流風月海

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物語2 (自作小説 恋愛物)

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とうとう出発の朝が来た。珍しく祖父、祖母、父と食卓に集まった。いつも世話をしてくれている人達もその場にいた。愛は、皆に朝食を進め許可を得て皆でご飯を食べた。初めてこんな大人数で食べたため愛の緊張は少しほぐれた。

それぞれが、愛を見ていた。いつもと様子は変わらない。にこやかで爽やかで品があり、優しくそこだけ暖かい陽だまりが指しているようだった。

泣き出すものもいた。愛はその様子を見て少し目に涙をためていた。そんな風に思っていてくれたとは気づかなかった。心が温まる思いだった。

朝食を終え、祖父の部屋へ集まり 挨拶をした。しきたりの挨拶だった。だが、愛にとっては とても大切な挨拶だった。もしこの結婚がうまく行けば、帰ってこれない可能性は大。いつ会えるかも分からなかった。特にこころと祖父との別れは 辛かった。父も祖母も複雑な顔をしていたのには、愛は驚いていた。いつもないがしろにされ、言いなりになってきて自分の事を人形としか思っていないと思っていたため意外な反応だった。愛は自分が恥ずかしかった。きっとそれぞれに事情があったのに関わらず それに気づけなかった自分が情けなかった。でも後悔はしていなかった。言われる通りに生きてきてこの結婚だけは言いなりにならなかった。それは、ある意味 自分のプライドだったのかも知れない。操り人形の最後の抵抗。

祖父の右腕 片桐と成美が空港まで送ってくれた。全員が来るというところを祖父が説得してやっと家を出れた。愛は最後に 皆に挨拶をしてそしてこころに祖父を頼み家を見た。もうここに戻ってくる事はないだろうと心のどこかで分かっていた。改めて見ると広い家だった事に気づいた。そして沢山の人がいる事も。

空港に向かう車内では、静まりかえっていた。祖父は考え込んでいる様子で片桐も成美も神妙な顔をしていた。愛は外を見ながらこれから迎える自分の未来に不安を抱きつつもやれるだけやろうと決心をしていた。

祖父だけが、一緒についてくる事になっていたのだが 危険だという事で片桐も成美も同行する事に。
愛は、それには反対だったが、祖父に何かあってもと思い同意した。
案の定 片桐と成美は 注目の的だった。おじいさまだけでも目立つのにっと愛は思いながらも税関を通った。

何度も飛行機に乗っているが、今回はなんだか気持ちが違っていた。もう2度と日本の地を踏まない気がしていたのである。日本や家族に未練がある理由ではなかったが、龍吾に別れが言えなかった事とこころと隣りに座っている祖父に会えなくなるかと思うとこみ上げてくるものがあった。

空を見ながら どんな運命が待っているか 愛にも分からなかった。

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