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写真 夜明けのサハラ砂漠

   青いターバンが誇りのトゥアレグと筆者

   砂漠のテント生活



 ムハンマドは未明にやってきました。

待っていたぼくはリュックとカメラを確かめてジープへと急ぎました。

夜明けまでにこの近くの一番高い砂丘の上で朝日を迎えようというわけです。

ムハンマドはトゥアレグ族です。

 サハラはその昔は緑豊かな大地でした。そしてそのもっともっと昔は海だったことも

あるのです。

 いまは乾燥した砂の海になっていますが、むかしからこの砂の海を住まいとし続けたの

がトゥアレグ族です。

 他の民族はみんな過酷な砂の世界から逃げ出しましたが、トゥアレグ族だけは

頑固なまでに砂漠に居のこり続けました。

 砂漠は当然死の世界ですからその生業は強盗略奪の徒としてしか成り立ちませんでし

た。ラクダの隊商やオアシス村を襲い続けました。

ですから長らくの間、トゥアレグと聞いただけでみんな怖れていました。

砂漠を旅する人にとって、渇きも試練ですがトゥアレグとの遭遇はもっと怖い試練でした

た。凶暴なトゥアレグ族は大海の海賊と同じでした。

トゥアレグの頑固さは、その青い装束に受け継がれています。

青はトゥアレグの象徴です。青い衣装が砂丘の向こうに見えたらもうお手上げでした。

青は、サハラで最も強いことの証明でした。つい半世紀ほど前まで怖いトゥアレグが

砂漠を支配していました。

 今は、ぼろいジープで檄走しています。ひっくり返るんじゃないかとしがみついてま

した。

 砂漠に道なんてありません。どこを見渡しても砂、砂、砂の地平。

 南も北もありません、どこをどういう風に走っているのかさっぱりわかりません。


 やがて、ムハンマドは歯の抜けた間抜け顔で、しかしどこかに往年の猛者のプラ

イドを漂わせながら、まだ薄暗い大きな砂山の下でエンジンを切りました。

ニッと笑った目は鋭く光っていてぞくっとさせられました。

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