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146国立病院で治療費不払い46億円、9割が生活困窮

 全国の医療機関で患者の医療費滞納が問題化する中、独立行政法人「国立病院機構」が経営する全国146の病院でも、患者が支払わない治療費(未収金)の残高が今年1月末で約46億4000万円に上っていることがわかった。

 滞納理由の9割以上が「生活困窮」といい、同機構では「経済格差拡大の影響が大きい」と分析しているが、「払えるのに払わない人もいる」とも指摘している。

 昨年度は約9億円が時効で回収不能になるなど病院経営の圧迫要因となっているため、同機構では、訴訟を起こすなどして回収に努めているが、思うような効果は上がっていない。

 同機構によると、1月末の未収金残高約46億4000万円のうち、1年以上未払いの未収金は約27億1000万円。未収金は3年で支払いの時効を迎えるが、2005年度は8億5700万円、06年度は9億300万円が時効を迎え、回収不能となった。

 滞納の理由を、同機構が昨年4月〜今年1月に発生した未収金について分析したところ、「生活困窮」が92・3%で最も多く、「保険未加入(外国人も含む)」が4・7%、「診療上のトラブル」1・8%と続いた。「生活困窮」の増加が全体の未収金額を押し上げているが、中には払う資力があるのに支払わないケースも含まれているという。

 同機構は昨年2月、未収金回収のためのマニュアルを作成し、支払い能力のある人に対しては、訴訟や裁判所への支払い督促の申し立てなどの法的措置も積極的に活用するよう各病院に指導している。

 こうした状況を受け、今年2月末までに同機構の病院が起こした未収金請求の訴訟(少額訴訟も含む)は30件に達し、計約300万円を回収した。同機構の佐生啓吾・業務指導係長は「出廷しない患者もいるため、(勝訴後に)給与差し押さえなどの強制執行に踏み切ったケースもある。しかし、勤務先などがわからないケースはお手上げ」と話す。勝訴したにもかかわらず回収できない未収金は約180万円に上るという。

 一方、都立病院で滞納が1年以上に及ぶ未収金残高も昨年度は約9億2700万円に上ることがわかった。都でも、未収金となった理由の半数以上が「経済的困窮」としており、中で目立つ事例として〈1〉現在は生活保護を受給しているが、受給開始前の部分が未収になっている〈2〉自己破産を申し立て、免責決定を受けた――などを挙げている。

 未収金増加の要因には、サラリーマン本人が3割負担になるなど医療費の自己負担率が上昇したことや、低所得者層の増加が挙げられている。6割以上の病院が加盟する四病院団体協議会の調査では、加盟5570病院の未収金は04年度までの3年間で、853億円以上と推計されている。

 このため、これまでは医療機関の自助努力に任せていた厚生労働省も、6月から検討会を設置して対策を練り始めた。同省の神田裕二・国民健康保険課長は「経済的な問題、支払えるのに支払いを拒否するモラルの問題、患者を待たせたり、必要のない検査をしたりして患者とトラブルになるなど病院側の運営上の問題と、未収金の原因は様々」とした上で、「それぞれの事情に応じたきめ細かい対策が必要」と話している。
(2007年8月10日3時4分 読売新聞)より転載

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