぐ‥ぅうっ、わあぁあぁぁあぁぁぁッ!!」


込み上げる感情が決壊して、ばふっと枕に顔を深く埋めて慟哭した。
胸元に残る鬱血痕、全身に漂う倦怠感、下腹部の鈍い疼きが現実であることを否応が無く告げる。


──みじめだ…


そして…
何より最低なのは、あんな状況で純粋な悦びを見つけてしまった自分自身だ。

「あぁ…もうっ、マジ最低。全部、夢だったらいいのに!」

誰もが夢見るような愛する人との幸せな初夜とは到底掛け離れた『少女』との決別の夜に、チェギョンの心は漆黒の夜の闇のように虚しさに支配され、尚一層落ちて行った。
それでも、躰の奥に残るシンの生々しい記憶が何度もフラッシュバックしては消え、悔しさや悲しみの中に、甘い疼きが見え隠れしてしまう。そんな自分が許せない。
言葉にできない悶々とした思考は堂々巡りを繰り返し、時間だけが只無情に過ぎて行く。


どれくらい泣いたのだろう?
ふと、泣き腫らした顔を上げると窓から新しい朝の陽の光が差し込んでいた。

「どんな顔で…会えば、いいの?」

扉越しに隔たれたシンの部屋に視線を遣ると、再びツゥーッと大粒の涙が零れる。
一睡も出来ないまま、涙でグチャグチャになった顔を彼女は両手で覆った。


◇◇◇



「おはようございます!今日は間に合いましたよね?」

接見室で笑顔を引き攣らせつつ、いつも以上に元気に挨拶してみたチェギョンの、明らかに泣き腫らした赤い瞳にシンは軽く動揺した。しかし、今は大事な視膳の最中だ。侍従達に気取られてはならない。
平静を装って無表情のまま、彼は皇帝の食膳の味見を続けながらサラリと気の無い素振りで尋ねた。

「…お前、寝てないだろ?」
「え?どうしてわかったの?」
「見れば解るさ、ウサギの眼になってるぞ」
「ウソ?!マジ?!そんなに赤い?変?!」

内人達に尋ねると皆一様に頷いている。
コン内官とチェ尚宮はチラリと視線を交わし互いに黙礼をした。

──うっ、まさか!アノこと…バレバレ?ぎゃーッ△×◎※□?!/////

微妙な空気に冷や汗を浮かべ、羞恥の余り頬を染めたかと思うと青くなり、居心地の悪さを覚えて
あわあわと誤摩化すように、シンに喰って掛かった。

「な、何よ。じゃあ、あんたは眠れたって言うの?」
「ああ、当然ぐっすりな。済州に行った程度で浮かれ過ぎなんだよ、お前」
「ちょ、なんですってーっ?!」
「五月蝿いぞ。よし、問題無い。全て陛下の御前へ」

掛け声と共に一斉に尚宮等が動き出し、陛下の朝餉を見守る…いつも通り変わらぬ朝の風景。
綺麗さっぱり昨夜の出来事等無かった事のように、動じた素振り1つ見せないシンの横顔を凝視する。
感情の読めないガラス玉のような怜悧な眼差しに、自分の居場所は無いのだと再確認し、その事実はチェギョンに予想以上のショックを与えた。
ジワジワ込み上げる涙で視界が歪み、萎れた花のように項垂れてしまう。

──バカみたい。1人で勝手にドキドキしちゃって!

初めて知った男の顔をした彼が恐かった。
でも、激情の裏に見せたあの瞳の色が印象的で、
ほんのささやかな甘い囁きや優しい素振りを見せてくれるんじゃないか。
そんな淡い期待は、脆くも崩れ去った。やはり、昨夜の優しい眼差しは幻想に過ぎなかったのだ。
只単に"妻"という名の生身のオモチャを手に入れてイイように弄ばれたのだと思うと、
心が痛くて堪らなかった。

長い回廊を先行くシンの背中を見つめたまま、重い足取りのチェギョンは行き場を失い、
ピタリとその場に立ち竦む。
決して泣くもんかと、両手でチマ(裳)を強く握り締め、唇を噛み締めた。




一方、東宮殿へ続く回廊を足早に進むシンは、ドクドク脈打つ鼓動の早さに動揺を隠せないで居た。


──心臓が、如何にかなりそうだ!


なんとか長年培ったポーカーフェイスで先程は感情をセーブ出来たが、隣にある柔らかな存在に内心気が気ではなかった。彼にとって、こんなことは初めてのことだ。

鼻腔を擽る甘い香り、美しく結い上げた黒髪から伸びる白く薄い項、ぽってりとした艶めく唇、
昨日までとは関係が一変した、その存在全てを意識せざるを得ない。
どこか気だる気でヨタヨタと歩く妻の様子に、昨夜の艶かしい記憶が瞬時に生々しく甦る。
少女の白磁のごとく透けるような柔肌の感触。蕩けるような躰内の熱さ。突き抜ける快感の波。

何故、あんなにも離れ難かったのか?
初めて女を抱いて、昂る興奮や衝動のまま貪りガッツいてしまっただけか?
否、無意識下の遺伝子レベルで、細胞が確かに何かを求めていた。
失った己が一部位を取り戻すように…

行為に理由が欲しいシンは必死にそう言聞かせる。皇太子とて、若く健康な漢だ。
女を知ったばかりの躰の芯は、際限なく疼くように火照り、幾度もチェギョンの肢体がチラチラと脳裏を支配し、狂おしい程喉の渇きを覚える。甘い吐息がいつまでも鼓膜に響いて、眠れぬ夜を過ごした。
追い打ちを掛けるように昨夜噛み付かれた腕の痛みが、より一層記憶を鮮明に甦らせる。
躰の下で乱れる艶やかな姿よりむしろ、あの清らかで美しい涙を…

「クソッ、眠れるわけねーだろ!」

心がざわつく。
溜息混じりに吐き出すように呟き、邪念を振り切るごとく頭を振って、丁度曲がり角の辺りで後ろをゆっくり振り返ると、其処には、蒼白く暗い表情の"妻"が、遠く所在なさ気にポツンと佇む姿があった。

ズキン…

得も知れぬ、罪悪感に苛まれ、思わず視線を反らす。
初夜が明けたばかりの新妻に、優しい言葉1つ掛けられない己の不器用さが恨めしい。
その上、ムードの欠片も無く苛立ちに任せ権力を行使し、鮮血を伴う苦痛を与えて、無理矢理名実共に己が妻にしたのだ。
シンは、拳をギュッと握り締め苦々し気に硬く眼を瞑った。


──いつか天罰が下るかもな…


◇◇◇


グシャッ ベシャリッ…


数日後、早くも予感は的中した。
ぎこちなくギクシャクした関係のまま日々は流れ、皇太子夫妻として初公務となる、皇室主宰の展覧会のオープニングセレモニーで訪れた美術館で、シンは『生卵の強襲』という洗礼を受けることになる。

一瞬、頭が真っ白になった。
髪にベッタリ付着した卵黄を手で拭いながら、茫然自失のシンは、自業自得だとぼんやり思う。

──あいつもさぞ、いい気味だと嘲笑っているに違いない…そう思っていたのに。

「ちょっと何すんのよっ!シン君、大丈夫?!」

──!? まさか、あいつが素手で、俺を守るだなんて完全に想定外だ。

何故、庇う?俺を庇う理由なんて無いのに何故だ。お前だって危険だろ?
むしろ、お前には手酷く俺へ報復する権利がある筈だ。
だのに如何して、そんな顔をする?

夥しい数の護衛車に守られながら慌ただしく東宮殿に戻り、シャワーと着替えを済ませ、上殿ヘの報告、事情聴取や対策会議の後、漸くパビリオンに出て来たシンをチェギョンは不安そうに待っていた。

「顔、大丈夫?」
「大丈夫に決まってる。卵の1個や2個当たった位で死ぬわけないだろ?」
「よかった…。私てっきり、あんたが…ッ」
「!」

──泣いて、いるのか? 何故、泣く? 俺の為の涙…なの、か?

こんな傷つけてばかりのどうしようもない俺の為に泣いてくれるのか?
何なんだ、この感情。心がざわついて整理できない。

「おい、何泣いてんだよ…」
「だって…ッ」

大粒の潤んだ瞳で見上げるチェギョンの仕草にドキリとする。
混乱する気持ちとは裏腹に、その清らかな透明の雫が、受けた傷を癒し乾いた心を潤すように緩やかに波紋を広げて行くのを感じた。

「馬鹿だな…」
「ゴメンね?」

──何故、お前が謝る? 泣くな。泣き止めよ…



「はぁ、気分転換に乗馬でも行くかな?」

なんとも言えないこの空気に耐え切れず、ニヒルに口角を上げる。
今更ながら、あの夜以来まともに顔を突き合わせ会話しているこの状況が、妙に照れくさく居心地悪い。混乱する心をクールダウンさせる為にも、シンは妻から視線を反らし、軽く両腕を左右に伸ばし、自室へと一歩を踏み出した。

「あ、じゃあ 私も行く!」
「は?!」

遠慮がちにシンのカーディガンの裾をキュッと掴んで、心配そうな眼差しで後を追うチェギョン。
瞬間、シンの脳裏に、ふと派手に落馬する彼女の姿が浮かび上がる。
それは、あたかもデジャヴのように鮮明に脳内映像化され、嫌な予感がした。
ニットの裾をびろーんと引っ張る華奢な手を、ワザと鬱陶しそうに払い除けるように身体を反転させ、
シンは冷たく言い放つ。

「絶対駄目だ!」
「ええー?!いいじゃん、ケチッ!」
「お前が馬に振り回されて落馬するのが眼に浮かぶ…」
「何よっ!私、そんな運動神経悪く無いわよ!みくびらないでよ!」
「どうだか。此処で大人しくしてろ。とにかく却下だ!いいな!」
「キィイイイ。そんなんだから、あんた卵ぶつけられるのよ!卵入辛ラーメン野郎!」
「何だと?」
「あっかんベロベロベーッだ!」

唇を尖らせプリプリと怒りながら、チェギョンは自室のドアを力任せに開いた。
振り向き様に忌々し気に再度シンにベーッと舌を出してから、バタンッと音を立ててドアを閉じ、
ドスドスと靴音高く部屋の奥へと消える。
その様子を見送ってからシンも自室へと入り、音を立てずそっと閉じた扉に背中の体重を預けながら、
久方ぶりに交わした互いに喧嘩腰の弾む会話に、フッと口許を綻ばせた。


──やっぱりこうでないとな…



「なにさっ、馬鹿シン!」

ムカついてヒートアップした感情をスゥーハァーと深呼吸を繰り返し、なんとか落ちつかせると、
ぐにゃりと気が抜けたようにベッドの上にへたり込む。

──卵をぶつけられた時の、生気のないシン君のあの表情が忘れられない。

何も眼に映ってないような… ひどく寂しそうで…
なんでだろ? 胸が苦しいよ。


室内に静寂が広がり、西日の射すドレッサーの鏡にぼんやりとヒョリンの笑顔が浮かび上がる。
ドロッとした別の感情が込み上げて来て、ジンジンと掌が痛い。


「‥ッ、そんなに嫌なんだ…」


チェギョンは虚ろな瞳で、力無く傍にあったぬいぐるみにパンチをお見舞いした。

星観恋愛主義 第8話

イメージ 1

「パーティーは、予定通り開いて下さい。私は大丈夫です。陛下…」
「そうか…、では翊衛士を大幅に増員させるよう調整しよう」


国家が動き、懸命に捜査に当たっているが、シンを襲った主犯格は未だ検挙されないまま、皇室に反感を持つトラップを仕掛けた相手が、この状況をほくそ笑んでいるに違いない。
敵の思う壷にならぬよう、毅然とした対処をすべきだとの判断で、数日後に控えていた立憲君主国の大使等を招いての事実上、皇太子夫妻のお披露目に当たるパーティーを、厳重な警備の元、予定通り催す事になった。
犯人の特定も気がかりだったが、傷心のチェギョンにとってはその日に向けてダンスやマナーの特訓等、あらゆる面で憂鬱で気が重い日々の連続だった。


◇◇◇


パーティー当日。


シンは眼前に現れたチェギョンのその眩いばかりの輝きに、ゴクリと息を呑んだ。

「……!」

冴えない筈の自分の妻の、花開くような可憐なその美しさに不覚にも見とれてしまう。
緩くアップされた艶やかな黒髪には代々受け継がれるティアラが頭上で煌めき、襟元まで詰まった清楚で可愛らしいベビーブルーのプリンセスラインを描く禁欲的なドレスが、より一層男の妄想を掻立てる。
彼だけが知るその中身の全てを…
如何かしていると咳払いをして、善からぬ思考にストップをかけ意地悪く「馬子にも衣装」と呟き、
彼女を怒らせたのは云うまでも無い。

「皇太子殿下、妃殿下には、ご機嫌麗しく…」

美辞麗句を並べ立てるゲストに、ガチガチのぎこちない笑顔を見せるチェギョン。
不慣れながら、持ち前の明るさでなんとかこなしているように見えるが、時折周囲に怯え心許なさそうな表情で傍に寄り添って来る様を、シンは敏感に察知していた。

まるで小動物のような眼差しを向ける幼気な妻。
彼女が縋るのは夫である自分しか居ないのだと、彼は屈折した高揚感に包まれ、傍にそんな彼女があることがまんざらでもなく、むしろ殊の外気分が良かった。
シンは妻をスマートにエスコートし、各国大使や政府要人への挨拶を滞り無く終える。

「はふぅー。殿下、ちょっと化粧直しに…」
「ああ、分かった妃宮」

緊張の糸が切れ、ゲンナリして席を外すチェギョンの後姿を、
彼は人知れず柔らかな眼差しで見送った。




「遅いな…」

──あいつ、何処に行った?

中座したチェギョンがいつまで経っても戻って来ない。
一抹の不安を覚えたシンは、先程から雑踏の中へ視線を彷徨わせその姿を追っていた。



「チェギョン!どうしたのこんな処で?」
「あ、ユル君!…じゃなくて義誠君殿下。へへっちょっとねー、人当たり?
 コッソリ休憩をばっ」

微笑み合い、ひっそりとパビリオンの片隅に設置された、従兄弟の妻の座るソファに躊躇もせず、
ユルは並んで腰掛ける。

「ハハッ無理も無い…お疲れさま!じゃあ、はい。これ!」
「うわぁー♪美味しそう♪お腹ペコペコだったのー!」
「疲れた時は、甘いモノが一番さ」
「でも、いいのかな?主役が食べたりして…」
「此処なら眼につかないよ。僕が壁になってあげるから、コッソリお食べ」
「そう?んじゃ、お言葉に甘えてお1ついただきまーす♪」

ユルの背に隠れるように、チェギョンは小皿の上のプチベリータルトをパクッと頬張った。
甘酸っぱいベリーの風味が口内にふわっと広がる。
美味しさの余り脚をバタつかせ身悶える彼女を眺め、クスクス笑うユルの瞳が光る。

──本来キミは僕の許嫁。その笑顔も僕のモノだった筈…望んじゃ駄目?

「ん〜!おいひ〜♪」
「あ、動かないで!」
「ふぇ?」

言われた通り素直に身動きを止めると、ユルの綺麗な顔が至近距離まで迫って来る。

「わわっ、ちょっ!」

驚いてギュッと眼を瞑り身を強張らせると、
フワリと口許に冷たい指先が触れて耳に柔らかな声が響く。

「よし取れた。ほら、ソースが付いてたのさ」
「うひゃッごめん!あ、ありがと…」

慌てて口許をナプキンで拭いながらチラッとユルを見上げると、
さも嬉しそうに親指の赤いソースをペロリと舐め取っていた。

──へ?!今、なっ舐めた?!

「…ん。本当だ、美味しいね!」
「あ、うっ…その…」

その仕草に思わず固まり、あわあわと視線を彷徨わせていると、
物凄い勢いで、グイッと左手首を誰かに掴まれた。


「おい!こんな処で何をしている?」
「あ、シンく‥殿下!」


怒気を孕んだ低い声に、チェギョンはビクッと背筋を凍らせた。
この状況を何と説明しようか考え倦ねていると、その隣でユルは悠然とシンに手を挙げ、ニッコリ微笑む。

「やぁ、シン。何って、見て分からない?お疲れの妃宮様にスイーツをサービスだよ」
「…ユル、お前っ!」

今にも胸倉を掴み掛かりそうな勢いのシンの形相に、柔和な微笑みを見せるユルの瞳の奥は笑っていない。眼と眼だけで火花を散らし、シンは苦虫を噛むようなしかめっ面で深呼吸すると、ふいっと
チェギョンに向き直って掴んだ手首を一旦放し、スッと右腕を差し伸べ紳士的なお辞儀をしてみせた。
それを合図に室内の照明がふと落ちて、スポットライトが3人の囲むソファを照らす。

「え?あ、あのっ」
「いいから、早く来い」
「ヤ、ヤダッ!」
「早く出ろっ!」

固唾を呑んでその様子を見守っている場内の注目を一身に浴び、般若のような恐ろしい笑顔でダンスに誘うシンの様子に逃げ場が無いと悟ったチェギョンは、半泣きで嫌々差し出されたその手を取った。
拍手と歓声が上がる中、フロア中央に向かいながら、シンは彼女を見ずにボソリと囁く。

「少しは踊れるんだろう?チェ尚宮から報告を受けているぞ。お手並み拝見と行こうか」
「うぅっ意地悪ー!」
「おい、いつもの威勢はどうした。怖じ気づいたか?シン・チェギョン?」
「べっ別にぃ〜!望むところよ!私の華麗な舞に度肝抜くわよ!」
「フッ、その意気だ。俺の足踏むなよ?」
「わ、わかってるわよ!」

シンが手を挙げると同時に、ノスタルジックなタンゴのメロディが奏でられる。
表情を一変させグイッと強引なホールドを組むと、彼は力強いリードでチェギョンを振り回すように華麗なステップを踏み、情熱的なリズムに合わせてスタッカートを刻む。

あの夜以来、手を触れる事さえ無かった二人。
肢体を密着させ刻む官能的なステップは、あの夜を彷彿とさせて二人の呼吸を早くする。
間近で感じるその息遣いに、互いの秘めたる夜の顔が幾度も脳裏に瞬いて、ドクドクと胸は高鳴り、
躰は火照り妙な気分が湧き上がって来る。

カァッ‥と羞恥を覚え、心の奥に潜む疾しさを知られたく無いのに。
射抜くような切れ長の漆黒の双眸に捕らえられ、チェギョンは眼を反らす事が出来ない。


──なんで?どうして? 最低なヤツで大っ嫌いな筈なのに…この手を離せないの?

強引。なのに、パズルのピースがピッタリ嵌ったみたいに踊りやすくて…
悔しいけど、皇太子はダンスも完璧なんだね。こんな上手だってことは物凄ーく慣れてるんだ。
ね…あのヒトとも、こんな風にたくさん踊ったの?
今、その瞳に映るのは私? それとも別のヒト?


済州島での睦まじい二人の笑顔がチラついて、一瞬で心が曇る。
曲が終盤へと盛り上がる中、いつの間にかするりとシンの手を離し、動きが止まってしまった。

「?!」

その異変に咄嗟にシンが機転を効かし、彼女の手を引っ張り、よろける反動を活かしてくるりと
1ターンさせ腕の中に引き寄せる。

「おい!」

耳元で呼び掛けるシンの声にハッとして、チェギョンはなんとか気を取り直し、フィニッシュのポーズを決めた。初々しくも情熱的なダンスを披露した若く美しい皇太子夫妻へ、割れんばかりの拍手喝采が場内を包み込む。
大失敗を免れ、微かに震える指先を包むように繋がれたシンの掌のぬくもりが温かくて、チェギョンの胸の奥はキュンと疼いた。

「ったく、冷や冷やさせやがって」
「デへッ」
「でも、まぁ…」
「おっほぉー? へっへーん、どーよ!」
「調子に乗るな!馬鹿!」

苦笑してバンと背中を叩いて移動するシンの手が離れ行く様が、スローモーションのように眼に留る。


──あの手は、私のモノじゃない。いつか手放さなきゃいけないんだよね?


ズキンと痛む胸元で、手に残るぬくもりを確かめるように両手を合わせながら、切な気にシンの背中を見つめる。トクトクと高鳴る胸の音に本音を見た気がして、チェギョンは益々混乱した。





ヒュルルル… ドドーーン  パラパラパラ…



パーティーのフィナーレを彩る花火の音に誘われて、歓声を上げる雑踏に紛れ、チェギョンは物思いに耽りながら、ぼんやりとテラスへ向かう。
夜空に咲く幾つもの大輪の炎の華は、一瞬、眼が眩む程煌めき、瞬く間に煙に変わる。
だからこそ、儚く美しい。

「わぁ、キレイ…!」

──踊ってる間は、私だけがその瞳に映ったかもしれない。

でも、この花火みたいにそれは一瞬の夢かも?
人の心は移ろい易いもの。期待しちゃダメ。
でも、それでも…あんなズルいサイテー野郎なのに、大嫌いになりたいのに…
どうしよー、これってやっぱり…私…

否定する様にプルプルと頭を振って、妙にひんやりする足元に視線を落とすと、片足が素足だった。
ぼんやりしている間に何処かで靴が脱げてしまったことに、しまった!と慌てふためく。

「…あわわっ、靴がっ!」

最後の最後に粗相をしてしまい、オロオロと周囲を探す彼女から、少し離れた場所にパンプスは転がっていた。
それに気が付き、どうしようと思案する中、見覚えのある大きな手が、ひょいっと靴を拾い上げた。

「あっ」

パンプスを手に、おとぎ話の王子様宜しく腰を屈めゆっくりと近付き、
そっと彼女の前に跪く彼は、紛れもない本物の皇子様のシンだった。
やさしい手つきでパンプスを御手ずから履かせる。
細い足首に触れた瞬間、シンはゾクッと身震いした。

──触れてはならないと解っていた。

再び触れれば、如何にかなってしまいそうだと、本能的に俺は危惧していた筈。だのに…


触れたシンの掌の温度が火柱のように熱くて、チェギョンの胸はドクンと音を立てる。

──ぁ、ヤダッまたその瞳。ズルイ、よ…

爪先のリボンの形をそっと整えて優雅に顔を上げたシンの眼差しは、あの夜と同じようにやさしい色を
していて、彼女の心を激しく揺さぶった。


──ったく、お転婆め。

そういえば…最近あの声聴こえないな?何時からだ?
おいおい、待てよ!イ・シン。お前、そんなにこいつのことばかり考えてるのか?
違う!そんな筈ない…如何かしている。
じゃあこの胸に渦巻く言葉では表現出来ない感情は何だ?
触れた瞬間に湧き上がる衝動と甘い疼き。腕の中に誂えたように馴染む体温。
ユルが傍に居るだけで苛立ち、独占欲剥き出しの怒りが爆発する。
こいつの笑顔も、触れて良いのも俺だけだ!
なぁ、如何でもいい筈なのに、何故こんなに気になって仕方ないんだ?


──ねぇ、これってもしかして…
──おい、これってまさか…



『…Perhaps Love?』



微笑ましい光景に拍手が上がる中、加速度を上げる二人の高鳴る鼓動のように劈く爆音が空に木霊す。
今夜最大級の花火が、次々と一斉に上がり幾つも華開いて行く。

夜空に舞い降る七色に煌めく華を背に、
シンとチェギョンは、揺れる瞳を大きく見開いたまま、時が止まったように見つめ合った。
イメージ 1


★ネタバレ成分アリです!必ず最終話までお読み頂いてから、下記をご覧下さいませ★


本日、1月28日の最終話更新を持ちまして、
宮2次創作リレー『星観恋愛主義』、無事、ファイナルを迎えました。( ゚∀゚ノノ゙パチパチパチパチ
短くも長い2週間。早朝・深夜の更新に、あたたかくお付き合いいただいたみなさま、
本当にありがとうございました!!


はぅぅーーー・・・ホントに終ったんだよねー?
というのが、今の率直な気持ちで、なんだかまだ夢みたいで実感が湧きません(*´ー`)=з


第7話の更新案内でも触れましたが、思えば…
このリレーのお話をチングchouxちゃんより頂いたのは、まだ私が連載をしていた頃'09年冬のこと
でした。その後、構想から執筆・公開まで1年という長い期間になりましたが、終ってみれば、
本当にアッと云う間の1年だったなーって感慨深く思います。
初パラレル・初リレーという初めてづくしのこの作品への期待と不安は大きく、思い入れもとても
深かったのですが、丁度、ココロが折れていた頃で、本当に書けるんだろうか?いいの?などと、
様々な感情に押しつぶされそうな状態での参加となりました。

とにかく1つの作品をみんなで創り上げる為のパズルのピースになるべく、メンバーの皆様の
ご迷惑にならないよう只管、バトンを繋ぐことだけに集中して暑い夏に執筆を始めたそんなとき…。
悩む私に、優しく手を差し伸べてくれたのはメンバーであり心強いチングでした。
特に前後走者のお二人とミーティングを重ね、あれこれ苦楽を共にし、互いにリンクし合って
クリエイトしたこの3パートにおいては『リレー』というよりも『合作』だと思っています。^^
この場を借りて御礼させて下さい。chouxさん、りんりんさん、本当に本当にありがとう!!
また、ちびけんさん、すうちゃん★さん、ごもらさん、それぞれの個性を最大限に活かして、
盛り上げて下さったこと、過酷な状況で感動的なオーラスを飾って下さったあじさいまあくさん、
みんな、みんな、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
このお話は、私にとってハードルの高い大きなチャレンジになりましたし、自分一人では絶対に
書き上げられなかったと思います。それに、いろんな面で本当に沢山勉強にもなりました。
ありがとう。ありがとう。ありがとう!!!みんなLΟVЁデス❤ヽ(*´ω`)


そして、拙い私のお話に、たくさんのあたたかなコメントや、傑作ポチ、この話をきっかけに、
新たにファンポチして頂きご挨拶を下さった皆様、本当にありがとうございました!!
すごく、嬉しかったです。ゲスブの方のお返事は、1年分滞っているリコメと合わせて、順次
させて頂こうと思っておりますので、どうか気長にお待ち頂ければ幸いです。m(;_;)mミアネヨー!!



今回、畏れ多くもTOPイメージと各話ラインバナーも担当させて頂いたのですが、
公開間近でバタバタの準備中に、Supervisorのchouxさんと、メンバーのストーリープロットを
交えて、タイトルからコンセプトイメージを膨らませて、あのサジンが出来上がりました♪^^
いつもイマジネーション溢れるArtworkの、大好きな彼女とヘッポコな私kilalaの合作。
こちらも大変貴重なコラボとなり、私にとって最高に素敵な想い出になりました❤ 本当にありがとー!
(chouxちゃんファンのみなさま、ホントごめんなさい。スッスミマセン!!(。_。;(゚д゚;)ペコペコ...)

今日未明、過酷な状況の中で持てる全てをもって紡いで下さった、あじーさんの最終章。
素晴らしいエンディングシーンを読んで涙し、しゅーちゃんからのエンドロールのプレゼントに
しばし放心状態の私は、最後にナニカ御礼をしたい!と思い立って、↑のイメージ画像を作りました。
あのエンディグシーンから、未来に希望を託してTOPと対になるといいなって思ったんですけど…
あれ? (´゚艸゚)ブッ   ……E.T.ぽいっ! 。゚Σ(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャヒャヒャ
ぶはっ。みあん!まぁその…シンチェも上手く行ったことだし、
『宇宙征服を目指して!アジャ!』ということでメンバーのみんな受け取ってね❤

サプライズ、驚いてくれたかなー??(*´艸`)ドキドキ




最後に改めまして・・・
連日の早朝・深夜の更新に、あたたかくお付き合いいただいたみなさま。
へこたれそうな時に、いつもやさしくあたたかく支えてくれたチング。
そして、このメンバーでコラボするのは最初で最後になるだろう『TEAM星観恋愛主義』の皆様。
どうか、至らぬ点ばかりの未熟な私をお許し下さい。


本当に本当にありがとうございました。。・゚・(´人`) ・゚・。



『星観恋愛主義』は本日で終わりますが、常時公開中ですので、
気が向いた時にふらりと何度でも、天体観測のランデヴーを、お楽しみ下さいませ♡



ふわぁーーーーーっ(;´ω`)=3
気が緩んで、気力も体力も使い果たしちゃったみたいデス。
抜け殻状態突入の為、私はまたモソモソとパワー充電の冬眠に戻ります。(。´Д⊂) ユルシテネッ☆
ではでは、またの機会にお会いいたしましょう。


With all my LOVE..... 。(*´ω`)ノ・*:.。.❤

イメージ 2



テンキューーーーッ♪

❤Special thanks to mi-wana & my friends!!❤



2011.01.28. kilala拝




《Image Artwork & Design : kilala》
ーJPG Credit:Goong DVD,JUGAL,YOONEUNYEGAL,GooglePhotoよりリアレンジー
 [Goong궁] (C)2006 Eight Peaks/MBC All Rights Reserved.

全1ページ

[1]


.

ブログバナー

kilala
kilala
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
お米、お肉などの好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事