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今晩は、えび助です。今回は予告通り落語の記事を書きます。今回紹介する落語は珍しい噺、「後家殺し」です。
あらすじ 浄瑠璃を熱心に稽古している職人の常吉の元に友達がやってくる。 お上さんがいない事を確認すると、常吉と伊勢屋の後家さんが良い関係に成っていると聞いて常吉は職人で相手は大店の後家さんなので不思議に思って話を聞きに来たという。 そこで常吉は話を始める。 三年前のある日、伊勢屋の使いに浄瑠璃を演ってくれといわれ、こっちも好きだからと了承し掛けるが聞くと場所が伊勢屋。 ここの亡くなった旦那と云うのが大変浄瑠璃が上手かったと評判だったので、常吉は荷が重いからと一旦は断るが渋々了承して日が暮れてから伊勢屋へ。 舞台から客席を除くと、年頃は27,8の誠に良い女が熱心に聴いている。聞くと伊勢屋の後家さん。 こんな綺麗な人の前で演るのかと急に緊張するが何とか落ち着いて「平太郎住家」を語り出すが客があまりに熱心に聴いて居るし、後家さんも体を揺らしながら聴いているので段々調子に乗って来て無事に語り終わる。 明くる日伊勢屋から手紙が来て三味線の方とお二人でおいで下さい」と手紙が来た。 幸い三味線の芳蔵が空いていたので二人で伊勢屋へ。 客は16、7人程で太閤記の十段目で俗に言う「太十」。 語り終わって軽く酒をやってから家に帰る。 明くる日、仕事をしているとまた伊勢屋から手紙が来るが「今度はあなた様お一人でおいで願います。」と書いてあったので支度をして伊勢屋へ向かった。 中へ入ると六畳の座敷へ案内され今晩も義太夫を語るのかなと思いきや 「二晩続けてお骨折りを頂いて有難うございます。そのお礼の印ですからどうぞ召し上がり下さい」と言われたので遠慮無く呼ばれる。 後家さんと何回かやったり取ったり、後家さんの方は眼の淵が桜色。 酒を飲み過ぎたせいか頭が痛くなったと言うと憚りに案内されてから部屋で横になる。 暫くすると贅沢な長襦袢姿の後家さんが登場。 常吉は「自分は吹けば飛ぶ様な職人でましてや女房も子もあるので、どういう思し召しでここへ来なさったのですか」と尋ねると、 後家さん長襦袢の袖を口で咥えて常吉の方をじっと見ながら「私は旦那様が亡くなって 三年経ちますが、ずっと後家を立てるつもりでしたが、あなた様の義太夫を聴いて、旦那様の事を思い出してしまい、忘れようと思っても忘れられません。 不憫と思ってどうぞ私のお世話を願います。例え月に一度でも良いからどうぞ起こし下さい」と言われた。
常さんはコソコソ隠れてするのが嫌いな性分なので、 家に帰って堂々とかみさんに打ち明けると、
「決してうれしいことではないが、私を追い出すというのでさえなければ、おまえさんがほかに変な女に引っ掛かって金を使われるよりはいいし、女房として嬉しい事では無いが折角言ってくれたんだから良いだろう」と云う事でかみさんも認めてくれた。 そんな訳で、本宅と伊勢屋に一日交代で泊まり、向こうも心得たもので、月々にはちゃんと金も届けて寄こすし、働かなくても楽に暮らせるという、うらやましいご身分。 この話を一通り聞いた友達は、あの後家さんは、もうとうにおまえに飽きが来て、荒井屋という料理屋の板前で喜助という男とできている。と吹き込んだ。
喜助は女殺しの異名を取り、小粋ないい男。 常吉の心が穏やかで無い。
疑心暗鬼にかられた常吉は、色々と考えた末に、ついにある夜、出刃包丁を持って伊勢屋に踏み込み、酒の勢いも借りて 「よくもてめえはオレの顔に泥を塗りゃあがったなッ」 後家さんの言い訳も聞かばこそ、馬乗りになると、出刃でめった突きにしてなます斬りにしてしまった。 あとで、その話はまったくの作り話と知れ、後悔したがもう遅い。
お白州へ引き出された常吉は奉行に「その方、去る二月二十四日、伊勢屋の後家芳なる者を殺害いたし、重々不届きにより、重き科にも行うべきところ、お慈悲をもって打ち首を申し付ける。ありがたくお受けいたせ」 と打ち首と決まった。 奉行が、いまわの際に一つだけ願いをかなえてつかわすというので、常吉は義太夫で「後に残りし女房子が、打ち首とォ聞くゥなァらばァ、 さそこなげかァーん、ふびんやーとォー」 それを聴いた奉行、ぽんと膝をたたいて「よっ、後家殺しッ」 この噺は上方落語で戦後大阪の二代目桂三木助からの直伝で、六代目三遊亭円生が東京に移植して演じていました。
噺の中で義太夫を語るシーンが出て来る為、義太夫の素養が無ければ出来ない演目でプロの太夫だった圓生師匠ならではの演目と言えます。
YouTubeの方に圓生師匠の動画が上がっているので良ければご覧下さい。 http://www.youtube.com/watch?v=GOxrGuRsbEQ&feature=youtube_gdata_player
今回は珍しい演目なので、記事に起こすのが少し大変でしたが何とか出来ました。 次はいつ更新できるか自分でも分かりませんが、出来るだけ速く更新したいですね。 それでは皆さん、さようなら。 |
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難しい演目の記事、ご苦労様でした。
こう云う演目は東京じゃ圓生くらいしかできないと思いますが、上方では松之助さんが引き継いでますね。
私も去年、記事を書きましたのでトラバしておきます。内容が難しいので私はえび助君のようにはちゃんとした内容の記事が書けませんでした(^ω^)*
2012/9/8(土) 午前 6:54
圓生百席にありますね。『紺屋高尾』が欲しくて買ったら、抱き合わせが『後家殺し』でした。
3回聴いたか?『後家殺し』後味があんまりよく有りません。
2012/9/8(土) 午後 11:45 [ Mars_jj_boy ]
おかみさんの心の広さが印象的ですね
他人からあることないことふきこまれると、どうしても人は疑心暗鬼になってしまいますよね。他人に変なことを言われても疑わず信頼しあえる人間関係を築きたいものです。切実に(´・ω・`)
2012/9/9(日) 午前 11:55 [ 奈津紀 ]
藪井さん
この噺は圓生師匠だから出来た噺だと思います。本当に圓生師匠が如何に芸達者だったかこの話を聴いただけでも良く分かります。
2012/9/10(月) 午前 0:04 [ えび助 ]
Marsさん
こういった手の混んだ、圓生師匠らしい噺は大体圓生百席に入っている様ですから、いつでも聴く事が出来ますね。
この噺は藪井さんが去年この噺について書いた記事にも有りましたが、下げを聴かせたいだけなんでしょうね。
この噺も後味が悪いですが、上方噺である「足上がり」も後味は悪いです。
今度記事にしましょうかね。
2012/9/10(月) 午前 0:08 [ えび助 ]
奈津紀さん
疑心暗鬼になって、罪を犯してしまうのは落語以外の芸能、歌舞伎や文楽等でも見られますね。
常吉の友達は遊び半分でこんな事を言ったんでしょうからまさか、殺人事件に発展するとは思ってなかったでしょう。
本当に奈津紀さんの言うとおり良い人間関係が築けたら良いですね、
2012/9/10(月) 午前 0:08 [ えび助 ]