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さて、洞窟の中はやたら拡く、しかも涼しい。
時折蝙蝠がざわめく以外は極めて静寂であった。
歩道も極めて安全に整備されており、ヘッドランプの小さな灯りで足元を確認しながら進路を進む。
鍾乳石の姿はまさに珍妙奇天烈だ。
かつて。
ここでは先住民による鹿猟が行われていたという。
蝙蝠が洞窟の天井にぶら下がり糞尿をたれる。
それが洞窟内部に蓄積する。
糞尿には塩分が微量に含まれる。
野生の鹿はそれを知っており、塩分を自らの体内に補給するため洞窟内部に侵入する。
ここぞとばかりに潜んでいた先住民が射殺する。
まるで勢子の不要なタツマだ。
狩猟の心得は国や文化は違えど共通するものがある。
地形を知る事。間合い、そして呼吸。
ガイドはこの地域の先住民だと言う。
かつて国立公園となる以前、ここは我々部族の猟場だった・・と少し寂しそうに説明した。
時折自分の狩猟経験を重ねながら洞窟を出ると、蝙蝠の出現を待つ観光客がタツマの如く息を殺していた。
そしてまたもや続く。
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