流風月海

いらしてくださってありがとうございます☆過去記事も見てくれると嬉しいです♪

物語2 (自作小説 恋愛物)

[ リスト ]

愛は、準備をし 祖父と朝食をしていた。ホテルだけあって 豪華ではあったが、西洋式だった。
日本に帰って父の決めた相手と結婚すれば 西洋式を食べる事が多くなるだろう。

「キム家から連絡があった。今日来てほしいとの事だった」と祖父が口を開いた。
愛は、予測していたが 「そうですか」と一言 言っただけだった。
祖父も部下達も愛を見ていた。声に全く感情が入っていないのは 久しぶりに聞いた気がした。
いつも無表情だが、どこか愛想があるのに今日は 顔色さえ悪かった。

やはり無理をさせているのだろうかと少し心配になってきていた。
愛は、その後も淡々と食事を済ませ 部屋へと戻っていった。
「会長、お嬢様は大丈夫でしょうか?」と部下達が訊いてきたが、うーんという顔をするだけだった。

部屋で 愛は ただひたすら呼ばれるのを待っていた。何も手につかず日記も書けなかった。
自分でも自分の感情が、分からなかった。昨日 初めて婚約者に会って韓国を離れる気がしなかったが、あの様子では 納得していないのは 十分分かる。恐らく本当に来るとは思っていなかったのだろう。何故か分からなかったが、悲しい目をした彼を忘れられなかった。酔っていたとは言え、家族の前でああ言ってしまった以上 引っ込みがつかないのでは と心配になってきた。

その時、部屋の電話がなった。ドキっとした。愛は、ロビーで待っている祖父と部下達と共にキム家へと向かった。
その頃 キム家には 親族が一家族以外集まっていた。まだ言い争いは続いていたが、そんな言葉にはキム家の主人は聞かなかった。「決まった事だ。」と言い張るだけで小さい頃から聞かされていてもやはりキム・ジュノの両親は 納得が出来なかった。唯一ジュノの父だけが、少し傾いていた。昨日の愛の姿を見て美しいだけではなく、利発で優しい温かい子だというのが 一目見て分かった。

キム・ジュノも 愛が 今まで出会った女性と違う事は 感じていたが、それでも抵抗はあった。だが、何日か一緒に過ごせば向こうも嫌になって直ぐに出て行くだろうと思っていた。ジュノの弟 ジュナは心配していた。兄が、ぶっきらぼうで愛想がない上に節操もない。女をとっかへひっかへしている事も知っていたし、本気で人を愛した事もないのも。しかもだらしがないし、優しさがない。酒ばかり飲んで荒々しい・・・愛を幸せに出来る理由もない。酔っ払っていっただけだろう。

それぞれの想いが交差するなか (こんにちは、失礼致します)という声が聞こえてきた。
海道一家がやってきたのだと皆分かると慌てだした。
キム・ジュノの母が 玄関を開けた。
日本人でなければ・・・と愛を見て思った。こんな理想の花嫁はいないだろうに。

二人と部下達は、キム家が集まっている部屋へと案内された。昨日と同じ部屋だった。
愛は あたりを見回してから韓国式の挨拶をした。ジュノとジュナは、落ち着いて挨拶をしている愛を不思議に想いながらも見ていた。

(結婚式は、いつでどこでしたいかね?)とキムの義理祖父が訊いてきた。親族はあっけに取られて言葉にならないようだった。愛は、義理祖父の顔を見ながら わざと片言で(それは、皆様でお決めになった事でしょうか?)と質問で返した。違うというのを承知していたからだった。そこで意義があるだろうと愛はおもったのである。

また昨日のように言い争いになるかと予想していたが、言い争いというより動揺が走っているようだった。愛は、説明したかったが 反応を見ていた。やはり快くというのは 無理だと分かっていても家族になるのなら賛成までいかなくとも納得はしてほしかった。特にキム・ジュノには。

(明日にします)とジュノが言った。(こうゆう事は 早い方がいいでしょう)と付け加えると義理祖父は(ばかもの!約婚式をするのが 順序じゃろ。それから付き合いをして結婚をする。しかも明日では まともな結婚式も挙げてやれないだろが。)と怒鳴りはじめた。

愛は、その様子を見ていて 決心をした。(皆様が納得されていないのに 嫁ぐ理由にはいきません。明日日本へ帰ります)と伝えた。一同が静まりかえった。愛の目に涙が見えた気がしたのである。こんなに若いのにしっかりとしていて、きっとかなりの決心を持って異国に嫁に来ただろうと思っただけで胸が痛んだ。すすり泣きが聞こえてきて愛は、微笑みながら(泣かないでください)と言った。それが、とても優しく包みこむような声でよりいっそう涙を誘った。

ジュノは、愛の手をつかみ(俺の決断に文句があるのか?)と訊いた。まっすぐとジュノの目を見て(いいえ)と言う愛を見ながらジュノは、綺麗だけどどこか悲しげな目に引き込まれていた。(俺が決めたんだからいいですよね?)と親族にジュノは 落ち着いているが 決心の固い意志がとられるような声で質問した。

義理父になるかも知れない人が、(本当にいいんだな?)とジュノを問いただすように訊く。(約束は約束ですから)とジュノはぶっきらぼうに答えた。ジュナが (兄さんでは 幸せに出来る理由がない。ただ嫌がらせのつもりだろ。直ぐに彼女が愛想つかすと思ってるんだろ)と怒りに震えながら立った。
ジュノは、ジュナを見て(何だと)と胸ぐらをつかもとした時 愛がすっと腕をつかんだ。冷静な顔をしているのに そのさっとした対処に少しジュノは驚いた。普通こんな時は、泣き顔で(やめて)とか止めに入るが、こんなに落ち着いてしかも手だけで止められたのは はじめてだった。

それを見ていた祖父は、義理祖父に(皆様の反対もある事ですし、形式ばってせずに写真だけ取って暫く嫁がせたいと思うんですが・・・)と申し出た。(あんたさんが、そう言うなら・・・)と渋々と承知したようだったが、納得はいっていないようだった。愛の方を申し訳なさそうに見たのを愛は (そうして頂ければ わたくしもいつでも帰れますし、ジュノさんや皆様の重荷にならなくてすみます。どうかわたくしからもお願い致します)と頭を下げた。

(それで本当にいいんですか?そんな扱いであなたは満足ですか?幸せになれますか?)とジュナが愛に向かって怒りを抑えながら言った。愛は、心配してくれるジュナに微笑みながら(私は ここに居られるだけで キム家の皆様と一緒に暮らせるだけで幸せです)と告げるが、ジュナが またいいかけようとすると父親に(おまえが口をはさむことじゃない)と言って座らせた。

(それでは、これで失礼致します。時間と場所はお任せしてもよろしいでしょうか?もし気が変わりましたら お電話頂ければ幸いです)と言って韓国式の挨拶をしてまた昨日のようにすっと去っていく愛とお辞儀をしてついていく3人をキム一家は見送った。

「物語2 (自作小説 恋愛物)」書庫の記事一覧


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事