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ワーキング プア(working poor)は、正社員並みにフルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護水準以下の収入しか得られない就業者のこと。直訳では「働く貧者」だが、働く貧困層と解釈される。アメリカなどにおいては、失業者ではなく就業していることから、失業問題としては把握されていないものの、その賃金水準が低く、また技能の向上や職業上の地位の向上の可能性が低いことから隠れた労働問題として捉えられている。
ここでは主に日本におけるワーキングプアを説明する。
ワーキングプアにあたる所得の世帯数は、日本全国で700万ほどと推定され、深刻な社会問題になりつつある。
その要因
バブル経済の崩壊以降、企業は「国際競争のなかにおいて競争力の維持向上を図るため」と称して、コストの削減に注力した。このことは国際競争のある輸出企業だけでなく、内需専門のサービス業でも同様だった。手厚い待遇で雇用される正社員の採用を抑制することによって人員を減らす一方、アルバイトやパート、契約社員、派遣社員など非正規雇用の割合を増やすことによって、総人件費の抑制を図ってきた。 (2003年6月4日、労働法制の規制緩和で、有期雇用の期間延長・対象拡大の法改正が行われた。)
特に、大企業の製造現場においては請負、派遣が広がっていった(2006年には偽装請負が告発された)。こうした傾向は、いわば構造的なものといえ、景気の回復期になっても、極力非正規雇用によってまかなおうとする傾向がある。その意味では景気が回復すれば、自然に解消する問題とは言いがたい。
商業・サービス業においてはもともと非正規雇用の割合が高いが、コンビニエンスストアにみられるように企業間のサービス競争の中で深夜労働など低賃金かつ過酷な勤務も増えてきた。
仮に正職員に就いていても、30歳代を過ぎてから「自分に向いていない」という自発的な離職、あるいは倒産やリストラなどの非自発的離職でいったん失業すると、特別な技能や国家資格などがあるか、即戦力となれるだけの経験・技量がある場合を除き、なかなか定職に就けない場合が多い。派遣・アルバイト等の経験しかない場合、キャリアとはみなされない傾向が強く、正規職員登用への道は極めて狭い。
また、非正規雇用の場合は、スキルアップのための研修の機会にも恵まれない場合が多い。加えて、休暇、健康保険・労働保険・年金、福利厚生などの条件が一般には正規職員ほど整ってはおらず、その意味では正規職員ほど企業から庇護されていない。そもそも年金や保険を掛けられるほど報酬も得ていない場合もある。請負や派遣などにおいてはなおさらである。このため、過酷な労働条件には付き物の疾病、事故等の場合には社会保障は満足に受ける事は難しくなりつつある。しかも、その病気やケガを理由に非正規労働者を解雇するという企業も存在している。
日本共産党など一部の野党はこのような実態は明確な労働基準法違反であるとして抗議している。
ワーキングプアの増加の背景には、こうした現代日本の厳しい雇用構造が関係しているものと考えられている。
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