流風月海

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物語2 (自作小説 恋愛物)

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やはり簡単に行く結婚だとは思ってはいなかったが、いざ目の前で色々と言われると愛でも少し動揺した。小さい頃からもう既にこの キム家に 嫁ぐ事が決まっていたため 韓国語から文化など全て叩き込まれていた。何度も韓国を訪れ 何ヶ月間か渡って学校に通った事も幾度もあった。それを知らないキム一家は、韓国語で しきりと義理の祖父に反対をしていた。

(日本人なんて)
(何を考えているのお父さん!!)
(おまえ達には 前にも話をしているだろうが)
(よく恥もなく来れたもんだわ)などなどと韓国語が 飛び交う中 愛は、 祖父を見た。

祖父も戦争から帰ってから 韓国語を覚え 歴史から文化から 韓国に関わってきた。
日本の在日 韓国人の人達のためにも色々と出来る事がないだろうかと寄付したり 政治家に話しあったりなどしていた。それでも自分の罪は消えないと 色々と韓国の事ばかりにかまっていて とうとう韓国の縄張りにまで入ってしまって一度は 危なかったものの仲良くなり 今では兄弟の杯さえ交わしていた。その事を考えると 愛は 少し胸が痛んだが、キム一家の気持ちもわかるため ただ聞いていた。

何時間も口論は続いた。その間 肝心な結婚の相手は不在。ということは・・・。今度は、父の決めた結婚相手のところへいかないといけないのだろうか。愛は 特に結婚願望はなかった。ただ祖父達の約束とそして日本がしてきた事を考えたらと思うと結婚してこの国で暮らし 自分が役に立てるのならば 出来るだけ何かをしていきたいと思っていた。だから大人しく従っただけで企業を大きくするために結婚するならば いっそうのこと・・・。だが、父の気持ちも考えると・・・。日本に帰り 父の選んだ人と結婚する事になるだけと自分に言い聞かせていた。

(もう決まった事だ!!客人の前でみっともない!!恥なのは おまえたちだ!!)と怒鳴り声が聞こえ
周りは 静まりかえった。愛は 現実に戻され うつむいている キム一家を見渡した。
祖父を 見てから 義理の祖父の方を向き (皆様ともう一度お話をされ、納得された上でまた後日お返事を伺いに来たいと思うのですが、それで よろしいでしょうか?)と流暢な韓国語を喋る愛に一家は驚いていた。

義理の祖父は、躊躇(ちゅうちょ)していたが、 祖父も(やはり皆さんが納得された上ででないと私も心苦しいです。肝心なお孫さんも来ていないようですし、それはやはりこの結婚をしたくないという意思表示ではないかと思うのです。愛も皆さんが 嫌な思いをしてまで嫁ぎたくはないでしょう。私達が勝手に交わした約束ですから)と説得をした。

義理の祖父になるかも知れない人は 泣いていた。(この子達は わかっとらんのじゃ。わしらの気持ちを。あの時 あんたさんがいなかったらどうなってたか。この命は あんたさんに何度も救われたんじゃ。それなのに恩知らず目が。本当にどう謝っていんだか・・・。こんな立派なお孫さんをうちに嫁にくれるなんてそんなありがたいことこの上ないのに。確かに日本がした事は ひどいことだったが、それは全員じゃない。あんたさんみたいな人も沢山いる。あんたさんの友人達だって韓国人に殺されてあんたさんはそれでどれだけ責められたか。そうゆう事をこいつらは わかっとらんのじゃ!)と涙ながらに怒鳴った。

義理の父になるかも知れない人は、それを静かに聞きながら 海道と愛を見ていた。2人は うつむきかげんに何度も頭を下げているように見えた。二人の目が潤んでいるのを見た。それは、キム一家全員が見ていた。(だまされないわ)っと一人の女性が言った。愛は それを聞いて胸が痛んだ。そこまでの憎しみを持っているのは 辛いだろうと。同じ人間でも過去の過ちはそう消えない。いくら国がした事とは言えども それは一般の人にしたら関係ない事。今も尚謝らない日本、そして下に見て粗雑に扱う日本。憎まれて当然な気もしていた。

(日本のしてきた事を考えたら・・・いえ 今もまだしている事を考えたら当然の事だと思います。)と愛は 言ってから 祖父に (おじいさま、今日はひとまず おいとましましょう。)と言った。
お辞儀をして去ろうとする二人に 義理の祖父になるかも知れない人は 泣きながら引き止めた。
その様子を家族は 見ながら 義理の祖父を押さえていた。祖父と愛は また座った。
暫く沈黙が続いた。部下2人は出口の前に立ちながら顔を見合わせていた。
祖父も考えこんでいるようだった。
その時 一人の男性が 入ってきた。愛には 直ぐに誰か分かった。
少し酔っているようだった。
(これが 俺の日本人の嫁なんだ〜)と愛を見て言った。
(この親不孝者が〜)と義理父は怒鳴り その人の頭を何度も殴った。皆が止めに入った。
(ちゃんと来たからいいだろ。それに結婚するからさ)と軽く言った。
その声のトーンで愛は 彼をじっくりと見た。彼も愛を見ていた。
(なんだ その顔は。文句あるのか。結婚してやるんだからいいだろう。)と乱暴に言うと義理の祖父が何度もその人を殴り (そんな言い方があるか。おまえになんか勿体ない。ジュナの嫁にした方がましだ。)と怒鳴るとジュナと呼ばれた男性は 愛を見た。義理の弟になる人なのだろう。と言っても年は愛よりも上に見えた。

愛は、韓国流の挨拶をしてから すっと立ち上がり出て行こうとした。その男性に手を取られる。
(俺が相手じゃ不満か。もっとましなのを期待していたのか。)
首を振って愛は、(決まりましたら またお知らせください。)とわざとたどたどしく韓国語を話してその場を離れた。

実は 動揺を隠せなかったのである。自分でも何が起こっているのかが分からなかった。彼の心理も分からなくはなかったのだが・・・。自分の心理が理解出来なかった。あれだけもめてしまうなら 身を引こうと思っていた。大人しく日本に帰り 父の選んだ結婚相手のところへ行こうとさえ思っていた。
だが、彼が入ってきた瞬間 その気持ちはなくなっていた。愛には 何が起こったかがわからなかったが、彼が嫁にしてくれるというのなら嫁にしてもらおうと思った。それが、どうしてなのか愛にもわからなかった。ただ 呆然としている自分が居た。

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