|
なんだか、私は変な人に会いやすいというのが定着しつつあるんだけど、それをさらに確定させるかの
ような変な体験を……。
あれは、大学を卒業してちょうど1年と1日経った日。
1年後輩の子たちの卒業式の翌日早朝のこと。(19○○年、3月16日です)
前日、サークルの同窓生から誘われて後輩たちの卒業記念の飲み会に行き、朝まで飲み明かしての朝帰り
の途中の出来事だった。
始発の電車を降りて、まだ薄暗い不○通りをアパートに帰るべくヒールを響かせながら歩いていた私。
(その頃は普通のOLっぽい格好をしてた)
家まで徒歩10分の道のりの途中で、ふと気配を感じて左に目をやると、そこの民家の玄関先に腰掛けた
若い男の子が見えた。
「ん? なんだ? こいつ! 追いはぎ?(てか、強盗?)獲物物色中とか? やばっ! 明るいとこ
まで急ごう!」
そう思って、でも、あからさまに急ぐのも怖いからこころもち早足になった私。その1分後、なんで走り
出さなかったかと後悔する羽目になるとも知らずに……!
すぐに、足音が自分のものだけではないことに気がついて、こわごわと斜め後ろを振り返ったら……
1、2メートルの距離に、さっきの男の子が迫っていた。
と、同時に、「ねえ……」と話しかけられていた。
怖い! 何、何? なんの用だよ〜!
と思いながら、顔は平静を装いつつ、「はい?」と答えていた。でも、足をとめることなく。
そうしたら「すいませんけど、10分だけ一緒にいてもらえませんか?」と弱々しくその男の子は言う。
は? なんのために? どういうこと? これナンパ? ?????????
といぶかしがっている私にもう一度「すごく寒いんです。お願いです。10分だけ……!」
そういってその男の子は私の腕をつかんだ。(!)
ひぇ〜っと思ったけれど、やっぱり普通の顔して「あ〜、いや、それは無理です」と私は言った。
そうしたら、その男の子はこともあろうか「ぼく、シャブ中なんです。今、薬が切れてきていてすっごく
寒いんです。何もしません。ただ一緒にいてくれるだけでいいんです。ほんの10分だけ……! お願い
します」と、のたまった。
シャブ中と言われて「あぁ、じゃあ一緒にいましょうか?」って言う人がいったいどこにいるんだよ〜と
思いながらも、その子をよく見ると、確かに青白い顔をしてる。
フェイクレザーの茶色いジャンパーの下は白いTシャツ1枚きりのようで、これはシャブが切れた人じゃ
なくても寒いんでないか?
心細そうにしているその子を見てたら、ちょっとだけお節介の虫が疼いてきた。
「あの〜、こんな冬の朝早くに、そんな格好してたら寒いに決まってますよ。おうちは? どこ?」
まるで、迷子の子どもに尋ねるように聞いていた私。
「遠い」男の子もまるで子どものように答える。
「お金は? 持ってる? 住所くらいわかんないわけないよね? おうちに帰ったほうがいい! もう
電車動いてるよ。ここまではどうやって来たの? ちゃんとおうち帰って、お風呂であったまって、
お布団入って寝なさい!」
「……うちには帰れない……」
「どうして? 親は? 心配してるよ。帰りな! ね!?」
「……10分だけ……どうしても駄目?」
……ん〜……どうしよう! コンビニであったかいものでも飲ませてあげようか? でも、そこまで
行くとアパートは目と鼻の先だし……アパートがばれるのだけはヤバイだろうなぁ……悪い子じゃない
みたいだけど……といろいろ逡巡する私。(シャブをやってるという子が悪い子に思えないってのも変
だけど)
「お願い……!」
そう言われてもなぁ……。で、私は「10分ってさあ、さっきから数えるともう10分くらいたってる
よ。私、ちゃんと一緒にいたじゃない、ね? あともう10分居てほしいの? だけど、こんな寒いとこ
にず〜っと一緒に居てもしょうがない。そろそろおうちに帰ろう? ね?」そう言った。
すると、その男の子は「やっぱり駄目? そうかぁ、わかった。ありがとう。一緒に居てくれて。じゃあ
ぼく、行くよ」そういって来たほうへ去っていった。
けっこうあっけなかった。あれ? 行っちゃったけど、大丈夫? って思ってしまった。
その後、やっぱりちょっと恐かったので近くのコンビニで30分くらい時間を潰し、知ってる顔の店員
さんに表を見てきてもらってから、アパートに帰った私だった。
………………
あの男の子、あのあと家に帰ったのかな? それとも、また私みたいな人をつかまえて10分一緒にいた
のかな? はたまた友達の家にでも転がり込んだか……。……今はどうしているんだろ。
知りようがないことだけど、思い出すと考えてしまう。
シャブ、ちゃんとやめられてればいいんだけどな。
……そんなこともありました。
ほんとに変な人に遭遇しやすいらぶらぶです。また、てんとう虫さんに呆れられるかな?
|