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写真 上から
この日の宿、ホテル ラ レディデンス
ソーヌ川にかかる吊り橋
フランス人は年齢に関係なくオシャレ
朝市で買い物をするご婦人
サン・ジャン通りにて
リヨンのヴィクトル・ユーゴー通りの南西角にホテルはありました。
昼間は大勢の人通りでごった返しているのに、日本と違ってどこでも夜になると、ひと
通りは全くなくなります。不気味なほどで、昼間の喧噪が嘘のようになります。
この日、ホテル ラ レディデンスの部屋は値段の割には広くておしゃれでした。
フロントでインターネット予約している旨を告げるとすぐにキーを渡してくれました。
ここリヨンは、第二次世界大戦時はレジスタンス活動の中心都市でした。でも、そんな
戦争の名残はトラブールで偲ぶことができる程度です。明るく美しい町です。
戦争は人類の繰り返しです。潰しては建てて、建てては潰す。戦争はその繰り返しでし
た。でもそんなことは遠い昔とばかりに、リヨンの街角は美しい中世の町でした。
戦争といえば、今後もう戦争が起こらないなんてことはあり得ません。現にいまでも世
界のどこかで戦争をやっています。日本だけはもう、日本だけは絶対に、戦争なんて、
と言い切ることができるのでしょうか。古来、人は同じことの繰り返しです。
毎日なんとなくやり過ごすからでしょうか。無責任な流れに流された結果、戦争だって
なんだってはじまってしまうのでしょうか。
毎日、そんなはずじゃない自分を生きているからなのでしょうか。戦争を起こさないホ
ントの今を生きれば戦争のない歴史がうまれるのでしょうか。
人はいつでも、わかっていながら同じことの繰り返し。そしてすぐに忘れてしまう。
ホテルの窓から暗い通りを見下ろしながら、何のために毎日同じことを繰り返すばかりな
のか、それからのつかの間の逃避が旅なのか、そんなことを考えました。
アルベール・カミユに『シーシュポスの神話』と言う本があります。
シーシュポスとは神様に背信した人間のことです。ある日、シーシュポスは死んであの
世へ行きました。ところがシーシュポスはどうしてもやり残したことを想い出して、なん
とか元の世に戻してほしいと神々に頼みました。神様にお願いを聞いてもらったシーシュ
ポスは、現世に戻って忘れ物を片付けたのですが、やはりなんといっても現世は居心地が
良くて神様との約束の期限が来てもとぼけて現世に居座り続けてしまいました。そしたら
神様が怒り出してシーシュポスを無理矢理あの世に連れ戻してきつく叱り、神様はシーシ
ュポスに罰を授けたのです。その罰というのは、大きな岩を丘の上まで運んで行けという
ものでありました。シーシュポスは、何日も何ヶ月もの間、大汗をかいてやっとのことで
丘の頂上まで大きな岩を運び上げました。と、運び上げた途端に岩は丘の上からごろごろ
とあっという間に丘の下まで転がり落ちてしまったのです。せっかく運び上げたのに、シ
ーシュポスは再び一から運び上げなければならないことになりました。そして再びやっと
の思いで丘の頂上まで押し上げたのですが、なんとまたまた転がり落ちてしまいました。
彼はこの繰り返しを一生することとなったのです。楽しみは、わずかばかりの食べ物をい
ただくときだけでした。
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