アルペンスキー研究所

新しい技術を先取りし、他人を出し抜き、世界を狙おうとするblog

全体表示

[ リスト ]

日本スキー学会誌の記事を紹介する…第二回目。



 スキーの滑りを妨げる原因として、人体の受ける空気抵抗とスキー底面の摩擦抵抗を採り上げる。

 空気抵抗は速度の二乗に比例して増大するから高速滑走では空気抵抗を小さくする姿勢、表面素材に注意が必要になる。底面の摩擦抵抗は真の接触面の大小、除雪抵抗の大小などに依存し、雪と滑走面の付着強さおよび雪の変形性や塑性(雪質、速度)、氷の硬さが関係する。

 摩擦に関係した氷の特性としては、氷は ー5℃で 50MPa程度と意外なほど硬いこと、氷に対する付着面の剪断強さが 0.2MPa程度と極端に小さいことが着目される。

 軟らかい新雪で遅く、硬いアイスバーンで速いのは真の接触面の大小による。しかし、真の接触面を小さくしようとして凹凸をつけすぎ、溝掘り抵抗を増大させすぎると摩擦が増す。結局、各種抵抗を小さくすることが速く滑ることにつながる。

( 日本スキー学会誌 18(1) P16  対馬勝年「スキー滑走の抵抗と雪面の摩擦」より )




 スキーが良く滑るのは「摩擦熱により融けた水が潤滑剤として働く」と説明されて70年が過ぎた。一方、スキーの滑走抵抗に関して、札幌オリンピックの頃日本で優れた研究が沢山行われた。
 ところで、滑走性能は摩擦係数(μ)で示されるが、実際のスキーは高速度で滑走しμは 0.05程度かそれ以下でとても小さい。従って、スキー滑走に影響を与える要素それぞれの効果をμとして見積もることは不可能である。
 我々は摩擦熱が小さくかつ熱が蓄積されにくい、低速度の短いスキーの滑走にターゲットを絞り、まずは摩擦融解の起こりにくい条件における摩擦のメカニズムを明らかにすることを目指している。

 今までの実験から、
1.低温・低速度でも実際のスキーと同程度の小さなμが実現することがわかった。
2.温度依存性が相反する摩擦現象が接触界面で働いていると考えられるデータが得られている。
我々は、摩擦融解はスキーが良く滑るための必要条件ではないと考えている。

( 日本スキー学会誌 18(1) P16  仁木國雄「科学から見たスキーの滑走性」より )





ワックスを含めて、滑走面のコンディションづくりには
雪とスキー板との「真の接触面」を意識することが必要だ。
ワックスの選択しかり、ストラクチャーしかり…

滑走面にスポイトで水をたらして
「ほら、こんなにキレイな水玉が!!」なんていうのを見かけるが
そんな単純なコトじゃないだろう。

この記事に

閉じる コメント(6)

顔アイコン

ということは、フレックスの非常に柔らかい板で、最小限の加重で最小限の角付けすれば、減速要素が少ないのかなぁ・・・
でも、その板で滑る場合、板のラインも重要で、更に体の重心位置の移動方向も非常に重要になってくるのかなぁ・・・
上半身が、宙に浮いて何事もなくターン出来ていれば・・・
考えれば考えるほど、奥が深い!
拙者の考えは、
「一つだけ確かなことは、いかに減速を無くすか。”板の加速”と言う教え(信者は沢山いるはず)は間違っていると思う。」
今回はこれだけ。

2008/9/13(土) 午後 11:27 雪舞幹事長 返信する

顔アイコン

YUKIMI殿、確かに"板の加速"がターン後半に起きるなんていうのは錯覚でしかない。切り替え操作を行った瞬間にブレーキが外されるから"走る"ように感じるだけだ。
フレックスに関してはアーチベントも関わるだろう。ヘタった板では滑走面全体に加重が分散されない。様々な要因を考え出したらキリが無いが、空気抵抗や滑走技術からすれば減速要素としては小さな割合でしかないところがもどかしいな。
ワックスの効果自体も実は科学的に証明されたとは言い難い状況なのだが、もしかしたら低温用とされている硬いWAXにフッ素で補強するくらいで解決されてしまうのかもしれん。

2008/9/14(日) 午前 11:24 黒所長 返信する

顔アイコン

"低温用とされている硬いWAXにフッ素で補強"
以前、グサグサのざら目雪で、「極低温用」WAXがシリコン系WAXより滑った記憶があります。

2008/9/14(日) 午後 1:25 雪舞幹事長 返信する

顔アイコン

YUKIMAI殿、溝掘り抵抗などを考えると滑走面は"硬い"方が良さそうだ。一方、水が浮いた様な状況では撥水性を高める"フッ素"が効くだろう。結局は、その状況のなかで"真の接触面"がどうなっているのかを考える必要がある。
"雪温が高い時用の柔らかいWAX"というのは、本当に意味があるのだろうか。大抵これらはー5〜ー10度という、そもそも板の滑走性が高い温度帯に設定されている。

2008/9/14(日) 午後 1:49 黒所長 返信する

顔アイコン

私は、ワックスの効果について、検証するのは非常に困難だと思っています。もし、ワックスが種類により滑りが違うと断言できるならば、ワックス別に、さまざまな温度帯で、直滑降でタイム計測しないとわからないと思います。しかも、メーカーじゃない第三者機関にて。ただ、クロスカントリーやジャンプの人があんなに熱心にやるんだから滑るのかな程度の認識です。
ただし、滑走面を硬いワックスで、つるつるにして、抵抗を減らすというのなら、なんとなくわかる気がします。ただし、ストラクチャーの溝との関係は?なんて考えるとドツボにはまりそうです。
私も含め、スキー技術で抵抗をかけているスキーヤーが多い現状から考えると、マテリアルの抵抗を減らすより、技術とそれを実現する体力を見直すほうがタイムはでそうです。私は、最初からこのように言ってるんですけど、レーサーのみんなは、まじめでワックス熱心で。。。

2008/9/15(月) 午後 9:34 [ キムカポ ] 返信する

顔アイコン

スキーマニアックス殿、そうそう。空気抵抗や滑走技術によって減速される方が、割合的には圧倒的に大きいハズだ。
レースで勝てる時は、スタートで滑走面に雪がへばり付いていても勝てるもの。「ここまでやったんだから!!」と自信を持ってスタートを切れる、ちょっとプラシーボ効果の方が大きいかもしれん。
マニアックス殿が書いているように、ワックスの効果について検証するのは非常に困難だ。なにせ、どうしてスキーが良く滑るのかすら解明されたわけではないのだからな。

2008/9/15(月) 午後 10:48 黒所長 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事