英語と格闘の日々

Only a life lived for others is a life worthwhile. A. Einstein

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先日の紅白歌合戦に特別出演したスーザン・ボイルに、キムタクの英語が通じなかった
ことが週刊誌の見出しになっている。
http://www.shinchosha.co.jp/magazines/nakaduri/677/


実はちょうどその場面を生で見ていたが、結論からいうと、あれは明らかに「英語」の問題ではない。

別にキムタクを擁護するわけではないが、彼の言った
Thank you for coming all the way to Japan.
は、十分ネイティブに通じるレベルの発話だったと思う。

発音もアクセントも大きな問題はないし、文法もコンテキストも極めて適切。

キムタクの英語力がどれほどのものかよく知らないけれど、たぶん、
英語の分かる人がきちんとチェックをし、キムタクも何度か練習したんだと思う。
(だってあれだけの大舞台だから、英語をアドリブで話すなんて考えられない。)


「英語が問題ではない」理由は、キムタクが話しかけた直後のスーザン・ボイルの
リアクションでわかる。

もし、「英語」そのものが聞き取れなかったのであれば、「エッ?」という顔をするか、
聞き返すか、あるいは戸惑った表情を見せ、その後に通訳の助けを求めるはずだ。

しかし、実際には、キムタクに話しかけられると、彼女はためらわずに通訳の方を向いて、
明らかに英語の翻訳を待っていた。つまり、彼女ははじめから英語で話しかけられることを
想定していなかったことになる。これが「通じなかった」ほんとうの理由。


英語に限らず、外国語によるコミュニケーションで大切なの要素にrapportがある。
(「ラポート」ではなく、「ラポア」と発音します。フランス語?)

Wikipediaではこう説明している。
Rapport is one of the most important features or characteristics of unconscious human interaction.
(無意識の意思疎通における最も重要な特性・特徴のひとつ)

つまり、コミュニケーションの成否に大きな影響を与える「感情的な親密さ」や「信頼関係」
と考えていい。

外国語で苦労した人はわかると思うけど、話し相手との親しさ加減で、ことばが通じるか
どうかがずいぶん違う。いったん人間関係が出来上がってしまうと、相手の言うことは
よく聞き取れるし、こちらの言いたいこともよくわかってもらえる(ような気になる)。

スーザン・ボイルとキムタクの間には、大晦日のあの日、あの舞台で、このrapport
十分に構築されていなかったのだ。


舞台裏の事情はよくわからないけど、キムタクもスーザン・ボイルのエスコート役であったなら、
ステージに上がるまでに多少は二人きりになる時間もあったはず。

そこで、
Suzan, I'll speak to you in my poor English before you sing. Please pretend
like you understand me perfectly, OK?
(スーザン、歌の前に拙い英語で話しかけるから、完璧にわかったような顔をしてね!)

とかなんとか言って、笑いのひとつ誘っておけば、彼女の緊張もほぐすこともできただろうし、
ステージ上でもジョークを応酬しあえるくらいのrapportができあがっていたかもしれない。


外国語学習というと、文法や語彙、発音といった言語的な側面ばかりに目が行きがちだが、
非言語的なコミュニケーション能力の養成にも、もう少し目配せをした方がいいと思う。


それにしても、スーザン・ボイルの『夢やぶれて』はさすがお見事でしたね♪

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閉じる コメント(22)

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こんにちは、時々、楽しく読ませていただいています。

YouTubeで紅白の、この場面を見た時「これ、週刊誌で書かれるな。英語は通じるものだったのに気の毒な。」とWonderwallさんと全く同じ事を考えていました。こうしたメディアの煽りや、それに踊らされる周囲の言動なども、語学習得を挫折させる原因の1つとなるのでしょうね。とても残念なことです。こういう場面での悔しさは本当に経験した人にしかわかり得ないことかも知れませんね。
Satsumaimonotsuma

2010/1/7(木) 午後 0:35 [ imonotsuma ] 返信する

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>SHIRANEさん、こちらこそよろしくお願いします。
そうですね、ちょっと可哀想でしたね。キムタクなりにwelcomeの気持ちを伝えたかったんでしょうに…。通訳の人がボイルさんに何ていったのかも興味がありますね(笑)

2010/1/7(木) 午後 6:26 Wonderwall 返信する

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>しぐれさん、
そうですね、よく日本にきた外国人が「せっかく日本語を覚えてきたのに日本人に通じない」と嘆いているのを聞きますが、あれは彼らの日本語に問題があるのではなく、日本人が「やばい、英語で話しかけてきた!」と思い込んでいるせいで「通じない」ケースが多々ありますね。コミュニケーションって、「ことば」以前に、相手のいうことをわかろう、という気持ちというか、チャネルが開いていないと絶対に成り立たないですからね。

2010/1/7(木) 午後 6:35 Wonderwall 返信する

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>Satsumaimonotsumaさん
読んでいただき、コメントまでいただいてありがとうございました。
おっしゃるとおり、ほんと残念なことだと思います。「だから日本人の英語はダメなんだ」みたいな風潮がまた増長されないといいのですが…。
英語が通じない時、「おまえ、何いってんの?」みたいなネイティブの顔を、もう何万回も見てきているので(涙)、あれは英語のせいじゃない、ということは経験的に自信を持って言い切れます!(爆)

2010/1/7(木) 午後 6:44 Wonderwall 返信する

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こんばんは。初めてコメントします。
私もこの場面を見ていて「何故?」通じないのかと不審でした。
そういうわけもあるのですね。

2010/1/7(木) 午後 8:48 sakura_yuri 返信する

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コメントありがとうございました。
たぶん英語をある程度使っている人なら、「何故?」と思いますよね。それを「通じなかった」と書き立てるのは、やっかみの部分が大きいのではないでしょうか。

2010/1/8(金) 午前 8:53 Wonderwall 返信する

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私も同感です。駅前でもこの話題が出ました。キムタクは子供もインターに通っているし、英語を話す機会もかなり多いようですね。わかりやすくて綺麗な英語だったと紅白をみていたというネイティブの先生もいわれました。前もってrapport talkしてあればもっとよかったかもしれませんね。ちなみに恥ずかしながらtがサイレントなのしらなかったです。Thanks a lot!

2010/1/9(土) 午後 3:32 ann**in_*ei 返信する

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私はテレビではなくラジオで聞いていましたが、キムタクの英語はall the way to Japan と素適な表現をちゃんと使って good good と思って聴いていました。たぶんrapport 不足とスーザンさんの日本の舞台上での緊張からそうなったのではと思っていました。

今年もチョコチョコお邪魔して英語の学習させてくださいませm(__)m

2010/1/11(月) 午後 2:26 fum*n*an* 返信する

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>ANNEさん、
ほかの掲示板では「スーザン・ボイルはイギリス人だから、(キムタクの)アメリカアクセントがわからなかったのでは」なんて書いてあったのがありましたが、そんなわけないじゃないですかね!(苦笑)オーストラリア人の同僚だって(失礼!)ちゃんと聞き取れていますから。あのアクシデントのせいでrapportが出来上がったかも知れませんね(笑)

2010/1/11(月) 午後 6:05 Wonderwall 返信する

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>ふうさん、
コメントありがとうございました。大晦日に1曲歌うためにはるばる日本に来たわけですから、まさに"all the way"ですよね。なおかつ観衆はほぼ全員日本人なわけですから、あがるな、という方が無理ですよね。
最近あまり更新していませんが、ぜひお立ち寄りください♪

2010/1/11(月) 午後 6:11 Wonderwall 返信する

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ご無沙汰しています。
わたしも全く同じことを考えていました。でも、こういう場面を説明するのにrapport という言葉を使うことは考えなかったです!
相手の言うことを理解するのにはこちらの受け入れ態勢が出来ていないと難しいですね。
以前、レンタカーのカウンターで「日本語は話せない」というので英語で話していたら、相手が「hoken 保険」だけを英文の中で日本語で言いました。こちらは相手は日本語を話さないはずという思い込みがあったので、「cocaine」と聞こえてしまい、危うく保険に入らずレンタカーを借りそうになりました。(>_<)
それにしても、真偽はともかく週刊誌の見出しはおもしろいですね!

2010/1/11(月) 午後 11:32 [ ohio ] 返信する

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こちらこそご無沙汰してます。
rapportというのは「コミュニケーションのチャネルが開いている、回線がつながっている」ということだと思います。まさに「受け入れ態勢」の問題ですね。
海外で現地の人にいきなり日本語ではなしかけられても理解できないのは私もよく経験します。彼らの日本語が下手なのではなく、こちらが日本語を予期していないからですね。
また、rapportがすっかりできてしまった人とは、会話があまりにスムーズに運ぶので、自分の英語がうまくなったんじゃないかと勘違いしてしまうので怖いですよね…笑

2010/1/13(水) 午前 8:58 Wonderwall 返信する

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初めまして、こんにちは。
時々読ませていただいてます。
私も紅白で何故通じないのかと不思議だったのです。
通訳の人は、all the way を省いて「Thank you for coming to Japan」と訳していたと思います。
この後は、笑顔で和やかに会話できていたと思うのでrapportって大切ですね、肝に銘じます。
それにしても、何でも書かれてしまうキムタクは気の毒ですね。 削除

2010/1/16(土) 午後 9:21 [ kyoka ] 返信する

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コメントありがとうございました。
通訳のひとの英語の音声が放送されていたのは気づきませんでした。ぜんぜん「訳」になってないですね(笑)。
あの後、雰囲気を気まずくせず、茶目っ気たっぷりに取り繕っているのを見て、「キムタクって、コミュニケーション能力の高いひとなんだなあ」と思いました。
何でも書かれてしまうのって、やっぱりそんな週刊誌を読む人が多いからなんでしょうね。

2010/1/18(月) 午前 8:57 Wonderwall 返信する

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スーザン・ボイルはスコットランド人なので、アメリカ英語に慣れてなかった??それと英語でキムタクから話かけられるのを予期していなかったのと、大舞台の前で緊張していた?
海外から日本に来たネイティブが、陥りやすい、日本人がまさか英語を喋ると思わず「日本語って英語に聞こえる??」状態になったのと、つい通訳を見てしまうクセが出た??いろんな条件がありますが・・それのどれかでしょうね。

2010/1/26(火) 午後 11:34 [ nomad ] 返信する

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私は見ていなかったのではじめて知りましたが、確かに事前に会話をしておくとかなり違ったでしょうね。

2010/1/27(水) 午前 11:42 Lotus 返信する

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>nomadさん、たぶん複合的な条件の下で起こった「悲劇」でしょうね。
日本人の多い海外の観光地では、カタコト以上の英語を話すとびっくりされますね。「お前はどこの国の人間だ?」みたいな顔をされることもありますよね。「日本人は英語が話せない」という印象は、思った以上に強いのかもしれませんね。

2010/1/29(金) 午前 7:17 Wonderwall 返信する

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>lotusさん、そうですね。「スーザン・ボイルに英語が通じなかったキムタク」みたいに記憶されるとかわいそうですね。

2010/1/29(金) 午前 7:19 Wonderwall 返信する

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これって、そうですね。まさしくその人の発音に慣れていなかったら特に外国人通しではそうなってしまったと思います。。日本語アクセントの英語にブリティッシュ英語といっても確か彼女はスコティッシュ系(結構鉛が強いと思います)さらに彼女の場合は色々なバックグラウンド(生い立ち、学歴、教養などなど)でまだまだ慣れていない事もあったと思います。私はその場面を見る事はできませんでしたが、もしスタッフの方たちが事前にきちんと気配りをしてあげれば彼は恥をかかなくて済んだ事でしょうね。彼の表現はすごく彼女をいたわっている英語のようですから。。。

2010/1/31(日) 午後 10:52 [ squareapple00 ] 返信する

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「慣れ」というのは、人間関係も含めて、ということですね。先週、先々週と香港からの技術者に付き合っていましたが、最初は言ってることの半分くらいしか理解できませんでした。それが、一緒に食事をしたり飲みにいったり、奥さんの愚痴をいい合ったり(失礼!)していると、最後は100%近くわかりようになりますね。同じ言葉を話していても全然気持ちが通じないこともあるし、ことばってホント面白いですよね。

2010/2/2(火) 午後 8:21 Wonderwall 返信する

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