4月末に出版した専門書「今度こそわかるガロア理論」(講談社サイエンティフィク)は、桜美林大学数学専攻の学生の懇願もあって(勇気ある学生の名前は前書きに記載)、昔を思い出しながら執筆した書です。専門的な書ゆえ、出版できたことで十分に満足していました。そして本書に限っては、増刷は絶対にあり得ないと思っていました。ところが、出版と同時に増刷になって、あり得ないことが起こったと感じています。
私の古巣の置換群論を前面に出して、また以下のコンセプトをもって執筆しましたが、不思議でなりません。
①線形代数学や微分積分学以外の予備知識は一切仮定しないで,とくに説明が丁寧な数学書として完成させること。
②ガロアの基本定理や方程式の可解性を述べる定理まで,論理的に一歩ずつきちんと組み立てること。(数多くの例を含めて全部に丁寧な証明を記述。)
③群論のシローの定理や可解群の説明はしっかり述べる一方で,ガロア理論を理解する上で直接には関係しない周辺の代数学の内容までは,あまり深入りしないこと。
④多くの数学的読み物に書かれている3次方程式のカルダノの方法や4次方程式のフェラリの方法は取り上げないが,その一方で代数的に解けない方程式の例は,証明を付けて積極的に紹介すること。(5以上の任意の素数pに対しガロア群が対称群Spになる方程式や、ガロア群が線形群GL(3,2)になる方程式、等々。)
日本人の知的好奇心の凄さに感心すると同時に、今年は世界情勢を含めて、どうやら異変だらけの年になりそうな予感がします。
なお、「今度こそわかるガロア理論」を本気で学びたい桜美林大学の学生に対しては、人数に制限なく特別にタダでプレゼントしています。もっとも、これは桜美林大学だからこそできることであって、前本務校の東京理科大学で同じことをやれば、私は破産?するかも知れません。
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