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今日は、なぜか少し心が動いた。それは、キム・ジュノシの態度に悲しいものを感じたせいなのかもしれない。どこか投げやりで自分を捨てて犠牲になっているような。そんな気がして仕方なかった。出来れば幸せになって欲しいから無理は強いたくなかった。だけど断れなかった。どうしてかわたしにも分からない。これでよかったのかと自答自問するもののなぜか残りたいという気持ちが強くあって正直自分でも驚いていた。本当ならキムご一家の事を真っ先に考えないといけないのに・・・。私ってこんなに自分勝手だったのかしら。人の事を考えられない人間だったのかしら。韓国へ来てキム・ジュノシにあってから自分でもよく自分が分からなくなってきている。それにキムご一家にも温かさを感じる。勿論約束のためもあるけれども・・・ と日記に書いてまた愛は指をとめ、外を見た。ただビルが並んでいるだけだったが、遠くを見ていた。 今祖父達は話し合いをしている頃だろうと思った。部下達が反論をしている気が愛にはしていた。 そして祖父もまた迷っていると思った。決心は固く小さい頃から愛は教えられてきたが、この何日間のキム家の様子を見て祖父も諦めが半分あったような感じがした。そして今日のジュノシの態度をみて改めて不安を感じたのも 愛はわかっていた。だが、愛はそのままとどまるつもりでいた。追い返されるならまだしもそうゆう理由でもなく、去る理由がなかったのとなにか引っかかるものがあった。 愛は日記をしまい、荷物をまとめはじめた。明日からは キム家に住む事になる理由だし 祖父達も結婚式が終わり暫く居たら日本に帰国しないといけない。どちらにしても式が順調に進まなくとも進んでもホテルからは出るのでまるで気持ちを落ち着かせるかのように愛は荷仕度をはじめた。いつも冷静な愛だが、今回だけは少し複雑な気持ちだった。 ベルが鳴り、祖父と部下達がドアの前に居た。食事をしに外へ出かける4人。韓国の伝統的なお店へ入る。暫くは静かだったが、部下達が口々に「今回の事は考えなおされた方がいいかと思います」や「お嬢様は苦労されるの目に見えております。どうか一緒にお帰りください」などと言い出した。 愛は祖父の方を見たが 祖父は賛同しているかのように沈黙だった。愛は、帰らないと二人に告げた。「これは前から決まっていた約束事です。それに式は明日と決まりました。わたくしが帰る理由も場所もありません」という愛に3人は顔を見合わせた。 冷静でまるで歓迎されて嫁ぐかのような愛を理解しがたかった。この数日のキム家とのやり取りも決していいとも思えない上に歓迎もされていず、夫となる男の態度の悪いこと。しかも嫁げばこき使われ、待遇も悪くなるのは目に見えていた。裕福な家に育ち、苦労を知らないお嬢様的な愛がそれに耐えられるとは部下達は思えなかった。 だが、愛は違った。とても自由な気持ちが芽生えていた。勿論皆の幸せを考えると帰国した方がいいのかとも考えたが、それでも小さい頃から植えつけられたキム家の一員となるということと祖父同士の約束は守りたいと思っていた。愛はその裏に別の感情があるのに気づいたがそれがなんなのか自分でもよく分からなかった。 食事を終えホテルの部屋に戻ろうとする愛を祖父が呼びとめ二人は話すこととなった。 お茶を飲みながら暫く無言だった祖父が「本当にいいのか?無理しなくてもいいんだぞ。」と話した。 愛は何も言わないままお茶を飲んでいたが、暫くして「前にお話しましたようにわたくしの決心は変わりません」と告げた。それを祖父は見ながら「分かった。明日10時にということだ」。 「承知致しました」と告げ愛は自分の部屋へと戻った。 結婚式用のチマチョゴリを出し つって遠くから眺めた。いよいよこれを着る日が来たのだと。 準備を済ませ愛は、寝床に入った。眠れず天井をみつめている。 その頃、キム・ジュノも自分のアパートで寝転びながら天井を見つめ愛の事、明日の結婚式の事を考えていた。(どうせお嬢様。直ぐに逃げ出すさ)と思いながらも愛の目を思い出していた。綺麗な瞳をしていた。だが、どこか悲しげだった。決心は変わらないようだったが・・・やはり政略結婚は嫌だと思っているのだろうか。ただ従っているだけに見えた。それがジュノには面白くなかった。近くにあったクッションを投げ舌打ちをした。 キム家も海道家もそして愛にジュノもみな落ち着かない夜を過ごしていた・・・
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物語2 (自作小説 恋愛物)
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