美男ですね その後の話☆

韓国ドラマ 美男ですね のその後など書いてみました

美男ですね その後

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「美男ですね」のその後に、アフリカに行こうとしたミニョが事故にあい、記憶を失い、シヌが看病をするところから始まるお話です。ややシリアス?
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「シヌさん、これこれ。今日はこういうのどうですか?」
ミニョが何か手にして戻ってきた。でも、なんだかミニョの口にした言葉がうまくシヌの耳を通り抜けて行かなかった。
耳の手前でぽろぽろとこぼれてしまうような気がした。
「これでもダメなら、やっぱりカレーとか?」
「俺は…なんでもいいよ。簡単なのでいいから、ミニョのセンスにまかせる」
「じゃあ、やっぱりチゲかなぁ…」

ミニョを想う時、いつもテギョンの姿がちらつく。
俺がミニョを幸せにするわけにはいかないのか…。
いつもなら思わないことなのに、今はなぜかそればかり頭をよぎる。

「シヌさん、なんだか様子が変ですね。具合でも悪いんですか」
ミニョが不安げな表情で近づいてきた。
「ああ…なんでもないと思っていたけど、自分で思うより疲れているのかもしれないな」
「じゃあ、体に良さそうで体力の付きそうなメニューにしますね。あそこに座っていてください。
 私一人で買い物できますから」
とミニョは壁沿いに置かれたソファーを指さした。
「いや、大丈夫だ。そんなに…」
「だめですって。いつもシヌさんが私を助けてくれるんだから、今回は私が役に立ちます」
とソファーの方へシヌを連れて行こうと腕をつかんだミニョは、
シヌから不意に抱きしめられて言葉を失い、息苦しさを感じた。
「シ、シヌさん?」
「…ミニョ。ミニョが来てくれるまでは大丈夫なつもりでいたけど、そうでもなかったみたいだ」
「つ…疲れがたまってるんですね?」
心臓がドキドキする上、強く抱きしめられて苦しむミニョは、シヌさんはレコーディングで無理したんだなと思った。
「じゃあ、は、早くソファーに」
「…ああ。そうするよ。でも一人で行けるから」

そう言って、シヌはゆっくり腕をほどくと、いつものようにポンポン、とミニョの頭を叩いて、
「悪かったな。ミニョも無理するなよ。料理なんて手抜きで構わないから、早くスタジオへ戻ろう」
とソファーに向かった。その背中にミニョが言った。
「そうですね。早く戻った方がいいですから急ぎます。待っててくださいね」

シヌはソファーからボンヤリとミニョの動きを目で追っている。
ずっと思っていた…。記憶を失った場合、過去をそのまま取り戻すことが一番幸せなのか、と。
新しくすべてをやり直してはダメなのか。過去と違う人生を選び取っては幸せになれないのか…。
事故の前にテギョンを愛していたなら、記憶を失くしても、またテギョンを選ぶ人生に戻してあげるべきなのか。

崩れた積み木を元に戻すように、何もかも前のとおりにするべきなのか。
でも元通りにしたつもりでも、少しずつ何かが多分違っているはずだ。そうしたら、もしかして
出来上がるものは少しずつ変わってくるのかもしれない。

事故から時間が経って、ミニョが落ち着いて暮らし始めたとき、以前の記憶が取り戻せないまま放っておいたら、
もしかしたらテギョンではない別の人を愛するかもしれない。
そのとき、違う、あなたが愛するのはテギョンなのだ、と過去の道すじに戻してあげるのが、
正しいことなんだろうか?そう思うのは…自分の勝手な願望ゆえか…?

「シヌさん。具合悪そうですけど、大丈夫ですか?早く帰りましょう」
ミニョが買い物を急いで済ませて戻ってきた。
「急がせて悪かった。そんなたいそうなことじゃないんだけどね」
「運転はできますか?」
「それは大丈夫だから、心配するな」
「はい。でも気を付けてくださいね」

さっきケーキをシヌさんに食べさせたとき、何か懐かしいような気がしたのはなんだろう。
ミニョはぼうっと考えていた。シヌさんはなんで私のこと抱きしめたりなんかしたんだろう?
テギョンさんという人がありながら…ドキドキしたりシヌさんに懐かしさを覚えて近寄りたくなるなんて
私はどうしてしまったんだろう。なんでシヌさんにスプーンを向けたとき、懐かしい気がしたのかな…。

複雑な思いをそれぞれ抱えながら、二人はスタジオに戻っていくのだった。

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「シヌさん、スーパー着きましたね」
何を買おうかとわくわくしているミニョを見て、シヌは思わず笑った。
「…何か変ですか、私?」
「いや、楽しそうだなって思って。まだスーパーの駐車場に降り立ってもいないのに、 こんなに盛り上がれるなんて」
「だって…こんな買い物久しぶりだし…」
不意に恥ずかしくなったミニョが口ごもると、シヌはミニョの頭をクシャッと撫でた。
「いいんだよ。楽しそうでいいなって思っただけだよ」

スーパーへ一歩踏み込むと、明るい店内を見上げ、ずらりと並んだ生鮮食料品から花、日用品を見て、ミニョは目を輝かせた。
その様子を見て、シヌは思い出していた。
いつかもこんなことがあったったっけ。ジェルミの提案で皆で買い物に行ってふざけて…。
あれは楽しかったな。ミニョがとてもいい笑顔で笑ってた。
そしてカートがぶつかりそうになったところを、俺が助けて…でもミニョは、テギョンに何か言いたげだった。
二人の間に特別な会話はなかったけど、テギョンとミニョの間には何かありそうな予感が、あの時していた…。

「シヌさーん」
ミニョが手を振って向こうから呼んでいた。シヌは過去の回想からふっと現実に戻された。
「これおいしそうですよ〜」
あの時と何も変わらない笑顔だ。いろいろあったけど…ミニョは変わってない。
あのときと同じ、素直で生真面目で、ちょっと抜けてて憎めない、そんなミニョのままだ。
何があろうと、そんなミニョが愛しい…その気持ちは変わらない。
ミニョが誰かとうまくいこうと、遠く離れようと、お互いに別の人と幸せになったとしても…。
そんな気がする。俺にとってはミニョはそんな人だと最近思うようになった。

ミニョが事故に遭うまでは、ミニョへの想いを無理やりあきらめなきゃと思ってた。
一緒にいられない人をいつまでも思っているのは、お互いにいいことにならないと考えて、そう努力した。
あのまま時間が過ぎれば、確かに少しずつミニョへの想いを忘れ去ることもできたのかもしれない。
でも、そうなる前にミニョは事故に遭い、俺は再確認したんだ…。

自分のものになるとかならないとか、そんなことより、ミニョが泣いたり笑ったりしながら、
どこかで幸せに生きていてくれたら、それでいいじゃないかとそう思えたのだった。
病院でミニョの不安げな様子や、事故のときの後遺症で何もかも失ってしまったような悲しみを見たら、
ミニョを幸せにするのが自分かどうかとか、そんな小さなことはどうでもよく思えた。
ただミニョを元通りの笑顔のかわいい、天然で憎めない一人の女性に戻したかった。
普通の幸せを取り戻してあげたかった。

それが今は一応叶ったんだから…多くは望まずにいよう。そう思う。
病院で付き添っていた間だけは、自分こそが彼女を幸せにしていると、そう思えた。
実際自分にできる限りのことは全てして、その点で悔いはなかった。

…なのに、不意に胸が苦しくなる。
距離を置いて、ミニョが病院にいた頃の記憶を忘れられるようにと無理やり努力して、
うまくやりきったはずだった。大人として、うまく対処できたつもりでいた。
それなのに…。

「シヌさん、もしかして、セロリ嫌いなんですか?」
「え?」
表情の硬いシヌを見て、ミニョは勘違いしたらしかった。
「好き嫌いはダメですよ。あ、でも今日は別の野菜にしておきますね。
 レコーディングは楽しい気分でしないと、ダメですから」
「ありがとう。そうだな。楽しく仕事して、いい作品にしよう」
「はいっ♪じゃあ、何にしようかな〜」

再び鼻歌まじりに食材探しの旅に出たミニョを見ながら、いま頭を撫でたら、そのまま抱きしめてしまいそうで、手を握りしめた。
「ミニョ…」
さっき、あのスタジオでミニョからケーキを一口もらったとき、思い出してしまった…。
病院にいた頃、シヌがおかゆをスプーンで口に運ぶところから始めて、ミニョが一人で食事ができるようになるまで、毎日付きっきりで面倒を見たこと。
少しずつおかゆから普通のご飯に進めていく中で、まるで赤ん坊のように、自分だけをまっすぐに見つめて、信じて、すがってくるミニョの眼差し、あの笑顔。
いつも自分ばかり食べさせてもらっていたから、とあるときシヌに一口スプーンで食べさせてくれたこと。

もうずいぶん経つのに、ついさっきあったことのように思い出されて、この手を放したくない、と思ってしまった。
自分ががんばってあの笑顔を取り戻したのに、またそれを手放さなきゃいけないなんて。
押さえこんでいた本当の自分が、心の隅で叫んでいた。それでいいのか、と。

そして、ケーキを一口くれたとき、ミニョが一瞬見せた表情。
自分と同じように、何かを思い出したんじゃないかと期待してしまう。
思い出したら、ミニョが自分のもとに来るのか。それはわからない。
それでも。
思い出してくれたなら…何かが変わるんじゃないかと…本当はそんな期待をすべきではないのかもしれないけど、
期待している気持ちを、今の自分は否定できない。
俺は、事故の後遺症(PTSD)を恐れてミニョに事故後のことを忘れさせるより、
思い出してもらいたかった。忘れてほしくなかったんだ…あの1か月のことを。本当は。
それがミニョにとっては辛いことかもしれないと知りながらも、どこかでそう願っていた。

自分の気持ちを最後までごまかし切れなかった。
ミニョの笑顔と、変わらない優しさに触れ、病院で過ごした時間のことを思い出してしまったら。
…でも俺は間違っているのかもしれない。医者は忘れさせるようにと言ったのだ。
余計な記憶は邪魔なだけだし、事故の記憶は再び恐怖を思い出させるかもしれないと。
それを知りながらも、勝手な願いを抱えている俺は、ひどい人間だろうか…。

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「あれ、今日シヌヒョンは?」
ジェルミがリビングでテレビを見ながら、ふと目の前を横切ったテギョンに聞いた。
「さあな。俺がそんなこと知るか。それより、あいつはどこいった?」
「え?…ああ、ミニョならなんか友達の家にお泊りだって」
「泊まり?」
今までなかったことだけに、気になったテギョンは険しい顔で聞き返した。
「ミナムがそう言ってたよ。修道院の時の友達から誘われて泊まりに行ったって」
シヌがいないのはともかく、あいつまでいないのか。友達の話は聞いた覚えがないが…今度聞いてみよう。

「せっかく静かに過ごせる状況なのに…お前がいるんじゃな」
ミニョに声をかけようとわざわざ降りてきたのに、と空振りしたテギョンはすっきりしない気分で自室へ戻って行った。
「え〜。テギョン兄貴〜二人きりなんだから仲良くしようよ〜」
とジェルミはテギョンを追って階段を上って行ったが、バタンという音とともにドアを目の前で閉められてすごすごとまた降りてきた。
「なんだよ…俺とも仲良くしようよ。めったにない機会なのに」


ミナムはいつも自分のペースで勝手に動くし、あとからやってきただけに、他のメンバーたちはあまり気に留めていなかった。
ミナム自身その方が気楽でいいと、あえて行き場所も言わずによく出かけていた。
そして出かけたらA.N.JELLのこと、仕事のことは忘れて好きなように過ごすのだった。
ただ、今日だけはたった一人の肉親ともいえるミニョのことが気になった。
「レコーディングは順調に進んでるかな。ま、オオカミ犬もついてることだし、大丈夫だろ」
オオカミって実は情に厚いっていうからな、とミナムは一人で納得していた。
シヌがいればあんな山奥で何が起こったにしても、心配ないだろう。
こうやってミニョのことを任されてしまったら、シヌもオオカミにはなりようがないだろうし、とミナムは意味ありげに微笑んだ。ま、他の二人は気づかれないようにしないとな。うまいいいわけでも考えておこう。
鼻歌を歌いながらミナムはバイクで街中へ出かけて行った。

そのころ人のいいオオカミ犬は、ケーキの甘さのようにふと訪れた幸せな気分に浸っていた。
ミニョと二人でケーキ食べてるなんて、夢でも見てるようだな。シヌはふっと笑った。
ミニョが入院してた時はケーキなんて状況じゃなかったから、退院間際に少し食べたくらいか…。

最初に病室を訪れて、点滴をされたまま静かに眠っているミニョを見たときの気持ちは言葉に表しがたかった。
ただ、胸を締め付けられる思いがしたのだった。笑顔で出かけて言ったミニョが、光のせいなのか
青白く見える顔で眠っていて、病室はどこもかしこも真っ白で、なんとなくシヌは不安な気持ちになっていた。
あんなシーンは思い出したくない…。

がちゃりと音がして、ミニョが新しくお茶を淹れなおしてきた。
「これを飲んで一息ついたら、また始めましょうか」
「…そうだな」
顔色もよく、笑顔も着ている服の色も明るくて、さっきまで思い出していた記憶とはまるで違うミニョに
シヌはほっとして、つい抱きしめてしまいそうな気分だった。
良かったな…ほんとに。ちゃんとここへ、みんなのところへ戻ってこれて。

「シヌさん?」
「ミニョの入れてくれたお茶をよーく味わおうと思ってね。色と香りから味までね」
「そんなこと言われると緊張します…もっと気楽に飲んでください」
くすっと笑ったシヌは「心配ないよ。ほんとにおいしいから」と優しい目をミニョに向けた。
「ほんとのほんとに?」
「ダメだったらなんてお世辞言おうかと思ってたけど、そんな必要なかったよ」
お世辞なんて、とミニョはちょっと口をすぼめたが、すぐに「じゃあ、ほんとにシヌさんのOKが出たんですね」
と笑顔になった。
「うん、言うことない」

暮れていく窓の外を見ながら無駄話をあれこれしたあとに、仕事に戻り、ミニョのコーラスについて話し合った。

「そういえば、俺だけのつもりだったから何も置いてないな。食材を揃えに行くか」
「近くにスーパーが?」
「近くじゃないけど車で行けばそう遠くない」
「じゃあ、さっそく行きましょう。作る時間もあるから、思い立ったら出発です」
「…そうだな」

なんだか避暑地に来たカップルみたいだな。うっかりすると仕事を忘れてしまいそうだ。
シヌには珍しく、スーパーへ向かう用意を始めた途端、音楽のことが頭からすっかり消えた。
ただ買い物を楽しみに目を輝かせるミニョを見守りながら微笑むシヌの姿があった。
「何を買いましょうか?」
「そうだな…」

こうして元気になったミニョと一緒になんでもない時間が過ごせること…それだけで幸せなんだ。
あの頃、病院で願ったことは今こうして叶ってるのに、人は幸せに慣れてしまうものなんだな。
もっともっと幸せになりたいと欲が出て…。
テギョンと出かけていくミニョをふと見かけたときに感じる切なさ。
ジェルミとだってミニョは出かけるときがあるし、俺自身ミニョと行動することもある。
それでも、とシヌは思った。それは同じことじゃない。
ミニョが少しずつ昔のことを思い出したのか、テギョンと出かけた日の翌日はなんとなく浮かれているし
表情も明るくなってきた気がする。

時折ふっと病院にいた頃のミニョに比べたら…、とつい思ってしまう自分がいる。
自分が懸命に世話をして取り戻したミニョの笑顔と歩き回れる健康な姿。
それだけだって十分幸せなはずじゃないか。
ミニョのために曲を作っては歌い、病院の庭を散歩して…。
幸せな思い出、いや、時間をミニョはたくさんくれたのだった。決して忘れることのできない、優しい時間。
それをしっかりと刻んでおくために今日は来てもらったんだから、あれこれ考えずに、ただこの笑顔を、二人だけの時間をひとつひとつ、丁寧にしまおう。今回のアルバムの中に…。

いつも優しいシヌさんの目の中に時々何か、よぎるものがある。
なんだかわからないけど、切ないような、寂しそうな…。
何かが見え隠れしている気がして、ミニョは少し気がかりだった。
何かあったんだろうか。シヌさんは人のことばかり心配して、自分のことは言わないから…。

それぞれの想いを抱えたまま、にぎやかな会話ははずんで、車はスーパーの駐車場に近づいていた。
シヌがドアを開けると、ミニョがケーキの箱を手にしていた。
「おいしいお茶にはケーキだなと思って買っておいたんです」とニコニコするのを見て、シヌもつられて笑った。
「幸せそうだな」
「だって、シヌさんのお茶が飲めるんだし、おいしいケーキもあれば、当然じゃないですか」
その笑顔に嘘はなかった。
そう…いつもミニョは野に咲く花のように、あるがままそこにいるだけなのに、目を離せなくなる。
何気ないしぐさや言葉の一つ一つが、なぜかキラキラして見える。
それだけで自然と幸せな気分になるんだ…。シヌは懐かしむようにミニョを見つめていた。

「これがシヌさんので、私はこっちのケーキにしましたけど、構いませんか?」
「いいよ。どっちでも」
ふふん〜と鼻歌まじりにミニョはケーキの乗った皿を並べている。
「じゃあ食べようか、せっかくだから」
「はい」

そう言ってニコニコするのに、シヌが一口食べようとするのをミニョがじっと見ていた。
「…食べないの?」
「食べます。ただ…シヌさんのもおいしそうだなって」
シヌは手を止めた。「気が利かなくて悪かったな。味見するか?」
「いいんですか〜。やっぱりシヌさんは優しいな」
こぼれてしまいそうな笑顔で、ミニョがシヌの差し出したケーキの一口をぱくりと食べた。
「んん〜」

シヌは思わずわらってしまった。「ミナムにもこうやってもらってるのか?」
ケーキを味わい終わったミニョは、一段と幸せそうな顔で答えた。
「兄さんは、残ったら俺が食べるから、ってお皿ごとくれます」
予想以上の答えにシヌは苦笑した。ミナムは澄ました顔してるけど、妹にはケーキのように甘いな。
ベタ甘だ。そう思ったらおかしくて仕方がなかった。
A.N.JELL加入後はグループ内で一番人気だとテギョンをイライラさせてる、
優しくて、カリスマ性があって、明るくて素敵なミナムがね…。

「なにか私おかしいこと言いました?」
「いや、仲が良くて羨ましいと思っただけだよ」
「そうですか。あ、シヌさんも私のケーキ、味見しますか?」
無邪気にミニョがケーキを一口差し出してきた。
「まだ口つけてませんから、どうぞ」

特別食べたいわけでもなかったが、せっかくなのでシヌもパクリと食べた。
「おいしいでしょう?」
ミニョにうなづきながら、今更”間接キスになるぞ”なんて騒ぐ年頃でもないからな、とシヌは心の中でつぶやいた。

久しぶりにシヌが淹れた紅茶を味わいながら、ミニョは本当に天国にいるようです、と夢見心地だった。
「エンジェルの俺が淹れたんだからね」
「あ、じゃあ、天国のティータイムですね」
なんでもない会話がシヌには天国のように思えた。雲のずっと下にある下界の喧騒なんて聞こえない。
ミニョだけを目に映して、その声を聞いて、ただ一緒に笑っていたい。そんな気分だった。

「お皿とカップ片付けちゃいますね」
「ミニョ…いいよ。俺が」シヌが言い終わる前にミニョがお盆を持って立ち上がった。
「早くあの曲を歌いたいんです。ちょっと待っててくださいね」
ミニョは廊下に消えた後、歩きながら考えていた。
ケーキの味見をした時、シヌのスプーンから一口貰いながら、なぜか昔もこんなことがあった?と
不思議な気持ちがよぎったのだった。

なんでだろう。兄さんとならともかく、シヌさんから一口貰うなんてありえないのに…。
気のせいかな。
ミニョは洗い物をしながら考えていた。
シヌさんに聞けばいいことだけど、なんとなく聞きづらい。なんでかな。
別に恥ずかしいことでもないのに、変だな。ま、いいか。悩むほどのことじゃないよね。
気を取り直して、スキップしながらシヌのもとへと戻って行った。
「がんばるぞ〜」


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なかなか進まずもどかしいですが^^; 少しずつ何かが変わってきそうです…!?
「なんだ?」
「この曲のここはこんな風にしたらどうかと思って」とシヌが用意したデモテープを流しながら、ミニョが重ねるように歌をうたった。
モノクロの世界にそっと淡い色合いの絵の具で色を付けたように、曲が少し違って見えてきた。
雪に閉ざされた世界に温かく降り注ぐ日差しのようだ、とシヌは思った。
雪解けの水が流れ、新しい命の息吹が溶けかかった雪の下から見え始め、春の到来を感じる…。
シヌは不思議な気持ちになって、ぼんやりとミニョを見ていた。
「…合いませんか?」
「いや、そんなことないよ。すごく良かった」

ミニョの声には不思議な魅力がある、とあらためてシヌは思った。
歌い方にあれこれ工夫をしたり、他の楽器の音を加えなくても、ミニョの歌声を重ねるだけで曲が見違える。
一人きりで収録したデモテープの曲が、まるで二人で仲良く歌いながら録音したように温かなものに変わる。
二人で顔を見合わせながら笑顔でレコーディングしたように、優しく包んでくれる…。
ミニョの歌声の不思議な力に、思わずシヌはミニョをじっと見た。
「なんですか?」
「いい感じだ。この曲はミニョの歌声だけ重ねて、他の音は入れなくても十分だな」
「歌だけでいいんですか」
「その方がいい」
「じゃあ、コーラスで入る場所は…」
楽譜を手にして細かい打ち合わせになった。

「お茶が冷めちゃったな。新しく淹れなおそう」
「あ、私が」とミニョが立ち上がりかけた。
「俺にもやらせてくれよ。腕がなまるから」
ミニョは笑顔で「はい、じゃあ、お願いします」とカップをお盆に戻した。

新しくハーブティーを淹れながら、シヌは今回のレコーディングについて考えていた。
こんな風に二人だけで新しいものを作り出して残せるなんて、これはこれで幸せだ。
曲が売れたり、有名になったり、そういうこととは別に、ミュージシャンとして
作りたかった曲が思ったように出来上がっていく手ごたえがシヌはうれしかった。
CDを出すからには関係者としたら売れてほしいんだろうけれど、俺にとっては二の次だ。
二人の思い出をたて糸に、今の気持ちをよこ糸にして、美しい一枚の布を織りあげたい、そんな気持ちだ。
それが残れば、後から見るたびに思い出がよみがえり、幸せだった気持ちも思い出すだろう。
それだけでいい…この曲を聴いた人が同じように幸せになってくれればいい。
でも正直、今回のアルバムについては、それはおまけだ。
二人の記憶を、幸せだった思い出をそれぞれの曲に織り込んで残せれば、それだけでいい。
ミュージシャンとして、最初で最後のわがままだ…。

二人で何かをするのは、これで最後かもしれないけれど、ミニョが協力してくれたら、最高のものができるだろう。
それで俺は満足だ。こうして二人で作り上げていく時間そのものが、俺にとっては贈り物のようなものだし。
納得のいくものを作ろう。後悔しないためにも。

湯気の立つお茶を運びながらシヌは久々に幸せな気分を思い出していた。
まるであの頃のようだな。誰の邪魔も入らない時間が…束の間でも過ごせるとは思わなかったよ。
シヌは微笑みを浮かべながら、お茶を載せたお盆を持って戻って行った。

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