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次の朝 ブレインは、学校に早く行き 作った教材を眺めていた。そこへ 次々と教師達が来て挨拶をする。校長が登校し、職員室に入ってきたのをブレインは見ながら落ち着いたところで 「おはようございます。」と声をかけた。校長はにこやかに挨拶を返す。ブレインは、立ち上がり 「教科書がちょっと違っていたので変えたいところがあるのですが・・・」と申し出た。「どこですか?」と聞かれ何ページか見せて説明をすると教頭と校長が顔を見合わせ ブレインに「では、印刷所へ早速手配しましょう」と言った。 そこへ、京西が現れ「おはようございます。」と挨拶をしてから「実は、私のもなんです」と教科書を差し出した。これにはブレインも驚いた。彼も気づいたのだろうか。そんなはずはないだろうと思いつつ、校長と教頭が二人を見て感心している様子にもブレインは少し不思議に思っていた。印刷工場へ電話する校長を見ながら ブレインは 考えていた。 「直ぐに印刷を開始してくれるそうです。手直しされたこの教科書を渡しておきます。」とブレインと京西の教科書を持って行こうとする教頭にブレインが 「午後から使いたいのでそれまで時間がありますので場所を教えて頂ければ自分でやってきたいのですが」ともちかけた。教頭は「熱心ですね」と微笑んで校長の方を見た。校長も感心している様子で「本来、先生がそんな事をしなくても良いのですが、急ぎとならばこちらに」と印刷工場の名刺をブレインに渡す。 ブレインは、それを見ながら「では、行ってまいります」と職員室を出ようとした時に京西が 「私も急いでいるのでご一緒してもよろしいでしょうか?」と言ってきた。校長は納得していたが、ブレインは少し戸惑った。だが、悪意を感じなかったため同意する。二人は、工場へと向かった。 その印刷工場は大きかったが、新しいという感じはしなかった。ブレインは、京西と歩きながら彼を見た。京西も意識しているのが、分かった。的が外れたかとブレインは思った。少し疑っていたからである。有名な物理学者である京西。調査した時に何も怪しい点はなかったが、光の様子が気になったのである。光は、京西を疑っているように感じたためブレインも同じ気持ちをいだいていた。だが、今その京西が自分と同じ気持ちで工場に来ているのが、分かったためブレインには理解できずにいた。 工場長が、出てきた。二人は会釈した。「校長先生からお話は伺っています。」と言って二人を見た。 ブレインは、教科書を出して「これなんですが」と差し出した。京西はその様子を伺いながら自分の鞄に手をやった。工場長は、二冊の教科書を受け取り パラパラとめくってから頷いて 部下を呼んだ。 「何部必要でしょうか?」と訊いたのに対して二人は答えその指示がくだされた。 ブレインは、様子を伺いながら「至急必要なので待たせて頂きたいのですが」と申し出た。快く承諾された。その時 京西が「是非見学をしたいのですが」と言ったのを聞いてブレインは また京西に驚かされた。全く同じ事を考えていたからである。 少し躊躇した様子だった工場長に二人は顔を見合わせたが、直ぐに案内をしてくれた。教科書が刷られるのを見てブレインは 何も怪しいところが見当たらないのを感じていた。京西を見ると疑っている様子がうかがえた。ブレインは、少し怪訝な顔をしたらしく 京西が 慌てて弁解をした。やはり光の読みは正しいらしい。なんらかの形で今回の事に京西が関わっている事がブレインにも分かった。それが なんなのかだけが分からなかったが・・・。二人は静かに印刷されている教科書を見ていた。
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物語(自作小説)
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その次の日から ブレインとボクサーは 教師達の行動を監視を強化し、ダーツとボンは 生徒達に目を向けた。特に変わりは ないままだったが、光の様子を思い出すと何かがある気がして仕方なかった。 光は、そんな4人が帰ってきて応接間でくつろいでいるのを見ていた。かなり疲れているのと自分達では気付いていないのだろう。変化してきていることに。 ボクサー、ダーツ、ボンは 疲れ以外は 穏やかな気持ちを抱いている。ブレインさえも気付かない内にかなり愛想が良くなっている。教科書を開こうとする4人に「これ読んでおいてくれ」と資料を渡す。 「ちょっと教科書借りるな」っと言って出て行く光を不思議そうに見るブレイン達。「何も全部持っていかなくっても」とボソっと呟きが聞こえた。 やはり・・・と光は、思った。そして作業に取り掛かった。夕飯を食べて健太郎が話しをしたそうにしていたが、用事があるのでと丁寧に断り マンションに集合をかけた。教科書を皆に手渡し ありがとうと言うように手をあげて出ていく光。ブレイン達にはさっぱり分からなかった。 光は、不思議で仕方なかった。能力者が絡んでいるのだろうか・・・。あいつらが気付かないなんて腑に落ちない。毎日だと気付かないものなのだろうか。果たしてこれのせいで北高全員が 優秀で品行法制なのだろうか。それにしてもどうやって・・・。気付くと北高の前に居た。集中しても何も感じない。悪霊とかに出会った事はあるが、そうゆう気配もない。はじめての依頼が怪奇事件じゃ話にならないよなっと思いながら家に戻る姿を窓から見ている人影がいる事を光は、感じながら帰っていった。 それから数日経って ブレイン達は元通りになった。ボクサーは、また喧嘩っぱやくなり、 ブレインも冷静沈着に戻った。まあ後の2人は似たりよったりだったが・・・。 ブレインは、光を呼び出し、「気付かなかった」と告げると光は頷いた。「上手く出来てるからな」と光が言うとブレインが少し笑った。「でもお前は気付いた」と少し曇りがちの声で言うと「毎日通っていたら僕もニコニコ 優秀品行なやつになってたと思うぞ」とゾッとするようなしぐさを見せたのでブレインが笑った。 「それでどうする?」とブレインが訊くと光は、「暫くは今のままで居てそろそろ動き出すだろう」と言って応接室に向かっていった。ブレインは、暫く部屋で考えて居た。その時 目の前に前の教科書が現れた。「人の思考は読まないんじゃないんだっけ?」と珍しくブレインが 光をからかうと「思考を入れるな」っと突っ込んできた。ブレインは、微笑みながら マークされているところを見つめた。
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それから一週間が経った。変わった事は なく、あるとしたら毎日お弁当が増えたぐらいだった。昼休みになると生徒達や先生達からブレインにお弁当を届けに来てくれる。その場でお礼を言うが、ブレインは食べずにマンションに持って帰っては、調べてから皆で食べていた。光は、食べずに弁当を見るだけだったが、何も言わない。それは、何もないという事と理解していたブレイン達はそれを食べ、次の日にお礼を入れて返していた。 光とボンは周辺をあらったり、ありとあらゆる調査をしたが、何も出てこなかった。ボクサーとダーツは、その間 大学と高校の勉強をしながら潜入するのを待つ日々が続いた。ブレインも学校の会計を任されるようになり、評判が良く、信頼されていたが、彼もまた何もつかめずにいた。 一週間と少し経った頃、ボクサーは転入した。元母校から転入手続きを光が取ってきてくれたため、すんなりと入れたが、北高の教師達は 緊張しているようだった。ボクサーは、割と目立つ行動をしていたため母校でも注目の的だったからだ。案の定、北高の生徒達とは違い、ぶっきらぼうで荒々しさを出していたが、毎日愛想よく 接しられ戸惑ったのは ボクサーの方だった。 「あそこは、ニコニコ牧場かよ」と帰ってくるたべに文句を言うボクサーにボンやダーツは「よくお前に愛想よく出来るよな〜さすが北高」とからかっていた。ブレインもうっすらと笑みを浮かべていた。確かにボクサーに愛想よくするだけじゃなく、今では注目されていた。その日々が続き、何も異変がないままダーツが音楽教師としてボンが生徒として北高へ行く日が来た。 二人は 似ていなかったが、兄弟という設定でもぐりこんだ。ダーツが教室に入るとブレインと同じく歓迎され 人気者となった。これで四人は、北高に上手く入り込んだ。ブレイン、ボクサー、ダーツにボンそれぞれが間を空けて入ったのと接点が何もなく、校内では一切接触しないため 怪しまれなかった。 校内が華やかになったと教師も生徒も喜んでいた。 それぞれが、お弁当やプレゼントなどを貰ってくるようになった意外は 特に変わった動きがなかった。さすがのブレインもこれには参っていた。だが、光は冷静だった。毎日の報告が 同じようでも何も言わなかった。それぞれが、教師や生徒達を探り見張っていたが、何も出てこない日々が続きさすがに皆苛立ってきていた。それを感じながらも光は いつも通りだった。 ボクサーは、わざと勉強を怠っていたが、特に何も言われず 呼び出しもない。ボンは、反対に優秀な成績で通していた。ブレインとダーツは、優秀な教師を演じながらも ブレインは少し冷たく、ダーツは愛想の良い先生として知られていった。 「こんなに何もないと最初から依頼された意味がないよな〜」とある日ボクサーが皆の前で苛立ちながら呟いた。ダーツもボンもそれは 疑問に感じていた。あの高校にいる人達全員が善人だというのが、肌で分かり、能力でもわかる。悪意も邪悪な感情も何も感じないのである。平穏で幸せという感情しか読み取れないのである。 「それが、おかしいだろ」とブレインが 二人の思想を読んだかのように言った。光は、4人を見ていた。直視の目だった。そろって顔を見合わせた。そういうことか。凡人では探し出せない何かがあの学校にはあるということだ。だから光も少し調べてからこの件を受けたのだろう。だが、今のところ何も手がかりがない。こうも難題だとは ボクサーもダーツもボンも思っていなかったが、光とブレインには最初から分かっていたようだった。 「最初の依頼だ。そう簡単にはいかないさ。」とブレインが、教科書を投げた。それを光は 眺めながらそろそろだろうと思っていた。ブレインは、光を見て何か感じたのを感じとっていた。ダーツ達もこれからが、本番なんだと光を見ながら それぞれに思いをめぐらせていた。
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帰りがけに 光が 皆にもう少し様子をみようと言った。ブレイン達は いっせいに光を見た。滅多に一度口にした事を変えないからだ。 ブレインは、少し考えてから「そうだな」と呟いてから玄関を出た。ボクサーは 納得をしていないようで 「どうしてだよ」と光に噛み付いた。 光に見つめられて少し動揺するボクサー。ダーツ達も息をのんでその様子を見ていた。真正面から光に直視されると照れくさいようなそして見透かされているような そしてその瞳に吸い込まれそうな感覚に陥るからである。 ブレインが、戻ってきて3人を連れ出した。歩きながらも尚ブツブツ言っているボクサーに ダーツが、「まだブレインだけで調査した方がいいと思ってるんじゃないの」と慰めるように言うとボンも「そうだよ。昨日ブレインが入ったばっかりだし・・・」と言いかけてブレインを見た。 「恐らく今入ると怪しまれると思ったんだろう」とブレインが言うと皆が納得した。「本当にあいつなんにも言わないからさ」とブツブツとまた言い始めるボクサーに「悪かったな」と言って光が通り過ぎた。 「いや、最初からそう言ってくれれば 俺だってさ〜」というボクサーを置いて光は駐車場へと向かって歩いていってしまった。 「本当にあいつ単独行動ばっかじゃん」と缶を蹴るボクサーを見てブレインもダーツもボンも少し寂しい感情が沸いてきた。確かに光は、余り喋らないし 一人で全て解決をするところがある。こちらから誘ったりしない限り滅多に会おうとは言ってこない。余程こちらが 危ない時にしか現れない。こうして今は天海雅太郎さんのおかげであのマンションに行けば光に会えるがそれがなければ 今頃前と同じくたまにしか顔を出さないだろう。 4人も駐車場へ向かったが 既に光のバイクはなかった。それぞれが手をあげ 帰って行った。それを見送った光は、家へと走らせた。騒音が出ないようにして分からないように隠してから家へと入った。 ブレイン達も無事着いたようだった。光は、「ただいま帰りました」と一言残して二階にあがっていった。健太郎は、「話があったのに・・・」と独り言。仕方なく椅子に座ってお茶を飲む。 光は、窓から出て屋根の上から空を見上げて考えていた。勿論彼らにわからないように。「単独行動か」と心の中で呟いた。確かにつるむのは 余り好きじゃない。ましてや自分のせいで危険にさらしたくないという思いがあるためついつい避けてしまうが、ブレイン達とは中学からいつの間にか一緒に過ごすようになったため そこまで避けているつもりはなかった。唯一信用の出来る奴らだとも思っているし、だからこそ 今回一緒に雅次郎さんの意思を継ごうと決心がついた。あいつらが いなかったら 自分ではやらなかっただろう。こうゆうのは 苦手だっと思いながら 手に温かいお茶を出して飲んだ。
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新しい教師の噂は 流れ 静かで落ち着いた校内が少しざわめいていた。 少し意外に思いながらも ブレインは、昨日の挨拶を終えてから光達と連絡を取り 様子を伝えた。 教員室に入り、一礼をして言葉を交わし教室へと向かった。 京西は、ブレインが戸惑っているのを見てクスクスと笑った。 「おかしいですか?」と冷静に訊いてくるブレインを見ながら「あっ いや」とごまかしながらも口元を押さえていた。慣れているだろうに ここまで騒ぎになるとは思っていなかったのだろうか。 ブレインの方は、昨日そこまで騒がしくなかったために生徒達の反応がやや不思議で仕方なかった。 授業中も授業後も一日中誰かの視線を感じて過ごした。ブレインは、高校でも大学でも注目を集めていたが ここまでヒシヒシと伝わってくるのは 久しぶりだった。好意的なものばかりで嫌な気はしなかったが、それにしても・・・。ここの教師達は 皆外見的に選んだのではというぐらいスマートでルックスは良かった。新しい教師だから珍しいのかも知れない。ここ何年かは、教師が変わっていないらしいし。 それもまた不思議な話だった。いくら優等生でいい学校でいい待遇と言えども 新しい教員を入れようという考えがなかったのだろうか。 マンションのドアが 開いた。ダーツは ダーツをしていて ボンは ピアノを弾いていてその横でボクサーがトレーニングをしていた。ブレインが、入っていくと「おつかれ」とそれぞれが 声をかける。光の姿が 見当たらなかった。探している様子が分かったダーツは 「あれ?さっきまで居たんだけど」と一緒にきょろきょろとした。 目の前にコーヒーが置かれた。さっきまでは いなかった光が椅子に座ってコーヒーを飲んでいた。 特になにも言うでもなし、コーヒーを飲みながら資料を読んでいた。 ブレインがメガネを外してその日一日を思い返した。その映像が 光、ダーツ、ボンにボクサーの頭の中に流れていった。 「おまえってそんなに人気あったっけ」と皮肉っぽくボクサーが言うと「合コンに行くといつもそうだろう」とダーツがからかった。「光が行けば、光が一番目立つのにね〜」とボンがからかうと光がちらっと見た。ボンが舌を出した。「そっちの趣味はないだろう、な〜ジョー?」っとボクサーが絡むが 無視されてふてくされる。 「京西は そっちの気があるかもな」っと光が言うといっせいに噴出した。 ブレインが 参ったな〜と言う顔をして「俺もそっちの趣味はない」と言った。 「ボクサーとダーツの手続きも済ませてあるから しあさってぐらいにボクサーが入って少し間を空けてダーツが行ってくれ」と光が 言うと2人は声を合わせて「了解」と敬礼した。 一瞬だが、ふっと光が笑ったように思えた。 「ぼくは?」とボンが 言うとブレインが 「おまえは、光と一緒にもう少しあの学校や生徒達の事を調べてみてくれ」とコーヒーを片手に言う。頷いているボンに ダーツとボクサーが 「なんでおまえなんだよ〜」とつつきあう。
「京西だが、かなり物理界では 有名だ。人柄はいいが、神経質で完璧主義だそうだ。もしかしたら彼が裏に絡んでいるかも知れない。」と資料を見ながら光が伝えた。 ブレインは、確かに京西からそうゆうものを感じとってはいた。だが、それは全員からそうゆう思想が伝わってきてまるで理想の世界をつくろうとしているようにも感じた。 「ヴィレッジ」みたいだなっと 光が呟くのを聞いてブレイン達は 噴出した。 |




